10 / 296
第一章
興奮が抑えられない
しおりを挟む
<sideアズール>
「アズール、今日もご機嫌ね。そろそろ王子がお越しになるのがわかるのかしら?」
「だっ、だっ」
わーい、今日もあのもふもふ王子さまと遊べるんだぁ~!
お母さまやお父さま、それにお兄さまと遊ぶのも楽しいけれど、もふもふ王子さまはそばにいるだけですっごく安心するし、何よりあのもふもふの尻尾にコロンと転がるのが楽しいんだ。
あーあ、早く来ないかな。
そういえば、不思議なんだよね。
もふもふ王子さまって、手からすっごく甘くて美味しそうな匂いがする時と、しない時があるんだ。
しかも右手だけ。
王子さま自身からもずっと甘い匂いが漂っているけれど、あの手の甘い匂いはそれよりもものすごく強くって、前の世界で一年に一回だけ食べさせてもらってた誕生日ケーキのあの甘い生クリームよりもずっとずっと甘くて美味しい匂いがするんだ。
ぺろぺろ舐めると、ほんのりその甘い味がして全部舐め尽くしたくなっちゃう。
だから、最近はもふもふ王子さまが遊びに来てくれたら、すぐに手の匂いを確認しちゃうんだ。
でも昨日は全然甘い匂いしなかった……。
その代わりに石鹸のいい香りがしてた。
それも嫌いじゃないけど、でもやっぱり僕はあの甘い匂いがいい。
今日はどっちかなぁ…‥。
お母さまに抱っこされて、お庭でお散歩をしていると風に乗って甘い匂いがしてきたからもふもふ王子さまがきてくれたってすぐにわかった。
「だぁーっ、だぁーっ!」
足をばたつかせてお母さまに教えると
「あらあら。やっぱり運命の相手なのね。誰よりも早くわかるなんて」
と嬉しそうに笑っていた。
「アズールっ!」
僕の声に気づいてくれたのか、大声をあげながらもふもふ王子さまが駆け寄ってきてくれた。
「今日もまた一段と可愛らしいな」
「ふふっ。アズールが朝から王子がお越しになるのを待っていましたよ」
「そ、そうかっ! それは嬉しいな」
「ほら、アズール。王子さまと楽しい時間を過ごしていらっしゃい」
「あーっ」
はーいって、返事したけど、なかなか難しい。
赤ちゃんが言葉を話すって本当すごいことなんだな。
お母さまが僕をもふもふ王子さまに渡すと、優しく抱っこしてくれる。
甘い匂いに包まれるとそれだけで幸せな気分になれるんだ。
あっ、今日は手から甘い匂いがする。
僕の小さな両手で一生懸命もふもふ王子さまの手を持とうとするけれど、重くて持てない……。
「ふぇっ……ふぇっ……」
「ああっ! アズール、ごめんごめん」
甘い手を舐められなくて悲しくなっていると、もふもふ王子さまは焦ったように謝りながら、僕を抱っこしたまますぐそばにある庭の木の下に座り込んだ。
「あっ! 王子っ! すぐに敷物用意させますから」
「いや、このままでいい。アズールは汚したりしないから安心してくれ」
お母さまがそう叫んだけれど、もふもふ王子さまは何も気にしていないみたい。
王子さまがあぐらをかいたお膝の上にふさふさのしっぽを乗せてくれて、僕をその上で包み込むように座らせてくれる。
背中は王子さまのお腹に寄りかかっているから安定感も抜群だ。
「あうっ、あうっ」
口を開けて見せると、王子さまはゆっくりと僕の口の中に指を入れてくれた。
僕の小さな口には指一本しか入らないけれど、ちゅっと吸うだけで甘い味が口の中に広がっていく気がする。
何もついていないのに、本当に不思議なんだよね。
指をちゅっちゅっと吸いながら、お腹に乗せられているふさふさのしっぽをきゅっと握ると、もふもふ王子さまの身体がビクンと震えた。
「ふぇっ?」
「ああ、ごめん。アズール、大丈夫だから」
びっくりしたけど、ニコニコしているから大丈夫かな?
手のひらまでひとしきり舐め終わったら、もふもふ王子さまの手は僕の涎でたくさん濡れちゃっていた。
ああーっ、いくら美味しいからってやりすぎちゃったかなと思ったけど、
「あ、アズール。ほら、尻尾だよ。もふもふ~っ」
ふさふさのしっぽを僕の身体に優しく当ててくれる。
「きゃっ、きゃっ」
それがすっごく楽しいんだ。
良かった、涎いっぱいつけちゃったけど、王子さまは全然気にしていないみたい。
ふと王子様の右手を見た時には僕の涎は綺麗に無くなってた。
僕が知らない間に拭き取ったんだろうな。
すごく優しい。
しっぽで遊んだあと、王子さまは僕を向かい合わせに抱っこした。
今度は何で遊んでくれるんだろうと思っていると、僕の目を見ながら
「ほら、アズール。私はルーディーだよ。『ルー』って言ってごらん」
最近、よく王子さまは僕に名前を言わせようとする。
でもルーディーって難しいんだよね。
僕にとってはもふもふ王子さまの方がわかりやすかったんだけど……。
でもやっぱり名前はちゃんと言ってあげるべきだよね。
名前を間違って言っちゃうのはやっちゃいけないから、ちゃんと言えるようになるまでは、言わないほうがいいかと思ってたんだけど、『ルー』なら言えそう。
「うーっ?」
あっ、だめだ。
ルーって言いたいのに、うーになっちゃう。
王子さま、怒ってないかな?
「うーっ?」
「くぅ――!!!」
「だっ!!」
突然、もふもふのしっぽがすごい勢いで動き出して、自分で王子さまの足をバシバシ叩いてる。
だ、大丈夫かな?
<sideルーディー>
爺にアドバイスをもらって、意気揚々と公爵邸に向かうとちょうど公爵夫人と庭で散歩をしているようだった。
庭に案内され、すぐに公爵夫人の姿を見つけ近づこうとするとすぐにアズールの可愛い声が耳に飛び込んできた。
ああっ!
私を呼んでくれているんだ!!
そう思うだけで、駆け出している自分がいた。
「アズールっ!!」
王子として感情も抑えられないのかと言われようがどうでもいい。
ほんの少しでも早く愛しいアズールのそばに行きたい。
ただそれだけだ。
アズールが朝から私がくるのを待っていたようだと公爵夫人が教えてくれた。
アズールにそんな気持ちが生まれてきてくれただけで途轍もない幸せが込み上げてくる。
公爵夫人からアズールを受け取り抱き上げると、アズールはすぐに私の匂いに気がついた。
ああ、今日は少し遅かったかもしれない。
昨日、早すぎたと思って時間をずらしすぎたか。
アズールはすぐに私の蜜の匂いに気づき、小さな手で私の右手を持ち上げようとするが、アズールの力で上がるわけがなく、舐められないことが悲しかったのか泣き出してしまった。
抱っこしたままで右手をアズールに預けるのは少し危険だ。
万が一にでも落としてはいけない。
急いで庭の大木の下に腰を下ろすと、公爵夫人が慌てたように敷物をと言ってくれたが服が汚れることなどどうでもいい。
今は誰にも邪魔されず、二人の時間を過ごしたいだけだ。
「このままでいい」
そう叫ぶと、私の意図に気づいてくれたのか、皆が庭から離れてくれた。
ああ、これでアズールと二人だけの楽しい時間が過ごせる。
アズールを私の膝に座らせ、尻尾と腕で抱きしめながら癒しのひと時を過ごす。
とはいえ、精神を集中していないと危ない時間でもある。
なんせ、アズールが私の指を舐めてくれるのだから。
まだ歯も生えていないアズールの口に包まれると、下半身に熱が籠ってしまうのだ。
しかもチューチューと吸われるとさらに危ない。
だから必死に耐えるのだが、今日は尻尾がすぐ近くにあったからか、指を舐められながら尻尾を握られてしまった。
思いがけない衝撃に思わず身体を震わせると、アズールは目を丸くして
「ふぇっ?」
と声をあげた。
まずいっ、驚かせてしまったか。
慌てて笑顔を見せると安心してくれたようだ。
ふぅ、良かった……。
ひとしきり舐め尽くすと、どうやら蜜の匂いも消えてしまったのか満足そうに口から私の指を離してくれた。
私の手はアズールの涎が滴っているが、私にとってはご褒美でしかない。
アズールの気を逸らすように、アズールの身体に尻尾をペシペシと当てて遊んでいる間にアズールの涎を全て舐めとる。
こういう時、狼の長い舌は役に立つ。
アズールの甘い唾液は本当にご馳走だな。
さて、今日はここからが本番だ。
爺に教えられた通り、私の愛称を考えた。
ルーディーが言いにくいなら、『ルー』にすればいい。
これならきっとアズールにも言えるはずだ。
「ほら、アズール。私はルーディーだよ。『ルー』って言ってごらん」
いつもと違うことに気づいたのか、アズールの口が動いている気がする。
もしかしたら、私の名を呼んでくれるかもしれない。
ドキドキしながら見つめていると、
「うーっ?」
可愛らしい舌足らずな声が耳に飛び込んできた。
今のは……私の名だな?
どう考えても私の名だ!
ああっ!!!
なんて幸せなんだ!!!
アズールが私の名を呼んでくれた!!!!
公爵も公爵夫人もまだ呼ばれていないはず!!
私がアズールに名を呼ばれた初めての者なんだ!!!
爆発しそうなくらい歓喜に溢れていると、アズールが小首を傾げながら耳を垂らし、心配そうに
「うーっ?」
もう一度私の名を呼んでくれる。
その可愛さたるや、この世のものとは思えないほど極上の可愛さだ。
思わず遠吠えをしそうになるが、アズールを驚かせてはいけない。
必死に押さえつけようとするが、抑えきれない興奮が尻尾に現れてしまっている。
暴走している尻尾を止めることもできず、バシバシと身体に当たる嬉しい痛みを感じながらアズールを抱きしめ続けていた。
「アズール、今日もご機嫌ね。そろそろ王子がお越しになるのがわかるのかしら?」
「だっ、だっ」
わーい、今日もあのもふもふ王子さまと遊べるんだぁ~!
お母さまやお父さま、それにお兄さまと遊ぶのも楽しいけれど、もふもふ王子さまはそばにいるだけですっごく安心するし、何よりあのもふもふの尻尾にコロンと転がるのが楽しいんだ。
あーあ、早く来ないかな。
そういえば、不思議なんだよね。
もふもふ王子さまって、手からすっごく甘くて美味しそうな匂いがする時と、しない時があるんだ。
しかも右手だけ。
王子さま自身からもずっと甘い匂いが漂っているけれど、あの手の甘い匂いはそれよりもものすごく強くって、前の世界で一年に一回だけ食べさせてもらってた誕生日ケーキのあの甘い生クリームよりもずっとずっと甘くて美味しい匂いがするんだ。
ぺろぺろ舐めると、ほんのりその甘い味がして全部舐め尽くしたくなっちゃう。
だから、最近はもふもふ王子さまが遊びに来てくれたら、すぐに手の匂いを確認しちゃうんだ。
でも昨日は全然甘い匂いしなかった……。
その代わりに石鹸のいい香りがしてた。
それも嫌いじゃないけど、でもやっぱり僕はあの甘い匂いがいい。
今日はどっちかなぁ…‥。
お母さまに抱っこされて、お庭でお散歩をしていると風に乗って甘い匂いがしてきたからもふもふ王子さまがきてくれたってすぐにわかった。
「だぁーっ、だぁーっ!」
足をばたつかせてお母さまに教えると
「あらあら。やっぱり運命の相手なのね。誰よりも早くわかるなんて」
と嬉しそうに笑っていた。
「アズールっ!」
僕の声に気づいてくれたのか、大声をあげながらもふもふ王子さまが駆け寄ってきてくれた。
「今日もまた一段と可愛らしいな」
「ふふっ。アズールが朝から王子がお越しになるのを待っていましたよ」
「そ、そうかっ! それは嬉しいな」
「ほら、アズール。王子さまと楽しい時間を過ごしていらっしゃい」
「あーっ」
はーいって、返事したけど、なかなか難しい。
赤ちゃんが言葉を話すって本当すごいことなんだな。
お母さまが僕をもふもふ王子さまに渡すと、優しく抱っこしてくれる。
甘い匂いに包まれるとそれだけで幸せな気分になれるんだ。
あっ、今日は手から甘い匂いがする。
僕の小さな両手で一生懸命もふもふ王子さまの手を持とうとするけれど、重くて持てない……。
「ふぇっ……ふぇっ……」
「ああっ! アズール、ごめんごめん」
甘い手を舐められなくて悲しくなっていると、もふもふ王子さまは焦ったように謝りながら、僕を抱っこしたまますぐそばにある庭の木の下に座り込んだ。
「あっ! 王子っ! すぐに敷物用意させますから」
「いや、このままでいい。アズールは汚したりしないから安心してくれ」
お母さまがそう叫んだけれど、もふもふ王子さまは何も気にしていないみたい。
王子さまがあぐらをかいたお膝の上にふさふさのしっぽを乗せてくれて、僕をその上で包み込むように座らせてくれる。
背中は王子さまのお腹に寄りかかっているから安定感も抜群だ。
「あうっ、あうっ」
口を開けて見せると、王子さまはゆっくりと僕の口の中に指を入れてくれた。
僕の小さな口には指一本しか入らないけれど、ちゅっと吸うだけで甘い味が口の中に広がっていく気がする。
何もついていないのに、本当に不思議なんだよね。
指をちゅっちゅっと吸いながら、お腹に乗せられているふさふさのしっぽをきゅっと握ると、もふもふ王子さまの身体がビクンと震えた。
「ふぇっ?」
「ああ、ごめん。アズール、大丈夫だから」
びっくりしたけど、ニコニコしているから大丈夫かな?
手のひらまでひとしきり舐め終わったら、もふもふ王子さまの手は僕の涎でたくさん濡れちゃっていた。
ああーっ、いくら美味しいからってやりすぎちゃったかなと思ったけど、
「あ、アズール。ほら、尻尾だよ。もふもふ~っ」
ふさふさのしっぽを僕の身体に優しく当ててくれる。
「きゃっ、きゃっ」
それがすっごく楽しいんだ。
良かった、涎いっぱいつけちゃったけど、王子さまは全然気にしていないみたい。
ふと王子様の右手を見た時には僕の涎は綺麗に無くなってた。
僕が知らない間に拭き取ったんだろうな。
すごく優しい。
しっぽで遊んだあと、王子さまは僕を向かい合わせに抱っこした。
今度は何で遊んでくれるんだろうと思っていると、僕の目を見ながら
「ほら、アズール。私はルーディーだよ。『ルー』って言ってごらん」
最近、よく王子さまは僕に名前を言わせようとする。
でもルーディーって難しいんだよね。
僕にとってはもふもふ王子さまの方がわかりやすかったんだけど……。
でもやっぱり名前はちゃんと言ってあげるべきだよね。
名前を間違って言っちゃうのはやっちゃいけないから、ちゃんと言えるようになるまでは、言わないほうがいいかと思ってたんだけど、『ルー』なら言えそう。
「うーっ?」
あっ、だめだ。
ルーって言いたいのに、うーになっちゃう。
王子さま、怒ってないかな?
「うーっ?」
「くぅ――!!!」
「だっ!!」
突然、もふもふのしっぽがすごい勢いで動き出して、自分で王子さまの足をバシバシ叩いてる。
だ、大丈夫かな?
<sideルーディー>
爺にアドバイスをもらって、意気揚々と公爵邸に向かうとちょうど公爵夫人と庭で散歩をしているようだった。
庭に案内され、すぐに公爵夫人の姿を見つけ近づこうとするとすぐにアズールの可愛い声が耳に飛び込んできた。
ああっ!
私を呼んでくれているんだ!!
そう思うだけで、駆け出している自分がいた。
「アズールっ!!」
王子として感情も抑えられないのかと言われようがどうでもいい。
ほんの少しでも早く愛しいアズールのそばに行きたい。
ただそれだけだ。
アズールが朝から私がくるのを待っていたようだと公爵夫人が教えてくれた。
アズールにそんな気持ちが生まれてきてくれただけで途轍もない幸せが込み上げてくる。
公爵夫人からアズールを受け取り抱き上げると、アズールはすぐに私の匂いに気がついた。
ああ、今日は少し遅かったかもしれない。
昨日、早すぎたと思って時間をずらしすぎたか。
アズールはすぐに私の蜜の匂いに気づき、小さな手で私の右手を持ち上げようとするが、アズールの力で上がるわけがなく、舐められないことが悲しかったのか泣き出してしまった。
抱っこしたままで右手をアズールに預けるのは少し危険だ。
万が一にでも落としてはいけない。
急いで庭の大木の下に腰を下ろすと、公爵夫人が慌てたように敷物をと言ってくれたが服が汚れることなどどうでもいい。
今は誰にも邪魔されず、二人の時間を過ごしたいだけだ。
「このままでいい」
そう叫ぶと、私の意図に気づいてくれたのか、皆が庭から離れてくれた。
ああ、これでアズールと二人だけの楽しい時間が過ごせる。
アズールを私の膝に座らせ、尻尾と腕で抱きしめながら癒しのひと時を過ごす。
とはいえ、精神を集中していないと危ない時間でもある。
なんせ、アズールが私の指を舐めてくれるのだから。
まだ歯も生えていないアズールの口に包まれると、下半身に熱が籠ってしまうのだ。
しかもチューチューと吸われるとさらに危ない。
だから必死に耐えるのだが、今日は尻尾がすぐ近くにあったからか、指を舐められながら尻尾を握られてしまった。
思いがけない衝撃に思わず身体を震わせると、アズールは目を丸くして
「ふぇっ?」
と声をあげた。
まずいっ、驚かせてしまったか。
慌てて笑顔を見せると安心してくれたようだ。
ふぅ、良かった……。
ひとしきり舐め尽くすと、どうやら蜜の匂いも消えてしまったのか満足そうに口から私の指を離してくれた。
私の手はアズールの涎が滴っているが、私にとってはご褒美でしかない。
アズールの気を逸らすように、アズールの身体に尻尾をペシペシと当てて遊んでいる間にアズールの涎を全て舐めとる。
こういう時、狼の長い舌は役に立つ。
アズールの甘い唾液は本当にご馳走だな。
さて、今日はここからが本番だ。
爺に教えられた通り、私の愛称を考えた。
ルーディーが言いにくいなら、『ルー』にすればいい。
これならきっとアズールにも言えるはずだ。
「ほら、アズール。私はルーディーだよ。『ルー』って言ってごらん」
いつもと違うことに気づいたのか、アズールの口が動いている気がする。
もしかしたら、私の名を呼んでくれるかもしれない。
ドキドキしながら見つめていると、
「うーっ?」
可愛らしい舌足らずな声が耳に飛び込んできた。
今のは……私の名だな?
どう考えても私の名だ!
ああっ!!!
なんて幸せなんだ!!!
アズールが私の名を呼んでくれた!!!!
公爵も公爵夫人もまだ呼ばれていないはず!!
私がアズールに名を呼ばれた初めての者なんだ!!!
爆発しそうなくらい歓喜に溢れていると、アズールが小首を傾げながら耳を垂らし、心配そうに
「うーっ?」
もう一度私の名を呼んでくれる。
その可愛さたるや、この世のものとは思えないほど極上の可愛さだ。
思わず遠吠えをしそうになるが、アズールを驚かせてはいけない。
必死に押さえつけようとするが、抑えきれない興奮が尻尾に現れてしまっている。
暴走している尻尾を止めることもできず、バシバシと身体に当たる嬉しい痛みを感じながらアズールを抱きしめ続けていた。
662
あなたにおすすめの小説
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる