健気な美少年は大富豪に愛される

波木真帆

文字の大きさ
65 / 82

威圧に怯える

<sideランス>

ラミロさまがお連れになったお相手は、まさにヤマトナデシコそのもの。
男性ではあったものの、そのようなことは気にならないほど外見も心も清らかなお方で、さすがラミロさまがお選びになったお相手だった。

お二人でお部屋に入られたかと思ったら、すぐにお部屋から出てラミロさまの執務室に向かわれた。
どうやらお仕事をなさっているようだ。
あれほどすぐに愛し合いたいと全身で訴えておられたラミロさまがなぜ? と思いはしたものの、お二人のことに関して私が口を挟むものではない。

お仕事の後はお食事をなさるだろうか。
とりあえず、すぐにでもお食事は出せる準備は整っているから問題ない。

後は何かあったか……。

慣れない状態に何か不備はないかと心配していると、玄関のベルが鳴った。

どうやらどこかからか荷物が届いた様子。

受け取って箱をみれば、送り主はワクラさま。
宛名の注意書きには届いたらすぐに開けるようにと記載してあった。

急いで箱を開けると、中にはシャンプーやボディーソープの類が入っていた。
同封されていた手紙には、

<ヒビスクス家執事さま。肌の弱い一帆のために必要なものをお送りします。また、同梱しておりますローションはお風呂場、寝室など手の届く場所にお願いいたします。和倉明>

簡潔ながらも的確な指示にカズホさまへの愛を感じる。

それにしてもローションを一緒にお送りになるとは……。
まぁ、ラミロさまにしてもカズホさまにしてももう成人は超えられているのだから問題はないが、一体ワクラさまとカズホさまはどのようなご関係なのだろう。
気になるところだが、今はとりあえず準備を整えておこう。

急いでバスルームにシャンプー類と一緒にローションを並べ、寝室にも手の届く位置にいくつか配置しておいた。

それからしばらくして、執務室から出てこられたラミロさまはカズホさまを抱きかかえて一目散にお部屋にお戻りになった。

扉の中からは、決して声はかけるなという圧力を感じる。
今から愛し合われるのだろうか。

いつ呼ばれてもいいように待機しておくしかないな。

シェフたちにはしばらく待機をと声をかけ、私は部屋から少し離れた位置で待ち続けた。

それからどれくらいの時間が経っただろう。

ようやく寝室のベルが鳴らされ、連動しているボタンが震え始めた。

しばしの間隔をあけ、一応声をかけ中にはいる。
寝室の前でもう一度声をかけてから中に入ると、むわっとした情事後の匂いに迎え入れられる。
部屋の奥のバスルームから水音に混じって、ラミロさまのお楽しみの声が聞こえる。

一度とは思えないほどの時間をお過ごしになった上に、バスルームでも……と驚きを隠せない。

茫然としつつも、寝室を整えることは忘れない。
急いでベッドのシーツを剥ぎ取り新しいシーツに取り替え、ベッド脇のテーブルに水差しとグラスを置いて部屋を出た。


それからしばらくして、もう一度ベルが鳴らされたが、今度は寝室ではなくリビングのベル。
ようやくお楽しみは終了したようだ。

心を落ち着けようと、ピシッと服を整え気合を入れてから部屋の前で伺いをたて、中に入ると、

『――っ!!!』

あまりにもすごい色気を纏ったラミロさまのお姿に思わず息を呑んだ。

『どうした?』

『い、いえ。失礼いたしました』

『悪いが、軽い食事を用意してくれ。ベッドの上で食べるからその準備も頼む』

『承知、いたしました』

なんとかそれだけ返事をして部屋から飛び出たが、まだ心臓がバクバクしている。

今までとは全く別人のようなラミロさまの姿に速い鼓動がおさまらない。
愛するお人と繋がると、あれほどの色気を纏うのか……。
ラミロさまの首筋にはキスマークがあった。
あのヤマトナデシコのようなカズホさまがあんなにも情熱的にキスマークをおつけになるとは……。

ラミロさまがあれほどフェロモンをたっぷりと撒き散らしているのなら、カズホさまは……

『――っ!!!』

ほんの少し想像しただけで、背中がゾクリと震える。
これはもしやラミロさまの威圧?
私がカズホさまの淫らなお姿を想像しようとしたからか?

ひぃーーっ。

余計なことは考えずに職務を全うするようにしよう。

私は急いで食事の支度を整え、ラミロさまとカズホさまのお部屋に運んだ。

カズホさまのお姿を拝見したのは、それから二日後のことだった。
感想 92

あなたにおすすめの小説

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

響花学園

うなさん
BL
私の性癖しか満たさない。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

帰宅

pAp1Ko
BL
遊んでばかりいた養子の長男と実子の双子の次男たち。 双子を庇い、拐われた長男のその後のおはなし。 書きたいところだけ書いた。作者が読みたいだけです。

売れないアイドルの俺が人気イケメン俳優とBL営業することになった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
 パン屋の息子で、売れないアイドルグループの中でも更に不人気の三井 恭弥(みつい きょうや)は、人気番組の数々を手掛けている有名ディレクターの動画配信サイトでの番組で、人気絶頂の爽やかイケメン俳優、鷹野 龍慈(たかの りゅうじ)と手作りパン対決をする事に。  パン屋の息子なのに惨敗した恭弥は自分の所為で実家のパン屋まで評判が落ちるのではと気づき、泣きながら実家のパン屋は美味しいと訴える。番組での自分の役割を放棄した態度を鷹野にきつく叱られるが、その後立て直し締めの映像を撮り切る。  その一件で鷹野に気に入られた恭弥。鷹野の作戦で実家のパン屋を助けられたことで、何故か世間で【DV彼氏と、彼氏と別れられないアイドル】としてバズることになり――。