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番外編
友人たちへの相談 <中編>
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綾城が人払をしてくれたおかげで、社長室の辺りはしんと静まり返っている。
「これならゆっくり話せそうだな」
「それで、相談ってなんなんだ? 結婚式の話じゃないんだろ?」
「そうなんだ、是非力を貸してほしい」
俺がこんなにも切羽詰まった様子を見せるのは初めてだったからか、綾城も悠木も驚いていたが、俺が理由を話すとさらに困惑した様子を見せていた。
「――というわけで、理央にフランスでサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるって言ってしまったんだ。難しいとは思うけど、なんとかその願いを叶えてやりたい。なにかいいアイディアはないか?」
「なるほど……そういうことか……」
「確かに理央くんならそんなことを言いそうだな。それくらい、あの施設では全ての権利を奪われていたからな」
「そうなんだ……。だから、なんとかして願いを叶えてやりたいんだよ」
「とりあえず現地でサンタクロースさえ用意できればいいんだろう? それはロレーヌさんにお願いしてなんとかならないか?」
「そうだな……。頼んでみよう」
「あと、トナカイと橇も必要なんだが……」
「本当に絵本の世界だな……まぁ、もしそれが用意できるなら空良も喜びそうだ」
「確かに。佳都はさすがにサンタクロースが現実にいるとは思っていないだろうが、実際にサンタクロースがトナカイの引いた橇に乗って現れたら喜ぶだろうし、何より弟のように思っている理央くんと空良くんが喜ぶなら嬉しいだろうな」
「さすがにこっちからトナカイと橇を運ぶのは無理だろうから、それも頼むことになるが……大丈夫か?」
「ふむ……とりあえず頼んでみるよ。ロレーヌが難しいと言えばその時また対処を考えよう。今フランスは……真夜中か……。ロレーヌなら起きてそうだが……一度だけ電話をしてみて、取らなければまた後でかけてみるよ」
そう言って綾城は電話をかけ始めた。
結局ロレーヌさん頼みか……。
結婚式も、そして、サンタクロースまでロレーヌさんにばかり手配を頼むことになって申し訳ないな。
何かそれに報いる方法はないだろうか……。
そう思いながら、綾城の電話の行方を見守っていると、綾城が俺たちに親指を立てて見せる。
どうやら彼は了承してくれたようだ。
やはりさすが世界のロレーヌ家。
電話を切り、
「フランスのクリスマスは贈り物でたくさん埋め尽くすのが通常らしい。いい子であればあるほど贈り物はたくさんなければいけないそうだぞ。できるだけ多くの贈り物をロレーヌ家宛に送ってくれと言っていた」
と教えてくれた。
「そうか、なら父さんたちにも話しておこう。フランスでの結婚式に参加できないって残念がってたから、贈り物だけでも用意してもらおうか」
「そうだな。だがこっちでも写真は撮るんだろ?」
「ああ、なんとかそれで我慢してもらったよ。あんまり理央を疲れさせたくないからな」
「うちもそうしよう。もうすっかり親父も母さんも空良が気に入って……。家に連れてくと俺はそっちのけで空良とばっかり話したがるぞ」
「ははっ。どこも一緒だな。うちもそうだよ。連れてったら佳都だけおいて帰れとか言われるし、ライリーまで佳都から離れようとしないんだぞ」
「まぁそれだけ気に入ってもらえるのは嬉しいけどな」
「確かに。ここまで認めてもらえるのも珍しいんじゃないか。俺たち3人揃って理解ある親でよかったよな」
綾城の言う通りだ。
認めてもらえないことの方が断然多いはずなのに、俺たちは認めてもらえた上に可愛がってもらえて……理央にも親を作ってやれた。
本当に幸せなんだよな。
「なぁ、ロレーヌさんへのお礼だけど、何をしたらいい? 結婚式だけでも借りができてるのに、その上理央のためにサンタクロースまで……。何もせずにはいられないんだが……」
「そうだな……。その件で一つだけお前が解決したらロレーヌが喜びそうな案件がある」
「なんだ?」
「ロレーヌの相手、江波弓弦くんというんだが、父親があのフランスで最も素晴らしいヴァイオリニストに選ばれていたニコラ・ロレーヌで、母親の方もその昔、史上最年少の若さでパリのヴァイオリン国際コンクールで優勝した実力の持ち主でな、将来を嘱望されていたんだ。フランスで出会った二人はすぐに恋に落ちたが、親子ほど歳が離れていることに母親の方の両親から反対されて二人は引き裂かれた。しかし、その時お腹にはすでに弓弦くんがいたんだ。ニコラ・ロレーヌはそのことを知って日本に迎えに行こうとした矢先、飛行機事故に遭って死亡した。母親の方は両親から堕胎を強要されて、身体一つで逃げ出したらしい」
「ひどい話だな。俺たちの親とはえらい違いだ」
「今回ロレーヌが来日しているとき、その母親が事故で他界し、ユヅルくんは以前から自分に何かあったらこれを開けなさいと母親から言われていたものを開けたらそこに携帯番号が書かれていて、それがロレーヌの持っていた番号だったんだ。ロレーヌは父親の形見としてそのスマホを持っていたんだよ」
「そうやって出会った二人がまた恋に落ちたのか……すごい奇跡だな」
「ここからが本題なんだ。実は今、母親の両親が血眼になって弓弦くんの行方を探しているらしい」
「なぜだ? 堕胎までしようとした子どもなのに」
「ニコラ・ロレーヌが6億はくだらないストラディヴァリウスを弓弦くんの母親に渡していたことがわかってな、それを狙っているらしい。しかも、今回弓弦くんが正式にロレーヌ家の一員となることをどこからか探し出したらしく、弓弦くんを通じてロレーヌ家の財産を貰おうと企んでいるようだぞ」
「とんでも無い奴らだな。それで、俺はどこまでやってやったらいいんだ?」
「ロレーヌ家が手を出せばすぐに方がつくが、ロレーヌ家としてはそんな小さな案件に名前を出したく無いんだ。日本との外交上の問題もあるしな」
「なるほど。じゃあ、弓弦くんの件は俺に任せてくれ。すぐに方はつけられるよ」
「ふふっ。頼もしいな」
「まぁな。理央のことで散々世話になるんだ。それくらいどうってことないよ」
「クリスマスにはみんなが憂いなく楽しめそうだな」
「ああ、相談して良かったよ」
「おい、俺にも何かないか?」
「ははっ。そうだな、悠木にはロレーヌの会社の医療機器を一式買ってもらおうか。ロレーヌが大喜びするぞ」
「また医療機器かよ。いいけど別に。じゃあ、今度は父親の病院の医療機器を一式揃えようか」
「ああ、いいなそれ。悠木、ついでにうちの父親の病院も頼む」
「何言ってるんだ、自分でやれ」
「なんだよ、ケチだな」
「ははっ」
久しぶりに大学時代に戻ったような雰囲気の中、話は終わった。
やっぱり親友というのはいいものだな。
「これならゆっくり話せそうだな」
「それで、相談ってなんなんだ? 結婚式の話じゃないんだろ?」
「そうなんだ、是非力を貸してほしい」
俺がこんなにも切羽詰まった様子を見せるのは初めてだったからか、綾城も悠木も驚いていたが、俺が理由を話すとさらに困惑した様子を見せていた。
「――というわけで、理央にフランスでサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるって言ってしまったんだ。難しいとは思うけど、なんとかその願いを叶えてやりたい。なにかいいアイディアはないか?」
「なるほど……そういうことか……」
「確かに理央くんならそんなことを言いそうだな。それくらい、あの施設では全ての権利を奪われていたからな」
「そうなんだ……。だから、なんとかして願いを叶えてやりたいんだよ」
「とりあえず現地でサンタクロースさえ用意できればいいんだろう? それはロレーヌさんにお願いしてなんとかならないか?」
「そうだな……。頼んでみよう」
「あと、トナカイと橇も必要なんだが……」
「本当に絵本の世界だな……まぁ、もしそれが用意できるなら空良も喜びそうだ」
「確かに。佳都はさすがにサンタクロースが現実にいるとは思っていないだろうが、実際にサンタクロースがトナカイの引いた橇に乗って現れたら喜ぶだろうし、何より弟のように思っている理央くんと空良くんが喜ぶなら嬉しいだろうな」
「さすがにこっちからトナカイと橇を運ぶのは無理だろうから、それも頼むことになるが……大丈夫か?」
「ふむ……とりあえず頼んでみるよ。ロレーヌが難しいと言えばその時また対処を考えよう。今フランスは……真夜中か……。ロレーヌなら起きてそうだが……一度だけ電話をしてみて、取らなければまた後でかけてみるよ」
そう言って綾城は電話をかけ始めた。
結局ロレーヌさん頼みか……。
結婚式も、そして、サンタクロースまでロレーヌさんにばかり手配を頼むことになって申し訳ないな。
何かそれに報いる方法はないだろうか……。
そう思いながら、綾城の電話の行方を見守っていると、綾城が俺たちに親指を立てて見せる。
どうやら彼は了承してくれたようだ。
やはりさすが世界のロレーヌ家。
電話を切り、
「フランスのクリスマスは贈り物でたくさん埋め尽くすのが通常らしい。いい子であればあるほど贈り物はたくさんなければいけないそうだぞ。できるだけ多くの贈り物をロレーヌ家宛に送ってくれと言っていた」
と教えてくれた。
「そうか、なら父さんたちにも話しておこう。フランスでの結婚式に参加できないって残念がってたから、贈り物だけでも用意してもらおうか」
「そうだな。だがこっちでも写真は撮るんだろ?」
「ああ、なんとかそれで我慢してもらったよ。あんまり理央を疲れさせたくないからな」
「うちもそうしよう。もうすっかり親父も母さんも空良が気に入って……。家に連れてくと俺はそっちのけで空良とばっかり話したがるぞ」
「ははっ。どこも一緒だな。うちもそうだよ。連れてったら佳都だけおいて帰れとか言われるし、ライリーまで佳都から離れようとしないんだぞ」
「まぁそれだけ気に入ってもらえるのは嬉しいけどな」
「確かに。ここまで認めてもらえるのも珍しいんじゃないか。俺たち3人揃って理解ある親でよかったよな」
綾城の言う通りだ。
認めてもらえないことの方が断然多いはずなのに、俺たちは認めてもらえた上に可愛がってもらえて……理央にも親を作ってやれた。
本当に幸せなんだよな。
「なぁ、ロレーヌさんへのお礼だけど、何をしたらいい? 結婚式だけでも借りができてるのに、その上理央のためにサンタクロースまで……。何もせずにはいられないんだが……」
「そうだな……。その件で一つだけお前が解決したらロレーヌが喜びそうな案件がある」
「なんだ?」
「ロレーヌの相手、江波弓弦くんというんだが、父親があのフランスで最も素晴らしいヴァイオリニストに選ばれていたニコラ・ロレーヌで、母親の方もその昔、史上最年少の若さでパリのヴァイオリン国際コンクールで優勝した実力の持ち主でな、将来を嘱望されていたんだ。フランスで出会った二人はすぐに恋に落ちたが、親子ほど歳が離れていることに母親の方の両親から反対されて二人は引き裂かれた。しかし、その時お腹にはすでに弓弦くんがいたんだ。ニコラ・ロレーヌはそのことを知って日本に迎えに行こうとした矢先、飛行機事故に遭って死亡した。母親の方は両親から堕胎を強要されて、身体一つで逃げ出したらしい」
「ひどい話だな。俺たちの親とはえらい違いだ」
「今回ロレーヌが来日しているとき、その母親が事故で他界し、ユヅルくんは以前から自分に何かあったらこれを開けなさいと母親から言われていたものを開けたらそこに携帯番号が書かれていて、それがロレーヌの持っていた番号だったんだ。ロレーヌは父親の形見としてそのスマホを持っていたんだよ」
「そうやって出会った二人がまた恋に落ちたのか……すごい奇跡だな」
「ここからが本題なんだ。実は今、母親の両親が血眼になって弓弦くんの行方を探しているらしい」
「なぜだ? 堕胎までしようとした子どもなのに」
「ニコラ・ロレーヌが6億はくだらないストラディヴァリウスを弓弦くんの母親に渡していたことがわかってな、それを狙っているらしい。しかも、今回弓弦くんが正式にロレーヌ家の一員となることをどこからか探し出したらしく、弓弦くんを通じてロレーヌ家の財産を貰おうと企んでいるようだぞ」
「とんでも無い奴らだな。それで、俺はどこまでやってやったらいいんだ?」
「ロレーヌ家が手を出せばすぐに方がつくが、ロレーヌ家としてはそんな小さな案件に名前を出したく無いんだ。日本との外交上の問題もあるしな」
「なるほど。じゃあ、弓弦くんの件は俺に任せてくれ。すぐに方はつけられるよ」
「ふふっ。頼もしいな」
「まぁな。理央のことで散々世話になるんだ。それくらいどうってことないよ」
「クリスマスにはみんなが憂いなく楽しめそうだな」
「ああ、相談して良かったよ」
「おい、俺にも何かないか?」
「ははっ。そうだな、悠木にはロレーヌの会社の医療機器を一式買ってもらおうか。ロレーヌが大喜びするぞ」
「また医療機器かよ。いいけど別に。じゃあ、今度は父親の病院の医療機器を一式揃えようか」
「ああ、いいなそれ。悠木、ついでにうちの父親の病院も頼む」
「何言ってるんだ、自分でやれ」
「なんだよ、ケチだな」
「ははっ」
久しぶりに大学時代に戻ったような雰囲気の中、話は終わった。
やっぱり親友というのはいいものだな。
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