観月さんちの王子と可愛い姫 〜凌也と理央が同級生だったら……

波木真帆

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甘くて美味しい

<side理央>

「私と一緒に家に帰ろう」

はじめてやさしくだっこされて、ドキドキしながらめをあけると、わらっているかおがみえた。

「あー、あーっ」

いつもめをつりあげたような、こわいひとばかりだったけど、めのまえのひとがやさしそうでこえがでた。
いつもならこえをあげると「うるさい!」ってどなられる。

だけど、このひとはぼくのこえにわらってくれたんだ。

「おお、いい子だな。返事をしてくれたのか」

そういって、ぼくのあたまをやさしくなでてくれた。
おっきなてがすごくあったかくてポカポカしてくる。

そのひとにだっこされて、おっきなのりものにのせられる。

「ベビーシートは初めてで嫌だろうが、家に着くまでの辛抱だからね」

ぼくはこのひとのだっこからおろされて、ねんねできるちいさなベッドみたいなのにねかされた。
ずっとだっこしててほしかったから、はなれたときにちょっとないちゃった。

でも、ねかされたばしょからすっごくいいにおいがする。
そのにおいにあんしんしてぼくはきづいたらねむってしまっていた。

やさしいてが、ぼくのからだにふれるのにきづいてめをさます。

「ああ、起こしてしまったな。今から家族に紹介するよ」

さっきのやさしいひとが、ぼくをやさしくだきあげる。

でも、「かぞく」ってなんだろう?


「あなた、おかえりなさ――」

ちかづいてきたやさしそうなひとがぼくをみて、びっくりしたかおをする。

ぼくはドキドキしたまま、やさしいうでのなかにいた。
こわいからなにもきこえないふりをして、ずっとめをとじていた。

でもやさしいこえにめをあけてみると、すごくきれいなひとがぼくをみていた。

ぼくをみて、「かわいい」といってくれる。

そして、そのひとのうでのなかにいたこがぼくをみつめる。
そのめにぼくはドキドキがとまらなかった。

そっとぼくのゆびをにぎってくれる。
それがすごくうれしくてたのしい。

たのしくてわらっていると、やさしいうでからおろされた。
でもぜんぜんこわくない。
やわらかいばしょでねころがっていると、さっきぼくのゆびをつかんだこも、いっしょにねころがる。

あぶっ、あぶっかわいい、かわいい

あーぶ、あぶーぼく、かわいいの?」

あぶぶ、あぶっすっごく、かわいい

ぼくのことをなんどもかわいいといってくれるのがうれしい。

「凌也がすごくご機嫌だわ。この子が気に入ったのね。ねぇ、この子の名前は?」

なまえ……そんなのない。
だって、ぼくよばれたことないもん。
このこは『りょーや』ってなまえがあるんだ。いいな。

ここではなんてよばれるのかな?

「それなら『理央』がいいわ」

りお、それがぼくのなまえ?

わぁー! かわいい! うれしくてあしをばたつかせていると、りょーやが

だぁー、あぶーりお、かわいい

といってくれてうれしかった。

それからはいつもりょーやといっしょ。
ちっちゃいベッドでりょーやとならんでおねんねするのがだいすき。
でもとつぜん、おっきなベッドがきてりょーやのかおがみれなくなった。

りょーや、りょーや。あいたいよー!

さみしくてかなしくて、なみだがとまらない。
となりからにおいがするのに、ちかづけない。

かなしくてずっとないていると、とつぜんりょーやのかおがみえた。

「ふぇ……っ、あだだーあいたかった……」

あだっ、あぶあぶぶーもう、はなれないから!」

あーう、あうーよかった、うれしい

そのことばどおり、そのひからはおきているときも、ねているときも、ずっとりょーやといっしょ。

くっついてねるとあんしんする。

ときどき、りょーやがぼくのゆびやうで、ほっぺやくちをぺろぺろしてくる。

あぶっぶ、あうーおなか、すいてる?」

だーだううんあうー、あぶっりおがかわいいから


りょーやはぼくがかわいいからぺろぺろしたくなっちゃうんだって。
ぼくもりょーやにぺろぺろされるのすきだからいいんだ。

でも、ぼくもしてみたくなっちゃった。
なかなかりょーやみたいにうごけなくてむずかしかったけど、くっついてねんねしているときに、かおをあげたらりょーやのくちがみえた。

やったー! ぺろぺろできる!

ぼくはうれしくなって、りょーやのくちをぺろぺろっとなめてみた。

うわっ、あまくておいしー!!

じぶんのはあまくないのに、りょーやのはどうしてこんなにあまいんだろう?

りゆうはわからないけど、それからはまいにち、おたがいにいろんなところをぺろぺろするのがしゅうかんになった。

ママはそんなぼくたちを『可愛い』といってくれるけど、パパはなんだかへんなかおをするんだよね。

どうしてだろう?
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