真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

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第二章

煽りと我慢と

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<sideフィデリオ(爺)>

「じいー、このおかし、おいしいねぇ」

「ふふっ。そうでしょう? アズールさまがお好きだと思って用意しておいたのですよ」

「これぇー、もういっこ、たべてもいい?」

「いいですよ。紅茶もおかわりを淹れましょうか?」

「うん。でも、あちゅいのはのめない」

「大丈夫ですよ。爺にお任せください」

大好きなお菓子を頬張る姿が実に可愛らしい。
しかも口をもぐもぐさせて、言葉が幼くなっているのも懐かしく感じられる。

こんなにもまだまだ幼いアズールさまのお大事なものが兆したとは到底信じられないが、ウサギ族は番に対して無自覚に煽る性質を持つと陛下から伺ったことがある。
だからこそ、今までウサギ族のお方と番った獣人の国王にはたくさんの子が授かったと伝えられているのだ。

けれど、アズールさまのお世話をするようになって、今までのウサギ族のお方がたまたまそうだったというだけではないかと思っていたのだが、それはやはり間違いではなかったようだ。

私たちの前でも無自覚な発言をされることはあるが、きっとルーディーさまの前ではさらにすごい発言をなさっておいでなのだろう。

それを一人でずっと耐えておられたのか……。

きっとアズールさまの色ごとに関してはご自分の中だけに留めておきたかったのだろうな。
だが、アズールさまのお大事な場所が兆したことでとうとう私にお伝えくださったということか……。

今頃、ルーディーさまよりお話を伺っている頃だろうが、ヴェルナーさまもきっとお困りのことだろう。
なんせ、アズールさまは無自覚に煽るようなお言葉を発せられても、それがどうしてルーディーさまの興奮を誘うのかを理解していらっしゃらないからだ。
アズールさまはおそらく自分の心に忠実にお話になっているだけなのだろう。

本当に心優しく清らかな心を持っていらっしゃるお人だからな。

「じいー、これも、おいしいね」

ああ、こんなにも天真爛漫な表情を拝見していると、性教育などまだまだ先だと思ってしまう。
ヴェルナーさまはどうなさるだろうな。


<sideヴェルナー>

「アズールの性教育、しっかりと頼んだぞ。決して急がずとも良い。少しずつでいいのだからな。あ、言っておくが実際にアズールのものを見たり、自分のものを見せたりすることは許さぬ。それだけは肝に銘じておくんだ」

「は、はい。それはもちろんお約束したします。そもそも私が他のものに見せたとなると、マクシミリアンが……」

「ああ、そうか。そうだったな。それならいい。やはりアズールの教師はヴェルナーしかいないな」

そう太鼓判を押されたものの、私の頭の中はどうしたら良いのか……混乱してしまっていた。

「私は一眠りしてから、騎士団に向かう。ヴェルナーはアズールを連れ帰ってくれ」

「はい。承知しました」

いつもならば絶対にご自分で公爵邸までお連れするだろうに、それほど昨夜は大変な夜だったのだなと想像する。
達観していたわけではない。
今はただ気力だけで起きていらっしゃるのだ。

「では、アズールのところに行こう」

顔色はわからないが尻尾がぐったりと下がっているのを見ると、本当にお辛いのだろう。
それでもアズールさまにご挨拶なさるために向かわれるとは……本当に頭が下がる。

フィデリオ殿の部屋に行くと、アズールさまはソファーに横になっていらした。

「なんだ、爺。アズールは眠ってしまったのか?」

「はい。相当お菓子が美味しかったようで満腹になられたら、先ほどお眠りになりました」

「そうか……まぁ、いい」

王子はアズールさまを抱き上げると、そっと髪にキスをなさった。

「ふふっ。るー、だいちゅきー」

可愛らしい声がアズールさまから聞こえたと思ったら、アズールさまは小さな舌を出してぺろぺろと王子の口元を舐め始めた。

そうして王子の唾液を少し舐めとると、嬉しそうな表情をしてまた眠ってしまった。

「見たか? アズールは寝ながらでも私を煽り、翻弄してくるのだ」

王子は二人っきりでずっとこのようなことに耐えておられたのか……。
それで手を出さないとは……。
とんでもない自制心だ。

「しかも、これが無意識だから困っている。まぁこれに関しては私が耐えるしかないが、このようなことを続けていれば、おそらく近いうちに蜜を出すこともあるだろう。まずはその時に困らぬように知識だけを与えておきたいのだ。ヴェルナー、わかってくれたか?」

煽られることは我慢なさるおつもりなのか……。
本当にすごいな。

ならば、私もお手伝いするしかないだろう。

「承知しました。なんとか、アズールさまにお分かりいただけるようなお話を考えてみます」

「ああ、頼むよ」

王子は少し安堵の表情を浮かべながら、私にアズールさまを手渡した。

私はそれからすぐに馬車に乗り、アズールさまともに公爵邸に帰宅した。
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