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嫌な予感
『ダリル、午後の会議に一緒に参加してもらえますか?』
「はい。もちろんです』
席に戻り、全ての準備を整えてダリルと会議室に向かう。
資料を全ての席に用意しようと準備していると、
『僕が配ります』
と手を差し出してくれた。
『じゃあお願いします。重いですから気をつけて』
『はい。ありがとうございます』
俺に笑顔を向けると、華奢な腕でたくさんの資料を持ち、それぞれの席に置いていく。
その様子を見つめながら、俺はプロジェクターを用意して会議に備えた。
しばらくして、社長たちが席につき始める。
社長や専務など上層部が一堂に介する中、神村の席だけがポツンと空いているのが目立って仕方がない。
仕事ができないからいつもこんな会議に参加することはないが、今日の会議には一応出ておいた方が印象も良かっただろうに本当にバカな上司だ。
社長は一つだけ空いた神村の席を一瞥してから、俺とダリルに視線を向け口を開いた。
『本社から視察に来られた方ですね。今日はよろしくお願いします』
『はい。ダリル・オルティースです。会議の様子を見学させていただきます。よろしくお願いします』
可愛いダリルの挨拶に上層部たちも笑みを浮かべているが、数人はこんな簡単な英語さえ理解していないだろう。
アメリカに本社のある日本支社なのだから、英語に長けたものを上層部に入れるべきだと思うが神村みたいなやつに部長という役職を与えているくらいだからな。
今更か。
入社当時から俺は本社への異動願を出し続けている。
その時に日本支社で良い成績を出せば本社にと言われ頑張ってきたが、頑張りすぎたせいか、俺を本社に移動させると日本支社が困ってしまうと言われて本社への異動は保留のままだ。
早く後継を育てて本社に行きたいものだが、あんな後輩ばかりが入ってくるのだから望みは薄そうだ。
だがこの新規事業がうまくいけば、本社への異動も認められるかもしれない。
そんな期待をしていた。
『ダリル。何か質問があればなんでも仰ってください』
上層部たちにも同じような声掛けで始まった会議だが、俺に質問をかけてくるのはダリルだけ。
しかも全て的を射た質問に説明することを楽しんでいる自分がいた。
「以上になります。社長、いかがでしょうか?」
「ああ、素晴らしいな。これなら新規事業も成功どころか、これからのうちの大きな要になりうるな。この調子で頑張ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
「それに……さすが、本社の次期社長候補。鷹野くんにも引けを取らない逸材だな」
ダリルのおかげで俺の評価も上がったようだ。
上層部たちを見送り、片付けを済ませて部署に戻っていると、
『あっ、シュン。すみません、僕……さっきの部屋に忘れ物をしたみたいです』
とダリルが言い出した。
『ああ、じゃあ一緒に取りに行きましょう』
『いえ、シュンは荷物も多いですし、一人でさっと取ってきます』
『ですが……』
『ふふっ。すぐに戻ってきますから大丈夫ですよ』
そういうと、ダリルはさっきの会議室に駆けて行った。
神村が来ていないとはいえ、あれだけ目立つダリルを一人にするのはやっぱり心配だな。
俺は急いで席に戻り、荷物を置いて会議室に向かおうとしたら
「センパーイ。ちょっといいですか? あの取引先のアポイントなんですけど……」
とあの後輩が珍しく仕事の話を持ちかけてくる。
ダリルが気になるが、話を無理やり終わらせるわけにもいかなくてとりあえず対応しながら、俺の意識はずっと部署の入り口に向いていた。
けれど、5分経っても10分経ってもダリルが戻ってくる気配がない。
なんとなく嫌な予感がしてさっさと切り上げて、会議室に走ると
『やめてーっ!!』
と恐怖に怯えるダリルの声が部屋の奥から聞こえた。
<side神村>
「おじさん! 大変ですよっ!」
「なんだ? どうしたんだ? 俺は今忙しいんだ」
アメリカ本社からわざわざ視察にやってくるというゲイ男。
どんなやつかは知らないが、アメリカのゲイなら大方マッチョでいかついやつだろう。
そんな奴に狙われるかもしれない心配をしながら仕事なんてする気にはなれない。
まぁ、そんな心配がなくても仕事はする気にはなれないが。
俺は存在だけで会社に利益をもたらしている男だから、仕事なんてしなくても問題はない。
そんなくだらない時間を過ごすくらいなら、巨乳の尻がぷりぷりしている若い女と遊んだ方がいい。
アプリで適当に見繕った女とホテルで2回戦目をしている最中、同じ会社で働いている甥から連絡が来た。
「忙しいとか言ってる場合じゃないですよ、これ見てください!」
「はぁ? 面倒だな」
俺の下で女を喘がせながら、甥が送ってきた写真を見てみると
「ひゃあっ!」
女の中に突っ込んでいた俺の息子がぐんと成長したのがわかった。
「なんだ? この写真! 誰だ?」
「今日から視察に来たっていう本社の社員ですよ」
「なんだと? そんなっ! じゃあ、こいつがゲイ?」
そこには俺の想像とは全く違う可愛らしい男が映っていた。
胸も尻もぺたんこだが、俺の下で喘いでいる女よりも数十倍可愛い顔をしている。
これなら男でも全然アリだ。
「そうです! おじさんの情報と違ってびっくりしましたよ! もう会社内でもかなりの噂になってますよ!」
「くそっ! それで、今その社員はどこにいるんだ?」
「これから第二会議室で例の会議に参加する予定になってます」
「ああ、あそこか」
「なら、お前。こっそり会議室に忍び込んで、隙を狙って奴の持ち物を隠しとけ。そうしたら後で取りにくるだろう。そして、一緒にいるはずの鷹野を足止めしておけ! その間に、俺がその子に挨拶しとくよ」
「えっ、でもさすがに社内では不味くないですか?」
「挨拶するだけだって言ってんだろ。そもそも俺は鷹野の直属の上司なんだ。挨拶しとくのが筋ってもんだろ。いいか、さっさとやって逐一報告しろ!」
「わかりました」
俺はさっさと女を帰らせて、急いで会社に向かった。
その間も甥からは逐一報告が入ってくる。
うまく奴のペンを隠したみたいだな。
俺は会議室の隣で奴が戻ってくるのを待ち続けた。
そして、俺の計画通り、奴が一人で会議室に戻ってきたのを背後から捕まえて、部屋の奥にある資料室に連れ込んだ。
ジタバタもがいていたが、力もないし本当に女みたいだな。
扉を閉めるために腕から離すと、さっと奥の方に逃げ込んでいく。
恐怖に怯える顔がなんとも可愛い。
「君、ゲイなんだろう? 俺がたっぷり可愛がってやるよ」
じわじわと近づくと、
『******!!』
奴は大声で何かを叫んだが何を言っているかわからない。
「会議も終わったし、何を叫んでも誰も来ないよ。諦めな」
そう言って、近づいた次の瞬間、扉が蹴破られるものすごい衝撃に驚いて振り返った。
と同時に、ドゴっと顎の骨が砕けるような衝撃に襲われて俺はそのまま床に吹き飛ばされた。
「はい。もちろんです』
席に戻り、全ての準備を整えてダリルと会議室に向かう。
資料を全ての席に用意しようと準備していると、
『僕が配ります』
と手を差し出してくれた。
『じゃあお願いします。重いですから気をつけて』
『はい。ありがとうございます』
俺に笑顔を向けると、華奢な腕でたくさんの資料を持ち、それぞれの席に置いていく。
その様子を見つめながら、俺はプロジェクターを用意して会議に備えた。
しばらくして、社長たちが席につき始める。
社長や専務など上層部が一堂に介する中、神村の席だけがポツンと空いているのが目立って仕方がない。
仕事ができないからいつもこんな会議に参加することはないが、今日の会議には一応出ておいた方が印象も良かっただろうに本当にバカな上司だ。
社長は一つだけ空いた神村の席を一瞥してから、俺とダリルに視線を向け口を開いた。
『本社から視察に来られた方ですね。今日はよろしくお願いします』
『はい。ダリル・オルティースです。会議の様子を見学させていただきます。よろしくお願いします』
可愛いダリルの挨拶に上層部たちも笑みを浮かべているが、数人はこんな簡単な英語さえ理解していないだろう。
アメリカに本社のある日本支社なのだから、英語に長けたものを上層部に入れるべきだと思うが神村みたいなやつに部長という役職を与えているくらいだからな。
今更か。
入社当時から俺は本社への異動願を出し続けている。
その時に日本支社で良い成績を出せば本社にと言われ頑張ってきたが、頑張りすぎたせいか、俺を本社に移動させると日本支社が困ってしまうと言われて本社への異動は保留のままだ。
早く後継を育てて本社に行きたいものだが、あんな後輩ばかりが入ってくるのだから望みは薄そうだ。
だがこの新規事業がうまくいけば、本社への異動も認められるかもしれない。
そんな期待をしていた。
『ダリル。何か質問があればなんでも仰ってください』
上層部たちにも同じような声掛けで始まった会議だが、俺に質問をかけてくるのはダリルだけ。
しかも全て的を射た質問に説明することを楽しんでいる自分がいた。
「以上になります。社長、いかがでしょうか?」
「ああ、素晴らしいな。これなら新規事業も成功どころか、これからのうちの大きな要になりうるな。この調子で頑張ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
「それに……さすが、本社の次期社長候補。鷹野くんにも引けを取らない逸材だな」
ダリルのおかげで俺の評価も上がったようだ。
上層部たちを見送り、片付けを済ませて部署に戻っていると、
『あっ、シュン。すみません、僕……さっきの部屋に忘れ物をしたみたいです』
とダリルが言い出した。
『ああ、じゃあ一緒に取りに行きましょう』
『いえ、シュンは荷物も多いですし、一人でさっと取ってきます』
『ですが……』
『ふふっ。すぐに戻ってきますから大丈夫ですよ』
そういうと、ダリルはさっきの会議室に駆けて行った。
神村が来ていないとはいえ、あれだけ目立つダリルを一人にするのはやっぱり心配だな。
俺は急いで席に戻り、荷物を置いて会議室に向かおうとしたら
「センパーイ。ちょっといいですか? あの取引先のアポイントなんですけど……」
とあの後輩が珍しく仕事の話を持ちかけてくる。
ダリルが気になるが、話を無理やり終わらせるわけにもいかなくてとりあえず対応しながら、俺の意識はずっと部署の入り口に向いていた。
けれど、5分経っても10分経ってもダリルが戻ってくる気配がない。
なんとなく嫌な予感がしてさっさと切り上げて、会議室に走ると
『やめてーっ!!』
と恐怖に怯えるダリルの声が部屋の奥から聞こえた。
<side神村>
「おじさん! 大変ですよっ!」
「なんだ? どうしたんだ? 俺は今忙しいんだ」
アメリカ本社からわざわざ視察にやってくるというゲイ男。
どんなやつかは知らないが、アメリカのゲイなら大方マッチョでいかついやつだろう。
そんな奴に狙われるかもしれない心配をしながら仕事なんてする気にはなれない。
まぁ、そんな心配がなくても仕事はする気にはなれないが。
俺は存在だけで会社に利益をもたらしている男だから、仕事なんてしなくても問題はない。
そんなくだらない時間を過ごすくらいなら、巨乳の尻がぷりぷりしている若い女と遊んだ方がいい。
アプリで適当に見繕った女とホテルで2回戦目をしている最中、同じ会社で働いている甥から連絡が来た。
「忙しいとか言ってる場合じゃないですよ、これ見てください!」
「はぁ? 面倒だな」
俺の下で女を喘がせながら、甥が送ってきた写真を見てみると
「ひゃあっ!」
女の中に突っ込んでいた俺の息子がぐんと成長したのがわかった。
「なんだ? この写真! 誰だ?」
「今日から視察に来たっていう本社の社員ですよ」
「なんだと? そんなっ! じゃあ、こいつがゲイ?」
そこには俺の想像とは全く違う可愛らしい男が映っていた。
胸も尻もぺたんこだが、俺の下で喘いでいる女よりも数十倍可愛い顔をしている。
これなら男でも全然アリだ。
「そうです! おじさんの情報と違ってびっくりしましたよ! もう会社内でもかなりの噂になってますよ!」
「くそっ! それで、今その社員はどこにいるんだ?」
「これから第二会議室で例の会議に参加する予定になってます」
「ああ、あそこか」
「なら、お前。こっそり会議室に忍び込んで、隙を狙って奴の持ち物を隠しとけ。そうしたら後で取りにくるだろう。そして、一緒にいるはずの鷹野を足止めしておけ! その間に、俺がその子に挨拶しとくよ」
「えっ、でもさすがに社内では不味くないですか?」
「挨拶するだけだって言ってんだろ。そもそも俺は鷹野の直属の上司なんだ。挨拶しとくのが筋ってもんだろ。いいか、さっさとやって逐一報告しろ!」
「わかりました」
俺はさっさと女を帰らせて、急いで会社に向かった。
その間も甥からは逐一報告が入ってくる。
うまく奴のペンを隠したみたいだな。
俺は会議室の隣で奴が戻ってくるのを待ち続けた。
そして、俺の計画通り、奴が一人で会議室に戻ってきたのを背後から捕まえて、部屋の奥にある資料室に連れ込んだ。
ジタバタもがいていたが、力もないし本当に女みたいだな。
扉を閉めるために腕から離すと、さっと奥の方に逃げ込んでいく。
恐怖に怯える顔がなんとも可愛い。
「君、ゲイなんだろう? 俺がたっぷり可愛がってやるよ」
じわじわと近づくと、
『******!!』
奴は大声で何かを叫んだが何を言っているかわからない。
「会議も終わったし、何を叫んでも誰も来ないよ。諦めな」
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