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ミルク風呂
<side斗希>
この世界に来てすぐに自分の存在を否定されて命を落としかけた。
それからはエリアスさんに何度も助けられて、僕の存在が迷惑になっているんじゃないかと思って不安だった。
だって、僕がいなければエリアスさんは何も気にせずに日常を過ごせていたのだから。
僕はエリアスさんがいないと不安でどうしようもなくなってしまう。
それくらいエリアスさんに依存してしまっているのは自覚している。
それでも自分ではどうしようもできなくて申し訳なかった。
だから今日、エリアスさんから中庭にいってみようと誘われたとき、自分で歩いてみたいと言ってみた。
まだ身体が辛くて昔のように動き回ることは難しいけれど、これが大きな一歩だと思ったから。
これで自分で歩けるようになれば、エリアスさんの手を煩わせることも少なくなる。
そして、今までエリアスさんとお医者様だけしか挨拶できなかったけれど、今日は頑張って執事さんにも自分から挨拶できた。
少しずつ、エリアスさんの邪魔にならないように頑張っていけたら……そんな気持ちでいっぱいだった。
だから、部屋に戻る前にエリアスさんの仕事場が見てみたいと頼んだ。
もし、ここでエリアスさんの手伝いができたらエリアスさんの邪魔にならないだけじゃなくて、必要な存在だと言ってもらえるかもしれないと思ったから。
エリアスさんの仕事場はたくさんの資料が並べられ、なんだか書斎みたいだった。
雑然と置かれた書類はしばらく手をつけられた形跡がなかった。
きっと僕のそばにいてくれたから仕事ができなかったんだろう。
それを少しでも手伝えればと思ったけれど、まずは字を読めるかが大事になってくる。
エリアスさんから見せてもらった書類をみると、ちゃんと文字が読める。
どうやら言葉に関しては喋るのも読むのも問題はないみたいだ。
中身を読むと、どうやらこれは報告書みたいだ。
大学で教授の資料を仕訳したり、まとめたりするアルバイトもさせてもらっていたからこれならできそうだ。
エリアスさんが仕事をしている横で手伝わせてもらうことができるから、なんだかすごく安心して捗る。
気づけば大量の資料は綺麗に仕分けおわっていて、エリアスさんが喜んでくれた。
「トキのおかげで随分と捗った。明日もぜひ手伝って欲しい」
その言葉が、この世界に僕が存在していい理由のように思えてたまらなく嬉しかった。
「トキ。疲れただろう。食事の前に風呂にしようか」
そう言われて、僕はふと思った。
いつもエリアスさんは僕をお風呂に入れてくれる。
服を捲って濡れないようにしながら、湯船に浸かる僕を支えてくれる。
その体勢がいつも大変そうだと思っていた。
これからは少しずつエリアスさんの迷惑にならないように頑張りたい。
仕事のお手伝いもそうだけど、こういうお世話もそうだ。
あまり手を煩わせないようにしたい。
だから僕は、エリアスさんに提案してみた。
「はい。あ、今日はエリアスさんも一緒に入りませんか?」
僕の提案にエリアスさんはすごく驚いていた。
でも、最終的には賛同してくれた。
よし、これでエリアスさんの負担も少しは減るかな。
いつかエリアスさんの髪や身体を洗えるようになったらまた、僕がこの世界に存在する理由が増える。
それを楽しみに頑張ろう。
脱衣所について、いつものようにエリアスさんが服を脱がせてくれる。
いつもはここで服を捲って僕を抱きかかえて浴室に入るエリアスさんだけど、今日は服を脱いでくれる。
あっという間に半裸になったエリアスさんは、すごく鍛えられた身体をしている。
僕のことを軽々と抱きかかえてくれるのは、この筋肉があるからだろう。
僕は筋肉がつきにくい体質だから本当に羨ましい。
「……かっこいい」
つい心の声が漏れてしまった。
エリアスさんにも聞こえてしまって、正直に強そうでかっこいいと告げると少し照れた表情を見せてくれてなんだかそれが可愛く思えた。
「そ、そうだ。トキ、湯船の中に入れる薬剤を選んでくれないか?」
「いつも花の香りがしているものですか?」
「そうだ。ここから好きな香りを選んでくれたらいい」
エリアスさんは箱を取り出して、中身を見せてくれた。
その中にはたくさんの入浴剤のようなものが入っている。
「わぁー、どれもいい香りで悩んじゃうな」
悩み捲って選んだのは、甘いミルクのような香り。
「エリアスさん、これにします」
そういいながらエリアスさんに視線を向けようとした途端、さっと抱きかかえられた。
「よ、よし。じゃあ風呂に入ろう」
僕が選んでいる間に服を脱いだらしいエリアスさんと一緒にお風呂場に入る。
「さぁ。薬剤を入れてくれ」
「はーい」
ポトンと落とすとジュワーッと一気に溶けていく。
あっという間に浴室中が甘い香りに包まれた。
「わぁ、美味しそうな香りがしますね」
「そ、そうだな。溶けるのを待つ間に髪と身体を洗おうか」
いつものように椅子に座ると、エリアスさんが髪を濡らして泡をつけてくれる。
擦らなくても綺麗になるって本当にいいな。
僕の泡が浸透する間に、エリアスさんも髪を洗っているみたい。
「エリアスさんのは擦るんですか?」
「ん? ああ、そうなんだ。トキのものとは違うのでな」
洗い終わったエリアスさんは自分の泡を流し、僕の泡も流してくれる。
そして次は身体だ。
いつものように泡をつけた手で僕の身体を洗ってくれるけれど、今日はなぜか片手な気がする。
「あれ? 今日は片手なんですか?」
「えっ、あ、いや。その、トキを洗いながら私の身体も洗っているんだ。その方が時間が短縮できて早く湯船に浸かれるからな」
「ああ。そうなんですね。すごい! さすがエリアスさん」
そのおかげで一緒に洗い終わることができた。シャワーで洗い流してもらうと、プルプルの肌が現れる。
以前はひどい乾燥に悩まされたりしていたけれど、この家で洗ってもらうようになってからはそんなことは一度もない。
やっぱりすごいんだな。この泡。
「それじゃあ湯船に浸かろうか」
さっと抱きかかえられて、今日は一緒に湯船に浸かる。
「深いからトキは私の膝の上だ」
「ああー、気持ちがいいー。このお湯もすごく柔らかくていいですね」
後ろにいるエリアスさんに話しかけると、なんだかすごく顔が赤い。
「お湯、熱いですか?」
「い、いや。大丈夫だ」
「なんか、この体勢だと話しづらいですね。こっち向いてもいいですか?」
「えっ?」
なぜか驚いて固まってしまったエリアスさんをみながら、湯船の中でくるりと体勢を変える。
「ああ、やっぱりこっちのほうが顔も見えるし、話しやすくていいですね」
そういうと、エリアスさんの顔が更に赤くなっていった。
この世界に来てすぐに自分の存在を否定されて命を落としかけた。
それからはエリアスさんに何度も助けられて、僕の存在が迷惑になっているんじゃないかと思って不安だった。
だって、僕がいなければエリアスさんは何も気にせずに日常を過ごせていたのだから。
僕はエリアスさんがいないと不安でどうしようもなくなってしまう。
それくらいエリアスさんに依存してしまっているのは自覚している。
それでも自分ではどうしようもできなくて申し訳なかった。
だから今日、エリアスさんから中庭にいってみようと誘われたとき、自分で歩いてみたいと言ってみた。
まだ身体が辛くて昔のように動き回ることは難しいけれど、これが大きな一歩だと思ったから。
これで自分で歩けるようになれば、エリアスさんの手を煩わせることも少なくなる。
そして、今までエリアスさんとお医者様だけしか挨拶できなかったけれど、今日は頑張って執事さんにも自分から挨拶できた。
少しずつ、エリアスさんの邪魔にならないように頑張っていけたら……そんな気持ちでいっぱいだった。
だから、部屋に戻る前にエリアスさんの仕事場が見てみたいと頼んだ。
もし、ここでエリアスさんの手伝いができたらエリアスさんの邪魔にならないだけじゃなくて、必要な存在だと言ってもらえるかもしれないと思ったから。
エリアスさんの仕事場はたくさんの資料が並べられ、なんだか書斎みたいだった。
雑然と置かれた書類はしばらく手をつけられた形跡がなかった。
きっと僕のそばにいてくれたから仕事ができなかったんだろう。
それを少しでも手伝えればと思ったけれど、まずは字を読めるかが大事になってくる。
エリアスさんから見せてもらった書類をみると、ちゃんと文字が読める。
どうやら言葉に関しては喋るのも読むのも問題はないみたいだ。
中身を読むと、どうやらこれは報告書みたいだ。
大学で教授の資料を仕訳したり、まとめたりするアルバイトもさせてもらっていたからこれならできそうだ。
エリアスさんが仕事をしている横で手伝わせてもらうことができるから、なんだかすごく安心して捗る。
気づけば大量の資料は綺麗に仕分けおわっていて、エリアスさんが喜んでくれた。
「トキのおかげで随分と捗った。明日もぜひ手伝って欲しい」
その言葉が、この世界に僕が存在していい理由のように思えてたまらなく嬉しかった。
「トキ。疲れただろう。食事の前に風呂にしようか」
そう言われて、僕はふと思った。
いつもエリアスさんは僕をお風呂に入れてくれる。
服を捲って濡れないようにしながら、湯船に浸かる僕を支えてくれる。
その体勢がいつも大変そうだと思っていた。
これからは少しずつエリアスさんの迷惑にならないように頑張りたい。
仕事のお手伝いもそうだけど、こういうお世話もそうだ。
あまり手を煩わせないようにしたい。
だから僕は、エリアスさんに提案してみた。
「はい。あ、今日はエリアスさんも一緒に入りませんか?」
僕の提案にエリアスさんはすごく驚いていた。
でも、最終的には賛同してくれた。
よし、これでエリアスさんの負担も少しは減るかな。
いつかエリアスさんの髪や身体を洗えるようになったらまた、僕がこの世界に存在する理由が増える。
それを楽しみに頑張ろう。
脱衣所について、いつものようにエリアスさんが服を脱がせてくれる。
いつもはここで服を捲って僕を抱きかかえて浴室に入るエリアスさんだけど、今日は服を脱いでくれる。
あっという間に半裸になったエリアスさんは、すごく鍛えられた身体をしている。
僕のことを軽々と抱きかかえてくれるのは、この筋肉があるからだろう。
僕は筋肉がつきにくい体質だから本当に羨ましい。
「……かっこいい」
つい心の声が漏れてしまった。
エリアスさんにも聞こえてしまって、正直に強そうでかっこいいと告げると少し照れた表情を見せてくれてなんだかそれが可愛く思えた。
「そ、そうだ。トキ、湯船の中に入れる薬剤を選んでくれないか?」
「いつも花の香りがしているものですか?」
「そうだ。ここから好きな香りを選んでくれたらいい」
エリアスさんは箱を取り出して、中身を見せてくれた。
その中にはたくさんの入浴剤のようなものが入っている。
「わぁー、どれもいい香りで悩んじゃうな」
悩み捲って選んだのは、甘いミルクのような香り。
「エリアスさん、これにします」
そういいながらエリアスさんに視線を向けようとした途端、さっと抱きかかえられた。
「よ、よし。じゃあ風呂に入ろう」
僕が選んでいる間に服を脱いだらしいエリアスさんと一緒にお風呂場に入る。
「さぁ。薬剤を入れてくれ」
「はーい」
ポトンと落とすとジュワーッと一気に溶けていく。
あっという間に浴室中が甘い香りに包まれた。
「わぁ、美味しそうな香りがしますね」
「そ、そうだな。溶けるのを待つ間に髪と身体を洗おうか」
いつものように椅子に座ると、エリアスさんが髪を濡らして泡をつけてくれる。
擦らなくても綺麗になるって本当にいいな。
僕の泡が浸透する間に、エリアスさんも髪を洗っているみたい。
「エリアスさんのは擦るんですか?」
「ん? ああ、そうなんだ。トキのものとは違うのでな」
洗い終わったエリアスさんは自分の泡を流し、僕の泡も流してくれる。
そして次は身体だ。
いつものように泡をつけた手で僕の身体を洗ってくれるけれど、今日はなぜか片手な気がする。
「あれ? 今日は片手なんですか?」
「えっ、あ、いや。その、トキを洗いながら私の身体も洗っているんだ。その方が時間が短縮できて早く湯船に浸かれるからな」
「ああ。そうなんですね。すごい! さすがエリアスさん」
そのおかげで一緒に洗い終わることができた。シャワーで洗い流してもらうと、プルプルの肌が現れる。
以前はひどい乾燥に悩まされたりしていたけれど、この家で洗ってもらうようになってからはそんなことは一度もない。
やっぱりすごいんだな。この泡。
「それじゃあ湯船に浸かろうか」
さっと抱きかかえられて、今日は一緒に湯船に浸かる。
「深いからトキは私の膝の上だ」
「ああー、気持ちがいいー。このお湯もすごく柔らかくていいですね」
後ろにいるエリアスさんに話しかけると、なんだかすごく顔が赤い。
「お湯、熱いですか?」
「い、いや。大丈夫だ」
「なんか、この体勢だと話しづらいですね。こっち向いてもいいですか?」
「えっ?」
なぜか驚いて固まってしまったエリアスさんをみながら、湯船の中でくるりと体勢を変える。
「ああ、やっぱりこっちのほうが顔も見えるし、話しやすくていいですね」
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