真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

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番外編

ぼくの弟

<sideロルフ>

ぼくとルルのお披露目会が終わった。
来てくれたみんなの前で挨拶することができたし、この日のためにルルと練習していたダンスも間違えずに踊れた。パパとママが上手だって褒めてくれて嬉しかったな。

「ねぇねぇ、べりゅ。またらんしゅダンスみしぇてー!」

「はい。今度は違うダンスをお教えしますよ」

ルルとヴェルが嬉しそうに話をしているのをぼくとマックスが見ていると、突然前にいたママが苦しそうな声を上げた。

「マクシミリアン! すぐにアントンを呼べ! 急げ!」

パパの声がいつもと違ってすごく怖い。
もしかしてママに大変なことが起こったの?

「ぱぱー」

不安でいっぱいになって声をかけると、パパはママを抱っこしたままぼくとルルを見た。

「アズールは大丈夫だ。後で声をかけるから、お前たちはヴェルナーから離れるな」

それだけ言うと、パパは急いで走って行った。

「べりゅ。ぱぱ……ろこどこ、いっちゃの?」

「アズールさまは赤ちゃんをお産みになるんです。ロルフさまとルルさまももうすぐ赤ちゃんにお会いできますよ」

赤ちゃん、産まれるんだ……。

――ママはね、赤ちゃんが好きなの。だからおっきくなったロルフじゃなくて、ちっちゃいロルフが好きなの。でもロルフは大きくなりすぎちゃったから、これからはお腹の赤ちゃんを可愛がることにするからね。

今日の夢を思い出す。
あのあと、ママはいつものようにぼくを可愛いと言ってくれたけど、ちっちゃな赤ちゃんが産まれたらそっちが可愛くなって、ぼくのことを忘れちゃわないかな?

ルルは大きくなったけど、ぼくよりずっと小さい。
ぼくだけがすごく大きくなっちゃった。

ママ……これからもぼくのこと、好きでいてくれるかな?

「ロルフさま。ルルさま。こちらで私たちと一緒に待っていましょう。少しお眠りになってもよろしいですよ」

「ううん。うう、まっちぇるー!!」

ルルは赤ちゃんが産まれてくるのが楽しみみたい。
でもぼくは……少し怖いな。

「ロルフくん? どうかした?」

不安で俯いていると声をかけられて顔を上げた。

「てぃお……」

「ママが心配なのかな? 大丈夫。アントン先生は優秀なお方だし、無事に産まれるよ」

ティオはぼくをそっと抱きしめてくれる。
いつもこうして抱っこしてくれていたから、その温もりがホッとする。

「あのね、ろーふ……おっきくなっちゃから、まんまは、あかちゃんがちゅきになっちゃうって、おもって……」

「ロルフくん……そんな心配してたんだ。バカだな、そんなことあるはずないよ」

「だって……」

あの夢が忘れられない。
小さなぼくが好きなんだって言ったママのあの言葉が、表情が、忘れられないんだ。

「ママはいつだって、ロルフくんとルルちゃんを愛してる。それは赤ちゃんが生まれても変わらないよ。親ってね、子どもが大きくなるのが楽しみでたまらないんだよ」

「ほんちょ?」

「本当だよ。私もロルフくんとルルちゃんが大きくなるのを見るたびに嬉しいんだ。生まれた時からこんなに大きくなったんだって」

ティオがぼくを抱っこしてくれて優しい笑顔を向けてくれる。

「生まれてくる赤ちゃんもすぐに大きくなるよ。赤ちゃんが大きくなるのを見て今度はロルフくんも一緒に嬉しくなるはずだから」

赤ちゃんが大きくなるのを見て、ぼくが嬉しくなる……。
そう思えるかな……。

ぼくは赤ちゃんを見て、一番初めに何を思うだろう。
ドキドキしながら待っていると、部屋にあーちゃんが来た。

「あなた、ロルフ、ルル。ルーディーが呼んでいるわ」

きっと赤ちゃんが生まれたんだ。

「さぁ、ロルフくん。行っておいで」

ティオに背中を押されて、ぼくはヴィーじいちゃんのところに駆けて行った。
ヴィーじいちゃんはぼくとルルを両腕に抱っこすると、どこかの部屋に連れて行った。

「可愛い赤ちゃんを見に行こうな」

そう言われて、さっきまでのドキドキな気持ちがなぜだか一気にワクワクに変わっていく。

そして、部屋の中でパパが白いおくるみの中の赤ちゃんを見せてくれた。

「神の御意志が生まれたよ。ロルフとルルの弟だ」

ぼくの目の前に現れたのは、パパみたいにふさふさの毛に覆われたおっきな赤ちゃん。
この子が、ぼくの弟……。

そう思った瞬間、抑えきれない感情が溢れ出した。

「かわいいー!!」

ぼくの口から自然にその声が漏れていた。
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