理想の相手見つけました! 〜イケメン33才童貞男がノンケなあの子に恋をする

波木真帆

文字の大きさ
4 / 29

待ち人来たる

<side浚介>

終業後、自分の車で成田に向かったが、まだ彼が到着するまで二時間ほどある。

空港内にあるレストランで食事をして到着予定時刻までの時間を過ごし、到着ゲートに向かうと到着遅延はなさそうだった。

もうすぐ出てくるかな?
そういえば、写真も名前もあの部長から聞いてないことに気づいた。

あのくそ上司!
本当に使えないやつだ。

仕方がない。
とりあえず出てきてキョロキョロしている外国人に声をかけてみよう。

あ、そろそろ出てきたか。



「――っ!!!」

う、そだろ……。

俺の、理想が……歩いてる。

到着ゲートから出てきたその人物から目が離せない。

真っ白な肌に、色柔らかな淡いブラウンのサラサラとした髪。
小顔なのに大きな二重と小さくて形のいい唇。

身長は170あるかどうかなのに、手足は長くスタイルもいい。
それに華奢で、折れそうなほど細い腰。

まさか、こんな理想通りの人物がいるなんて……。
夢か幻かとすら思えてしまう。

そんな人物が重そうなキャリーケースを持って歩いている。

もしかして、あの彼が俺の待ち人か?
いや、流石にそんな偶然はないかもしれない。
けれど、ほんの少しでもいい。
可能性があるなら……そんな期待を持ちつつ、誰にも声をかけられる前に駆け寄った。

『あ、あの……』

『わっ! びっくりした!』

『ああ、驚かせてしまってすみません。あの……誰か人をお探しではないですか?』

『え、ええ。実は、お迎えが来ているはずなんですけど……』

おおおおーーーっ!! やっぱりーーー!
そう叫びそうになるのを必死に抑えながら、冷静を装って静かに尋ねる。

『も、もしかして、オルティースグループの本社の方ですか?』

『――っ!! はい、そうです!! よかった、お迎えに来てくださった方ですね? 確か……タカノ、さん?』

『はい。鷹野と言います』

『わぁ、よかった。僕はダリル・オルティースです。今日はお迎えに来ていただきありがとうございます』

「――っ!!!!」

くそっ、笑顔がめちゃくちゃ可愛い!
このまま押し倒したくなる!!
ああ、こんな子がゲイを公言しているなんて!

『あ、あの……どうかしましたか? もしかしてお疲れですか?』

あまりの可愛さに何も言えずに見惚れていたら、心配されてしまった。

『い、いいえ。とんでもないです。オルティースさんのお迎えに来れて喜んでいるんですよ。英語には自信がありますし、これから滞在の間は私が責任を持ってお世話させていただきますのでよろしくお願いします』

『あ、ありがとうございます。僕は日本語がわからないので助かります。それから……あの、ダリルと呼んでくださると嬉しいです』

『だ、ダリル。わかりました。私も浚介……シュンと呼んでください』

『ふふっ。はい。では、シュン。よろしくお願いします』

『――っ!!! あ、じゃあ駐車場に案内しますね。荷物は私が』

『あっ、大丈夫ですよ』

『いえ、慣れない場所では危険ですから』

そう言って彼のキャリーケースを俺が押しながら、ダリルを駐車場に案内した。
途中で前からやってきた酔っ払いにぶつかりそうになって、ダリルの肩を慌てて抱き寄せると、彼は突然のことに驚きながらも俺の身体に抱きついてくれた。

『あっ、ごめんなさい』

『いえ、危ないですからこのままでいいですよ』

そう言ってそのまま道を進んでいく。

その間もずっと俺の全神経はダリルと触れ合っている左半身に集中していた。
服の上からでもわかる、吸い付くような肌の感触。
それになんていい匂いだ。

俺は今、人生で最大の幸せな時間を過ごしている。

この時間が一生続けばいい、そう思っていたけれど、無情にもあっという間に駐車場に到着してしまった。
荷物をトランクに乗せ、ダリルを助手席に座らせて運転席に回る。

そして、扉を閉めると密室空間になった車内でダリルと二人っきりという状況に興奮してしまった。

隣から漂ってくるダリルの体臭が俺を昂らせるが、流石に出会ってすぐ俺の相手をしてくれないかという話を出すわけにはいかない。

それに断られたら、これから気まずいだろ。
まだ今は我慢しなければ!
今日はなんとか連絡先を交換できれば御の字としよう。

ズボンの下で出番を待ち続けている息子を叱咤しながら、

『この後はどちらに?』

と問いかけると、ダリルは少し赤い顔で

『あの……ホテルに、お願いします』

と言ってきた。

ほ、ホテルーーっ!!!
まさかダリルの方から誘ってくれるのか?

喜んで! と大声で返事しそうになった瞬間、

『あの、ここのホテルなんですけどわかりますか?』

とスマホの画面を見せられた。

表示されているのは都内屈指の高級ホテルであるイリゼホテル銀座。

『あ、ここ……』

『はい。ここに三日間滞在することになっているんです』

笑顔で微笑まれ、自分が勘違いしていたことに気づいた。

『あ、ああ。そうなんですね。わかりました。ではそちらに向かいますね』

なんとかその言葉を振り絞り、車を駐車場から出して一路東京に向けて走らせた。

ああ、なんて勘違い。
てっきり誘われているのかと思ったなんて……。
考えてみれば、空港に到着したら次はホテルにチェックインするのは当然だろう。
それなのに、下心ありまくりで全てをそっちの方に向けるなんて、本当に恥ずかしい。
ああ、自己嫌悪に陥りそうだ。

俺の気持ちなんか知るはずもないダリルは嬉しそうに正面の景色を見つめている。

『楽しそうですね』

『はい。日本は初めてなので、ドキドキします』

俺はダリルにずっとドキドキしているよ。
そう言えたらどんなに幸せか……。

緊張しながらも、ダリルの話に相槌を打ったり、アメリカでの話を聞きながら、今日から彼が泊まるイリゼホテル銀座に到着した。
感想 49

あなたにおすすめの小説

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

魔性の男

久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。 最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。 そう、思っていた。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。