真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

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第二章

知恵を借りたい!

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<sideヴォルフ公爵>

アリーシャと共に応接室で、ヴェルナーが来るのを待ちながらも、心の騒めきはなかなか落ち着かなかった。
王子がアズールに手出ししたわけではないということはわかっていても、わざわざ私たちの時間をとってまで話をすることがある。
そう聞かされたら、冷静ではいられなかった。

「あなた。悩んでいても仕方がないですわ。深呼吸をしましょう」

「悪い、アリーシャ。私のことを不甲斐ないと思っているだろう。それでもやはり冷静ではいられないのだ」

「あなたの気持ちはわかりますわ。私たちの可愛いアズールのことですもの。話したいことがあると言われたら気になるのは当然です。でも、急を要することなら、ヴェルナーではなく陛下が直接お話になるのではないですか?」

「確かに、それはそうだな。ならば、それほどのことではないか?」

「信じましょう。アズールのことも。王子のことも」

アリーシャにそう言われて、納得はしつつもやはり不安が拭えなかったのは何か予感めいたものがあったからだろうか。

ヴェルナーが部屋にやってきて、その神妙な表情にいい話ではなさそうだと思った。
逸る気持ちを抑えられず、目の前の席に座らせたヴェルナーに何事かと問い詰めたが、無意識に威圧を放ってしまっていたようだ。

目の前で身体を震わせるヴェルナーを見て、アリーシャに叱責されてしまった。

本当に母親というものはこういうとき冷静なのだなと改めて感じさせられる。

アリーシャがヴェルナーに優しく声をかけ寄り添うと、ヴェルナーから恐怖が薄らいだ気がした。
深呼吸で気持ちを整えたヴェルナーがゆっくりと口を開くと、それは私にとっては思いがけない言葉だった。

「実は、今朝アズールさまをお迎えに上がった時に、王子からアズールさまの……その、性教育の教師にと任命されたのです」

アズールの、性教育の、教師だと?

赤子のように純真無垢で穢れも何も知らない清らかなアズールに性教育を施すというのか?

いくら狼族が10歳で精通を迎えるからと言って、アズールにも性教育だなんてそんなのはまだ必要ないだろう。

必死にそう反論したのだが、ヴェルナーは真剣な顔つきで

「アズールさまのお大事なところが反応なさったのです」

と話したのだ。

<sideヴェルナー>

「まぁっ!」

「ア、アズールが……反応した?」

私の報告にお二人は対照的な表情を浮かべた。
大人になったことを喜ぶように笑顔を見せるアリーシャさま。
信じられないと言ったご様子で愕然となさる公爵さま。

そのどちらも正解なのだ。

「ヴェルナー、その……アズールが、兆したのはどのような時だったのだ? 目覚めた時というのならまだ……」

「それが……昨夜は王子とご一緒にお風呂に入られたようで、その時に反応なさったようです」

「な――っ、王子と、風呂に? それは約束が違うのではないか?!」

「あなた、落ち着いてください! フィデリオ殿がついていらっしゃるのに、普通にお風呂に入らせるようなことをなさるわけがないでしょう? ヴェルナー、そうでしょう?」

「はい。アリーシャさまのおっしゃる通りでございます。王子はアズールさまの裸を直接見ないように目隠しを付けられ、肌の感触を感じられないような分厚い手袋を装着して、そして、王子のお大事なところと尻尾を拘束具で抑え付け、衣服も着用したまま、アズールさまをお風呂にお入れになったと伺っております。アズールさまが狼族用の深い浴槽に一人では入れなかったための対策だということです」

「そ、そうか……アズールのためにそこまでの対策を王子がなさったのか……。ありがたいことだな。だが、それでアズールが反応したとはどういうことだ?」

「それが……分厚い手袋を装着したままアズールさまの尻尾をお洗いになったところ、アズールさまのお大事なところが反応なさって、アズールさまがそれを病気だと勘違いなさったそうです」

今まで一度もそのような形状にならなかったのだから、何の知識もなく初めて体験すれば不安になるのも無理はないだろう。

「なるほど……それで、急いで性教育をするようにと仰ったというわけか」

「はい。一度反応なされば蜜が出る日も近いのではないかと考えられたようです。アズールさまは特にいつも王子の蜜と匂いを身体に取り込んでいらっしゃるのですから、ここまで反応しなかっただけでも奇跡だと思われます」

「そうだな……確かにその通りだ。だが、どうやってアズールに話をするつもりだ? 性教育を施すのならいずれはアズールが子を身籠ることまで教えるつもりなのだろう?」

「はい。王子は少しずつでいいと仰っておいででしたが、とりあえずは刺激を感じたら反応してしまうことと、そこから白い蜜が出ることはお教えした方が良いのではと思うのです。そうでなければ、精通をお迎えになったときに、ご自分が病気になったと不安になられることでしょう」

「そうだな……それで、ヴェルナーがそれを教えてくれるというわけなのだな?」

「はい。ですが、どのように教えるのがアズールさまにとって一番良いのか、お知恵を拝借したく存じます」

そう言って頭を下げると、今までじっと私たちの話を聞いてくださっていたアリーシャさまが口を開いた。
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