ひとりぼっちのぼくが異世界で公爵さまに溺愛されています

波木真帆

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番外編

まだまだだな

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前話の裏側というか、マクベス視点のお話。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *



<sideマクベス>

ゴードン辺境伯さまのお屋敷から旦那さまとシュウさまが戻られて、このお屋敷にも明るい日常が戻ってきた。
やはりシュウさまがいらっしゃると使用人たちの士気も上がる。

お二人がいらっしゃらない時間は本当に火が消えたように静かだったからな。

だが、気をつけなければいけないことがある。
しばらく休暇をとったことで、旦那さまの仕事量が増えてしまうのだ。

ただでさえお忙しい旦那さまだから休暇明けに忙しくなるのは仕方のないことだが、旦那さまはご自分の身体を労わることなく仕事に集中してしまわれる。

それでいつも頭痛を起こしてしまうのだが、そんな状態の時でさえ、シュウさまを愛することをおやめにはならない。睡眠不足なのだから、しばらくは安静にして睡眠を重視して欲しいものだが、唯一のお方が隣にいると我慢できないのは仕方のないことなのだろうな。

今日もなんとか執務を終わらせていらっしゃったが、部屋に戻られる時には少し体調の悪い表情をなさっていた。
きっといつものように頭痛を起こしていらっしゃるのだろう。
さて、なんとかして休んでいただく方法はないか……。

そう考えていた時、シュウさまが私の元に駆けてこられた。

「マクベスさん! 大変!」

「シュウさま。どうかされましたか?」

「フレッドが熱があるみたい! だから熱がある時用のご飯を作ってほしいんだって」

「承知いたしました。それではすぐにご用意いたしますね。シュウさま、先にお部屋に戻られますか?」

「ううん。今、着替えているはずだから僕もご飯の支度を手伝うよ」

「シュウさまがお手伝いくださったらすぐにご用意できますよ。では厨房に参りましょう」

シュウさまと厨房までの道を歩きながら、私は良い方法を思いついた。

シュウさまに旦那さまのお世話をお願いしたら、旦那さまも流石にシュウさまのいうことをお聞きになるだろう。シュウさまがお休みになるように言ったら休まざるを得ないはず。これなら、きっと旦那さまの寝不足も解消できるに違いない。

すぐに料理長に食事を作らせて、シュウさまに最後の一味をお願いし、出来上がった料理と共にシュウさまと旦那さまがいらっしゃる部屋に向かった。

寝室の扉を叩くと部屋の中から大きな声で

「シュウか? 入ってくれ!」

少し焦ったような旦那さまの声が聞こえる。

その声を聞く限り、体調はそこまで悪そうには感じないが、きっとシュウさまが心配なさったのだろう。
シュウさまに休むように言われていうことを聞いていらっしゃるのだ。

やっぱり私の思った通りだ。これなら大丈夫そうだ。

シュウさまの姿を見て、一人で寂しかったと甘える旦那さまを拝見して、邪魔はしてはいけないと静かに待っていたが、私の気配を感じたのか、旦那さまはパッと私に視線を向けた。

「なんだ、マクベス。お前も一緒だったか」

「はい。旦那さま。お熱がおありだとか。医師をお呼びしましょうか?」

念のために尋ねたけれど、案の定休めば治ると返ってきた。

それならしっかりと休んでいただくとしよう。

「それでは明日の朝まで様子を見ましょう。シュウさま。お食事はシュウさまにお願いしてもよろしゅうございますか? 食事の後は念のために解熱薬もお飲ませくださいますか?」

シュウさまにお願いすると、シュウさま得意げな顔で任せてと仰った。
これなら大丈夫だろう。

「旦那さま。シュウさまの言うことをしっかりお守りくださいね」

念を押すように告げると、旦那さまは少し訝しんだ表情をしていたものの、了承してくださった。

これで安心だ。

私はベッドの前にテーブルを起き、持ってきた食事を並べて後のことをシュウさまに託し、部屋をでた。

「マクベス。旦那さまが熱がおありだとか?」

「ああ。ルーカス。そうなんだ。ここのところ、仕事が立て込んでいるのにシュウさまと時間を削ろうとなさらなかったからな。寝不足で発熱されたんだろう。それ以外は特に体調の悪いところはなさそうだった」

「まぁ、愛しい相手との時間は削りたくないものだからな。旦那さまのお気持ちはよくわかるよ。だが、旦那さまのお世話はしないでここにいていいのか?」

「旦那さまのお世話はシュウさまにお願いしたから大丈夫だよ」

「シュウさまに?」

「ああ。旦那さまもシュウさまのいうことなら聞くだろう。だから今日はしっかりと睡眠をとられるはずだ」

「ははっ。マクベスともあろうものが、旦那さまのことをよくわかっていないな」

「どういう意味だ?」

「後でわかるよ」

ルーカスは意味深な表情を見せて、自分の仕事へ戻っていった。

それから数時間後、旦那さまとシュウさまの寝室のベルが鳴らされ部屋に入った私の耳に飛び込んできたのは、風呂場で愛し合う激しい音だった。旦那さまにとって、シュウさまにお世話してもらうことはただただ興奮してしまう材料に過ぎなかったらしい。

どうやら、ルーカスの言ったように私はまだまだ旦那さまのことを理解していないようだ。
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