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第三章
素直に言えたら……
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<sideティオ>
ようやくアズールさまが出産なさったお子さまたちに対面できる。
陛下がまだ対面できていないというのに、私が先に会わせてもらえるなんてなんとも言えない感情が込み上げるけれど、家族の一員として認められているのが、たまらなく嬉しい。
先に抱っこさせていただいたのは、まさしく団長……いや、ルーディーさまにそっくりな黒耳、黒尻尾を持つロルフくん。
腕の重みがなんとも愛おしい。
ああ、この子がアズールさまとルーディーさまの御子。
生まれたてとは思えないほど凛々しくて、これからのこの国を背負って立つオーラを感じる。
おそらくここにいる狼族の皆さまはそこまで感じていないかもしれないけれど、猫族の私にはビシビシ伝わってくる。
生まれたてでこんなにも強いのだから、成長なさったらどれだけ強くなるか……。
怖くもあり、逞しくもある。
私がロルフくんを抱いている間に、お義父さまがもう一人の御子である女の子・ルルちゃんを腕に抱く。
狼族だけれど、アズールさまの色を受け継いで耳も尻尾も真っ白。
それどころかアズールさまにお顔も似ているようだ。
そんなルルちゃんに早くもお義父さまはメロメロになっているみたい。
お義父さまの嬉しそうな声を聞きながら、腕の中のロルフくんの背中をトントンと優しく叩きながら揺らしてあげるとすぐにうとうとしかけた。
ふふっ。寝そうで可愛い。
なんて思っていると、突然お義父さまの苦しげな声が聞こえたと思ったら、ルルちゃんがルーディーさまの腕に抱かれていた。
そのあまりの早技に驚いていると、
「ふぇっ……ふぇっ……」
とロルフくんが小さな声をあげて泣き出し始めている。
「ああ、ごめんね。驚かせちゃったね。よしよし」
優しくトントンしながら揺らしてあげるとすぐに泣き声は止み、目を瞑ったまま嬉しそうに口角をあげ笑っていた。
「ふふっ。可愛い」
「ティオは本当にあやすのが上手なのね」
「いえ、ロルフくん。眠いからちょっとぐずっちゃっただけです」
ロルフくんを抱っこしたまま、お義母さまとアズールさまのおそばに近づき、すでに眠ってしまったロルフくんを見せると二人とも嬉しそうな顔をして、ロルフくんを見つめていた。
ああ、アズールさまのお顔がもうすっかり母の顔になっていらっしゃる。
「ティオ、そろそろベッドに寝かせていいわよ」
「はい」
そっとベッドに下ろすと一瞬手足がビクッと震えて起きるかと思ったけれど、そばにあったブランケットをかけてあげると大人しく眠った。
ふふっ、本当に可愛い。
「ねぇ、お母さま。お父さまもルーもお兄さまもみんなルルに夢中になってる」
「ダメね。ここはしっかりと釘を刺しておかなくちゃね。ねぇ、アズール、そうでしょう?」
「そうだね。だって、寂しいもん」
寂しい……そう素直に言えるアズールさま。
素敵だな。
私もクレイさまに本音を言ってみよう。
そうしたらアズールさまとルーディーさまのようにもっと夫夫らしくなれるかもしれない。
なんて思っていると、
「ルーも、お兄さまも、ルルばっかり可愛い、可愛いって言ったら、アズールもティオも寂しくなっちゃうよ」
と言ってくださった。
その言葉にルーディーさまはアズールさまの元に駆け寄り、必死に弁明を始める。
ああ、羨ましいな。
すると、クレイさまも私のもとに駆け寄ってきて不安げな表情で
「怒ったか?」
と尋ねてくる。
正直何も怒ってない。
私より生まれたばかりのルルちゃんの方が可愛いもの当然だし、そもそも比べることもおかしいと思っている。
けれど、クレイさまの優しい眼差しが私でないところを向いていたのは事実で、私はそれが寂しかった。
素直にそう告げると、クレイさまもロルフくんに嫉妬していたと教えてくれた。
まさか、クレイさまがロルフくんに嫉妬するなんて思いもしなかったから、嬉しくてたまらない。
「嬉しいのか?」
「はい。だって、クレイさまに愛されているってこと、ですよね?」
「くっ! ああ、もう! 本当にティオは可愛すぎる!!」
「わっ!!」
突然お義父さまたちの前で抱きしめられて恥ずかしくなってしまう。
「ふふっ。ティオ、顔が真っ赤だよ」
とアズールさまに揶揄われるけれど、顔はさらに赤くなるばかり。
「父上、母上。そろそろ失礼します」
「えっ、クレイさま……っ」
「いいんだ、家族とはいえ、もうこれ以上ティオの可愛い顔を見せたくないからな」
そういうが早いかあっという間に部屋を出て、私たちの部屋に戻ってきた。
「クレイさま……」
「ああ、ティオ……」
どちらからともなく唇が重なる。
啄むような優しいキス。
だけど、その度に身体の奥が疼いて仕方がない。
一体どうしてしまったんだろう。
なんだか無性にクレイさまと愛し合いたくてたまらない。
「クレイさま……ほしぃ……っ!」
「ぐぅ――っ! ああ、もうたっぷりあげるよ」
そういうと、ギラギラとした目で私をそのまま寝室に連れて行った。
ようやくアズールさまが出産なさったお子さまたちに対面できる。
陛下がまだ対面できていないというのに、私が先に会わせてもらえるなんてなんとも言えない感情が込み上げるけれど、家族の一員として認められているのが、たまらなく嬉しい。
先に抱っこさせていただいたのは、まさしく団長……いや、ルーディーさまにそっくりな黒耳、黒尻尾を持つロルフくん。
腕の重みがなんとも愛おしい。
ああ、この子がアズールさまとルーディーさまの御子。
生まれたてとは思えないほど凛々しくて、これからのこの国を背負って立つオーラを感じる。
おそらくここにいる狼族の皆さまはそこまで感じていないかもしれないけれど、猫族の私にはビシビシ伝わってくる。
生まれたてでこんなにも強いのだから、成長なさったらどれだけ強くなるか……。
怖くもあり、逞しくもある。
私がロルフくんを抱いている間に、お義父さまがもう一人の御子である女の子・ルルちゃんを腕に抱く。
狼族だけれど、アズールさまの色を受け継いで耳も尻尾も真っ白。
それどころかアズールさまにお顔も似ているようだ。
そんなルルちゃんに早くもお義父さまはメロメロになっているみたい。
お義父さまの嬉しそうな声を聞きながら、腕の中のロルフくんの背中をトントンと優しく叩きながら揺らしてあげるとすぐにうとうとしかけた。
ふふっ。寝そうで可愛い。
なんて思っていると、突然お義父さまの苦しげな声が聞こえたと思ったら、ルルちゃんがルーディーさまの腕に抱かれていた。
そのあまりの早技に驚いていると、
「ふぇっ……ふぇっ……」
とロルフくんが小さな声をあげて泣き出し始めている。
「ああ、ごめんね。驚かせちゃったね。よしよし」
優しくトントンしながら揺らしてあげるとすぐに泣き声は止み、目を瞑ったまま嬉しそうに口角をあげ笑っていた。
「ふふっ。可愛い」
「ティオは本当にあやすのが上手なのね」
「いえ、ロルフくん。眠いからちょっとぐずっちゃっただけです」
ロルフくんを抱っこしたまま、お義母さまとアズールさまのおそばに近づき、すでに眠ってしまったロルフくんを見せると二人とも嬉しそうな顔をして、ロルフくんを見つめていた。
ああ、アズールさまのお顔がもうすっかり母の顔になっていらっしゃる。
「ティオ、そろそろベッドに寝かせていいわよ」
「はい」
そっとベッドに下ろすと一瞬手足がビクッと震えて起きるかと思ったけれど、そばにあったブランケットをかけてあげると大人しく眠った。
ふふっ、本当に可愛い。
「ねぇ、お母さま。お父さまもルーもお兄さまもみんなルルに夢中になってる」
「ダメね。ここはしっかりと釘を刺しておかなくちゃね。ねぇ、アズール、そうでしょう?」
「そうだね。だって、寂しいもん」
寂しい……そう素直に言えるアズールさま。
素敵だな。
私もクレイさまに本音を言ってみよう。
そうしたらアズールさまとルーディーさまのようにもっと夫夫らしくなれるかもしれない。
なんて思っていると、
「ルーも、お兄さまも、ルルばっかり可愛い、可愛いって言ったら、アズールもティオも寂しくなっちゃうよ」
と言ってくださった。
その言葉にルーディーさまはアズールさまの元に駆け寄り、必死に弁明を始める。
ああ、羨ましいな。
すると、クレイさまも私のもとに駆け寄ってきて不安げな表情で
「怒ったか?」
と尋ねてくる。
正直何も怒ってない。
私より生まれたばかりのルルちゃんの方が可愛いもの当然だし、そもそも比べることもおかしいと思っている。
けれど、クレイさまの優しい眼差しが私でないところを向いていたのは事実で、私はそれが寂しかった。
素直にそう告げると、クレイさまもロルフくんに嫉妬していたと教えてくれた。
まさか、クレイさまがロルフくんに嫉妬するなんて思いもしなかったから、嬉しくてたまらない。
「嬉しいのか?」
「はい。だって、クレイさまに愛されているってこと、ですよね?」
「くっ! ああ、もう! 本当にティオは可愛すぎる!!」
「わっ!!」
突然お義父さまたちの前で抱きしめられて恥ずかしくなってしまう。
「ふふっ。ティオ、顔が真っ赤だよ」
とアズールさまに揶揄われるけれど、顔はさらに赤くなるばかり。
「父上、母上。そろそろ失礼します」
「えっ、クレイさま……っ」
「いいんだ、家族とはいえ、もうこれ以上ティオの可愛い顔を見せたくないからな」
そういうが早いかあっという間に部屋を出て、私たちの部屋に戻ってきた。
「クレイさま……」
「ああ、ティオ……」
どちらからともなく唇が重なる。
啄むような優しいキス。
だけど、その度に身体の奥が疼いて仕方がない。
一体どうしてしまったんだろう。
なんだか無性にクレイさまと愛し合いたくてたまらない。
「クレイさま……ほしぃ……っ!」
「ぐぅ――っ! ああ、もうたっぷりあげるよ」
そういうと、ギラギラとした目で私をそのまま寝室に連れて行った。
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