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第三章
お妃教育は
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<sideルーディー>
「ルーディーさま。クレイさまとティオさまが先ほどお食事をお召し上がりになりましたよ」
「おお、そうか。思ったより早かったな」
「いえ、これが通常でございます。ルーディーさまのお籠りが過ぎただけで……」
「ああ、わかった、わかった。皆まで言うな。大体、クレイたちと私たちでは比べるものでもないだろう?」
私たちの場合は、アズールが大人として、そして、子を孕む身体に変わるために必要なこととして、激しい発情期が起こったことで、アズールに尋常じゃないほどに煽られまくったことも籠りが長引いた要因の一つ。
そして、何よりも私がまだ赤子のアズールと出会って18年、自分を必死に律して我慢してきたことから解放される記念すべき日だったのだ。
そんな状態の私が三日やそこらであの荒れ狂う性欲が治まることなどあるわけがない。
正直な気持ちを言えば、一週間でも短いと思ったくらいだ。
「もし、クレイもこれから18年待ち続けることになったとしたら、こんな短い日数で出てくることなどあり得ないだろう」
「それは確かに……ルーディーさまの仰る通りでございましょうね」
「だろう? まぁ、いずれにしても恙無く、初夜を終えられたのならよかった。それにクレイの相手がティオだったのは幸いだったな」
「そうでございますね。アズールさまもすっかりお心をお許しになっていらっしゃいますから。ですから、ここ数日ティオさまとのお茶の時間がないのを寂しがっておいででございますよ」
「私もそれが気になって、アズールと過ごす時間をいつも以上に増やしているが、やはり私と過ごすのとはまた違うようだからな」
アズールはヴェルナーのことを第二の兄のように思っているようだったが、ティオとは年齢もヴェルナーよりは近い分、兄というよりは友人のように思っているのだろう。
「お寂しゅうございますか?」
「いや、そんなことはない。アズールに友人となる存在ができたのは私にとっても嬉しいことだ」
「ふふっ。やはりご夫夫になられると、余裕も出ていらっしゃるのですね」
「まぁな。いつでもアズールは私のことを思ってくれているという安心感は大きいものだぞ」
どれだけヴェルナーやティオたちと仲良く話していようとも、私が顔を出せば満面の笑みで飛び込んできてくれる。
あの時の私の幸福感は計り知れない。
「ルーディーさまが落ち着かれて、陛下も安心なさっておいででございましたよ。これで安心してルーディーさまに国王の座をお譲りできると仰っておられましたから」
「父上もそろそろのんびりしたいと仰っていたからな。まだ早いと思うが、父上がそう仰るなら、私はそれに従うだけだ」
「アズールさまのお妃教育もそろそろ始められますか?」
「いや、アズールには必要ないんだ」
「必要ない、とはどういう意味でございましょう?」
「実は以前、代々受け継がれているというウサギ族についての書物の内容について、義母上に教えてもらったのだが、ウサギ族は大勢の目に晒されると、体調を崩し繁殖能力が低下するのだそうだ。そもそもウサギ族は獣人の子を産むために存在するのだから、人前に晒して過度に精神的な圧力をかけることは神がお認めになっていない。昔、ウサギ族に無理やり王妃教育を施そうとして、体調を崩し通常多産であるはずのウサギ族が一人しか子を産むことができなかったという記載があったようだ」
「な――つ、そのようなことが!」
「ああ、だから私はアズールにお妃教育をするつもりは毛頭ない。アズールに王妃として仕事をしてもらわずとも、私たち獣人は知力、体力に優れ、剣術や柔術にも秀でた才能を持つ、素晴らしい神の力を与えられているのだ。それは、一人でこの国を治めることができるようにという『神の御意志』だろう。それこそが『神の御意志』という言葉の本当の意味だったのかもしれない」
そういうと爺は納得したように大きく頷いた。
「私はアズールには今の天真爛漫なままでいてくれたらいいと思っている。まぁ、時々とんでもないことを口走ってしまうが、それも愛嬌だろう。アズールがなんの精神的な圧力も感じずに心穏やかに過ごしてくれたらいいと思っているんだ。『あお』の分までな」
「ルーディーさま……」
アズールの持つ天真爛漫さは元々『あお』が持っていた要素が大きいと言える。
「何もやりたいことができなかった『あお』の分までアズールがのびのび過ごしてくれたらいいんだ。そして、いつかは私とアズールの子を愛情込めて育ててくれればいい。私がアズールに願うのはそれだけだ」
「ルーディーさまのお気持ちはよくわかりました。出過ぎたことを申しまして失礼致しました」
「いや、爺には何も話していなかったのだから無理もない。心配してくれたのだろう? 本当に爺がいてくれて助かっている。まだ私たちの子の世話も見てもらわなければならぬから、いつまでも元気に過ごしてくれ」
「はい。私はお二人の御子をこの目で見るまではくたばったりは致しませんよ」
「ふふっ。その意気だぞ。さぁ。そろそろアズールとの茶の時間にしよう。爺、頼む」
「はい。美味しいお菓子をご用意しておりますよ」
爺の優しい笑顔に私はホッと胸を撫で下ろした。
「ルーディーさま。クレイさまとティオさまが先ほどお食事をお召し上がりになりましたよ」
「おお、そうか。思ったより早かったな」
「いえ、これが通常でございます。ルーディーさまのお籠りが過ぎただけで……」
「ああ、わかった、わかった。皆まで言うな。大体、クレイたちと私たちでは比べるものでもないだろう?」
私たちの場合は、アズールが大人として、そして、子を孕む身体に変わるために必要なこととして、激しい発情期が起こったことで、アズールに尋常じゃないほどに煽られまくったことも籠りが長引いた要因の一つ。
そして、何よりも私がまだ赤子のアズールと出会って18年、自分を必死に律して我慢してきたことから解放される記念すべき日だったのだ。
そんな状態の私が三日やそこらであの荒れ狂う性欲が治まることなどあるわけがない。
正直な気持ちを言えば、一週間でも短いと思ったくらいだ。
「もし、クレイもこれから18年待ち続けることになったとしたら、こんな短い日数で出てくることなどあり得ないだろう」
「それは確かに……ルーディーさまの仰る通りでございましょうね」
「だろう? まぁ、いずれにしても恙無く、初夜を終えられたのならよかった。それにクレイの相手がティオだったのは幸いだったな」
「そうでございますね。アズールさまもすっかりお心をお許しになっていらっしゃいますから。ですから、ここ数日ティオさまとのお茶の時間がないのを寂しがっておいででございますよ」
「私もそれが気になって、アズールと過ごす時間をいつも以上に増やしているが、やはり私と過ごすのとはまた違うようだからな」
アズールはヴェルナーのことを第二の兄のように思っているようだったが、ティオとは年齢もヴェルナーよりは近い分、兄というよりは友人のように思っているのだろう。
「お寂しゅうございますか?」
「いや、そんなことはない。アズールに友人となる存在ができたのは私にとっても嬉しいことだ」
「ふふっ。やはりご夫夫になられると、余裕も出ていらっしゃるのですね」
「まぁな。いつでもアズールは私のことを思ってくれているという安心感は大きいものだぞ」
どれだけヴェルナーやティオたちと仲良く話していようとも、私が顔を出せば満面の笑みで飛び込んできてくれる。
あの時の私の幸福感は計り知れない。
「ルーディーさまが落ち着かれて、陛下も安心なさっておいででございましたよ。これで安心してルーディーさまに国王の座をお譲りできると仰っておられましたから」
「父上もそろそろのんびりしたいと仰っていたからな。まだ早いと思うが、父上がそう仰るなら、私はそれに従うだけだ」
「アズールさまのお妃教育もそろそろ始められますか?」
「いや、アズールには必要ないんだ」
「必要ない、とはどういう意味でございましょう?」
「実は以前、代々受け継がれているというウサギ族についての書物の内容について、義母上に教えてもらったのだが、ウサギ族は大勢の目に晒されると、体調を崩し繁殖能力が低下するのだそうだ。そもそもウサギ族は獣人の子を産むために存在するのだから、人前に晒して過度に精神的な圧力をかけることは神がお認めになっていない。昔、ウサギ族に無理やり王妃教育を施そうとして、体調を崩し通常多産であるはずのウサギ族が一人しか子を産むことができなかったという記載があったようだ」
「な――つ、そのようなことが!」
「ああ、だから私はアズールにお妃教育をするつもりは毛頭ない。アズールに王妃として仕事をしてもらわずとも、私たち獣人は知力、体力に優れ、剣術や柔術にも秀でた才能を持つ、素晴らしい神の力を与えられているのだ。それは、一人でこの国を治めることができるようにという『神の御意志』だろう。それこそが『神の御意志』という言葉の本当の意味だったのかもしれない」
そういうと爺は納得したように大きく頷いた。
「私はアズールには今の天真爛漫なままでいてくれたらいいと思っている。まぁ、時々とんでもないことを口走ってしまうが、それも愛嬌だろう。アズールがなんの精神的な圧力も感じずに心穏やかに過ごしてくれたらいいと思っているんだ。『あお』の分までな」
「ルーディーさま……」
アズールの持つ天真爛漫さは元々『あお』が持っていた要素が大きいと言える。
「何もやりたいことができなかった『あお』の分までアズールがのびのび過ごしてくれたらいいんだ。そして、いつかは私とアズールの子を愛情込めて育ててくれればいい。私がアズールに願うのはそれだけだ」
「ルーディーさまのお気持ちはよくわかりました。出過ぎたことを申しまして失礼致しました」
「いや、爺には何も話していなかったのだから無理もない。心配してくれたのだろう? 本当に爺がいてくれて助かっている。まだ私たちの子の世話も見てもらわなければならぬから、いつまでも元気に過ごしてくれ」
「はい。私はお二人の御子をこの目で見るまではくたばったりは致しませんよ」
「ふふっ。その意気だぞ。さぁ。そろそろアズールとの茶の時間にしよう。爺、頼む」
「はい。美味しいお菓子をご用意しておりますよ」
爺の優しい笑顔に私はホッと胸を撫で下ろした。
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