13 / 17
教授会の裏で <後編>
しおりを挟む
「えっ? えっ? なに、すっごく可愛い子」
「でしょう? この子、うちの可愛い直くんだよ」
「えーっ! どういうこと?」
絢斗が見せてくれた画面に映っていたのは、可愛らしいピンクベージュのドレスを着た美少女。
それが、絢斗と磯山先生の可愛い息子の直くんだなんて。
「実はね、今回の家族旅行は結婚式参列を兼ねてたんだ。その結婚式の招待が新夫さんにはサプライズだったから皐月にも言えなかったんだよ」
絢斗はその結婚式について詳しく説明してくれた。
なるほどそういうことなら内緒にしていたのも頷ける。
「それでどうしてこの格好をすることになったの?」
「その結婚式にパンフレットの撮影隊が入ることになっていたから、そこに素のままの直くんが参加して困ったことになったらいけないからって周平くんと敬介くんがドレスと着物を用意してくれたんだよ。それで直くんだけお着替えするのも変だから私も付き合ったっていうわけ」
「なるほど、そういうことか。じゃあ絢斗も着替えたんだ! どんなの?」
「私は着物だよ。これ」
「わぁー! 素敵! よく似合ってる」
「敬介くんが素敵な着物を用意してくれてたからよかったよ」
どんな理由があったからにせよ、愛しい絢斗と可愛い息子である直くんがドレスアップしたんだから磯山先生は嬉しかっただろうな。
「ねぇ、ってことは他の招待客も……?」
「さすが、皐月! 今回の招待客に教え子がいっぱい来てたからせっかくだからみんなにもやらせちゃった!」
絢斗が嬉しそうにスマホを見せると、そこには美人さんたちの集合写真。
「えーっ! この子は敬介くんでしょ。そして……あっ、佳史くん?」
「そう! それでこっちが伊月くんだよ」
「えっ! 伊月くんも来てたの?」
「うん。甲斐くんと一緒に出席してたよ。新夫の実家の櫻葉家で飼われている可愛いミニチュアダックスフンドのフランくんのパパママだって」
「そっか、ブリーダーしてるんだもんね」
伊月くん、とっても幸せそう。
甲斐くんとお付き合いしてるって報告受けて、一緒に夢を叶えるために愛玩動物看護師の資格をとるって言った時はびっくりしたな。卒業後にうちの大学の獣医学部の専門コースに通うんだって話をしてたから、しばらくは大学で伊月くんの姿を見られるかなって思ってたけど、甲斐くんの説得もあって結局桜守大学の獣医学部の専門コースに通うことになったんだよね。
私としては残念だったけど、桜守は元々伊月くんが行きたい大学だったしそれはそれで夢が叶ってよかったんだと思う。無事に資格を取った時は報告してくれたっけ。ふふっ、懐かしい。
「あ、この子。可愛い! こっちの子も!」
「えっと、ああ、この子は尚孝くん。あの志摩くんの恋人だよ! あ、そうそう! すごい映像があってね!」
絢斗は嬉しそうにスマホを操作すると今度は写真ではなく、動画を再生した。
――みなさん、一花の投げるブーケが届くように前の方に来てください。
「わぁ、ブーケトスだね。この声、貴船くん?」
「うん。そう!」
医学部だった貴船くんは絢斗の講義を聴講していたこともあって存在はよく知っていた。
でもあの時と比べてずいぶん優しい声をしている。新夫の一花ちゃんのおかげかな。
――じゃあ、いきまーすっ!! えいっ!!
新夫の一花ちゃんが一生懸命なげたブーケはふわっと風に乗って集まった人たちの真ん中にリボンを揺らしながら落ちた。
「あ、さっきの!」
「そう。尚孝くんが取ったの! そうしたらね……」
志摩くんがさっと出てきて、彼の前に片膝をついた。
――これで、尚孝さんが次の花嫁ですね。私の花嫁になってください!
――はい。僕でよければ喜んで……
「わぁーーっ!! 素敵っ、素敵っ!!」
「でしょう? みんなうっとりしてたよ」
「それはそうだよ! あの志摩くんが……王子さまみたいに片膝ついてみんなの前でプロポーズなんて!!」
昔の志摩くんを知っていたら絶対に信じられない。
運命と出会うって本当にすごいな。
「でね、こっちの子は安城くんの恋人だよ」
「えー、安城くんの? どういう子なの?」
「櫻葉グループの社長で、新夫の一花ちゃんとは親戚だって。桜守の子だよ」
「ああ、そうなんだ。じゃあ私たちの後輩だね」
「うん。じゃああの桜に連れて行ってるかもね」
「そうだね」
私たちが勝手に話していたことがどこからかみんなに広がって、今ではそんなジンクスになっていると教えてくれたのは敬介くんからだった。
今年の春に敬介くんが周平くんとあの桜の下でキスをしてから、私たちに実はこういうジンクスがあって……と教えてくれた。それが私たち発祥だと知って驚いていたけれど、それで余計に信憑性が増したって喜んでくれていたな。
「ねぇ、もっと見たいけどそろそろ教授会始まるよ」
「わっ! 本当だ!」
「ねぇ、でもずるいよー! 絢斗ばっかり! 可愛い子たちに囲まれて、私もその場にいたかったな」
「皐月はいつも可愛い子に囲まれてたでしょ。敬介くんとか悠真くんとか真琴くんとかさ」
「確かにそうだけど……」
「わかった。じゃあ、今度こそ直くんに会わせるから楽しみにしてて!」
「絶対だよ!!」
「うん、約束!」
小指を差し出されて、私は子どもの時のように絢斗と小指を絡めた。
そして、その約束はすぐに叶うことになる。
やったね、来週末はうちで餃子パーティーだ!
「でしょう? この子、うちの可愛い直くんだよ」
「えーっ! どういうこと?」
絢斗が見せてくれた画面に映っていたのは、可愛らしいピンクベージュのドレスを着た美少女。
それが、絢斗と磯山先生の可愛い息子の直くんだなんて。
「実はね、今回の家族旅行は結婚式参列を兼ねてたんだ。その結婚式の招待が新夫さんにはサプライズだったから皐月にも言えなかったんだよ」
絢斗はその結婚式について詳しく説明してくれた。
なるほどそういうことなら内緒にしていたのも頷ける。
「それでどうしてこの格好をすることになったの?」
「その結婚式にパンフレットの撮影隊が入ることになっていたから、そこに素のままの直くんが参加して困ったことになったらいけないからって周平くんと敬介くんがドレスと着物を用意してくれたんだよ。それで直くんだけお着替えするのも変だから私も付き合ったっていうわけ」
「なるほど、そういうことか。じゃあ絢斗も着替えたんだ! どんなの?」
「私は着物だよ。これ」
「わぁー! 素敵! よく似合ってる」
「敬介くんが素敵な着物を用意してくれてたからよかったよ」
どんな理由があったからにせよ、愛しい絢斗と可愛い息子である直くんがドレスアップしたんだから磯山先生は嬉しかっただろうな。
「ねぇ、ってことは他の招待客も……?」
「さすが、皐月! 今回の招待客に教え子がいっぱい来てたからせっかくだからみんなにもやらせちゃった!」
絢斗が嬉しそうにスマホを見せると、そこには美人さんたちの集合写真。
「えーっ! この子は敬介くんでしょ。そして……あっ、佳史くん?」
「そう! それでこっちが伊月くんだよ」
「えっ! 伊月くんも来てたの?」
「うん。甲斐くんと一緒に出席してたよ。新夫の実家の櫻葉家で飼われている可愛いミニチュアダックスフンドのフランくんのパパママだって」
「そっか、ブリーダーしてるんだもんね」
伊月くん、とっても幸せそう。
甲斐くんとお付き合いしてるって報告受けて、一緒に夢を叶えるために愛玩動物看護師の資格をとるって言った時はびっくりしたな。卒業後にうちの大学の獣医学部の専門コースに通うんだって話をしてたから、しばらくは大学で伊月くんの姿を見られるかなって思ってたけど、甲斐くんの説得もあって結局桜守大学の獣医学部の専門コースに通うことになったんだよね。
私としては残念だったけど、桜守は元々伊月くんが行きたい大学だったしそれはそれで夢が叶ってよかったんだと思う。無事に資格を取った時は報告してくれたっけ。ふふっ、懐かしい。
「あ、この子。可愛い! こっちの子も!」
「えっと、ああ、この子は尚孝くん。あの志摩くんの恋人だよ! あ、そうそう! すごい映像があってね!」
絢斗は嬉しそうにスマホを操作すると今度は写真ではなく、動画を再生した。
――みなさん、一花の投げるブーケが届くように前の方に来てください。
「わぁ、ブーケトスだね。この声、貴船くん?」
「うん。そう!」
医学部だった貴船くんは絢斗の講義を聴講していたこともあって存在はよく知っていた。
でもあの時と比べてずいぶん優しい声をしている。新夫の一花ちゃんのおかげかな。
――じゃあ、いきまーすっ!! えいっ!!
新夫の一花ちゃんが一生懸命なげたブーケはふわっと風に乗って集まった人たちの真ん中にリボンを揺らしながら落ちた。
「あ、さっきの!」
「そう。尚孝くんが取ったの! そうしたらね……」
志摩くんがさっと出てきて、彼の前に片膝をついた。
――これで、尚孝さんが次の花嫁ですね。私の花嫁になってください!
――はい。僕でよければ喜んで……
「わぁーーっ!! 素敵っ、素敵っ!!」
「でしょう? みんなうっとりしてたよ」
「それはそうだよ! あの志摩くんが……王子さまみたいに片膝ついてみんなの前でプロポーズなんて!!」
昔の志摩くんを知っていたら絶対に信じられない。
運命と出会うって本当にすごいな。
「でね、こっちの子は安城くんの恋人だよ」
「えー、安城くんの? どういう子なの?」
「櫻葉グループの社長で、新夫の一花ちゃんとは親戚だって。桜守の子だよ」
「ああ、そうなんだ。じゃあ私たちの後輩だね」
「うん。じゃああの桜に連れて行ってるかもね」
「そうだね」
私たちが勝手に話していたことがどこからかみんなに広がって、今ではそんなジンクスになっていると教えてくれたのは敬介くんからだった。
今年の春に敬介くんが周平くんとあの桜の下でキスをしてから、私たちに実はこういうジンクスがあって……と教えてくれた。それが私たち発祥だと知って驚いていたけれど、それで余計に信憑性が増したって喜んでくれていたな。
「ねぇ、もっと見たいけどそろそろ教授会始まるよ」
「わっ! 本当だ!」
「ねぇ、でもずるいよー! 絢斗ばっかり! 可愛い子たちに囲まれて、私もその場にいたかったな」
「皐月はいつも可愛い子に囲まれてたでしょ。敬介くんとか悠真くんとか真琴くんとかさ」
「確かにそうだけど……」
「わかった。じゃあ、今度こそ直くんに会わせるから楽しみにしてて!」
「絶対だよ!!」
「うん、約束!」
小指を差し出されて、私は子どもの時のように絢斗と小指を絡めた。
そして、その約束はすぐに叶うことになる。
やったね、来週末はうちで餃子パーティーだ!
505
あなたにおすすめの小説
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
幸せごはんの作り方
コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。
しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。
そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。
仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている
春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」
王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。
冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、
なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。
誰に対しても一切の温情を見せないその男が、
唯一リクにだけは、優しく微笑む――
その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。
孤児の少年が踏み入れたのは、
権謀術数渦巻く宰相の世界と、
その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。
これは、孤独なふたりが出会い、
やがて世界を変えていく、
静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる