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第五章 (王城〜帰郷編)
花村 柊 50−1※
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カフェでフレッドとの楽しい時間を終え、そこから何度かの休憩を経て、馬車は今日の宿泊所に到着した。
「フレッド……ここに泊まるの?」
「ああ。私たちの泊まる離れは貸切だから、ゆっくり寛げるぞ」
いや、そうじゃなくて……ものすごく豪華そうなところなんだけど……。
急に出発を決めたのによくこんなすごい宿が取れたんだなと不思議に思ってしまう。
「ここは、王家御用達の宿で離れは我々王族専用にいつも泊まれるようになっているようだ」
表情に出てしまっていたのか、フレッドが今日の宿について説明してくれた。
「そんな宿があるの?」
「ああ、アレクが私がサヴァンスタック領に移ってから、いつでもサヴァンスタックと王都を行き来できるように作ってくれたようだな」
「そっか、アレクお兄さまが……。これなら、アレクお兄さまとアリーお姉さまもいつでも来てもらえるね」
「そうだな。さぁ、久しぶりの馬車旅で疲れただろう。中に入ろう」
フレッドに抱き寄せられてピッタリと寄り添ったまま、宿に入ると
「サヴァンスタック公爵さま。並びにご伴侶さま。この度はお泊まりいただきありがとうございます」
と宿の女将さんと従業員の皆さんが並んで歓迎の声をかけてくれた。
「ああ、今夜一晩になるがよろしく頼む」
フレッドが笑顔を浮かべると、従業員の皆さんは一斉に顔を赤らめた。
すると、その従業員さんたちの中でフレッドのすぐ近くに並んでいた女性の従業員さんが
「あ、あの……サヴァンスタック公爵さま。なんでもお申し付けください。すぐに私が参りますので!」
と勢いよく声をかけてきた。
ぼくが隣にいるのに目もくれず、目をギラギラさせながらフレッドに声をかけてくる従業員さんを見て、ちょっと怖いなと思っていると、フレッドは彼女に
「悪いが、君に言い付ける用などなにもない。私には麗しい伴侶と過ごすことしか興味はないからな。女将、彼女は離れには近づけさせないでくれ」
とキッパリと断ってくれた。
女将さんは慌てて彼女を他の従業員さんにどこかへ連れて行かせると、
「私どもの従業員が大変失礼いたしました。申し訳ございません」
と青褪めた顔で頭を下げていた。
「疲れているからこれ以上おかしなことはないように気をつけてくれ」
フレッドはそういうと、マクベスさんを呼び僕たちの部屋が整ったかを尋ねた。
「全て整ってございます。どうぞお入りください」
先に部屋に入って準備をしてくれていたおかげで、ぼくたちは部屋に入るとすぐにふたりっきりになれた。
フレッドはぼくを抱き上げ、ソファーに腰を下ろした。
「シュウ、着いて早々嫌な思いをさせたな。申し訳ない」
「なんでフレッドが謝るの? ぼくは大丈夫だよ」
「ならいいのだが……」
「でも……あの人、フレッドのこと一目惚れしたのかな? フレッドを見る目がみんなと違ってたよ。すっごくギラギラしてちょっと怖かった。だから離れに来させないように頼んでくれて安心した」
さっきの女性の目を思い出してちょっと震えながらフレッドに抱きつくと、
「大丈夫だ。シュウには指一本触れさせはしないし、怖い思いはさせないから安心してくれ」
と頼もしい声が帰ってきた。
それが嬉しくてぼくはフレッドの耳元で囁いた。
「ねぇ、早くお風呂に入ろう。怖い思いしたからあっためてほしい」
「――っ、シュウっ!ああ、そうだな。じっくり身体の奥まで暖めてあげるよ」
そう言って、急いでお風呂場へと連れていってくれた。
寝室の奥にあるお風呂場は広い露天風呂のようだった。
「うわー、すごいね、こんなお風呂があるなんて思わなかった」
「これもアレクの指示らしい。予言書に書いてあったみたいだぞ。私の伴侶は風呂好きだから必ず風呂場を作るようにとな」
「ふふっ。そうなんだ。アンドリューさま、どこまで書いてくれていたんだろう? 一度見てみたかったな、その予言書」
「ははっ。そうだな。だが、きっとトーマ王妃やヒューバート、それにブルーノの意見も反映させているかもしれないな。シュウがこの時代でよりよく過ごせるようにきっと考えてくれたのだろう。そうでなければ、これほどシュウの気にいる世界にはなっておらぬだろう?」
「確かにそうかも。あのぼくたちがいた部屋もあの時のままあんまり変わってなかったもんね。だから、すごく安心してあの部屋にいられたんだ」
アンドリューさまたちのおかげでぼくたちはこんなに過ごしやすくいられるんだな。
「ほら、シュウ。早く疲れた身体を癒しに行こう」
そういうと、待ちきれない様子でフレッドはぼくの服を脱がし始めた。
フレッドが注文した服だからか、なぜかものすごく手際よく脱がされてぼくはあっという間に裸になってしまっていた。
自分だけが裸なのが恥ずかしくて
「フレッドも早く脱いでよ」
というと、
「シュウはいつになっても初々しい反応をするのだな」
と笑われてしまった。
確かにフレッドに裸を見せるのもいつものことだし、もちろんそれ以上のことだって今までにいっぱいしてるけど……でも、やっぱり自分一人だけ裸なのは恥ずかしい。
フレッドの身体と違って全然逞しくないしさ。
でも、ヒューバートさんにぼくやお父さんは鍛えても逞しくはなれないって言われてしまったから鍛えることはもう諦めてるけどね。
目の前で堂々と裸になっていくフレッドを見ていると、いつ見てもやっぱり格好いいなって思ってしまう。
フレッドの裸をじーっと見つめていると、
「そんなにじっくりとシュウに見られるとすぐに反応してしまうのだが……」
と言われてしまって、ついそっちに目がいってしまった。
何も隠しもしていないフレッドのあそこが既にちょっと勃って来ている。
「――っ、ご、ごめんね。だって、フレッドの身体がカッコよくて……」
「ふふっ。シュウが私の身体を気に入ってくれてるのに謝ることはないよ。さぁ、風邪をひいてはいけないから中に入ろう」
さっと抱きかかえられてお風呂場へと入ると、ピッタリとくっついた肌からフレッドの温もりが伝わってくる。
ああ、やっぱりフレッドの肌って気持ちがいい。
その肌の心地よさにぎゅっと抱きつくと、
「シュウに抱きつかれるのは最高だな」
と嬉しそうに笑ってくれる。
本当にぼくは幸せだな。
さっとお互いに髪と身体を洗い合って、フレッドに抱きかかえられながらまるで温泉の様な大きな岩風呂に浸かる。
「ふわぁーーっ、気持ちいい……」
「ふふっ。大きな湯に浸かったときのシュウの言葉は相変わらずだな」
「だって、つい出ちゃうんだもん。きっとお父さんも出てるよ」
「そうなのか? ははっ。そういうところで親子だと確信するのだな」
「ふふっ。そうかも。ねぇ、フレッド……ぼく――わぁっ!!!」
「レオンっ!!!」
お風呂に入って血行が良くなったのか、まるでぼくを誘うように赤くなったフレッドの唇にキスしたくなって、フレッドの顔に近づいた瞬間、急にフレッドがぼくに覆いかぶさるように抱きしめ、大声でレオンさんの名前を叫んだ。
すると、ぼくたちのいる露天風呂からかなり離れた木の向こうから
「ぎゃあーーっ!!」
という恐ろしい叫び声と共に、誰かが争うような物音が聞こえる。
あまりにも穏やかじゃないその物音に一気に恐怖が募る。
「ね、ねぇ……フレッド。一体……」
「シュウ、怖がらせて悪い。だが、もう大丈夫だ。安心してくれ」
そういうと、ぼくを外から隠すように抱きかかえたまま立ち上がり、急いで脱衣所へと戻った。
ぼくは暖かなバスタオルで包まれ、手早く自分の身体を拭いたフレッドに寝室に連れて行かれた。
「ああ、シュウ……何もなくてよかった」
「ねぇ、フレッド。一体何があったの? ちゃんとぼくにも教えて……」
「ああ、そうだな。良からぬものが私たちの離れに入ってきた気配を感じたのだ。おそらく外で警護していたレオンも私と同じタイミングで気づいたはずだ。だから私が声を上げてすぐレオンがその者を捕らえに行っているのがわかったんだ」
そっか。
すごいな、フレッド。
それにレオンさんも……やっぱさすがだな。
ぼく、何にも感じなかったのに……。
あ、でも……
「もしかして、裸……」
「いや、それは大丈夫だ。シュウと入った時から神経を研ぎ澄ませていたが、あの瞬間までは人の気配を感じることはなかった。だからシュウの裸は誰にも見られていない。それは安心してくれ」
「ううん、そうじゃなくて……そっか、よかった。フレッドの裸見られてないんだ。それが一番ホッとした」
「えっ? 私の?」
「うん。だって、フレッドはぼくだけのフレッドだから誰にも見せたくないもん……そうでしょ?」
「――っ! シュウっ!!」
フレッドは嬉しそうにぼくを抱きしめると、
「シュウ……愛してるよ」
と耳元で囁くとそのまま、ぼくの耳たぶにチュッとキスをした。
そう、ぼくの耳についたあのピアスのある左耳に……。
フレッドの柔らかな唇がピアスに触れた瞬間、身体中にゾクゾクと甘い痺れが走った。
「ひゃあ――っ!」
「ふふっ。感じてるのか?」
「だって、んんっ……」
「ああ、もう……シュウが可愛すぎるな」
そういうとフレッドはもう一度耳たぶにキスしてから首筋、鎖骨、胸へと下りていった。
その時々でちくんとした軽い痛みを感じたからきっとあの紅い花をつけてくれているのだろう。
鏡を見るたびにあの紅い花を目にするだけで、僕がフレッドのものだと感じられて嬉しいんだ。
あっという間にぼくのモノが口に含まれてフレッドの肉厚な舌の動きに蜜を出し、それを美味しそうに飲み込むフレッドを愛おしく思いながら、
「ふ、れっどぉ……は、やく……おくぅ……ほ、しぃ……」
おねだりすると、フレッドの綺麗な瞳がカッとケモノのように見開き、グチュグチュになった後孔にフレッドの熱くて硬いものが一気に押し込まれた。
もうすっかりフレッドの形を覚えてしまっているぼくの後ろはスルスルとフレッドを飲み込んであっという間に奥まで辿り着いた。
「ああ、シュウ……最高だ……」
フレッドの気持ちよさそうな声を耳元で聴きながら、
「うご、いてぇ……」
というと、フレッドは激しく腰を動かしすっかり覚えられているぼくの気持ちいい場所をゴリゴリと攻めてくる。
「ああっ……んっ、ああっ……あっん…っきもち、いぃ……っんんんっ!!」
フレッドの激しい攻めにあっという間に2回目の蜜を吐き出すと、フレッドは嬉しそうにぼくの最奥に蜜を吐き出した。
ああ、フレッドがぼくの中に蜜を放ってじわじわと拡がっていくこの感覚が好きなんだよね。
ほんと幸せだな。
「ふ、れっど……だい、すき……」
「ふふっ。私も大好きだよ。あとは私に任せてゆっくりおやすみ」
フレッドの唇の感触を口に感じながらぼくは夢の世界へと吸い込まれていった。
心地良い温もりに包まれて目を覚ますと、フレッドの寝顔があった。
スゥスゥと一定した寝息が聞こえているから多分まだ熟睡しているんだろう。
昨日ぼくがあのまま寝ちゃったから片付けも何もかもフレッドに任せちゃったから疲れているのかもしれない。
申し訳ないと思いつつお世話してくれるフレッドの優しさに幸せを感じている自分がいた。
そっと頬に触れると髭が伸びてない。
昨日顔を洗っていたからそのせいなんだろう。
今日はツルツルだなと思いながら、その肌の感触を楽しんでいると、
「シュウ、今日の悪戯はかわいらしいな」
と声が聞こえた。
「起こしちゃった?」
「いや、天使に起こされるなら幸せだよ」
「ふふっ。フレッドったら……おはよう」
そう言ってフレッドの唇にちゅっと朝の挨拶をすると、嬉しそうに顔を綻ばせ
「ああ、最高の一日の始まりだな」
とぼくを抱きしめキスを返してくれた。
「身体は疲れていないか?」
「うん、大丈夫。だって、気持ちよかっただけだもん」
「――っ、シュウ。朝から煽らないでくれ」
「えっ? だって、本当のことだよ。フレッドのおっきくて硬いの、気持ちよくしてくれるから、すきー」
「ぐぅ――っ! ああ、もう! 今日のシュウは本当に悪戯っ子だな」
正直になんでも自分の気持ちを出していこうと思ったんだけど、なぜかフレッドは顔を真っ赤にして苦しそうだ。
ぼく、なんかおかしなこと言ったかな?
「このままベッドにいるとシュウを愛したくなってしまうから、そろそろ起きようか」
フレッドに抱きかかえられて起きると既に今日着る服が準備してあった。
「すごい、もう用意されてる!」
「ああ、もちろんだよ。シュウに私が選んだ服を着てもらうのは毎日の楽しみだからな」
嬉しそうなフレッドに着替えさせてもらって、そのほかの身支度も整えて寝室から出るとフレッドがマクベスさんを呼んでくれた。
「おはようございます。旦那さま、シュウさま。ゆっくりお休みになられましたか?」
頷くフレッドの横でぼくは
「はい。朝まで一度も起きないくらいぐっすり寝られました。マクベスさんもよく眠れましたか?」
と尋ねると、
「それはようございました。私もおかげさまでゆっくり休ませていただきましたよ」
と笑顔を見せてくれた。
長旅だからちゃんと休んどかないと後が辛いもんね。
「マクベス、朝食の支度を頼む」
「はい。承知いたしました」
すぐにマクベスさんは宿の従業員さんたちに声をかけ、ささっと料理を並べてくれた。
美味しそうに焼けたパンがすごく美味しそうで僕のお腹が小さく鳴ってしまった。
気づかれたかと思ったけれど、多分誰にも何も反応がないから気づかれてないはず。
よかった、ご飯見てお腹鳴るとか食いしん坊だと思われちゃうもんね。
「フレッド……ここに泊まるの?」
「ああ。私たちの泊まる離れは貸切だから、ゆっくり寛げるぞ」
いや、そうじゃなくて……ものすごく豪華そうなところなんだけど……。
急に出発を決めたのによくこんなすごい宿が取れたんだなと不思議に思ってしまう。
「ここは、王家御用達の宿で離れは我々王族専用にいつも泊まれるようになっているようだ」
表情に出てしまっていたのか、フレッドが今日の宿について説明してくれた。
「そんな宿があるの?」
「ああ、アレクが私がサヴァンスタック領に移ってから、いつでもサヴァンスタックと王都を行き来できるように作ってくれたようだな」
「そっか、アレクお兄さまが……。これなら、アレクお兄さまとアリーお姉さまもいつでも来てもらえるね」
「そうだな。さぁ、久しぶりの馬車旅で疲れただろう。中に入ろう」
フレッドに抱き寄せられてピッタリと寄り添ったまま、宿に入ると
「サヴァンスタック公爵さま。並びにご伴侶さま。この度はお泊まりいただきありがとうございます」
と宿の女将さんと従業員の皆さんが並んで歓迎の声をかけてくれた。
「ああ、今夜一晩になるがよろしく頼む」
フレッドが笑顔を浮かべると、従業員の皆さんは一斉に顔を赤らめた。
すると、その従業員さんたちの中でフレッドのすぐ近くに並んでいた女性の従業員さんが
「あ、あの……サヴァンスタック公爵さま。なんでもお申し付けください。すぐに私が参りますので!」
と勢いよく声をかけてきた。
ぼくが隣にいるのに目もくれず、目をギラギラさせながらフレッドに声をかけてくる従業員さんを見て、ちょっと怖いなと思っていると、フレッドは彼女に
「悪いが、君に言い付ける用などなにもない。私には麗しい伴侶と過ごすことしか興味はないからな。女将、彼女は離れには近づけさせないでくれ」
とキッパリと断ってくれた。
女将さんは慌てて彼女を他の従業員さんにどこかへ連れて行かせると、
「私どもの従業員が大変失礼いたしました。申し訳ございません」
と青褪めた顔で頭を下げていた。
「疲れているからこれ以上おかしなことはないように気をつけてくれ」
フレッドはそういうと、マクベスさんを呼び僕たちの部屋が整ったかを尋ねた。
「全て整ってございます。どうぞお入りください」
先に部屋に入って準備をしてくれていたおかげで、ぼくたちは部屋に入るとすぐにふたりっきりになれた。
フレッドはぼくを抱き上げ、ソファーに腰を下ろした。
「シュウ、着いて早々嫌な思いをさせたな。申し訳ない」
「なんでフレッドが謝るの? ぼくは大丈夫だよ」
「ならいいのだが……」
「でも……あの人、フレッドのこと一目惚れしたのかな? フレッドを見る目がみんなと違ってたよ。すっごくギラギラしてちょっと怖かった。だから離れに来させないように頼んでくれて安心した」
さっきの女性の目を思い出してちょっと震えながらフレッドに抱きつくと、
「大丈夫だ。シュウには指一本触れさせはしないし、怖い思いはさせないから安心してくれ」
と頼もしい声が帰ってきた。
それが嬉しくてぼくはフレッドの耳元で囁いた。
「ねぇ、早くお風呂に入ろう。怖い思いしたからあっためてほしい」
「――っ、シュウっ!ああ、そうだな。じっくり身体の奥まで暖めてあげるよ」
そう言って、急いでお風呂場へと連れていってくれた。
寝室の奥にあるお風呂場は広い露天風呂のようだった。
「うわー、すごいね、こんなお風呂があるなんて思わなかった」
「これもアレクの指示らしい。予言書に書いてあったみたいだぞ。私の伴侶は風呂好きだから必ず風呂場を作るようにとな」
「ふふっ。そうなんだ。アンドリューさま、どこまで書いてくれていたんだろう? 一度見てみたかったな、その予言書」
「ははっ。そうだな。だが、きっとトーマ王妃やヒューバート、それにブルーノの意見も反映させているかもしれないな。シュウがこの時代でよりよく過ごせるようにきっと考えてくれたのだろう。そうでなければ、これほどシュウの気にいる世界にはなっておらぬだろう?」
「確かにそうかも。あのぼくたちがいた部屋もあの時のままあんまり変わってなかったもんね。だから、すごく安心してあの部屋にいられたんだ」
アンドリューさまたちのおかげでぼくたちはこんなに過ごしやすくいられるんだな。
「ほら、シュウ。早く疲れた身体を癒しに行こう」
そういうと、待ちきれない様子でフレッドはぼくの服を脱がし始めた。
フレッドが注文した服だからか、なぜかものすごく手際よく脱がされてぼくはあっという間に裸になってしまっていた。
自分だけが裸なのが恥ずかしくて
「フレッドも早く脱いでよ」
というと、
「シュウはいつになっても初々しい反応をするのだな」
と笑われてしまった。
確かにフレッドに裸を見せるのもいつものことだし、もちろんそれ以上のことだって今までにいっぱいしてるけど……でも、やっぱり自分一人だけ裸なのは恥ずかしい。
フレッドの身体と違って全然逞しくないしさ。
でも、ヒューバートさんにぼくやお父さんは鍛えても逞しくはなれないって言われてしまったから鍛えることはもう諦めてるけどね。
目の前で堂々と裸になっていくフレッドを見ていると、いつ見てもやっぱり格好いいなって思ってしまう。
フレッドの裸をじーっと見つめていると、
「そんなにじっくりとシュウに見られるとすぐに反応してしまうのだが……」
と言われてしまって、ついそっちに目がいってしまった。
何も隠しもしていないフレッドのあそこが既にちょっと勃って来ている。
「――っ、ご、ごめんね。だって、フレッドの身体がカッコよくて……」
「ふふっ。シュウが私の身体を気に入ってくれてるのに謝ることはないよ。さぁ、風邪をひいてはいけないから中に入ろう」
さっと抱きかかえられてお風呂場へと入ると、ピッタリとくっついた肌からフレッドの温もりが伝わってくる。
ああ、やっぱりフレッドの肌って気持ちがいい。
その肌の心地よさにぎゅっと抱きつくと、
「シュウに抱きつかれるのは最高だな」
と嬉しそうに笑ってくれる。
本当にぼくは幸せだな。
さっとお互いに髪と身体を洗い合って、フレッドに抱きかかえられながらまるで温泉の様な大きな岩風呂に浸かる。
「ふわぁーーっ、気持ちいい……」
「ふふっ。大きな湯に浸かったときのシュウの言葉は相変わらずだな」
「だって、つい出ちゃうんだもん。きっとお父さんも出てるよ」
「そうなのか? ははっ。そういうところで親子だと確信するのだな」
「ふふっ。そうかも。ねぇ、フレッド……ぼく――わぁっ!!!」
「レオンっ!!!」
お風呂に入って血行が良くなったのか、まるでぼくを誘うように赤くなったフレッドの唇にキスしたくなって、フレッドの顔に近づいた瞬間、急にフレッドがぼくに覆いかぶさるように抱きしめ、大声でレオンさんの名前を叫んだ。
すると、ぼくたちのいる露天風呂からかなり離れた木の向こうから
「ぎゃあーーっ!!」
という恐ろしい叫び声と共に、誰かが争うような物音が聞こえる。
あまりにも穏やかじゃないその物音に一気に恐怖が募る。
「ね、ねぇ……フレッド。一体……」
「シュウ、怖がらせて悪い。だが、もう大丈夫だ。安心してくれ」
そういうと、ぼくを外から隠すように抱きかかえたまま立ち上がり、急いで脱衣所へと戻った。
ぼくは暖かなバスタオルで包まれ、手早く自分の身体を拭いたフレッドに寝室に連れて行かれた。
「ああ、シュウ……何もなくてよかった」
「ねぇ、フレッド。一体何があったの? ちゃんとぼくにも教えて……」
「ああ、そうだな。良からぬものが私たちの離れに入ってきた気配を感じたのだ。おそらく外で警護していたレオンも私と同じタイミングで気づいたはずだ。だから私が声を上げてすぐレオンがその者を捕らえに行っているのがわかったんだ」
そっか。
すごいな、フレッド。
それにレオンさんも……やっぱさすがだな。
ぼく、何にも感じなかったのに……。
あ、でも……
「もしかして、裸……」
「いや、それは大丈夫だ。シュウと入った時から神経を研ぎ澄ませていたが、あの瞬間までは人の気配を感じることはなかった。だからシュウの裸は誰にも見られていない。それは安心してくれ」
「ううん、そうじゃなくて……そっか、よかった。フレッドの裸見られてないんだ。それが一番ホッとした」
「えっ? 私の?」
「うん。だって、フレッドはぼくだけのフレッドだから誰にも見せたくないもん……そうでしょ?」
「――っ! シュウっ!!」
フレッドは嬉しそうにぼくを抱きしめると、
「シュウ……愛してるよ」
と耳元で囁くとそのまま、ぼくの耳たぶにチュッとキスをした。
そう、ぼくの耳についたあのピアスのある左耳に……。
フレッドの柔らかな唇がピアスに触れた瞬間、身体中にゾクゾクと甘い痺れが走った。
「ひゃあ――っ!」
「ふふっ。感じてるのか?」
「だって、んんっ……」
「ああ、もう……シュウが可愛すぎるな」
そういうとフレッドはもう一度耳たぶにキスしてから首筋、鎖骨、胸へと下りていった。
その時々でちくんとした軽い痛みを感じたからきっとあの紅い花をつけてくれているのだろう。
鏡を見るたびにあの紅い花を目にするだけで、僕がフレッドのものだと感じられて嬉しいんだ。
あっという間にぼくのモノが口に含まれてフレッドの肉厚な舌の動きに蜜を出し、それを美味しそうに飲み込むフレッドを愛おしく思いながら、
「ふ、れっどぉ……は、やく……おくぅ……ほ、しぃ……」
おねだりすると、フレッドの綺麗な瞳がカッとケモノのように見開き、グチュグチュになった後孔にフレッドの熱くて硬いものが一気に押し込まれた。
もうすっかりフレッドの形を覚えてしまっているぼくの後ろはスルスルとフレッドを飲み込んであっという間に奥まで辿り着いた。
「ああ、シュウ……最高だ……」
フレッドの気持ちよさそうな声を耳元で聴きながら、
「うご、いてぇ……」
というと、フレッドは激しく腰を動かしすっかり覚えられているぼくの気持ちいい場所をゴリゴリと攻めてくる。
「ああっ……んっ、ああっ……あっん…っきもち、いぃ……っんんんっ!!」
フレッドの激しい攻めにあっという間に2回目の蜜を吐き出すと、フレッドは嬉しそうにぼくの最奥に蜜を吐き出した。
ああ、フレッドがぼくの中に蜜を放ってじわじわと拡がっていくこの感覚が好きなんだよね。
ほんと幸せだな。
「ふ、れっど……だい、すき……」
「ふふっ。私も大好きだよ。あとは私に任せてゆっくりおやすみ」
フレッドの唇の感触を口に感じながらぼくは夢の世界へと吸い込まれていった。
心地良い温もりに包まれて目を覚ますと、フレッドの寝顔があった。
スゥスゥと一定した寝息が聞こえているから多分まだ熟睡しているんだろう。
昨日ぼくがあのまま寝ちゃったから片付けも何もかもフレッドに任せちゃったから疲れているのかもしれない。
申し訳ないと思いつつお世話してくれるフレッドの優しさに幸せを感じている自分がいた。
そっと頬に触れると髭が伸びてない。
昨日顔を洗っていたからそのせいなんだろう。
今日はツルツルだなと思いながら、その肌の感触を楽しんでいると、
「シュウ、今日の悪戯はかわいらしいな」
と声が聞こえた。
「起こしちゃった?」
「いや、天使に起こされるなら幸せだよ」
「ふふっ。フレッドったら……おはよう」
そう言ってフレッドの唇にちゅっと朝の挨拶をすると、嬉しそうに顔を綻ばせ
「ああ、最高の一日の始まりだな」
とぼくを抱きしめキスを返してくれた。
「身体は疲れていないか?」
「うん、大丈夫。だって、気持ちよかっただけだもん」
「――っ、シュウ。朝から煽らないでくれ」
「えっ? だって、本当のことだよ。フレッドのおっきくて硬いの、気持ちよくしてくれるから、すきー」
「ぐぅ――っ! ああ、もう! 今日のシュウは本当に悪戯っ子だな」
正直になんでも自分の気持ちを出していこうと思ったんだけど、なぜかフレッドは顔を真っ赤にして苦しそうだ。
ぼく、なんかおかしなこと言ったかな?
「このままベッドにいるとシュウを愛したくなってしまうから、そろそろ起きようか」
フレッドに抱きかかえられて起きると既に今日着る服が準備してあった。
「すごい、もう用意されてる!」
「ああ、もちろんだよ。シュウに私が選んだ服を着てもらうのは毎日の楽しみだからな」
嬉しそうなフレッドに着替えさせてもらって、そのほかの身支度も整えて寝室から出るとフレッドがマクベスさんを呼んでくれた。
「おはようございます。旦那さま、シュウさま。ゆっくりお休みになられましたか?」
頷くフレッドの横でぼくは
「はい。朝まで一度も起きないくらいぐっすり寝られました。マクベスさんもよく眠れましたか?」
と尋ねると、
「それはようございました。私もおかげさまでゆっくり休ませていただきましたよ」
と笑顔を見せてくれた。
長旅だからちゃんと休んどかないと後が辛いもんね。
「マクベス、朝食の支度を頼む」
「はい。承知いたしました」
すぐにマクベスさんは宿の従業員さんたちに声をかけ、ささっと料理を並べてくれた。
美味しそうに焼けたパンがすごく美味しそうで僕のお腹が小さく鳴ってしまった。
気づかれたかと思ったけれど、多分誰にも何も反応がないから気づかれてないはず。
よかった、ご飯見てお腹鳴るとか食いしん坊だと思われちゃうもんね。
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※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
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