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第三章 (王都への旅〜王城編)
花村 柊 9−3※
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フレッドのその姿があまりにも美しくて、ぼくは自分でも気づかないうちに涙をぽろぽろと零していた。
「シュウ……」
フレッドが戸惑ったようにぼくの名前を呼ぶ。
ああ、ぼくも何かを返さなきゃ!
そう思っても涙が邪魔をして言葉が出てこない。
ぼくは差し出されたフレッドの左手を両手でそっと握った。
「ぼくも誓うよ。ぼくの全てはフレッドと共にあることを」
必死で紡いだ言葉は、たったこれだけだったけれど、フレッドは顔がクシャクシャになるほどに満面の笑みを見せ、ぼくをぎゅっと強く抱きしめた。
『ありがとう、愛してるよ』と耳元で何度も何度も繰り返した。
抱きしめていた腕の力が緩んだかと思うと、
フレッドの真剣で凛々しい顔が近づいてきた。
ああ、誓いのキスだ。
ぼくが目を瞑ると、柔らかで熱い唇がぼくの唇に重なった。
ぎゅっと強く抱きしめられながら、何度も下唇を啄まれる。
フレッドの唇の感触に浸ったところで、ゆっくりと唇が離された。
フレッドの喜びに満ちた綺麗な瞳が、ぼくの目に映る。
ああ、このまま深いキスをして欲しい……
その願いが通じたのか、フレッドはにっこりと笑ってぼくをそのまま押し倒してくる。
その瞬間、ぼくの目に眩しい太陽の光が差し込んできた。
ああっ!!
ここ、外だった!!
ぼくは途端に恥ずかしくなり慌てて顔を手で覆い隠した。
「どうした、シュウ?」
「フレッド、外じゃ……は、恥ずかしいよぉ」
「何を今さら……」
「だって……ル、ルドガーさんにも……きっと見られてる……」
こんな言い訳でフレッドに呆れられるかと思ったけれど、フレッドはぼくの頭を優しく撫でてくれた。
「本当にシュウは奥ゆかしいのだな。
前にも言ったが、使用人に気遣うことなどないのだぞ。まぁ、たしかにシュウのこの艶めかしい表情を他の奴に見せるのは勿体無いか……。ならば、馬車へ戻ろう。馬車の中ならいいだろう?」
ぼくが頷くのとほぼ同時に、フレッドは立ち上がりぼくを抱き抱えたまま、馬車のある方向へと歩き出した。
すると、荷馬車の前で御者のヨハンさんが警備兵のラルクさんと話をしている。
「どうした? 何かあったのか?」
「旦那さま。ヨハンがこの荷馬車の中から物音がすると申しております。失礼ですが、シュウさまのお荷物を確認させていただいても宜しいでしょうか?」
「シュウの荷物を? いや、いい。私が確認しよう。シュウ、ちょっと待っていてくれ」
ぼくをそっと腕から下ろした。
「ですが……旦那さま、危のうございます」
ラルクさんと一緒にぼくたちの後ろにいたルーカスさんも慌てて止めようとしたけれど、ぼくの荷物を触らせたくないと言い張って、フレッド自ら確認をし始めた。
そして、一つの籠を引っ張り出してきた。
「ここから音がしているようだな。
シュウ、この荷物に見覚えはあるか?」
「あ、うん。それはローリーさんに頼んで作ってもらった焼き菓子が入ってる籠だよ」
そういうと、フレッドは眉を顰めた。
「菓子にしては物音が聞こえるな。
シュウ、開けるぞ」
ぼくとルーカスさんたちが見守る中、フレッドが籠を開けると……中からピョーンと何かが飛び出てきた。
ぼくの腕に飛び込んできたのは…………ふわふわモコモコの白い物体。
「えーーっ? パール? なんで?!」
『キュンキューン』
驚くぼくの腕の中で、当のパールはしっぽをブンブン振ってすごく嬉しそうにしている。
その様子を見ていたフレッドは、
『はぁーー』っと、大きく溜め息をついていた。
「リンネルは神使と言われるだけあって、元々賢い動物なのだ。恐らく、シュウがいなくなることを察知して荷物に紛れ込んだんだな」
フレッドはルーカスさんたちと顔を見合わせて、どうしようかを考えているようだ。
もしかしたら、ラルクさんがお屋敷に連れて帰ったり……とか?
うーん、そんなのはいやだ。
でも、迫害対象である真っ白なリンネルを王都に連れて行くのは、もしかしたら危ないかもしれない。でも、でも……。
ぼくの目を見つめ続けるパールを離したくない、いや、離しちゃいけない……そう思った。
ぼくはパールを腕に抱いたまま、フレッドを見上げた。
「フレッド……パールも連れて行っちゃダメかな?」
『ぐぅっっ』
変な唸り声が聞こえたかと思ったら、フレッドはパッと目を逸らした。
「フレッド?」
周りを見ると、ルーカスさんもルドガーさんたちも真っ赤な顔でぼくから目を逸らした。
ああ、きっと連れて行くわけにはいかない!
って言われちゃうんだろうな。
それでも、ぼくは諦めきれなくてもう一度フレッドに尋ねてみることにした。
「ねえ……ダメ??」
フレッドの腕に縋って、お願いしてみると
なぜかフレッドの後ろに立っていたルドガーさん、ラルクさん、ヨハンさんが急に揃って前屈みになり、膝から崩れ落ちた。
ルーカスさんはそんな3人に
「お前たちは何やってるんだ!!」
と何故か怒っている。
フレッドもその3人を一瞥して、ぼくに向き直った。
「そ、そうだな。考えてみれば、シュウのいないあの屋敷にパールを置いておくのも心配であるし、一緒に連れて行くか」
「ほんと!!! フレッド、ありがとうーー!
大好き!!」
ぼくは喜びのあまり、フレッドに抱きつき頬にキスをした。
あっ……外なのにはしゃいじゃった……と思ったけれど、みんな顔を背けてくれてたので、見えてないかな?
フレッドもご機嫌な様子で、
「じゃあ、そろそろ出発するか」
と言って、ぼくを抱き抱えたまま馬車に乗せてくれた。
充分に休息を得て元気を回復したらしいオルフェルとドリューが馬車を引き、先へ先へと進んでいく。
開いている窓から、潮の香りと一緒に心地良い風を感じながら、2頭のパカラッパカラッという軽快な足音が聞こえて来る。
ああ、のどかだなぁ。
腕の中のパールの温もりに加え、お昼を食べ過ぎて満腹なぼくは、その軽快なリズムについ眠気を誘われる。
そんなぼくを見て、いつもならそのまま寝かせてくれるはずのフレッドだけれど、今日は違った。
「パール、あの籠に入っていろ」
パールの目を見つめて低い声で指示をすると、
パールは『クゥンクゥン』と軽く声をあげ、ぼくの腕の中からスポッと抜け出て、さっきまで入っていた籐の籠へと自ら大人しく入って行った。
フレッドはぼくをそっと隣に下ろし、パールの籠へと移動した。
そして、パールと何かお喋りをしてからその籠の蓋を閉めると、今度は御者台にいる者と話ができる小窓(向こうからは開かない)を開け、小声で何かを指示をしてからパールの入っている籠をルドガーさんに手渡した。
フレッドはニコニコしながら、ぼくの元へと戻ってきていつものようにぼくを向かい合わせに膝に座らせた。
「やっと、ふたりっきりになれたな。馬車に乗っている間、シュウの鬘を外しておいても良いだろうか?」
「あ、そうだね。ちょっと待ってね」
ぼくはウィッグを留めているピンをひとつずつ外しながら、気になっていたことを聞いてみた。
「ねぇ、さっきパールと何を話してたの?」
「んっ? いや……、あの、リンネルは暗い場所を好むからあんまり明るい場所にいすぎて疲れてたみたいだったから、少し休ませようと思って……」
「ああ、そっか。フレッドは優しいんだね。ふふっ」
ぼくが笑うと、フレッドはホッとした表情をみせ、ウィッグを外した髪にそっと触れた。
「ああ、シュウ。青い髪も似合うが、やっぱり私はいつものシュウの髪が好きだな。サラサラとして、私の手に馴染んでいる」
「じゃあ着くまではウィッグつけないでいるね」
だからもっと撫でていて欲しい……そう頼んだら、フレッドは嬉しそうに優しく撫でてくれた。
ひとしきり撫でていると、フレッドがおずおずと口を開いた。
「なぁ、シュウ……さっきの続きをしても良いだろうか?」
「さっきの続きって……えっ? あれ?」
ぼくの言葉にフレッドが大きく頷く。
「で、でもルドガーさんたちに聞こえたり、見られたりしないかな?」
「それは気にしないでいい。馬車の中の声は外には漏れないし、中も見えないから。シュウ……良いだろう? 口付けだけで、他には何もしないから」
そう食い気味に言われると、ぼくも思わず『うん』と頷いてしまっていた。
その瞬間、ぼくは座席に押し倒されていた。
下から見るフレッドの顔は飢えた獣のようにギラギラとした目をしていて、でもそれが怖いというより、格好良くてぼくはついドキドキしてしまった。
やっぱり、フレッドって格好いい。
ああ、好きだな……。
フレッドがぼくの頬から首筋を優しく撫でていく。
それがくすぐったいのに、なぜかもっと触って欲しくてたまらなかった。
何度も何度も同じところばかりを撫でてくるフレッドに焦れて、ぼくはフレッドの手をそっと掴んで自分の唇に当て、指先にキスをした。
フレッドはピクっと身体を震わせると、ニヤリと笑って今度はフレッドがぼくが掴んでいた手を自分の唇に当て、指先にキスをした。
「シュウから強請られたら、口付け以外もしていいか?」
そんな言葉にドキドキしていたぼくは、
また『うん』と頷いてしまった。
それが、合図だった。
さっき指先に当たった唇が今度はぼくの唇に重なっていた。
フレッドが後頭部を支えているから、ぼくは頭を動かすこともできない。
何度も何度も下唇を啄まれ、気づけばぼくの口腔内にフレッドの熱い舌が入り込んでいた。
「……ん……っ、ふっ……ん」
ぼくはいつもよりも激しいフレッドのキスに応えたくて、フレッドの首に両手を回した。
隙間なくくっついた身体がもっと一つになるように強く抱きしめる。
「……はぁ……っ、んっ……ふ……ぅ」
舌が絡み合って気持ちいい……。
唾液もこんなに甘く感じるのは唯一だからなのかなとぼくはキスをしながら、快感に惚ける頭でそんなことを考えていた。
フレッドはキスを続けながら、器用にぼくのジャケットのボタンを外し、中のシャツのボタンまで外していく。
ああ、ぼくこんなところで脱がされてる。
明るい窓からは美しい田園風景が流れて行くのが見えて、こんなところで恥ずかしいという思いがあるのにフレッドの手を止めることもできない。
それはフレッドの力に屈しているわけではなく、脱がして欲しい、もっと触ってほしいと思っているぼくがいるからだ。
抵抗しないぼくが、心の中で強請っていることにフレッドも気づいたんだろう。
『シュウから強請られたら、口付け以外のこともしていいか』
さっき言われた言葉が頭をよぎる。
馬車の中でキス以外のこともされちゃうなんて……
そんなことを考えるだけで、興奮してしまう。
すでに胸の尖りがぷっくり膨らんでしまっているのは外気に触れたせいだけではない。
それがわかっているフレッドは指の腹で優しく撫でていく。
「あ……ぁん、やぁ……っ」
言葉とは裏腹にその刺激が気持ちよくて、フレッドに胸を押し当てるように身体を反らせてしまう。
フレッドはぼくの反応が嬉しいのか、嬉しそうに笑うと、唇を離し、ぼくの胸の尖りを肉厚な舌でぺろっと舐めた。
「ひゃ……あっ……ん」
その瞬間、電流が身体を通過したような痺れが走った。
「ああ、シュウ……かわいい。
もっと、声を聞かせて……」
「は……ぁ、ん、もっ……と……」
「ああ、かわいがってやる」
片手で胸の尖りを弄りながら、もう片方の胸の尖りに吸い付いたり、甘く噛んだり、舐め尽くしたり……ぼくの言葉にフレッドの刺激がどんどん強くなっていく。
その刺激に耐えきれずにぼくの中心がどんどん勃ち上がっていくのが分かった。
でも、ここは馬車の中。
まさか、ここでそれまで出すわけには……と思っていたけれど、フレッドは何の気にも止めずにぼくのズボンのボタンを手早く外し、下着の前も露わにしていく。
下着から飛び出したモノが外気に触れ寒いからなのか、それともこれから起こることの期待なのか、
ピクピクと震えながら、どんどん勃ち上がっていく。
ああ、フレッドの大きな手に包まれるんだ……。
そう思った時、ぼくのモノがもっと温かいものに包まれた。
まさか? と下を見ると、フレッドがぼくの股間に顔を埋めていた。
フレッドの大きな口にぼくのモノはすっぽりと入り、先端から根元まで、さっきまでぼくの口腔内を蹂躙していたあの分厚い舌で舐め尽くされていく。
フレッドの舌先が先端を抉るその刺激に、腰がブルっと震えてしまう。
「あぁ……っ、ん、あ……っ、あ」
フレッドが唇を窄めて顔を上下に動かすたびに、じゅぷじゅぷと淫らな音が車内に響く。
「……ん……っ、ああっ、フレ……ッド、きもち
い、い……っ」
ぼくは快感に悶えながら、フレッドの綺麗な金色の髪に手を伸ばしていた。
サラサラとしたフレッドの髪を撫でていると、
フレッドの舌の動きが速まった。
「ああ……っ、ああ……っ、イっ、ちゃう……イク、ぅ…………」
『ビュク、ビュク、ビュル』
達した瞬間、身体の奥から弾けた熱がどんどん吸い込まれていく。
ああ、フレッドが飲んでるんだ……ぼくの蜜……。
一度知ったら、もう飲まないなんて選択肢などあり得ないあの甘い甘い蜜の味。
頭がぼーっとするほどの快感にぼんやりと下を覗くと、フレッドがコクンと喉を鳴らしながら、蕩けるような笑顔で嬉しそうにぼくの蜜を飲んでいた。
「フ……レッド、だ、いすき……」
そう伝えると、ぼくはそのまま眠ってしまった。
「……ウ、シュウ……」
遠くの方でフレッドの優しい声が聞こえる。
なんだ……これ、夢?
「シュウ……そろそろ起きれるか?」
うん。やっぱり夢だ。
フレッドはぼくを起こしたりしない。
いつもぼくが自分から目が覚めるまで寝かせておいてくれるもんね。
そっか。夢なら、めいっぱい甘えちゃおう。
「……やぁ……っ、ちゅーしてくれないと起きれない……」
「えっ??」
んっ? なかなかしてくれないな。
ぼくの夢なのに……。くすん、寂しいよ……。
「ちゅー、しないと……起きない、よ……」
そう言って唇を突き出してみると、ゆっくりと温かな唇が重なり合った。
ああ、ちゅーしてくれたんだ。
ふふっ。良い夢だぁ……。
せっかくだし……と、下唇をはむはむと噛んでみると、突然口の中に何かが入ってきた。
驚いて目を開けると、フレッドと目が合った。
しかも、唇を重ね合わせたままで。
もしかして、あれ夢じゃなかった??
うわぁーっ、恥ずかしい……。
慌てて唇を離すと、
「なんだ、もう終わりなのか? せっかくシュウからのおねだりだったのに、もったいなかったな」
と笑いながら、フレッドが抱きしめてくれた。
「ふふっ。おはよう。目が覚めて良かった。悪い、シュウが可愛くてつい止められなくて……。ベッドでなかったから、どこか身体が痛いところはないか?」
「えっ?」
その瞬間、先ほどまでの馬車の中での痴態を思い出した。
途端に顔が真っ赤になってしまい、慌てて頬を両手で覆った。
フレッドはそんなぼくを見ながら、嬉しそうに笑っていた。
「そろそろ、今日の宿に着くから鬘をつけてもらえるか?」
「う、うん。わかった」
ぼくは急いでウィッグをつけながら、フレッドに尋ねた。
「ごめんね、ぼく寝ちゃってたんだね。1人にしちゃってつまらなかったでしょ?」
「いいや、シュウの寝顔を見ていたら、時間なんてあっという間だったよ。あんな幸せな時間を与えてもらえた上に、あんなにかわいいおねだりまでされて逆に御礼が言いたいくらいだ」
「もう! さっきのは忘れてよー!」
ぼくが恥ずかしくてムゥと膨れると、フレッドは『はっはっ』と笑って、青い髪をそっと撫でた。
外はもう真っ暗になっている。
相当長い時間眠ってしまって、挙げ句の果てに寝ぼけて変なことまでしてしまったのになんにも怒りもせずに、お礼が言いたいだなんて冗談まで言ってぼくに優しい言葉かけてくれるフレッドって……本当に紳士的だよね。
今日の宿は、周りを木々に囲まれた煉瓦造りの落ち着いたホテル。見た目はホテルというより、豪華な洋館と言った造りだ。フレッド曰く、このホテルは一部屋、一部屋が広々としているから、部屋数は10部屋ほどしかなく、ゆったりと過ごせるらしい。
さすが、公爵家御用達のホテル!!
しかも、今日は貸切なんだって。
びっくりだよね。
シュウは疲れているだろうから、今日はすぐに部屋に行こう……
そう言われて連れて行かれた部屋は、なんだかフレッドのお屋敷に感じが似ていた。
うーん、落ち着くなぁ。
ルドガーさんがぼくたちの寝室のベッド横にパールの寝床を作ってくれたので、ぼくが今日使っていたタオルを敷いてあげると喜んでそこに飛び乗っていた。
食事を済ませ、部屋に付いている大きな岩風呂でフレッドといちゃいちゃしながら身体を洗い、大きなベッドに横たわった。
あれだけ眠っていたから、眠くならないと思っていたけれど、どうやら馬車での旅は思った以上に疲れるらしい。
フレッドに包まれながら、ベッドに横たわっているとだんだんと目が閉じてくる。
「シュウ……どうだった? 今日は楽しかったか?」
「……うん、たのし、かったよ……。
フレ、ッドのちかいの……ことばも、きけて……うれしかった……」
「そうか。ふっ。ゆっくりおやすみ」
「……ん、おや、すみ……」
唇に優しい温もりを感じながら、ぼくは眠りについた。
馬車での旅も今日で5日目。
王都まであと半分ほどだ。
天候もずっと良くて、これなら予定通りに着きそうだとフレッドが言っていた。
今日は大きな湖の近くを通る予定で、フレッドとアンジーに乗って少し散策出来るんだ。
アンジーに乗せてもらうのは初めてだし、
何よりフレッドが馬に乗っているのを見られるのがすごく楽しみだ。
今日もオルフェルとドリューの軽快な足取りで、難なく目的の湖の畔にやってきた。
パールをどうしようかと思ったけれど、アンジーに乗って散策するときは危ないので馬車の中でお留守番をしてもらうことにした。
まぁ、パールはあの籠が気に入っているみたいで、食事をするとき以外はぼくのタオルを敷いたあの中に機嫌良く入っているから、大丈夫かな。
フレッドに抱き抱えられ馬車を降りると、青々とした木々に囲まれ、そよそよと吹く風に乗って遠くに鳥の囀りも聞こえてきた。
わぁ……、癒される。
「シュウ、周りを散策してみよう」
そういうと、ルーカスさんが二人乗り用の鞍をつけたアンジーを連れてきてくれた。
アンジーはぼくとフレッドの方に顔を向けると、
尻尾を大きく振りながら、高い声で『ヒヒーーン』と嘶いた。
ぼくは大きな声に驚いたけれど、
フレッドが『あれは喜んでいる時の行動なんだよ』と教えてくれた。
そうなんだ、アンジーも嬉しいんだ。よかった。
ぼくも嬉しくなってアンジーに駆け寄り、
「アンジー、今日はよろしくね」
と顔を撫でながら挨拶すると、アンジーはぼくに擦り寄ってきて長い舌でぼくの指をペロペロと舐めた。
「わぁ、くすぐったいよ。ふふっ」
アンジーと戯れていると、フレッドがすぐにぼくの手をアンジーから引き離した。
そして、真剣な顔つきで
「シュウは私のものだから勝手に舐めることは許さないぞ」
とアンジーに向かって話をしている。
アンジーは……といえば、フレッドの言葉を理解しているのかいないのか、少し顔を俯かせて謝っているようにも見える。
アンジーにはフレッドの言葉がわかるんだろうか……?
それにしても、フレッドはちょっとヤキモチを妬きすぎだよ。
アンジーが手を舐めるくらい、かわいいスキンシップなのにな……。
そんなことを言ったら、きっと……スキンシップなら私もずっとシュウの手を舐めていてもいいだろう……なんて言われそうだから、黙っていようっと。
しばらくの間、アンジーはご機嫌斜めな様子だったけれどルドガーさんが、アンジーに餌を持ってきてくれて食べさせると機嫌が良くなったみたいだ。
フレッドが先に馬に乗り、ぼくの手を引いて乗せてくれた。
アンジーの背中はエイベルやラリーより随分高くてぼくは緊張したけれど、
フレッドが『大丈夫だ。私に寄り掛かるといい』
と言って、後ろから抱きしめてくれた途端に安心感でいっぱいになった。
ぼくとフレッドを乗せたアンジーの後ろから、警備のルーカスさんも馬に乗ってついてくる。
「少し足を速めるぞ」
フレッドが手綱を操ると、アンジーはパカラッパカラッと気持ちよさそうに駆け出した。
「うわぁ、風が気持ちいい。景色が流れていくよ」
ぼくは初めて見る風景に感嘆の声を上げた。
フレッドは湖を周回してから、森の中へと進んでいく。
「フレッド、どこに行くの?」
「シュウを連れて行きたい場所があるんだ」
「わぁ、どこだろう! 楽しみだな」
森の中をどれくらい進んだだろう。
木々で囲まれた空間に、突然広場が現れた。
「えっ? なに、ここ……なんでここだけ?」
太陽の光が木々に遮られずに地面へと注がれているので、そこだけが異様に明るい。
驚くぼくを横目にその光の降り注ぐ広場の真ん中でフレッドはアンジーの手綱を引き止まらせた。
「シュウ、ここで降りよう。ここから先は馬では行けないんだ」
フレッドはそう言うと、ひらりとアンジーの背中から降り、ぼくを抱き抱えて降ろしてくれた。
「ルーカス、あっちで待っていてくれ」
「はい。旦那さま」
ルーカスさんはアンジーを連れ、もと来た道を辿り、広場から少し離れた木に2頭の馬を繋ぎ、ぼくたちに背を向けて立っていた。
「シュウ、こっちだ」
フレッドに手を引かれ広場から真っ直ぐに伸びた細い道を進んで行く。
10分ほど歩いただろうか。
フレッドが立ち止まった場所には、地底の岩からもくもくと綺麗な水が湧き出ている小さな泉があった。
差し込んだ陽の光が泉に反射して、なんだかとても神々しい雰囲気を放っている。
「フレッド、ここは?」
「ここは神の泉だ。ここで神への誓いの言葉を述べ、神に認められた者には神からの祝福が届くという伝説がある」
「神さまからの祝福……」
「ああ、実際に神から祝福が届いたものに会ったことはないがな。
これがただの迷信であったとしても、ここが我々オランディア国民にとっては特別な場所なのだ。
私はシュウへの生涯変わらぬ愛を神の御前で誓いたくてシュウをここに連れてきたんだ。聞いてくれるか?」
フレッドの真剣な眼差しに、ぼくも真剣に
『お願いします』と答えた。
フレッドは乗馬用の手袋を外し、大きく深呼吸をした。
そして、ゆっくりと片膝をついて右手を胸に当て、左手をぼくに差し出した。
足は地面にちゃんとついているのに、ふわりと身体が浮かび上がっていくような不思議な感覚がする。
とてつもない緊張感が漂う中、フレッドはぼくをじっと見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
「オランディア王国 唯一神 フォルティアーナよ。
私 フレデリック・ルイス・サヴァンスタックは、ハナムラ・シュウを伴侶とし、自分の命を賭して護り、慈しみ、尊い、生涯変わらぬ愛を……今、ここに誓う」
フレッドのぼくへの強い愛を感じながら、ぼくは差し出された手を取った。
「ありがとう、フレッド。
ねぇ、ぼくもここで誓っていいかな?」
「シュウが誓ってくれるならば、これ以上に幸せなことはないが……でも、良いのか?」
不安げな顔をするフレッドを笑顔でかわし、ぼくもフレッドと同じように誓いのポーズを取った。
ぼくがゆっくりと片膝をつくと、フレッドがスッと立ち上がった。
緊張で早鐘が鳴ったようにドキドキする心臓を落ち着かせるように、大きくゆっくりと深呼吸してフレッドを見上げると、フレッドは優しい眼差しでぼくを見つめていた。
その表情を見ると途端に気持ちが落ち着いてきた。
神さまの名前から言うんだよね。ふぅ……よし。
ぼくは右手を胸に当て、左手をフレッドに差し出し、ゆっくりと口を開いた。
「オランディア王国 唯一神 フォルティアーナよ。
ぼく、ハナムラ・シュウはこの国の人間ではありません。だから、神さまに誓いを立てることは本来ならば許されないことなのかもしれません。
それでも、ぼくは神さまに誓いたい。
もしかしたら、神さまのお陰でフレッドに会えたのかもしれないのだから。
愛を知らずに生きてきたぼくにフレッドという素晴らしい人を与えてくれてありがとうございます。
フレッドと出会って、人を愛し、人に愛される喜びを知りました。
ぼくもこの命を賭して、フレッドを護ります。
そして、生涯フレッドだけを愛し続けることを……
神さまとフレッドに誓います」
正式な誓いの言葉があるんだろうけど、なんて言ったらいいのか分からなくて、ぼくはフレッドへの思いの丈を天にいるであろう神さまにぶつけた。
「シュウ……ありがとう」
フレッドが涙を流しながら、ぼくの左手を取った瞬間、目が眩むほどの光が空から泉へと注がれていく。
「うわぁーーっ、眩しい!!」
目を開けていられないほどの眩しさに2人で目をぎゅっと瞑った。
しばらく経って恐る恐る目を開けると、眩しい光は跡形も無く、元の緑に囲まれた泉の前に佇んでいた。
「なんだったんだろうね、あの光……」
「ああ、シュウはなんともないか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか、良かった。あれ……っ?」
フレッドが目線をぼくに下げた瞬間、驚愕の表情をした。
「フレッド、どうしたの?」
「シュウ……ほら、あれを見てごらん」
フレッドが指差す方を見ると、泉の底の水が湧き出ているところがボーっと光を放っている。
「あれはなんだろう? さっきまではあんなのは無かったはずだが……。シュウ、ちょっと見てくる」
「大丈夫??」
「ああ、任せておいてくれ」
そう言って、フレッドは裸足になってザブザブと泉の中程に進んでいく。
そして、腕を中につきいれ光を放っていたものを掴むとぼくの元へと戻ってきた。
ぼくは持っていたハンカチで急いで腕を拭いてあげると、フレッドは『ありがとう』と言ってくれた。
そして、ゆっくりと手を広げると、中には石が2個入っていた。
「これは石?」
「いや、宝石のようだな」
フレッドはそっとその石を持ち上げ、太陽の光に当てるとそれはキラキラと光を放った。
「黒い方は黒金剛石、そして水色の方は恐らく、藍玉だろう」
「宝石……。なんでこんなところに?」
「シュウ、もしかしたらこれが……神からの祝福じゃないだろうか?」
「ええっ?」
これが神さまからの祝福……。
そうか、ぼくたちは認められたんだ!!!
嬉しい! 嬉しい!! 嬉しい!!!
ぼくたちの想いが神さまに認められたってことは、きっともうぼくは元の世界に帰ることはないはずだ!
そうしたら、ずっとフレッドと一緒に居られるんだ!
いつかまた知らない間に戻ったりすることがあるんじゃないかって心の中でいつも怯えてたから、フレッドとずっと一緒に居られることがなによりも嬉しい。
「これ、ぼくたちの瞳の色みたいだね」
「ああ、そういえばそうだな」
「これを指輪かピアスにしてお互いに肌身離さず付けようよ」
「それは良い考えだな! シュウはどちらが良い?」
「ぼくの住んでいたところでは、結婚したらにお互い左手の薬指に指輪をつけるんだけど、ピアスも素敵だよね。うーん、どうしようかな。悩んじゃうな……」
「そうだな。シュウにはどちらも似合いそうだ」
「フレッドにもどちらも似合うから、悩んじゃうな」
嬉しい悩みに、2人で顔を見合わせて笑った。
「そろそろ戻るか」
フレッドのその言葉にぼくたちは神さまの泉を後にした。
「またいつかフレッドとここに来たいな」
「ああ、そうだな。神からいただいた宝石を身につけて、私たちが幸せでいることを報告しにくるとしよう」
「うん。楽しみだね」
もと来た道を戻り、あの広場につくと
フレッドは『ルーカス』と大声で呼んだ。
すると、その声にルーカスさんは
慌てふためいた様子で駆け寄ってきた。
「旦那さま、シュウさま! ご無事で何よりでございます」
そう言うと、ルーカスさんはフラフラと地面に崩れ落ちた。
「どうしたんだ、ルーカス! 大丈夫か?」
そのあまりにも冷静さを失った様子にフレッドはルーカスさんに駆け寄った。
「も、申し訳ございません。おふたりが神の泉へと行かれましてから、5時間ほどの時間が経っておりまして……」
「なっ? 5時間?」
「本当にご無事でようございました」
涙を流して安堵した表情を見せるルーカスさんの横で、ぼくは神の泉の方を振り返った。
その時強い風が吹き、葉がザザァと音を立てて揺れ、その音に乗じて
『シュウ……愛されて幸せになりなさい』
男性とも女性とも言えぬ穏やかな声がぼくの耳にスッと入ってきた。
「い、今のは……?」
「んっ? シュウ、どうした?」
あんなにはっきりとした声だったのにフレッドには聞こえていなかったみたいだ。
きっと神さまがぼくたちを見守ってくれているんだ、そう信じて、ぼくはさっきの言葉を自分の胸の中に留め、
「ううん、何でもない。みんなが心配しているだろうから戻ろう」
とフレッドに声を掛け、ルーカスさんに
『心配かけてごめんなさい』と謝った。
フレッドはぼくをじっと見つめた後、
同じように『心配かけたな』とルーカスを労って、アンジーに乗ってみんなの元へと戻った。
湖の畔では同じようにみんなが心配してくれていたが、ぼくたちの姿を見て一様に涙を見せて喜んでくれた。
『ああ、ぼくはフレッドだけでなく、みんなに愛されて幸せです。ありがとうございます』
と心の中で神さまにお礼を言った。
「シュウ、疲れただろう。馬車に入ろう」
自分も疲れているだろうに、さっと抱き抱えて馬車へと乗り込んだ。
パールはぼくの気配を感じたのか、籠の蓋を開け、ピョコンと顔を出しぼくの胸へと飛び込んできた。
「ああ、パールも心配してくれてたの? ありがとう。ねぇ、聞いて! 今日ね、すごいことがあったんだよ」
ぼくがそう言うと、パールは耳をピコピコと動かして
『キュンキューン』と声を上げた。
さすが神使だ。何かに気づいたらしい。
パールはいつもならぼくの胸から離れようとしないのに、今日は進んでぼくのところからフレッドの胸へと飛び込んでいった。
「うわぁっ、なんだ?」
驚くフレッドを横目にパールはフレッドの上着の中に鼻先を突っ込んで『クゥンクン』と鳴いている。
「ちょ、ちょっと待て!」
フレッドが片手でパールを押さえ、もう片方の手で上着の内側のポケットに仕舞ったぼくのハンカチを取り出した。
「これか?」
『キュンキュン』
フレッドがハンカチをそっと広げると、そこにはキラキラと輝くあの宝石があった。
「やっぱり綺麗だね」
「ああ、この国でも宝石は採れるが、ここまで輝く物は見たことがない。やはりこれは、肌身離さず身につける守護石にした方がいいな」
「うん。そうだね。だったら、やっぱりピアスが良いかな。顔に近いし目立つもんね」
「ああ、そうだな」
フレッドはそう言うと、黒い石をぼくの耳元にあてがった。
「違うよ、フレッド」
「えっ?」
「ぼくはこっちだよ」
アクアマリンの方を指さすと、フレッドは驚いた表情で
「黒はシュウの色だろう。とてもよく似合っている」
「ううん、お互いの色を身につけたいんだよ。だから、ぼくがこっちで、フレッドはぼくの色ね!」
ウインクしながら、そう言うとフレッドは
「しかし、私が黒をつけるのは…………」
困ったように黒い石を見つめた。
よぉし!
「そっか……。フレッドはぼくの色を身につけるのがイヤなんだ……。ぼくのことが嫌いになっちゃったんだ……。うぅ……っ、うっ」
ぼくが泣き真似をすると、フレッドは慌ててぼくを抱きしめた。
「そ、そんなことある訳がないだろう! シュウの色を身につけられるならそれはこの上ない幸せだ! ああ、シュウ……泣かないでくれ」
「ふふっ。なら、つけてくれるよね?」
ぼくがにっこり笑顔で顔をあげると、フレッドは
『ああ、良かった……』と安堵の表情を浮かべ、
「ああ。王城に着いたら、信頼のおける腕利きの宝石彫刻師を呼ぼう。そして、お互いの色を身に纏おう」
と約束してくれた。
「わぁーい、フレッド大好きだよ」
ぼくはフレッドの頬に『ちゅっ』とお礼のキスをした。
えへへと笑ってフレッドを見ると、
『ここにも頼む』と自分の唇を指でトントンと指し示している。
もう、自分から奪ってくれればいいのに……。
ぼくからするの恥ずかしいんだからと思っていると、ぼくの心を読んだように
「シュウからして貰えるのが嬉しいんだ」
と訴えてくる。
ぼくは『もう、仕方ないなぁ』と言いながら、フレッドの唇に自分のそれをゆっくりと重ね合わせた。
それは次第に深いキスへと変わっていく。
パールの『クゥンクゥン』という声を聞きながら、ぼくはフレッドとの甘いキスに酔いしれていた。
「シュウ……」
フレッドが戸惑ったようにぼくの名前を呼ぶ。
ああ、ぼくも何かを返さなきゃ!
そう思っても涙が邪魔をして言葉が出てこない。
ぼくは差し出されたフレッドの左手を両手でそっと握った。
「ぼくも誓うよ。ぼくの全てはフレッドと共にあることを」
必死で紡いだ言葉は、たったこれだけだったけれど、フレッドは顔がクシャクシャになるほどに満面の笑みを見せ、ぼくをぎゅっと強く抱きしめた。
『ありがとう、愛してるよ』と耳元で何度も何度も繰り返した。
抱きしめていた腕の力が緩んだかと思うと、
フレッドの真剣で凛々しい顔が近づいてきた。
ああ、誓いのキスだ。
ぼくが目を瞑ると、柔らかで熱い唇がぼくの唇に重なった。
ぎゅっと強く抱きしめられながら、何度も下唇を啄まれる。
フレッドの唇の感触に浸ったところで、ゆっくりと唇が離された。
フレッドの喜びに満ちた綺麗な瞳が、ぼくの目に映る。
ああ、このまま深いキスをして欲しい……
その願いが通じたのか、フレッドはにっこりと笑ってぼくをそのまま押し倒してくる。
その瞬間、ぼくの目に眩しい太陽の光が差し込んできた。
ああっ!!
ここ、外だった!!
ぼくは途端に恥ずかしくなり慌てて顔を手で覆い隠した。
「どうした、シュウ?」
「フレッド、外じゃ……は、恥ずかしいよぉ」
「何を今さら……」
「だって……ル、ルドガーさんにも……きっと見られてる……」
こんな言い訳でフレッドに呆れられるかと思ったけれど、フレッドはぼくの頭を優しく撫でてくれた。
「本当にシュウは奥ゆかしいのだな。
前にも言ったが、使用人に気遣うことなどないのだぞ。まぁ、たしかにシュウのこの艶めかしい表情を他の奴に見せるのは勿体無いか……。ならば、馬車へ戻ろう。馬車の中ならいいだろう?」
ぼくが頷くのとほぼ同時に、フレッドは立ち上がりぼくを抱き抱えたまま、馬車のある方向へと歩き出した。
すると、荷馬車の前で御者のヨハンさんが警備兵のラルクさんと話をしている。
「どうした? 何かあったのか?」
「旦那さま。ヨハンがこの荷馬車の中から物音がすると申しております。失礼ですが、シュウさまのお荷物を確認させていただいても宜しいでしょうか?」
「シュウの荷物を? いや、いい。私が確認しよう。シュウ、ちょっと待っていてくれ」
ぼくをそっと腕から下ろした。
「ですが……旦那さま、危のうございます」
ラルクさんと一緒にぼくたちの後ろにいたルーカスさんも慌てて止めようとしたけれど、ぼくの荷物を触らせたくないと言い張って、フレッド自ら確認をし始めた。
そして、一つの籠を引っ張り出してきた。
「ここから音がしているようだな。
シュウ、この荷物に見覚えはあるか?」
「あ、うん。それはローリーさんに頼んで作ってもらった焼き菓子が入ってる籠だよ」
そういうと、フレッドは眉を顰めた。
「菓子にしては物音が聞こえるな。
シュウ、開けるぞ」
ぼくとルーカスさんたちが見守る中、フレッドが籠を開けると……中からピョーンと何かが飛び出てきた。
ぼくの腕に飛び込んできたのは…………ふわふわモコモコの白い物体。
「えーーっ? パール? なんで?!」
『キュンキューン』
驚くぼくの腕の中で、当のパールはしっぽをブンブン振ってすごく嬉しそうにしている。
その様子を見ていたフレッドは、
『はぁーー』っと、大きく溜め息をついていた。
「リンネルは神使と言われるだけあって、元々賢い動物なのだ。恐らく、シュウがいなくなることを察知して荷物に紛れ込んだんだな」
フレッドはルーカスさんたちと顔を見合わせて、どうしようかを考えているようだ。
もしかしたら、ラルクさんがお屋敷に連れて帰ったり……とか?
うーん、そんなのはいやだ。
でも、迫害対象である真っ白なリンネルを王都に連れて行くのは、もしかしたら危ないかもしれない。でも、でも……。
ぼくの目を見つめ続けるパールを離したくない、いや、離しちゃいけない……そう思った。
ぼくはパールを腕に抱いたまま、フレッドを見上げた。
「フレッド……パールも連れて行っちゃダメかな?」
『ぐぅっっ』
変な唸り声が聞こえたかと思ったら、フレッドはパッと目を逸らした。
「フレッド?」
周りを見ると、ルーカスさんもルドガーさんたちも真っ赤な顔でぼくから目を逸らした。
ああ、きっと連れて行くわけにはいかない!
って言われちゃうんだろうな。
それでも、ぼくは諦めきれなくてもう一度フレッドに尋ねてみることにした。
「ねえ……ダメ??」
フレッドの腕に縋って、お願いしてみると
なぜかフレッドの後ろに立っていたルドガーさん、ラルクさん、ヨハンさんが急に揃って前屈みになり、膝から崩れ落ちた。
ルーカスさんはそんな3人に
「お前たちは何やってるんだ!!」
と何故か怒っている。
フレッドもその3人を一瞥して、ぼくに向き直った。
「そ、そうだな。考えてみれば、シュウのいないあの屋敷にパールを置いておくのも心配であるし、一緒に連れて行くか」
「ほんと!!! フレッド、ありがとうーー!
大好き!!」
ぼくは喜びのあまり、フレッドに抱きつき頬にキスをした。
あっ……外なのにはしゃいじゃった……と思ったけれど、みんな顔を背けてくれてたので、見えてないかな?
フレッドもご機嫌な様子で、
「じゃあ、そろそろ出発するか」
と言って、ぼくを抱き抱えたまま馬車に乗せてくれた。
充分に休息を得て元気を回復したらしいオルフェルとドリューが馬車を引き、先へ先へと進んでいく。
開いている窓から、潮の香りと一緒に心地良い風を感じながら、2頭のパカラッパカラッという軽快な足音が聞こえて来る。
ああ、のどかだなぁ。
腕の中のパールの温もりに加え、お昼を食べ過ぎて満腹なぼくは、その軽快なリズムについ眠気を誘われる。
そんなぼくを見て、いつもならそのまま寝かせてくれるはずのフレッドだけれど、今日は違った。
「パール、あの籠に入っていろ」
パールの目を見つめて低い声で指示をすると、
パールは『クゥンクゥン』と軽く声をあげ、ぼくの腕の中からスポッと抜け出て、さっきまで入っていた籐の籠へと自ら大人しく入って行った。
フレッドはぼくをそっと隣に下ろし、パールの籠へと移動した。
そして、パールと何かお喋りをしてからその籠の蓋を閉めると、今度は御者台にいる者と話ができる小窓(向こうからは開かない)を開け、小声で何かを指示をしてからパールの入っている籠をルドガーさんに手渡した。
フレッドはニコニコしながら、ぼくの元へと戻ってきていつものようにぼくを向かい合わせに膝に座らせた。
「やっと、ふたりっきりになれたな。馬車に乗っている間、シュウの鬘を外しておいても良いだろうか?」
「あ、そうだね。ちょっと待ってね」
ぼくはウィッグを留めているピンをひとつずつ外しながら、気になっていたことを聞いてみた。
「ねぇ、さっきパールと何を話してたの?」
「んっ? いや……、あの、リンネルは暗い場所を好むからあんまり明るい場所にいすぎて疲れてたみたいだったから、少し休ませようと思って……」
「ああ、そっか。フレッドは優しいんだね。ふふっ」
ぼくが笑うと、フレッドはホッとした表情をみせ、ウィッグを外した髪にそっと触れた。
「ああ、シュウ。青い髪も似合うが、やっぱり私はいつものシュウの髪が好きだな。サラサラとして、私の手に馴染んでいる」
「じゃあ着くまではウィッグつけないでいるね」
だからもっと撫でていて欲しい……そう頼んだら、フレッドは嬉しそうに優しく撫でてくれた。
ひとしきり撫でていると、フレッドがおずおずと口を開いた。
「なぁ、シュウ……さっきの続きをしても良いだろうか?」
「さっきの続きって……えっ? あれ?」
ぼくの言葉にフレッドが大きく頷く。
「で、でもルドガーさんたちに聞こえたり、見られたりしないかな?」
「それは気にしないでいい。馬車の中の声は外には漏れないし、中も見えないから。シュウ……良いだろう? 口付けだけで、他には何もしないから」
そう食い気味に言われると、ぼくも思わず『うん』と頷いてしまっていた。
その瞬間、ぼくは座席に押し倒されていた。
下から見るフレッドの顔は飢えた獣のようにギラギラとした目をしていて、でもそれが怖いというより、格好良くてぼくはついドキドキしてしまった。
やっぱり、フレッドって格好いい。
ああ、好きだな……。
フレッドがぼくの頬から首筋を優しく撫でていく。
それがくすぐったいのに、なぜかもっと触って欲しくてたまらなかった。
何度も何度も同じところばかりを撫でてくるフレッドに焦れて、ぼくはフレッドの手をそっと掴んで自分の唇に当て、指先にキスをした。
フレッドはピクっと身体を震わせると、ニヤリと笑って今度はフレッドがぼくが掴んでいた手を自分の唇に当て、指先にキスをした。
「シュウから強請られたら、口付け以外もしていいか?」
そんな言葉にドキドキしていたぼくは、
また『うん』と頷いてしまった。
それが、合図だった。
さっき指先に当たった唇が今度はぼくの唇に重なっていた。
フレッドが後頭部を支えているから、ぼくは頭を動かすこともできない。
何度も何度も下唇を啄まれ、気づけばぼくの口腔内にフレッドの熱い舌が入り込んでいた。
「……ん……っ、ふっ……ん」
ぼくはいつもよりも激しいフレッドのキスに応えたくて、フレッドの首に両手を回した。
隙間なくくっついた身体がもっと一つになるように強く抱きしめる。
「……はぁ……っ、んっ……ふ……ぅ」
舌が絡み合って気持ちいい……。
唾液もこんなに甘く感じるのは唯一だからなのかなとぼくはキスをしながら、快感に惚ける頭でそんなことを考えていた。
フレッドはキスを続けながら、器用にぼくのジャケットのボタンを外し、中のシャツのボタンまで外していく。
ああ、ぼくこんなところで脱がされてる。
明るい窓からは美しい田園風景が流れて行くのが見えて、こんなところで恥ずかしいという思いがあるのにフレッドの手を止めることもできない。
それはフレッドの力に屈しているわけではなく、脱がして欲しい、もっと触ってほしいと思っているぼくがいるからだ。
抵抗しないぼくが、心の中で強請っていることにフレッドも気づいたんだろう。
『シュウから強請られたら、口付け以外のこともしていいか』
さっき言われた言葉が頭をよぎる。
馬車の中でキス以外のこともされちゃうなんて……
そんなことを考えるだけで、興奮してしまう。
すでに胸の尖りがぷっくり膨らんでしまっているのは外気に触れたせいだけではない。
それがわかっているフレッドは指の腹で優しく撫でていく。
「あ……ぁん、やぁ……っ」
言葉とは裏腹にその刺激が気持ちよくて、フレッドに胸を押し当てるように身体を反らせてしまう。
フレッドはぼくの反応が嬉しいのか、嬉しそうに笑うと、唇を離し、ぼくの胸の尖りを肉厚な舌でぺろっと舐めた。
「ひゃ……あっ……ん」
その瞬間、電流が身体を通過したような痺れが走った。
「ああ、シュウ……かわいい。
もっと、声を聞かせて……」
「は……ぁ、ん、もっ……と……」
「ああ、かわいがってやる」
片手で胸の尖りを弄りながら、もう片方の胸の尖りに吸い付いたり、甘く噛んだり、舐め尽くしたり……ぼくの言葉にフレッドの刺激がどんどん強くなっていく。
その刺激に耐えきれずにぼくの中心がどんどん勃ち上がっていくのが分かった。
でも、ここは馬車の中。
まさか、ここでそれまで出すわけには……と思っていたけれど、フレッドは何の気にも止めずにぼくのズボンのボタンを手早く外し、下着の前も露わにしていく。
下着から飛び出したモノが外気に触れ寒いからなのか、それともこれから起こることの期待なのか、
ピクピクと震えながら、どんどん勃ち上がっていく。
ああ、フレッドの大きな手に包まれるんだ……。
そう思った時、ぼくのモノがもっと温かいものに包まれた。
まさか? と下を見ると、フレッドがぼくの股間に顔を埋めていた。
フレッドの大きな口にぼくのモノはすっぽりと入り、先端から根元まで、さっきまでぼくの口腔内を蹂躙していたあの分厚い舌で舐め尽くされていく。
フレッドの舌先が先端を抉るその刺激に、腰がブルっと震えてしまう。
「あぁ……っ、ん、あ……っ、あ」
フレッドが唇を窄めて顔を上下に動かすたびに、じゅぷじゅぷと淫らな音が車内に響く。
「……ん……っ、ああっ、フレ……ッド、きもち
い、い……っ」
ぼくは快感に悶えながら、フレッドの綺麗な金色の髪に手を伸ばしていた。
サラサラとしたフレッドの髪を撫でていると、
フレッドの舌の動きが速まった。
「ああ……っ、ああ……っ、イっ、ちゃう……イク、ぅ…………」
『ビュク、ビュク、ビュル』
達した瞬間、身体の奥から弾けた熱がどんどん吸い込まれていく。
ああ、フレッドが飲んでるんだ……ぼくの蜜……。
一度知ったら、もう飲まないなんて選択肢などあり得ないあの甘い甘い蜜の味。
頭がぼーっとするほどの快感にぼんやりと下を覗くと、フレッドがコクンと喉を鳴らしながら、蕩けるような笑顔で嬉しそうにぼくの蜜を飲んでいた。
「フ……レッド、だ、いすき……」
そう伝えると、ぼくはそのまま眠ってしまった。
「……ウ、シュウ……」
遠くの方でフレッドの優しい声が聞こえる。
なんだ……これ、夢?
「シュウ……そろそろ起きれるか?」
うん。やっぱり夢だ。
フレッドはぼくを起こしたりしない。
いつもぼくが自分から目が覚めるまで寝かせておいてくれるもんね。
そっか。夢なら、めいっぱい甘えちゃおう。
「……やぁ……っ、ちゅーしてくれないと起きれない……」
「えっ??」
んっ? なかなかしてくれないな。
ぼくの夢なのに……。くすん、寂しいよ……。
「ちゅー、しないと……起きない、よ……」
そう言って唇を突き出してみると、ゆっくりと温かな唇が重なり合った。
ああ、ちゅーしてくれたんだ。
ふふっ。良い夢だぁ……。
せっかくだし……と、下唇をはむはむと噛んでみると、突然口の中に何かが入ってきた。
驚いて目を開けると、フレッドと目が合った。
しかも、唇を重ね合わせたままで。
もしかして、あれ夢じゃなかった??
うわぁーっ、恥ずかしい……。
慌てて唇を離すと、
「なんだ、もう終わりなのか? せっかくシュウからのおねだりだったのに、もったいなかったな」
と笑いながら、フレッドが抱きしめてくれた。
「ふふっ。おはよう。目が覚めて良かった。悪い、シュウが可愛くてつい止められなくて……。ベッドでなかったから、どこか身体が痛いところはないか?」
「えっ?」
その瞬間、先ほどまでの馬車の中での痴態を思い出した。
途端に顔が真っ赤になってしまい、慌てて頬を両手で覆った。
フレッドはそんなぼくを見ながら、嬉しそうに笑っていた。
「そろそろ、今日の宿に着くから鬘をつけてもらえるか?」
「う、うん。わかった」
ぼくは急いでウィッグをつけながら、フレッドに尋ねた。
「ごめんね、ぼく寝ちゃってたんだね。1人にしちゃってつまらなかったでしょ?」
「いいや、シュウの寝顔を見ていたら、時間なんてあっという間だったよ。あんな幸せな時間を与えてもらえた上に、あんなにかわいいおねだりまでされて逆に御礼が言いたいくらいだ」
「もう! さっきのは忘れてよー!」
ぼくが恥ずかしくてムゥと膨れると、フレッドは『はっはっ』と笑って、青い髪をそっと撫でた。
外はもう真っ暗になっている。
相当長い時間眠ってしまって、挙げ句の果てに寝ぼけて変なことまでしてしまったのになんにも怒りもせずに、お礼が言いたいだなんて冗談まで言ってぼくに優しい言葉かけてくれるフレッドって……本当に紳士的だよね。
今日の宿は、周りを木々に囲まれた煉瓦造りの落ち着いたホテル。見た目はホテルというより、豪華な洋館と言った造りだ。フレッド曰く、このホテルは一部屋、一部屋が広々としているから、部屋数は10部屋ほどしかなく、ゆったりと過ごせるらしい。
さすが、公爵家御用達のホテル!!
しかも、今日は貸切なんだって。
びっくりだよね。
シュウは疲れているだろうから、今日はすぐに部屋に行こう……
そう言われて連れて行かれた部屋は、なんだかフレッドのお屋敷に感じが似ていた。
うーん、落ち着くなぁ。
ルドガーさんがぼくたちの寝室のベッド横にパールの寝床を作ってくれたので、ぼくが今日使っていたタオルを敷いてあげると喜んでそこに飛び乗っていた。
食事を済ませ、部屋に付いている大きな岩風呂でフレッドといちゃいちゃしながら身体を洗い、大きなベッドに横たわった。
あれだけ眠っていたから、眠くならないと思っていたけれど、どうやら馬車での旅は思った以上に疲れるらしい。
フレッドに包まれながら、ベッドに横たわっているとだんだんと目が閉じてくる。
「シュウ……どうだった? 今日は楽しかったか?」
「……うん、たのし、かったよ……。
フレ、ッドのちかいの……ことばも、きけて……うれしかった……」
「そうか。ふっ。ゆっくりおやすみ」
「……ん、おや、すみ……」
唇に優しい温もりを感じながら、ぼくは眠りについた。
馬車での旅も今日で5日目。
王都まであと半分ほどだ。
天候もずっと良くて、これなら予定通りに着きそうだとフレッドが言っていた。
今日は大きな湖の近くを通る予定で、フレッドとアンジーに乗って少し散策出来るんだ。
アンジーに乗せてもらうのは初めてだし、
何よりフレッドが馬に乗っているのを見られるのがすごく楽しみだ。
今日もオルフェルとドリューの軽快な足取りで、難なく目的の湖の畔にやってきた。
パールをどうしようかと思ったけれど、アンジーに乗って散策するときは危ないので馬車の中でお留守番をしてもらうことにした。
まぁ、パールはあの籠が気に入っているみたいで、食事をするとき以外はぼくのタオルを敷いたあの中に機嫌良く入っているから、大丈夫かな。
フレッドに抱き抱えられ馬車を降りると、青々とした木々に囲まれ、そよそよと吹く風に乗って遠くに鳥の囀りも聞こえてきた。
わぁ……、癒される。
「シュウ、周りを散策してみよう」
そういうと、ルーカスさんが二人乗り用の鞍をつけたアンジーを連れてきてくれた。
アンジーはぼくとフレッドの方に顔を向けると、
尻尾を大きく振りながら、高い声で『ヒヒーーン』と嘶いた。
ぼくは大きな声に驚いたけれど、
フレッドが『あれは喜んでいる時の行動なんだよ』と教えてくれた。
そうなんだ、アンジーも嬉しいんだ。よかった。
ぼくも嬉しくなってアンジーに駆け寄り、
「アンジー、今日はよろしくね」
と顔を撫でながら挨拶すると、アンジーはぼくに擦り寄ってきて長い舌でぼくの指をペロペロと舐めた。
「わぁ、くすぐったいよ。ふふっ」
アンジーと戯れていると、フレッドがすぐにぼくの手をアンジーから引き離した。
そして、真剣な顔つきで
「シュウは私のものだから勝手に舐めることは許さないぞ」
とアンジーに向かって話をしている。
アンジーは……といえば、フレッドの言葉を理解しているのかいないのか、少し顔を俯かせて謝っているようにも見える。
アンジーにはフレッドの言葉がわかるんだろうか……?
それにしても、フレッドはちょっとヤキモチを妬きすぎだよ。
アンジーが手を舐めるくらい、かわいいスキンシップなのにな……。
そんなことを言ったら、きっと……スキンシップなら私もずっとシュウの手を舐めていてもいいだろう……なんて言われそうだから、黙っていようっと。
しばらくの間、アンジーはご機嫌斜めな様子だったけれどルドガーさんが、アンジーに餌を持ってきてくれて食べさせると機嫌が良くなったみたいだ。
フレッドが先に馬に乗り、ぼくの手を引いて乗せてくれた。
アンジーの背中はエイベルやラリーより随分高くてぼくは緊張したけれど、
フレッドが『大丈夫だ。私に寄り掛かるといい』
と言って、後ろから抱きしめてくれた途端に安心感でいっぱいになった。
ぼくとフレッドを乗せたアンジーの後ろから、警備のルーカスさんも馬に乗ってついてくる。
「少し足を速めるぞ」
フレッドが手綱を操ると、アンジーはパカラッパカラッと気持ちよさそうに駆け出した。
「うわぁ、風が気持ちいい。景色が流れていくよ」
ぼくは初めて見る風景に感嘆の声を上げた。
フレッドは湖を周回してから、森の中へと進んでいく。
「フレッド、どこに行くの?」
「シュウを連れて行きたい場所があるんだ」
「わぁ、どこだろう! 楽しみだな」
森の中をどれくらい進んだだろう。
木々で囲まれた空間に、突然広場が現れた。
「えっ? なに、ここ……なんでここだけ?」
太陽の光が木々に遮られずに地面へと注がれているので、そこだけが異様に明るい。
驚くぼくを横目にその光の降り注ぐ広場の真ん中でフレッドはアンジーの手綱を引き止まらせた。
「シュウ、ここで降りよう。ここから先は馬では行けないんだ」
フレッドはそう言うと、ひらりとアンジーの背中から降り、ぼくを抱き抱えて降ろしてくれた。
「ルーカス、あっちで待っていてくれ」
「はい。旦那さま」
ルーカスさんはアンジーを連れ、もと来た道を辿り、広場から少し離れた木に2頭の馬を繋ぎ、ぼくたちに背を向けて立っていた。
「シュウ、こっちだ」
フレッドに手を引かれ広場から真っ直ぐに伸びた細い道を進んで行く。
10分ほど歩いただろうか。
フレッドが立ち止まった場所には、地底の岩からもくもくと綺麗な水が湧き出ている小さな泉があった。
差し込んだ陽の光が泉に反射して、なんだかとても神々しい雰囲気を放っている。
「フレッド、ここは?」
「ここは神の泉だ。ここで神への誓いの言葉を述べ、神に認められた者には神からの祝福が届くという伝説がある」
「神さまからの祝福……」
「ああ、実際に神から祝福が届いたものに会ったことはないがな。
これがただの迷信であったとしても、ここが我々オランディア国民にとっては特別な場所なのだ。
私はシュウへの生涯変わらぬ愛を神の御前で誓いたくてシュウをここに連れてきたんだ。聞いてくれるか?」
フレッドの真剣な眼差しに、ぼくも真剣に
『お願いします』と答えた。
フレッドは乗馬用の手袋を外し、大きく深呼吸をした。
そして、ゆっくりと片膝をついて右手を胸に当て、左手をぼくに差し出した。
足は地面にちゃんとついているのに、ふわりと身体が浮かび上がっていくような不思議な感覚がする。
とてつもない緊張感が漂う中、フレッドはぼくをじっと見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
「オランディア王国 唯一神 フォルティアーナよ。
私 フレデリック・ルイス・サヴァンスタックは、ハナムラ・シュウを伴侶とし、自分の命を賭して護り、慈しみ、尊い、生涯変わらぬ愛を……今、ここに誓う」
フレッドのぼくへの強い愛を感じながら、ぼくは差し出された手を取った。
「ありがとう、フレッド。
ねぇ、ぼくもここで誓っていいかな?」
「シュウが誓ってくれるならば、これ以上に幸せなことはないが……でも、良いのか?」
不安げな顔をするフレッドを笑顔でかわし、ぼくもフレッドと同じように誓いのポーズを取った。
ぼくがゆっくりと片膝をつくと、フレッドがスッと立ち上がった。
緊張で早鐘が鳴ったようにドキドキする心臓を落ち着かせるように、大きくゆっくりと深呼吸してフレッドを見上げると、フレッドは優しい眼差しでぼくを見つめていた。
その表情を見ると途端に気持ちが落ち着いてきた。
神さまの名前から言うんだよね。ふぅ……よし。
ぼくは右手を胸に当て、左手をフレッドに差し出し、ゆっくりと口を開いた。
「オランディア王国 唯一神 フォルティアーナよ。
ぼく、ハナムラ・シュウはこの国の人間ではありません。だから、神さまに誓いを立てることは本来ならば許されないことなのかもしれません。
それでも、ぼくは神さまに誓いたい。
もしかしたら、神さまのお陰でフレッドに会えたのかもしれないのだから。
愛を知らずに生きてきたぼくにフレッドという素晴らしい人を与えてくれてありがとうございます。
フレッドと出会って、人を愛し、人に愛される喜びを知りました。
ぼくもこの命を賭して、フレッドを護ります。
そして、生涯フレッドだけを愛し続けることを……
神さまとフレッドに誓います」
正式な誓いの言葉があるんだろうけど、なんて言ったらいいのか分からなくて、ぼくはフレッドへの思いの丈を天にいるであろう神さまにぶつけた。
「シュウ……ありがとう」
フレッドが涙を流しながら、ぼくの左手を取った瞬間、目が眩むほどの光が空から泉へと注がれていく。
「うわぁーーっ、眩しい!!」
目を開けていられないほどの眩しさに2人で目をぎゅっと瞑った。
しばらく経って恐る恐る目を開けると、眩しい光は跡形も無く、元の緑に囲まれた泉の前に佇んでいた。
「なんだったんだろうね、あの光……」
「ああ、シュウはなんともないか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか、良かった。あれ……っ?」
フレッドが目線をぼくに下げた瞬間、驚愕の表情をした。
「フレッド、どうしたの?」
「シュウ……ほら、あれを見てごらん」
フレッドが指差す方を見ると、泉の底の水が湧き出ているところがボーっと光を放っている。
「あれはなんだろう? さっきまではあんなのは無かったはずだが……。シュウ、ちょっと見てくる」
「大丈夫??」
「ああ、任せておいてくれ」
そう言って、フレッドは裸足になってザブザブと泉の中程に進んでいく。
そして、腕を中につきいれ光を放っていたものを掴むとぼくの元へと戻ってきた。
ぼくは持っていたハンカチで急いで腕を拭いてあげると、フレッドは『ありがとう』と言ってくれた。
そして、ゆっくりと手を広げると、中には石が2個入っていた。
「これは石?」
「いや、宝石のようだな」
フレッドはそっとその石を持ち上げ、太陽の光に当てるとそれはキラキラと光を放った。
「黒い方は黒金剛石、そして水色の方は恐らく、藍玉だろう」
「宝石……。なんでこんなところに?」
「シュウ、もしかしたらこれが……神からの祝福じゃないだろうか?」
「ええっ?」
これが神さまからの祝福……。
そうか、ぼくたちは認められたんだ!!!
嬉しい! 嬉しい!! 嬉しい!!!
ぼくたちの想いが神さまに認められたってことは、きっともうぼくは元の世界に帰ることはないはずだ!
そうしたら、ずっとフレッドと一緒に居られるんだ!
いつかまた知らない間に戻ったりすることがあるんじゃないかって心の中でいつも怯えてたから、フレッドとずっと一緒に居られることがなによりも嬉しい。
「これ、ぼくたちの瞳の色みたいだね」
「ああ、そういえばそうだな」
「これを指輪かピアスにしてお互いに肌身離さず付けようよ」
「それは良い考えだな! シュウはどちらが良い?」
「ぼくの住んでいたところでは、結婚したらにお互い左手の薬指に指輪をつけるんだけど、ピアスも素敵だよね。うーん、どうしようかな。悩んじゃうな……」
「そうだな。シュウにはどちらも似合いそうだ」
「フレッドにもどちらも似合うから、悩んじゃうな」
嬉しい悩みに、2人で顔を見合わせて笑った。
「そろそろ戻るか」
フレッドのその言葉にぼくたちは神さまの泉を後にした。
「またいつかフレッドとここに来たいな」
「ああ、そうだな。神からいただいた宝石を身につけて、私たちが幸せでいることを報告しにくるとしよう」
「うん。楽しみだね」
もと来た道を戻り、あの広場につくと
フレッドは『ルーカス』と大声で呼んだ。
すると、その声にルーカスさんは
慌てふためいた様子で駆け寄ってきた。
「旦那さま、シュウさま! ご無事で何よりでございます」
そう言うと、ルーカスさんはフラフラと地面に崩れ落ちた。
「どうしたんだ、ルーカス! 大丈夫か?」
そのあまりにも冷静さを失った様子にフレッドはルーカスさんに駆け寄った。
「も、申し訳ございません。おふたりが神の泉へと行かれましてから、5時間ほどの時間が経っておりまして……」
「なっ? 5時間?」
「本当にご無事でようございました」
涙を流して安堵した表情を見せるルーカスさんの横で、ぼくは神の泉の方を振り返った。
その時強い風が吹き、葉がザザァと音を立てて揺れ、その音に乗じて
『シュウ……愛されて幸せになりなさい』
男性とも女性とも言えぬ穏やかな声がぼくの耳にスッと入ってきた。
「い、今のは……?」
「んっ? シュウ、どうした?」
あんなにはっきりとした声だったのにフレッドには聞こえていなかったみたいだ。
きっと神さまがぼくたちを見守ってくれているんだ、そう信じて、ぼくはさっきの言葉を自分の胸の中に留め、
「ううん、何でもない。みんなが心配しているだろうから戻ろう」
とフレッドに声を掛け、ルーカスさんに
『心配かけてごめんなさい』と謝った。
フレッドはぼくをじっと見つめた後、
同じように『心配かけたな』とルーカスを労って、アンジーに乗ってみんなの元へと戻った。
湖の畔では同じようにみんなが心配してくれていたが、ぼくたちの姿を見て一様に涙を見せて喜んでくれた。
『ああ、ぼくはフレッドだけでなく、みんなに愛されて幸せです。ありがとうございます』
と心の中で神さまにお礼を言った。
「シュウ、疲れただろう。馬車に入ろう」
自分も疲れているだろうに、さっと抱き抱えて馬車へと乗り込んだ。
パールはぼくの気配を感じたのか、籠の蓋を開け、ピョコンと顔を出しぼくの胸へと飛び込んできた。
「ああ、パールも心配してくれてたの? ありがとう。ねぇ、聞いて! 今日ね、すごいことがあったんだよ」
ぼくがそう言うと、パールは耳をピコピコと動かして
『キュンキューン』と声を上げた。
さすが神使だ。何かに気づいたらしい。
パールはいつもならぼくの胸から離れようとしないのに、今日は進んでぼくのところからフレッドの胸へと飛び込んでいった。
「うわぁっ、なんだ?」
驚くフレッドを横目にパールはフレッドの上着の中に鼻先を突っ込んで『クゥンクン』と鳴いている。
「ちょ、ちょっと待て!」
フレッドが片手でパールを押さえ、もう片方の手で上着の内側のポケットに仕舞ったぼくのハンカチを取り出した。
「これか?」
『キュンキュン』
フレッドがハンカチをそっと広げると、そこにはキラキラと輝くあの宝石があった。
「やっぱり綺麗だね」
「ああ、この国でも宝石は採れるが、ここまで輝く物は見たことがない。やはりこれは、肌身離さず身につける守護石にした方がいいな」
「うん。そうだね。だったら、やっぱりピアスが良いかな。顔に近いし目立つもんね」
「ああ、そうだな」
フレッドはそう言うと、黒い石をぼくの耳元にあてがった。
「違うよ、フレッド」
「えっ?」
「ぼくはこっちだよ」
アクアマリンの方を指さすと、フレッドは驚いた表情で
「黒はシュウの色だろう。とてもよく似合っている」
「ううん、お互いの色を身につけたいんだよ。だから、ぼくがこっちで、フレッドはぼくの色ね!」
ウインクしながら、そう言うとフレッドは
「しかし、私が黒をつけるのは…………」
困ったように黒い石を見つめた。
よぉし!
「そっか……。フレッドはぼくの色を身につけるのがイヤなんだ……。ぼくのことが嫌いになっちゃったんだ……。うぅ……っ、うっ」
ぼくが泣き真似をすると、フレッドは慌ててぼくを抱きしめた。
「そ、そんなことある訳がないだろう! シュウの色を身につけられるならそれはこの上ない幸せだ! ああ、シュウ……泣かないでくれ」
「ふふっ。なら、つけてくれるよね?」
ぼくがにっこり笑顔で顔をあげると、フレッドは
『ああ、良かった……』と安堵の表情を浮かべ、
「ああ。王城に着いたら、信頼のおける腕利きの宝石彫刻師を呼ぼう。そして、お互いの色を身に纏おう」
と約束してくれた。
「わぁーい、フレッド大好きだよ」
ぼくはフレッドの頬に『ちゅっ』とお礼のキスをした。
えへへと笑ってフレッドを見ると、
『ここにも頼む』と自分の唇を指でトントンと指し示している。
もう、自分から奪ってくれればいいのに……。
ぼくからするの恥ずかしいんだからと思っていると、ぼくの心を読んだように
「シュウからして貰えるのが嬉しいんだ」
と訴えてくる。
ぼくは『もう、仕方ないなぁ』と言いながら、フレッドの唇に自分のそれをゆっくりと重ね合わせた。
それは次第に深いキスへと変わっていく。
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