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第二章 (恋人編)
閑話 ハーヴィー・ワーグナー 神に愛された俺の勝ち組人生<前編>
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俺は生まれた瞬間から、勝ち組だった。
子爵でありながら、伯爵家以上の資産を持った
父、ランディー・ワーグナーの次男として生まれ、毎日が贅沢三昧の日々。
この国においては、それだけで勝ち組だろう。
それに加えて、俺は神に愛されたこの美貌があった。
焦茶色の髪に藍色の瞳。
何もしなくてもみんなが寄ってきてはチヤホヤしてきた。
生まれた時は今よりもっと黒味が強い瞳で、子爵家に神に愛された子が生まれたと王都中で話題になったらしい。
9歳上の兄・ライリーは赤い髪に青い瞳のいわゆる普通の男だったから、成長して俺の瞳の青色が多少強くなっていっても、ライリーに比べれば差は歴然だったしみんな変わらずにチヤホヤしてくれた。
俺が6歳の時、母が流行り病で亡くなった。
ちょうど同じ頃、オランディア王弟殿下が公爵位を賜り、当時未開の地だった現サヴァンスタック領を治めることになった。
母を亡くしたばかりの父は、母の想い出の残る王都にいるより、王弟殿下……今は公爵さまか……と共に開拓をお手伝いすると自ら申し出て、ライリーと共に王都からサヴァンスタック領へ移り住んだ。
わざわざ王都での仕事を捨ててまでどうなるものかもわからない開拓の手伝いを請け負うなんて、父はどうかしている。
俺は王都から離れてそんな未開の地に行くなんてまっぴらごめんだったから、王都の寄宿学校に通いたい、俺は騎士になりたいんだとなんとか理由をつけて1人王都に残った。
口煩い父も地味で目立たないライリーもいない寄宿学校での生活は楽で仕方なかった。
なんでって? わかるだろ、
みんながこぞって俺に媚びてくるんだ。
何せ、神に愛された美貌だからな、俺は。
やらなければいけない課題も仕事も、頼まなくても全てみんながやってくれる。
女も男も俺が声をかければホイホイやってくるし、
相手の方から股も尻も勝手に開いてくる。
自分ひとりで欲望を発散するなんてこと考えたこともない。
ああ、やっぱり顔がいいって最高だよな。
俺の人生は生まれた時から勝ち街道まっしぐらだ。
父やライリーとは成人を迎えるまでの9年間、たまに王都で会う以外ほとんど会うことはなかった。
それぐらいあんな田舎行く価値もなかった。
それなのに寄宿学校を卒業したと同時に、俺は父たちのいるこのサヴァンスタック領に連れて行かれた。
騎士試験に落ち、それならばと受けた文官の試験にも落ちた今、俺がわざわざ王都に残る理由を作れなかったからだ。
あーあ、俺みたいな美しい男が田舎に埋もれるなんて! とがっかりしていたが、着いてみれば荒れ果てているという噂の未開の地は影も形もなく、王都に負けず劣らずの綺麗な町が広がっていた。
なんだ、田舎なんて嘘じゃないか。
これなら最初から一緒に来てやっても良かったのに……。
父は公爵さまにいたく気に入られてるらしい。
よくライリーを引き連れ、公爵さまの屋敷に伺ったり、一緒に視察を回ったりしているらしい。
ふーん。あんな地味なライリーを連れ回すのなら、俺がついていったら公爵さまはもっと喜ぶに違いない。
そう思って、父に今度は俺も一緒に視察に同行すると言ったらダメだと一喝された。
『騎士試験にも文官試験にも落ちるような男を公爵さまに合わせられるわけがないだろう、夜会で挨拶させてやるからそれまでは大人しくしていろ』
そう言われた。
なんだよ、それならばただ父について回ってるだけのライリーだって同じじゃないか。
そう言ったのだが、父は決して首を縦には振らなかった。
ライリーのような地味な顔立ちで、身長も高い部類に入るそんな男は大したところと縁談もないだろう、美しい俺なら伯爵家どころか侯爵家との縁談だってくるかもしれない。
いや、公爵さまに好かれれば公爵さまとの縁談も有り得るだろう。
公爵さまに望まれるなら、俺は抱かれる方になったっていい。それくらい譲歩してやるさ。
俺のように美しい者と地味なライリー、どちらを公爵さまと縁を繋いでおいた方がいいかなんて子どもにだってわかるだろうに……。
父は昔からそうだった。
みんながライリーよりも俺をちやほやしてくれるのに、
父だけはいつも俺たち兄弟を同等に、
いや、逆にライリーの方を贔屓していたように思える。
たかが先に生まれただけで、
あいつが長男というだけで、
俺の方が将来有望なのにそのことに気づいてもない。
資産だけ持っていても、父はやっぱり無能だ。
だから、子爵どまりなんだよ。
ほんと、つまんねぇ。
それからしばらく経ってようやく夜会に招待された。
王室、もしくは公爵家主催の夏の夜会でのみ、自分の瞳の色の服を纏うのが国をあげての慣例となっている。
俺のような美しい色を持つ者などこの領地にはいないだろう。俺はまた注目の的だな。
想像するだけで顔がニヤけてくる。
俺は意気揚々と夜会用の服を仕立てに行くと、仕立て屋でもみんなが俺に擦り寄ってきた。
遊びならば好きなだけ遊んでやるが、俺の目当ては高位貴族だからな。庶民は遊び相手にしかならん。
ふっ。今から夜会が楽しみだ。
夜会の日。
父とライリーと共に入場したが、
俺の服を見て目の色を変えた男女にすぐに取り囲まれ、父とライリーとは別行動になった。
侯爵令息、伯爵令嬢、子爵令嬢、男爵令息、どれもこれもまぁ普通の見た目だな。
まあ、俺に釣り合うのは伯爵家以上だから、それ以下は遊びだな。
さすが公爵家主催の夜会だけあって、酒も料理もいい物出してるな。
みんながこぞって俺にいろいろ差し出してくる中、会場に一際大きな声が上がった。
どうやら公爵さまが入場したらしい。
この俺が顔さえ見せれば公爵さまもライリーより俺を贔屓にするはずだ。
俺の周りにいるやつらを押し除け、父の元へと向かう。
父は俺に何度も絶対に無礼な事だけはしてくれるなと注意してきたが、いくら俺だってそんなことするわけないだろう。
公爵さまへの挨拶の列が続く中、ようやく俺の順が来た。
目の前に現れた公爵さまを見て、正直笑った。
いやさすがに本人を前にしてではなく、心の中で。
そりゃあ、笑うだろ。
金色の髪に淡い水色の瞳だぞ。
どちらも光の加減によっては白にも見える。
瞳の色の服を纏うのが決まりなのに、服は瞳より随分と濃い青だ。
ははっ。せめてもの見栄ってか?
なるほど、王位継承権を放棄したのもこれが理由か。王弟で婚約者の来手も見つからないんだから、仕方ないよな。
ふっ。思わず小さな笑いが漏れてしまった。
公爵さまにその声が聞こえたのかわからないが、俺を見て目を見開き、悔しそうな表情をしているように見えた。
俺が羨ましいんだろうな。
王弟に生まれながら、この見た目。ほんと笑える。
見てみろ、挨拶に来たやつら媚びへつらっているが、裏ではみんな嫌悪感丸出しで嘲笑ってるだろ。
それからも、公爵さまの視察の同行には父とライリーが付き合った。
俺は公爵夫人になれるなら、我慢して横にいてやっていいんだが、見目の差がありすぎてもな。
公爵さまがお可哀想だし……ははっ。
それから数年経っても、公爵さまに婚約者ができたという話は聞こえなかった。
あの見た目ならそうだろう。
ライリーは少し前に同じ子爵令嬢と結婚した。
普通顔で少しぽっちゃりのほんとに普通の女。
まぁ、地味なライリーにはぴったりじゃないか。
俺はといえば、ある伯爵令嬢との縁談が持ち上がっていた。
相手は普通の見た目であるが、両親共に俺にぞっこんで結婚してくれればゆくゆくは俺に伯爵位を譲るとまで言ってくれている。
こんな絶好の機会、みすみす捨てるわけにはいかない。
いつもライリーの事ばかり褒め称える父も、今回の縁談ばかりは俺を褒めてくれた。
そんなある日、王都から寄宿学校時代の友達が遊びに来た。
男のくせにやたら甘党の友達、ダーウィンはこの町で一番人気なケーキ屋に行きたいのだという。
そこで、俺は庶民の間で流行っているという噂のケーキ屋に連れていった。
こいつは、俺より少し下くらいのまあまあ見た目の良い顔立ちをしていて、寄宿学校時代もよくモテていた。
卒業までにどっちが多くヤレるかなんて対決をしたほどの悪友だ。
(もちろん、俺が圧勝だったけど)
店に入ってケーキを食べていると、突然店内がざわめき始めた。
なんだ、この騒ぎは?
店内を見渡すと死角になる場所に座った1組のカップル、どちらも俺たちから顔は見えないが片方の髪が驚くほど白に近い金色だった。
ああ、このざわめきはあの金色のせいか……。
あんな髪色でよく堂々とこんな人の多い店に入れたな、もっと空気読めよ、そう思わずにいられなかった。
席に座った途端、もう片方の青い髪の子が店内を見渡し始めた。
普通髪か……と思った瞬間、目に飛び込んできたのはその子の瞳。
未だかつて見たことないほどの漆黒の瞳。
う、嘘だろ……あんな目の人間存在するのかよ……。
あの子こそ、まさに神に愛されし者。
俺の瞳なんてあれに比べれば、カスだよ、カス。
俺は一瞬であの子に一目惚れした。
と同時にあれほどの美人が何であんな金髪と!
その怒りで身体が震えた。
すると、周りから
『政略かな?』
『そうに決まってるだろ』
という声が上がる。
そうか、政略か。そうだよな。
あんな美人が自分の意思であんな金髪と付き合うわけがない。
本当は隣にいるのも嫌な思いをしているに違いない。
よし、俺が悪の手から救い出してやる!
俺は椅子を倒すほどの勢いで立ち上がると、ツカツカとそのカップルの元へと歩み寄った。
子爵でありながら、伯爵家以上の資産を持った
父、ランディー・ワーグナーの次男として生まれ、毎日が贅沢三昧の日々。
この国においては、それだけで勝ち組だろう。
それに加えて、俺は神に愛されたこの美貌があった。
焦茶色の髪に藍色の瞳。
何もしなくてもみんなが寄ってきてはチヤホヤしてきた。
生まれた時は今よりもっと黒味が強い瞳で、子爵家に神に愛された子が生まれたと王都中で話題になったらしい。
9歳上の兄・ライリーは赤い髪に青い瞳のいわゆる普通の男だったから、成長して俺の瞳の青色が多少強くなっていっても、ライリーに比べれば差は歴然だったしみんな変わらずにチヤホヤしてくれた。
俺が6歳の時、母が流行り病で亡くなった。
ちょうど同じ頃、オランディア王弟殿下が公爵位を賜り、当時未開の地だった現サヴァンスタック領を治めることになった。
母を亡くしたばかりの父は、母の想い出の残る王都にいるより、王弟殿下……今は公爵さまか……と共に開拓をお手伝いすると自ら申し出て、ライリーと共に王都からサヴァンスタック領へ移り住んだ。
わざわざ王都での仕事を捨ててまでどうなるものかもわからない開拓の手伝いを請け負うなんて、父はどうかしている。
俺は王都から離れてそんな未開の地に行くなんてまっぴらごめんだったから、王都の寄宿学校に通いたい、俺は騎士になりたいんだとなんとか理由をつけて1人王都に残った。
口煩い父も地味で目立たないライリーもいない寄宿学校での生活は楽で仕方なかった。
なんでって? わかるだろ、
みんながこぞって俺に媚びてくるんだ。
何せ、神に愛された美貌だからな、俺は。
やらなければいけない課題も仕事も、頼まなくても全てみんながやってくれる。
女も男も俺が声をかければホイホイやってくるし、
相手の方から股も尻も勝手に開いてくる。
自分ひとりで欲望を発散するなんてこと考えたこともない。
ああ、やっぱり顔がいいって最高だよな。
俺の人生は生まれた時から勝ち街道まっしぐらだ。
父やライリーとは成人を迎えるまでの9年間、たまに王都で会う以外ほとんど会うことはなかった。
それぐらいあんな田舎行く価値もなかった。
それなのに寄宿学校を卒業したと同時に、俺は父たちのいるこのサヴァンスタック領に連れて行かれた。
騎士試験に落ち、それならばと受けた文官の試験にも落ちた今、俺がわざわざ王都に残る理由を作れなかったからだ。
あーあ、俺みたいな美しい男が田舎に埋もれるなんて! とがっかりしていたが、着いてみれば荒れ果てているという噂の未開の地は影も形もなく、王都に負けず劣らずの綺麗な町が広がっていた。
なんだ、田舎なんて嘘じゃないか。
これなら最初から一緒に来てやっても良かったのに……。
父は公爵さまにいたく気に入られてるらしい。
よくライリーを引き連れ、公爵さまの屋敷に伺ったり、一緒に視察を回ったりしているらしい。
ふーん。あんな地味なライリーを連れ回すのなら、俺がついていったら公爵さまはもっと喜ぶに違いない。
そう思って、父に今度は俺も一緒に視察に同行すると言ったらダメだと一喝された。
『騎士試験にも文官試験にも落ちるような男を公爵さまに合わせられるわけがないだろう、夜会で挨拶させてやるからそれまでは大人しくしていろ』
そう言われた。
なんだよ、それならばただ父について回ってるだけのライリーだって同じじゃないか。
そう言ったのだが、父は決して首を縦には振らなかった。
ライリーのような地味な顔立ちで、身長も高い部類に入るそんな男は大したところと縁談もないだろう、美しい俺なら伯爵家どころか侯爵家との縁談だってくるかもしれない。
いや、公爵さまに好かれれば公爵さまとの縁談も有り得るだろう。
公爵さまに望まれるなら、俺は抱かれる方になったっていい。それくらい譲歩してやるさ。
俺のように美しい者と地味なライリー、どちらを公爵さまと縁を繋いでおいた方がいいかなんて子どもにだってわかるだろうに……。
父は昔からそうだった。
みんながライリーよりも俺をちやほやしてくれるのに、
父だけはいつも俺たち兄弟を同等に、
いや、逆にライリーの方を贔屓していたように思える。
たかが先に生まれただけで、
あいつが長男というだけで、
俺の方が将来有望なのにそのことに気づいてもない。
資産だけ持っていても、父はやっぱり無能だ。
だから、子爵どまりなんだよ。
ほんと、つまんねぇ。
それからしばらく経ってようやく夜会に招待された。
王室、もしくは公爵家主催の夏の夜会でのみ、自分の瞳の色の服を纏うのが国をあげての慣例となっている。
俺のような美しい色を持つ者などこの領地にはいないだろう。俺はまた注目の的だな。
想像するだけで顔がニヤけてくる。
俺は意気揚々と夜会用の服を仕立てに行くと、仕立て屋でもみんなが俺に擦り寄ってきた。
遊びならば好きなだけ遊んでやるが、俺の目当ては高位貴族だからな。庶民は遊び相手にしかならん。
ふっ。今から夜会が楽しみだ。
夜会の日。
父とライリーと共に入場したが、
俺の服を見て目の色を変えた男女にすぐに取り囲まれ、父とライリーとは別行動になった。
侯爵令息、伯爵令嬢、子爵令嬢、男爵令息、どれもこれもまぁ普通の見た目だな。
まあ、俺に釣り合うのは伯爵家以上だから、それ以下は遊びだな。
さすが公爵家主催の夜会だけあって、酒も料理もいい物出してるな。
みんながこぞって俺にいろいろ差し出してくる中、会場に一際大きな声が上がった。
どうやら公爵さまが入場したらしい。
この俺が顔さえ見せれば公爵さまもライリーより俺を贔屓にするはずだ。
俺の周りにいるやつらを押し除け、父の元へと向かう。
父は俺に何度も絶対に無礼な事だけはしてくれるなと注意してきたが、いくら俺だってそんなことするわけないだろう。
公爵さまへの挨拶の列が続く中、ようやく俺の順が来た。
目の前に現れた公爵さまを見て、正直笑った。
いやさすがに本人を前にしてではなく、心の中で。
そりゃあ、笑うだろ。
金色の髪に淡い水色の瞳だぞ。
どちらも光の加減によっては白にも見える。
瞳の色の服を纏うのが決まりなのに、服は瞳より随分と濃い青だ。
ははっ。せめてもの見栄ってか?
なるほど、王位継承権を放棄したのもこれが理由か。王弟で婚約者の来手も見つからないんだから、仕方ないよな。
ふっ。思わず小さな笑いが漏れてしまった。
公爵さまにその声が聞こえたのかわからないが、俺を見て目を見開き、悔しそうな表情をしているように見えた。
俺が羨ましいんだろうな。
王弟に生まれながら、この見た目。ほんと笑える。
見てみろ、挨拶に来たやつら媚びへつらっているが、裏ではみんな嫌悪感丸出しで嘲笑ってるだろ。
それからも、公爵さまの視察の同行には父とライリーが付き合った。
俺は公爵夫人になれるなら、我慢して横にいてやっていいんだが、見目の差がありすぎてもな。
公爵さまがお可哀想だし……ははっ。
それから数年経っても、公爵さまに婚約者ができたという話は聞こえなかった。
あの見た目ならそうだろう。
ライリーは少し前に同じ子爵令嬢と結婚した。
普通顔で少しぽっちゃりのほんとに普通の女。
まぁ、地味なライリーにはぴったりじゃないか。
俺はといえば、ある伯爵令嬢との縁談が持ち上がっていた。
相手は普通の見た目であるが、両親共に俺にぞっこんで結婚してくれればゆくゆくは俺に伯爵位を譲るとまで言ってくれている。
こんな絶好の機会、みすみす捨てるわけにはいかない。
いつもライリーの事ばかり褒め称える父も、今回の縁談ばかりは俺を褒めてくれた。
そんなある日、王都から寄宿学校時代の友達が遊びに来た。
男のくせにやたら甘党の友達、ダーウィンはこの町で一番人気なケーキ屋に行きたいのだという。
そこで、俺は庶民の間で流行っているという噂のケーキ屋に連れていった。
こいつは、俺より少し下くらいのまあまあ見た目の良い顔立ちをしていて、寄宿学校時代もよくモテていた。
卒業までにどっちが多くヤレるかなんて対決をしたほどの悪友だ。
(もちろん、俺が圧勝だったけど)
店に入ってケーキを食べていると、突然店内がざわめき始めた。
なんだ、この騒ぎは?
店内を見渡すと死角になる場所に座った1組のカップル、どちらも俺たちから顔は見えないが片方の髪が驚くほど白に近い金色だった。
ああ、このざわめきはあの金色のせいか……。
あんな髪色でよく堂々とこんな人の多い店に入れたな、もっと空気読めよ、そう思わずにいられなかった。
席に座った途端、もう片方の青い髪の子が店内を見渡し始めた。
普通髪か……と思った瞬間、目に飛び込んできたのはその子の瞳。
未だかつて見たことないほどの漆黒の瞳。
う、嘘だろ……あんな目の人間存在するのかよ……。
あの子こそ、まさに神に愛されし者。
俺の瞳なんてあれに比べれば、カスだよ、カス。
俺は一瞬であの子に一目惚れした。
と同時にあれほどの美人が何であんな金髪と!
その怒りで身体が震えた。
すると、周りから
『政略かな?』
『そうに決まってるだろ』
という声が上がる。
そうか、政略か。そうだよな。
あんな美人が自分の意思であんな金髪と付き合うわけがない。
本当は隣にいるのも嫌な思いをしているに違いない。
よし、俺が悪の手から救い出してやる!
俺は椅子を倒すほどの勢いで立ち上がると、ツカツカとそのカップルの元へと歩み寄った。
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