27 / 80
デートの記念に
しおりを挟む
<sideセオドア>
店を出て、先ほど話していたコヴェントガーデンに向かう。
私たちのいる場所からコヴェントガーデンまでは徒歩10分もかからない距離にある。
これくらいならマモルを歩かせても大丈夫だろう。
マモルを真ん中に私とラミロで守りながら歩く姿は、広場にいる者たち全ての注目の的だ。
私もラミロもそれなりに人目を惹く容姿をしているが、その我々がさらに人目を惹く可愛らしい男の子を挟んで歩いているのだから注目を浴びるのは当然だろう。
中にはマモルに邪な視線を向ける輩もいるが、私とラミロが二人して威圧を放ちながら歩いているから、さすがに近づいてくる愚か者はいないようだ。
マモル自身は自分が注目を浴びていることにも気づかずに、
『今日はいい天気で良かったですね。ここを歩けるなんて嬉しいです』
と無邪気に可愛らしい笑顔を見せる。
それだけで幸せな気分になれるのだから本当にマモルは偉大だな。
『マモル、ここがコヴェントガーデンだよ』
『わぁ! 映画で見たのと同じ場所があります!!』
マモルが言っているのはおそらくあの美しい女優が出ていたことで有名な映画だ。
『さすがだ、よくわかったな』
『はい。僕、あの映画好きなんです。元々は母があの女優さんの大ファンで一緒に見ているうちに虜になっちゃって……。でもまさかその場所に来られるなんて!! わぁーっ!! 本当に嬉しいです。ラミロさまがここに誘ってくださったおかげですね』
『ふふっ。マモルがそんなに喜んでくれたなら誘った甲斐があったよ』
マモルに褒められてラミロもまんざらではないようだ。
私としてはマモルの好きな場所に自分が連れて行けなかったことを残念に思うが、マモルが喜んでいる姿を見るのは楽しい。
まぁこんなことでいちいち嫉妬するのもさすがに見苦しいな。
『今日はマーケットが開催されている日だそうだ。普段より少し人が多いようだから、絶対に逸れないようにな』
嬉しそうにキョロキョロと辺りを見回すマモルにそう注意を促すと、
『わかりました』
と嬉しそうにマモルの方から手を繋いでくれた。
その姿にラミロは驚いていたが、
『お前と会う前にそう教育しておいたんだ』
と小声で教えてるやると、
『ふっ。お前がこんなに手が早いとは思わなかったよ』
と笑われてしまった。
きっと私がラミロへの牽制にしようとしたことに気づいたのだろう。
マモルへの想いが吹っ切れた今のラミロには牽制にもならないだろうがな。
『うわぁー、可愛いっ!!』
手作り石鹸を売っている店か。
確かに可愛らしいな。
さすがに何が入っているかわからないから、マモルに使わせるわけにはいかないが、見ている分には大丈夫だろう。
マモルは幼い時から肌が弱く、マモルが肌につけるものは母親がかなり慎重に選んでいたようだ。
年齢とともに肌質も強くなるものだが、マモルは今でもかなり繊細で、シャンプーやボディーソープなどはアキラが吟味したものでないとかぶれてしまうことがあるらしい。
だから決して肌に触れるものはその辺のものを使わせないでほしいとアキラから言われていた。
もちろんそれはラミロにも共有済みだ。
このあたりにある石鹸は成分表示も書かれていないから、危なくて到底使わせられない。
まぁ、マモル自身も自分の肌質については理解しているようだが、決して欲しいとは言わないが本当はこんな可愛いものが好きなのだろうな。
いつか厳選した素材でマモルの欲しがるような可愛らしい石鹸を作ってやろう。
私がそんなことを考えるのに時間は掛からなかった。
『あれ? 綺麗な音がします』
マモルの声に耳を澄ませば雑踏の中に美しい音色が聞こえてくる。
その音に誘われるように行ってみると、そこはアンティークな商品を売っている店だった。
『この音、オルゴールだったんですね。素敵』
マモルが惹かれたのは、オルゴールがついた懐中時計。
オルゴールの音もさることながら、この懐中時計の細工のなんと素晴らしいことだろう。
言い方は悪いが、こんなマーケットの店に置かれているものとは思えないほどの代物だ。
私の好みの品を探してくれるマモルの目利きが素晴らしいことは知っていたが、やはり本物だな。
『マモル、これをプレゼントしよう』
『えっ、でも……そんなっ、いいんですか?』
『ああ、今日のデートの記念になるものを贈りたいと思っていたんだ。受け取ってくれるか?』
マモルはしばし悩んだ様子だったが、
『あの、ありがたくいただきます』
と言ってくれた。
『そうか、良かった。マモルの気に入ったものを贈ることが出来て嬉しいよ』
『僕……これ、大切にします』
マモルのこの上ない嬉しそうな笑顔に、私はもちろん、ラミロも嬉しそうに笑っていた。
店を出て、先ほど話していたコヴェントガーデンに向かう。
私たちのいる場所からコヴェントガーデンまでは徒歩10分もかからない距離にある。
これくらいならマモルを歩かせても大丈夫だろう。
マモルを真ん中に私とラミロで守りながら歩く姿は、広場にいる者たち全ての注目の的だ。
私もラミロもそれなりに人目を惹く容姿をしているが、その我々がさらに人目を惹く可愛らしい男の子を挟んで歩いているのだから注目を浴びるのは当然だろう。
中にはマモルに邪な視線を向ける輩もいるが、私とラミロが二人して威圧を放ちながら歩いているから、さすがに近づいてくる愚か者はいないようだ。
マモル自身は自分が注目を浴びていることにも気づかずに、
『今日はいい天気で良かったですね。ここを歩けるなんて嬉しいです』
と無邪気に可愛らしい笑顔を見せる。
それだけで幸せな気分になれるのだから本当にマモルは偉大だな。
『マモル、ここがコヴェントガーデンだよ』
『わぁ! 映画で見たのと同じ場所があります!!』
マモルが言っているのはおそらくあの美しい女優が出ていたことで有名な映画だ。
『さすがだ、よくわかったな』
『はい。僕、あの映画好きなんです。元々は母があの女優さんの大ファンで一緒に見ているうちに虜になっちゃって……。でもまさかその場所に来られるなんて!! わぁーっ!! 本当に嬉しいです。ラミロさまがここに誘ってくださったおかげですね』
『ふふっ。マモルがそんなに喜んでくれたなら誘った甲斐があったよ』
マモルに褒められてラミロもまんざらではないようだ。
私としてはマモルの好きな場所に自分が連れて行けなかったことを残念に思うが、マモルが喜んでいる姿を見るのは楽しい。
まぁこんなことでいちいち嫉妬するのもさすがに見苦しいな。
『今日はマーケットが開催されている日だそうだ。普段より少し人が多いようだから、絶対に逸れないようにな』
嬉しそうにキョロキョロと辺りを見回すマモルにそう注意を促すと、
『わかりました』
と嬉しそうにマモルの方から手を繋いでくれた。
その姿にラミロは驚いていたが、
『お前と会う前にそう教育しておいたんだ』
と小声で教えてるやると、
『ふっ。お前がこんなに手が早いとは思わなかったよ』
と笑われてしまった。
きっと私がラミロへの牽制にしようとしたことに気づいたのだろう。
マモルへの想いが吹っ切れた今のラミロには牽制にもならないだろうがな。
『うわぁー、可愛いっ!!』
手作り石鹸を売っている店か。
確かに可愛らしいな。
さすがに何が入っているかわからないから、マモルに使わせるわけにはいかないが、見ている分には大丈夫だろう。
マモルは幼い時から肌が弱く、マモルが肌につけるものは母親がかなり慎重に選んでいたようだ。
年齢とともに肌質も強くなるものだが、マモルは今でもかなり繊細で、シャンプーやボディーソープなどはアキラが吟味したものでないとかぶれてしまうことがあるらしい。
だから決して肌に触れるものはその辺のものを使わせないでほしいとアキラから言われていた。
もちろんそれはラミロにも共有済みだ。
このあたりにある石鹸は成分表示も書かれていないから、危なくて到底使わせられない。
まぁ、マモル自身も自分の肌質については理解しているようだが、決して欲しいとは言わないが本当はこんな可愛いものが好きなのだろうな。
いつか厳選した素材でマモルの欲しがるような可愛らしい石鹸を作ってやろう。
私がそんなことを考えるのに時間は掛からなかった。
『あれ? 綺麗な音がします』
マモルの声に耳を澄ませば雑踏の中に美しい音色が聞こえてくる。
その音に誘われるように行ってみると、そこはアンティークな商品を売っている店だった。
『この音、オルゴールだったんですね。素敵』
マモルが惹かれたのは、オルゴールがついた懐中時計。
オルゴールの音もさることながら、この懐中時計の細工のなんと素晴らしいことだろう。
言い方は悪いが、こんなマーケットの店に置かれているものとは思えないほどの代物だ。
私の好みの品を探してくれるマモルの目利きが素晴らしいことは知っていたが、やはり本物だな。
『マモル、これをプレゼントしよう』
『えっ、でも……そんなっ、いいんですか?』
『ああ、今日のデートの記念になるものを贈りたいと思っていたんだ。受け取ってくれるか?』
マモルはしばし悩んだ様子だったが、
『あの、ありがたくいただきます』
と言ってくれた。
『そうか、良かった。マモルの気に入ったものを贈ることが出来て嬉しいよ』
『僕……これ、大切にします』
マモルのこの上ない嬉しそうな笑顔に、私はもちろん、ラミロも嬉しそうに笑っていた。
391
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる