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ゲームで遊ぼう!
邪魔者がいなくなって、ようやく静かにお茶が楽しめる。
晴と理玖はケーキを食べ終わると、サービスでもらったクッキーも食べ始めて、
『すっごいサクサクしてる! 美味しいっ!!』
『本当っ! バターがたくさん入って美味しいね』
と嬉しそうに顔を見合わせている。
そんな二人を見ているだけで癒されると思っているのは俺だけじゃない。
アルも同じだ。
『この後はどこに行こうか?』
『やっぱりここに来たらアレには絶対乗らないとね!!』
理玖の言うアレというのは、最高時速100キロという速さで高さ60mから急降下するこのテーマパークのシンボルとも言える絶叫マシン。
『ドイツの遊園地にももっとすごいのがあるけど、ここのもすごいって聞いてたから乗ってみたかったんだ』
理玖は嬉しそうにウキウキしているが、晴は大丈夫だろうか?
『絶叫マシンは大丈夫なのか?』
心配になって尋ねてみたが、
『はい。僕、そのドイツのにも乗ったことがあるんですよ。すっごく楽しかったんで、ここのも乗ろうと思ってたんです』
とにこやかに返された。
『ああ、そうなのか……』
あれほどお化け屋敷は怖がっていたが、意外とこういう絶叫系はいけるのか。
恋人のこういう新しい発見が見られるのもまた旅行の醍醐味だな。
『食事したばかりで絶叫マシンに乗るのはあまり良くないから、少し店を巡ってからにしようか』
そんなアルの言葉に晴も理玖も大人しく賛成して、俺たちはカフェを出た。
店を出る時にも、
『ご迷惑をおかけして申し訳ありません』
と謝られたが、店長が悪いわけではない。
『クッキー、とっても美味しかったです。ごちそうさまでした』
『ケーキもコーヒーもすっごく美味しかったですよ。ごちそうさまでした』
あんな騒ぎなどなかったように晴と理玖がお礼をいうと、ほっとしたような表情を見せてくれた。
『ねぇ、ドイツ語で話すの……なんかすっごく楽しいね。もうこのままでも良さそう』
理玖はアルと一緒にいる時は基本ドイツ語なんだろう。
そのほうがお互いに気楽になれるのかもしれない。
『ああ、そうだな。ユキたちも構わないか?』
『ああ、問題ないよ。俺の発音が気にならないならな』
『何言ってるんだ、ユキの発音は聞き取りやすいし、ネイティブ並みだぞ。なぁ、リク』
『そうですよ。ドイツにいる時みたいで心地いいですよ』
ドイツ人のアルと、ドイツに数年住んでいた理玖、そして、ドイツ人の祖父母を持つ晴。
俺だけがドイツに縁もゆかりもないが、そう言ってもらえると安心する。
つくづく第二外国語でドイツを学んでおいて正解だったな。
あの時フランス語を選ばなかった自分を褒めてやりたい。
『ねぇ。理玖。前に今年中にみんなでドイツに行きたいねって話したけどできそう?』
『そうそう、それをアルと話してたんだ。アルは早瀬さんと香月の都合に合わせられるってさ。ねぇ』
『ああ、早めに調整していれば問題ないよ。ユキはどうなんだ?』
『俺も有給もいっぱい溜まってるから、他の休みと組み合わせれば、二週間くらいなら取れるだろうな』
『わぁ! 二週間もあれば結構楽しめますね! じゃあ香月、この旅行の間にしっかりと計画立てようよ!』
『そうだね、楽しみだね』
理玖と晴がキャッキャと嬉しそうに笑っているのを見ながら、
『そういえば、アルたちの部屋のリノベーションもあと半月くらいで完成するんだろう?』
と尋ねてみた。
隣の部屋で工事が始まっているのは知っていたが昼間はあまりいないし、いたとしても防音がしっかりとしているから、全然気にはならない。
予定より工期が長くなることもないわけではないが、順調だという話はアルから聞いていた。
『ああ、もっとかかると思ったんだが、うちの店の内装を手がけた職人たちに任せたらかなり優秀でな。私とリクの思い描いた通りに作ってくれて、あっという間にリノベーションも終わりそうだよ。そうしたらすぐに引越すつもりだから、日本のニューイヤーホリデーに合わせて出かけてもいいな。それならユキも休みを取りやすいだろう?』
『そうだな。じゃあ、その辺りで調整しておこう』
俺は頭の中でスケジュールを開いた。
通常なら仕事納めの28日に小蘭堂の忘年会もあるが今のご時世強制参加でもないし、それに晴のことを気に入っている上層部に、晴がドイツに帰省するのについていくといえば喜んで休ませてくれそうだ。
クリスマスイブまでに仕事が終わるように調整して、有給を入れて二週間くらい纏まった休みが取れそうだ。
休み明け、すぐに有給申請を出しておくとするか。
『わぁ、みて! ゲームコーナーがある!』
『ああ、本当だ!』
見れば、バスケットゴールにシュートするゲームや、エアホッケーなど少し古いタイプのゲームが置いてある。
こういうところに最新式が置いていないのもそれはそれで面白い。
『試しにやってみるか』
『わぁ! じゃあ、隆之さんバスケットゲームしてみてください!』
『アル、せっかくだから対戦しようか。多くシュートを入れた方が勝ちな』
『ああ、負ける気はしないがな』
『俺もだよ』
こうして言い合える友人と遊べるのは本当に楽しいものだ。
『レベルはどれにする?』
『一番難しいので構わないよ』
自信たっぷりな言葉が返ってくるが、俺は負けないぞ。
二人で同時にコインを入れて、ゲームをスタートさせると晴と理玖が一生懸命応援してくれた。
これでも高校時代はバスケをやっていた。
まだまだ腕は衰えていないはずだ。
シュッ、シュッと気持ちいいようにシュートが決まる。
その度に晴が満面の笑みを見せてくれるのが嬉しくてたまらない。
あっという間に終了時間になる。
俺とアル、両方のゲーム機からものすごい音がしているが、どうやらその台でのハイスコアを叩き出したらしい。
『ああっ! 2点差で隆之さんが勝ってる!!! すごいっ!!』
かなりの僅差だったが、アルは悔しそうだ。
『ふふっ。乗馬ではアルが上だったが、ゲームは勝ったな』
『くそっ。この手のゲームで初めて負けたよ』
『えっ? そうなのか?』
『ああ、ユキがこれほど上手いとは思わなかったな』
なんでもそつなくこなすアルに褒められるのはなんとも嬉しいものだ。
『今度はエアホッケーでペアで戦おうよ』
『いいね! 楽しそう!!』
『晴、やったことあるのか?』
『うーん、ゲーセン自体あんまり行ったことがなくて……でも、高校の時、理玖と一緒にやったことがあるので大丈夫です! がんばりますよ!』
そうか、だろうなと思っていたが、やっぱりゲーセンなんか行ってそうなタイプじゃないもんな。
大体、理玖と二人でも危ない。
多分同じことを持っているんだろう。
俺たちの会話を聞いていたアルの表情がちょっと怖い。
きっとこれからはアルと同伴が義務付けられたな。
間違いない。
晴と理玖はケーキを食べ終わると、サービスでもらったクッキーも食べ始めて、
『すっごいサクサクしてる! 美味しいっ!!』
『本当っ! バターがたくさん入って美味しいね』
と嬉しそうに顔を見合わせている。
そんな二人を見ているだけで癒されると思っているのは俺だけじゃない。
アルも同じだ。
『この後はどこに行こうか?』
『やっぱりここに来たらアレには絶対乗らないとね!!』
理玖の言うアレというのは、最高時速100キロという速さで高さ60mから急降下するこのテーマパークのシンボルとも言える絶叫マシン。
『ドイツの遊園地にももっとすごいのがあるけど、ここのもすごいって聞いてたから乗ってみたかったんだ』
理玖は嬉しそうにウキウキしているが、晴は大丈夫だろうか?
『絶叫マシンは大丈夫なのか?』
心配になって尋ねてみたが、
『はい。僕、そのドイツのにも乗ったことがあるんですよ。すっごく楽しかったんで、ここのも乗ろうと思ってたんです』
とにこやかに返された。
『ああ、そうなのか……』
あれほどお化け屋敷は怖がっていたが、意外とこういう絶叫系はいけるのか。
恋人のこういう新しい発見が見られるのもまた旅行の醍醐味だな。
『食事したばかりで絶叫マシンに乗るのはあまり良くないから、少し店を巡ってからにしようか』
そんなアルの言葉に晴も理玖も大人しく賛成して、俺たちはカフェを出た。
店を出る時にも、
『ご迷惑をおかけして申し訳ありません』
と謝られたが、店長が悪いわけではない。
『クッキー、とっても美味しかったです。ごちそうさまでした』
『ケーキもコーヒーもすっごく美味しかったですよ。ごちそうさまでした』
あんな騒ぎなどなかったように晴と理玖がお礼をいうと、ほっとしたような表情を見せてくれた。
『ねぇ、ドイツ語で話すの……なんかすっごく楽しいね。もうこのままでも良さそう』
理玖はアルと一緒にいる時は基本ドイツ語なんだろう。
そのほうがお互いに気楽になれるのかもしれない。
『ああ、そうだな。ユキたちも構わないか?』
『ああ、問題ないよ。俺の発音が気にならないならな』
『何言ってるんだ、ユキの発音は聞き取りやすいし、ネイティブ並みだぞ。なぁ、リク』
『そうですよ。ドイツにいる時みたいで心地いいですよ』
ドイツ人のアルと、ドイツに数年住んでいた理玖、そして、ドイツ人の祖父母を持つ晴。
俺だけがドイツに縁もゆかりもないが、そう言ってもらえると安心する。
つくづく第二外国語でドイツを学んでおいて正解だったな。
あの時フランス語を選ばなかった自分を褒めてやりたい。
『ねぇ。理玖。前に今年中にみんなでドイツに行きたいねって話したけどできそう?』
『そうそう、それをアルと話してたんだ。アルは早瀬さんと香月の都合に合わせられるってさ。ねぇ』
『ああ、早めに調整していれば問題ないよ。ユキはどうなんだ?』
『俺も有給もいっぱい溜まってるから、他の休みと組み合わせれば、二週間くらいなら取れるだろうな』
『わぁ! 二週間もあれば結構楽しめますね! じゃあ香月、この旅行の間にしっかりと計画立てようよ!』
『そうだね、楽しみだね』
理玖と晴がキャッキャと嬉しそうに笑っているのを見ながら、
『そういえば、アルたちの部屋のリノベーションもあと半月くらいで完成するんだろう?』
と尋ねてみた。
隣の部屋で工事が始まっているのは知っていたが昼間はあまりいないし、いたとしても防音がしっかりとしているから、全然気にはならない。
予定より工期が長くなることもないわけではないが、順調だという話はアルから聞いていた。
『ああ、もっとかかると思ったんだが、うちの店の内装を手がけた職人たちに任せたらかなり優秀でな。私とリクの思い描いた通りに作ってくれて、あっという間にリノベーションも終わりそうだよ。そうしたらすぐに引越すつもりだから、日本のニューイヤーホリデーに合わせて出かけてもいいな。それならユキも休みを取りやすいだろう?』
『そうだな。じゃあ、その辺りで調整しておこう』
俺は頭の中でスケジュールを開いた。
通常なら仕事納めの28日に小蘭堂の忘年会もあるが今のご時世強制参加でもないし、それに晴のことを気に入っている上層部に、晴がドイツに帰省するのについていくといえば喜んで休ませてくれそうだ。
クリスマスイブまでに仕事が終わるように調整して、有給を入れて二週間くらい纏まった休みが取れそうだ。
休み明け、すぐに有給申請を出しておくとするか。
『わぁ、みて! ゲームコーナーがある!』
『ああ、本当だ!』
見れば、バスケットゴールにシュートするゲームや、エアホッケーなど少し古いタイプのゲームが置いてある。
こういうところに最新式が置いていないのもそれはそれで面白い。
『試しにやってみるか』
『わぁ! じゃあ、隆之さんバスケットゲームしてみてください!』
『アル、せっかくだから対戦しようか。多くシュートを入れた方が勝ちな』
『ああ、負ける気はしないがな』
『俺もだよ』
こうして言い合える友人と遊べるのは本当に楽しいものだ。
『レベルはどれにする?』
『一番難しいので構わないよ』
自信たっぷりな言葉が返ってくるが、俺は負けないぞ。
二人で同時にコインを入れて、ゲームをスタートさせると晴と理玖が一生懸命応援してくれた。
これでも高校時代はバスケをやっていた。
まだまだ腕は衰えていないはずだ。
シュッ、シュッと気持ちいいようにシュートが決まる。
その度に晴が満面の笑みを見せてくれるのが嬉しくてたまらない。
あっという間に終了時間になる。
俺とアル、両方のゲーム機からものすごい音がしているが、どうやらその台でのハイスコアを叩き出したらしい。
『ああっ! 2点差で隆之さんが勝ってる!!! すごいっ!!』
かなりの僅差だったが、アルは悔しそうだ。
『ふふっ。乗馬ではアルが上だったが、ゲームは勝ったな』
『くそっ。この手のゲームで初めて負けたよ』
『えっ? そうなのか?』
『ああ、ユキがこれほど上手いとは思わなかったな』
なんでもそつなくこなすアルに褒められるのはなんとも嬉しいものだ。
『今度はエアホッケーでペアで戦おうよ』
『いいね! 楽しそう!!』
『晴、やったことあるのか?』
『うーん、ゲーセン自体あんまり行ったことがなくて……でも、高校の時、理玖と一緒にやったことがあるので大丈夫です! がんばりますよ!』
そうか、だろうなと思っていたが、やっぱりゲーセンなんか行ってそうなタイプじゃないもんな。
大体、理玖と二人でも危ない。
多分同じことを持っているんだろう。
俺たちの会話を聞いていたアルの表情がちょっと怖い。
きっとこれからはアルと同伴が義務付けられたな。
間違いない。
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