イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

文字の大きさ
52 / 87
番外編

友人たちへの相談  <中編>

しおりを挟む
綾城が人払をしてくれたおかげで、社長室の辺りはしんと静まり返っている。

「これならゆっくり話せそうだな」

「それで、相談ってなんなんだ? 結婚式の話じゃないんだろ?」

「そうなんだ、是非力を貸してほしい」

俺がこんなにも切羽詰まった様子を見せるのは初めてだったからか、綾城も悠木も驚いていたが、俺が理由を話すとさらに困惑した様子を見せていた。

「――というわけで、理央にフランスでサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるって言ってしまったんだ。難しいとは思うけど、なんとかその願いを叶えてやりたい。なにかいいアイディアはないか?」

「なるほど……そういうことか……」

「確かに理央くんならそんなことを言いそうだな。それくらい、あの施設では全ての権利を奪われていたからな」

「そうなんだ……。だから、なんとかして願いを叶えてやりたいんだよ」

「とりあえず現地でサンタクロースさえ用意できればいいんだろう? それはロレーヌさんにお願いしてなんとかならないか?」

「そうだな……。頼んでみよう」

「あと、トナカイと橇も必要なんだが……」

「本当に絵本の世界だな……まぁ、もしそれが用意できるなら空良も喜びそうだ」

「確かに。佳都はさすがにサンタクロースが現実にいるとは思っていないだろうが、実際にサンタクロースがトナカイの引いた橇に乗って現れたら喜ぶだろうし、何より弟のように思っている理央くんと空良くんが喜ぶなら嬉しいだろうな」

「さすがにこっちからトナカイと橇を運ぶのは無理だろうから、それも頼むことになるが……大丈夫か?」

「ふむ……とりあえず頼んでみるよ。ロレーヌが難しいと言えばその時また対処を考えよう。今フランスは……真夜中か……。ロレーヌなら起きてそうだが……一度だけ電話をしてみて、取らなければまた後でかけてみるよ」

そう言って綾城は電話をかけ始めた。

結局ロレーヌさん頼みか……。
結婚式も、そして、サンタクロースまでロレーヌさんにばかり手配を頼むことになって申し訳ないな。

何かそれに報いる方法はないだろうか……。

そう思いながら、綾城の電話の行方を見守っていると、綾城が俺たちに親指を立てて見せる。
どうやら彼は了承してくれたようだ。
やはりさすが世界のロレーヌ家。

電話を切り、

「フランスのクリスマスは贈り物でたくさん埋め尽くすのが通常らしい。いい子であればあるほど贈り物はたくさんなければいけないそうだぞ。できるだけ多くの贈り物をロレーヌ家宛に送ってくれと言っていた」

と教えてくれた。

「そうか、なら父さんたちにも話しておこう。フランスでの結婚式に参加できないって残念がってたから、贈り物だけでも用意してもらおうか」

「そうだな。だがこっちでも写真は撮るんだろ?」

「ああ、なんとかそれで我慢してもらったよ。あんまり理央を疲れさせたくないからな」

「うちもそうしよう。もうすっかり親父も母さんも空良が気に入って……。家に連れてくと俺はそっちのけで空良とばっかり話したがるぞ」

「ははっ。どこも一緒だな。うちもそうだよ。連れてったら佳都だけおいて帰れとか言われるし、ライリーまで佳都から離れようとしないんだぞ」

「まぁそれだけ気に入ってもらえるのは嬉しいけどな」

「確かに。ここまで認めてもらえるのも珍しいんじゃないか。俺たち3人揃って理解ある親でよかったよな」

綾城の言う通りだ。
認めてもらえないことの方が断然多いはずなのに、俺たちは認めてもらえた上に可愛がってもらえて……理央にも親を作ってやれた。
本当に幸せなんだよな。

「なぁ、ロレーヌさんへのお礼だけど、何をしたらいい? 結婚式だけでも借りができてるのに、その上理央のためにサンタクロースまで……。何もせずにはいられないんだが……」

「そうだな……。その件で一つだけお前が解決したらロレーヌが喜びそうな案件がある」

「なんだ?」

「ロレーヌの相手、江波弓弦くんというんだが、父親があのフランスで最も素晴らしいヴァイオリニストに選ばれていたニコラ・ロレーヌで、母親の方もその昔、史上最年少の若さでパリのヴァイオリン国際コンクールで優勝した実力の持ち主でな、将来を嘱望されていたんだ。フランスで出会った二人はすぐに恋に落ちたが、親子ほど歳が離れていることに母親の方の両親から反対されて二人は引き裂かれた。しかし、その時お腹にはすでに弓弦くんがいたんだ。ニコラ・ロレーヌはそのことを知って日本に迎えに行こうとした矢先、飛行機事故に遭って死亡した。母親の方は両親から堕胎を強要されて、身体一つで逃げ出したらしい」

「ひどい話だな。俺たちの親とはえらい違いだ」

「今回ロレーヌが来日しているとき、その母親が事故で他界し、ユヅルくんは以前から自分に何かあったらこれを開けなさいと母親から言われていたものを開けたらそこに携帯番号が書かれていて、それがロレーヌの持っていた番号だったんだ。ロレーヌは父親の形見としてそのスマホを持っていたんだよ」

「そうやって出会った二人がまた恋に落ちたのか……すごい奇跡だな」

「ここからが本題なんだ。実は今、母親の両親が血眼になって弓弦くんの行方を探しているらしい」

「なぜだ? 堕胎までしようとした子どもなのに」

「ニコラ・ロレーヌが6億はくだらないストラディヴァリウスを弓弦くんの母親に渡していたことがわかってな、それを狙っているらしい。しかも、今回弓弦くんが正式にロレーヌ家の一員となることをどこからか探し出したらしく、弓弦くんを通じてロレーヌ家の財産を貰おうと企んでいるようだぞ」

「とんでも無い奴らだな。それで、俺はどこまでやってやったらいいんだ?」

「ロレーヌ家が手を出せばすぐに方がつくが、ロレーヌ家としてはそんな小さな案件に名前を出したく無いんだ。日本との外交上の問題もあるしな」

「なるほど。じゃあ、弓弦くんの件は俺に任せてくれ。すぐに方はつけられるよ」

「ふふっ。頼もしいな」

「まぁな。理央のことで散々世話になるんだ。それくらいどうってことないよ」

「クリスマスにはみんなが憂いなく楽しめそうだな」

「ああ、相談して良かったよ」

「おい、俺にも何かないか?」

「ははっ。そうだな、悠木にはロレーヌの会社の医療機器を一式買ってもらおうか。ロレーヌが大喜びするぞ」

「また医療機器かよ。いいけど別に。じゃあ、今度は父親の病院の医療機器を一式揃えようか」

「ああ、いいなそれ。悠木、ついでにうちの父親の病院も頼む」

「何言ってるんだ、自分でやれ」

「なんだよ、ケチだな」

「ははっ」

久しぶりに大学時代に戻ったような雰囲気の中、話は終わった。
やっぱり親友というのはいいものだな。

しおりを挟む
感想 95

あなたにおすすめの小説

夜が明けなければいいのに(洋風)

万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。 しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。 そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。 長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。 「名誉ある生贄」。 それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。 部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。 黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。 本当は、別れが怖くてたまらない。 けれど、その弱さを見せることができない。 「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」 心にもない言葉を吐き捨てる。 カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。 だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。 「……おめでとうございます、殿下」 恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。 その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。 ――おめでとうなんて、言わないでほしかった。 ――本当は、行きたくなんてないのに。 和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。 お楽しみいただければ幸いです。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...