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第三章
嬉しい雄叫び
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「こ、これ……」
「それはこの国の王妃のための衣装だ」
王妃のための……。
煌びやかで、だけどものすごく上品な洋服だ……。
僕がそれをじっと見つめていると、ルーが心配してくれたのか、焦ったようにお義父さまに声をかけた。
「父上、アズールには王妃としての仕事はさせないと申したはずです」
「ああ、それはわかっている。お前にウサギ族のことについて教えられた時から、私もアズールに王妃として仕事をしてもらおうとは考えていない」
「でしたら……」
「これは、王妃のための服だと言ったが、正確にいうとお前の母、リアナがルーディーの1歳の誕生祝いに着るはずだった服なのだよ」
「えっ? 母上が?」
「ああ。その前に亡くなってしまって袖を通すことはなかったが、リアナはこの服の完成を楽しみにしていたんだ。これに袖を通せるのはこの国の王妃しかいない。だから、思い出としてずっと残していたが、ロルフとルルが生まれた記念にせっかくならアズールに着て欲しいと思って、マティアスに頼んでアズールのサイズに作り変えてもらったのだ。ルーディーの衣装はそれに合わせて対になるものを新たに作ったから是非とも二人に着て欲しい」
「父上……」
ルーのお母さまの衣装。
ずっと大切な思い出として残していたんだろうな。
それを僕が着ていいのかって思うところはあるけれど、それでお義父さまが喜んでくれるのなら……そして、天国にいるだろうルーのお母さんが、僕とルーの姿を見て喜んでくれるのなら、僕は喜んでこれを着たい!
「お義父さまっ! アズール、このお洋服……すっごく嬉しいっ!!」
「――っ、そうか! 喜んでくれるか?」
「うん。ルーとお揃いなのも嬉しいし、早く着たいな。ねぇ、ルー」
「ああ、そうだな。まさかこの歳になって父上から服をいただくとは思わなかったが、アズールと対の衣装なら楽しみだ。父上、ありがとうございます」
「ああ、きっとリアナも喜んでいるよ」
お義父さまの目が少し潤んでいる気がする。
きっとルーのお母さまのことを思い出しているんだろう。
お義父さま……今でもずっとルーのお母さまのことが好きなんだろうな。
「あれ? 箱の下の方にまだ何か入ってる」
「ふふっ。それは私からアズールさまへの贈り物でございます」
「えっ? 爺から? なんだろう?」
「なんだ、フィデリオ。私にも内緒にしていたのか」
「はい。陛下にもぜひ喜んでいただこうと思いましたので」
「何? 私にも? 一体なんだ?」
お義父さまもルーも一体どんな贈り物なんだと興味津々の様子だ。
なんだか僕も楽しみになってきたな。
爺の楽しそうな笑顔を見ながら、僕は箱の底の方に入っていた服を取り出した。
「わぁーっ!!! 可愛いっ!!!」
まさか、これをもらえるとは思わなかった!!
ロルフとルルのウサギさんの服も、僕とルーのお揃いの服もどれも嬉しかったけれど、これが一番嬉しいかもしれない!!
「アズール、これは……」
「ふふっ。これ着たら、アズールも狼さんになれるね!!!」
そう。
爺がプレゼントしてくれたのは、ルーにそっくりな狼さんの服。
細長い三角の黒耳とふっさふさな黒尻尾もついている。
ルーもロルフもルルもみんな狼さんで僕だけウサギ。
この部屋の中にいるのもウサギの僕と熊さんの爺以外はみんな狼さんだし。
自分がウサギなのも気に入っているけど、実はずっともふもふでふさふさの尻尾に憧れてたんだよね。
「いいな、可愛いっ!! アズール、ベッドから下りられるようになったら、これ着てみんなでお庭をお散歩したいな」
「くっ――!! アズールが、私と同じ狼に……っ! 爺、さすがだ!! ああーっ、本当に早く見たいな」
「ああ、そうだな。フィデリオ。いいものを用意してくれた!!! アズールに狼の衣装とは……。さすがだな」
「皆さまにお喜びいただけて私、光栄でございます。アズールさま、それをお召しになったところを拝見するのを私も楽しみにしております」
「うん。もう少し待っててね」
お義父さまと、爺からの嬉しい贈り物を前に。僕は喜びでいっぱいになっていた。
お義父さまと爺が帰った後も僕はずっと二人から貰った服を目の前に置いて眺めていた。
「アズール、そんなに気に入ったのか?」
「うん。お義父さまがくれた服はルーのお母さまのだからすごく嬉しいし、爺がくれた狼さんもすっごく可愛くて嬉しい。この狼さん、本当にルーとロルフにそっくり」
「ああ、爺もなかなか粋なことをしてくれるものだ。なぁ、アズール。全てを着るのは難しいだろうか、この帽子だけ被ってみてくれないか?」
「うん。でも、アズールの耳が邪魔にならないかな?」
長い耳が気になって、今まで帽子を被ったことはなかった。
ちょっとドキドキしながらすっぽりと被ってみると、僕の長い耳は気にならないくらい、中でフィットしている気がする。
「ルー、どう?」
「………………」
「ルー?」
「――つ、アズールっ!! なんて可愛いんだ!!!」
嬉しそうに帽子についた狼耳を撫でるルーに、
「ふふっ。ルーもすっごく可愛いよ」
と言って、ルーの狼耳を撫でると
「ぐぁぁーーっ!!」
なぜか急に雄叫びを上げながら、僕を抱きしめてくれた。
「それはこの国の王妃のための衣装だ」
王妃のための……。
煌びやかで、だけどものすごく上品な洋服だ……。
僕がそれをじっと見つめていると、ルーが心配してくれたのか、焦ったようにお義父さまに声をかけた。
「父上、アズールには王妃としての仕事はさせないと申したはずです」
「ああ、それはわかっている。お前にウサギ族のことについて教えられた時から、私もアズールに王妃として仕事をしてもらおうとは考えていない」
「でしたら……」
「これは、王妃のための服だと言ったが、正確にいうとお前の母、リアナがルーディーの1歳の誕生祝いに着るはずだった服なのだよ」
「えっ? 母上が?」
「ああ。その前に亡くなってしまって袖を通すことはなかったが、リアナはこの服の完成を楽しみにしていたんだ。これに袖を通せるのはこの国の王妃しかいない。だから、思い出としてずっと残していたが、ロルフとルルが生まれた記念にせっかくならアズールに着て欲しいと思って、マティアスに頼んでアズールのサイズに作り変えてもらったのだ。ルーディーの衣装はそれに合わせて対になるものを新たに作ったから是非とも二人に着て欲しい」
「父上……」
ルーのお母さまの衣装。
ずっと大切な思い出として残していたんだろうな。
それを僕が着ていいのかって思うところはあるけれど、それでお義父さまが喜んでくれるのなら……そして、天国にいるだろうルーのお母さんが、僕とルーの姿を見て喜んでくれるのなら、僕は喜んでこれを着たい!
「お義父さまっ! アズール、このお洋服……すっごく嬉しいっ!!」
「――っ、そうか! 喜んでくれるか?」
「うん。ルーとお揃いなのも嬉しいし、早く着たいな。ねぇ、ルー」
「ああ、そうだな。まさかこの歳になって父上から服をいただくとは思わなかったが、アズールと対の衣装なら楽しみだ。父上、ありがとうございます」
「ああ、きっとリアナも喜んでいるよ」
お義父さまの目が少し潤んでいる気がする。
きっとルーのお母さまのことを思い出しているんだろう。
お義父さま……今でもずっとルーのお母さまのことが好きなんだろうな。
「あれ? 箱の下の方にまだ何か入ってる」
「ふふっ。それは私からアズールさまへの贈り物でございます」
「えっ? 爺から? なんだろう?」
「なんだ、フィデリオ。私にも内緒にしていたのか」
「はい。陛下にもぜひ喜んでいただこうと思いましたので」
「何? 私にも? 一体なんだ?」
お義父さまもルーも一体どんな贈り物なんだと興味津々の様子だ。
なんだか僕も楽しみになってきたな。
爺の楽しそうな笑顔を見ながら、僕は箱の底の方に入っていた服を取り出した。
「わぁーっ!!! 可愛いっ!!!」
まさか、これをもらえるとは思わなかった!!
ロルフとルルのウサギさんの服も、僕とルーのお揃いの服もどれも嬉しかったけれど、これが一番嬉しいかもしれない!!
「アズール、これは……」
「ふふっ。これ着たら、アズールも狼さんになれるね!!!」
そう。
爺がプレゼントしてくれたのは、ルーにそっくりな狼さんの服。
細長い三角の黒耳とふっさふさな黒尻尾もついている。
ルーもロルフもルルもみんな狼さんで僕だけウサギ。
この部屋の中にいるのもウサギの僕と熊さんの爺以外はみんな狼さんだし。
自分がウサギなのも気に入っているけど、実はずっともふもふでふさふさの尻尾に憧れてたんだよね。
「いいな、可愛いっ!! アズール、ベッドから下りられるようになったら、これ着てみんなでお庭をお散歩したいな」
「くっ――!! アズールが、私と同じ狼に……っ! 爺、さすがだ!! ああーっ、本当に早く見たいな」
「ああ、そうだな。フィデリオ。いいものを用意してくれた!!! アズールに狼の衣装とは……。さすがだな」
「皆さまにお喜びいただけて私、光栄でございます。アズールさま、それをお召しになったところを拝見するのを私も楽しみにしております」
「うん。もう少し待っててね」
お義父さまと、爺からの嬉しい贈り物を前に。僕は喜びでいっぱいになっていた。
お義父さまと爺が帰った後も僕はずっと二人から貰った服を目の前に置いて眺めていた。
「アズール、そんなに気に入ったのか?」
「うん。お義父さまがくれた服はルーのお母さまのだからすごく嬉しいし、爺がくれた狼さんもすっごく可愛くて嬉しい。この狼さん、本当にルーとロルフにそっくり」
「ああ、爺もなかなか粋なことをしてくれるものだ。なぁ、アズール。全てを着るのは難しいだろうか、この帽子だけ被ってみてくれないか?」
「うん。でも、アズールの耳が邪魔にならないかな?」
長い耳が気になって、今まで帽子を被ったことはなかった。
ちょっとドキドキしながらすっぽりと被ってみると、僕の長い耳は気にならないくらい、中でフィットしている気がする。
「ルー、どう?」
「………………」
「ルー?」
「――つ、アズールっ!! なんて可愛いんだ!!!」
嬉しそうに帽子についた狼耳を撫でるルーに、
「ふふっ。ルーもすっごく可愛いよ」
と言って、ルーの狼耳を撫でると
「ぐぁぁーーっ!!」
なぜか急に雄叫びを上げながら、僕を抱きしめてくれた。
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