27 / 55
遠足に行こう!
しおりを挟む
<side征哉>
「せいくーん!!」
私の車が駐車場に着いたことに気づいたのか、一花が地下まで迎えにきてくれた。
「おはよう、一花。もう制服に着替えているなんて早いな」
「だってー、今日は遠足なんだよ! 一花、楽しみで早起きしちゃったの」
「そうか。今日はいい天気だから動物園日和だぞ。さぁ、家に入ろう」
一花を腕に乗せて縦抱きに抱っこして、地下駐車場から家に入ると櫻葉会長の姿が見えた。
「会長、おはようございます」
「征哉くん、今日は一花の付き添いをよろしく頼むよ」
「お任せください」
「パパー、帰ってきたら一花が遠足のお話、いっぱい聞かせてあげるね」
「ああ、楽しみにしてるよ。ほら、一花。麻友子が呼んでいたぞ。お弁当とお菓子をリュックに詰めるんだろう?」
櫻葉会長の言葉に一花は
「あっ! そうだった! せいくん、下ろしてー」
と声をあげ、そっと下ろしてやるとキッチンへと駆けて行った。
「征哉くん、朝から騒々しくて悪いな。ちょうど準備をしていたところで君を迎えに駆け出して行ったものだから」
「いえ、私の方こそタイミングが悪かったようですね。失礼しました」
「それで今日のルートはどうなっている?」
「はい。今、スマホに送りますね」
桜グループの保護者とエヴァンがフランスから呼び寄せたロレーヌ家の専属警備隊の隊員二人と共有している今日のスケジュールを櫻葉会長に送った。もちろんこれは私の両親にも送信済みだ。
「史紀に協力してもらって、間に二時間ほど観にいける時間を作ったから、麻友子と参加させてもらうよ」
「わかりました。基本的にはこのスケジュールで動いていますので、変更があれば随時新しいものを送信します。それをご覧ください」
「ありがとう。助かるよ。あとは動画の撮影と写真だが、征哉くんに全て任せてもいいのかな?」
「それもご安心ください。私の秘書が付き添いとして同行することになっていますので、撮影等は全て彼にお願いしています」
「君の秘書? すごいな、もうつけているのか?」
「はい。大学の後輩なんですが、法学部だったので、私より一足早く卒業をして司法修習も済ませて、弁護士事務所で働いていたんですよ。学生時代から優秀で、私が社会人となったら秘書になってもらうと約束をしていたのでうちに来てもらいました。彼にお願いしたら完璧にこなしてくれるので、安心してください」
私の秘書である志摩くんとは法学部の講座を受けに行った時に知り合った。
彼の勤勉さと優秀さに惹かれ、彼を絶対に自分の秘書にすると決めて必死に口説き落とした。
彼自身も絶対に弁護士になりたいというわけではなかったようで、最終的には私の考えに賛同してくれて私が貴船コンツェルンの後継として働き出すと同時にうちに入社し、私の右腕となって働いてくれるようになった。
私が睨んだ通り、彼は秘書としてかなり優秀で父でさえも、彼をどこで見つけてきたんだと驚くほどで、彼がいれば安心して仕事ができると言わしめるほどの実力を持っていた。
今日は一花の初めての遠足ということで父は私には休暇を、志摩くんには日帰り出張ということで手当を弾んでくれたようだ。もちろんカメラマンとして付き添ってもらう謝礼は私のポケットマネーから支払うつもりだ。
彼とは動物園で待ち合わせすることにしているから、志摩くんのことだから約束の十分前には到着しているだろう。
「せいくん。準備できたよー! ちゃんとせいくんのお弁当も作ってもらったからね」
「それは楽しみだな。麻友子さん、ありがとうございます」
「あのね、せいくんのおにぎりは一花が握ったんだよ」
「えっ? そうなのか?」
「うん。でもちょっと崩れちゃった。せいくん、食べてくれる?」
「もちろんだよ。一花の手作りおにぎりか。お昼が今から楽しみだな」
一花が私のために作ってくれたんだ。崩れていようが、塩と砂糖を間違えていようがなんだって美味しく感じられるに決まっている。
初めての遠足というだけでも楽しみなのに、一花の手料理まで食べられるとは……幸せすぎるな。
「ねぇ、せいくん。弓弦くんたちがお迎えに来てくれるんだよね?」
「ああ。そうだ。ここに来て、次に理央くんのお家、そして、空良くんのお家、そして最後に真守くんの家に寄ってから動物園に向かうんだ」
「みんなのお家に行けるなんて楽しみだなー」
「そうだな」
そんな話をしていると玄関チャイムが鳴り、二階堂さんが弓弦くんとエヴァン、そして執事のジュールさんの来訪を伝えにきた。
「弓弦くんがきたー!!」
一花が嬉しそうに玄関に飛んでいくのを私は慌てて後ろからついていった。
「せいくーん!!」
私の車が駐車場に着いたことに気づいたのか、一花が地下まで迎えにきてくれた。
「おはよう、一花。もう制服に着替えているなんて早いな」
「だってー、今日は遠足なんだよ! 一花、楽しみで早起きしちゃったの」
「そうか。今日はいい天気だから動物園日和だぞ。さぁ、家に入ろう」
一花を腕に乗せて縦抱きに抱っこして、地下駐車場から家に入ると櫻葉会長の姿が見えた。
「会長、おはようございます」
「征哉くん、今日は一花の付き添いをよろしく頼むよ」
「お任せください」
「パパー、帰ってきたら一花が遠足のお話、いっぱい聞かせてあげるね」
「ああ、楽しみにしてるよ。ほら、一花。麻友子が呼んでいたぞ。お弁当とお菓子をリュックに詰めるんだろう?」
櫻葉会長の言葉に一花は
「あっ! そうだった! せいくん、下ろしてー」
と声をあげ、そっと下ろしてやるとキッチンへと駆けて行った。
「征哉くん、朝から騒々しくて悪いな。ちょうど準備をしていたところで君を迎えに駆け出して行ったものだから」
「いえ、私の方こそタイミングが悪かったようですね。失礼しました」
「それで今日のルートはどうなっている?」
「はい。今、スマホに送りますね」
桜グループの保護者とエヴァンがフランスから呼び寄せたロレーヌ家の専属警備隊の隊員二人と共有している今日のスケジュールを櫻葉会長に送った。もちろんこれは私の両親にも送信済みだ。
「史紀に協力してもらって、間に二時間ほど観にいける時間を作ったから、麻友子と参加させてもらうよ」
「わかりました。基本的にはこのスケジュールで動いていますので、変更があれば随時新しいものを送信します。それをご覧ください」
「ありがとう。助かるよ。あとは動画の撮影と写真だが、征哉くんに全て任せてもいいのかな?」
「それもご安心ください。私の秘書が付き添いとして同行することになっていますので、撮影等は全て彼にお願いしています」
「君の秘書? すごいな、もうつけているのか?」
「はい。大学の後輩なんですが、法学部だったので、私より一足早く卒業をして司法修習も済ませて、弁護士事務所で働いていたんですよ。学生時代から優秀で、私が社会人となったら秘書になってもらうと約束をしていたのでうちに来てもらいました。彼にお願いしたら完璧にこなしてくれるので、安心してください」
私の秘書である志摩くんとは法学部の講座を受けに行った時に知り合った。
彼の勤勉さと優秀さに惹かれ、彼を絶対に自分の秘書にすると決めて必死に口説き落とした。
彼自身も絶対に弁護士になりたいというわけではなかったようで、最終的には私の考えに賛同してくれて私が貴船コンツェルンの後継として働き出すと同時にうちに入社し、私の右腕となって働いてくれるようになった。
私が睨んだ通り、彼は秘書としてかなり優秀で父でさえも、彼をどこで見つけてきたんだと驚くほどで、彼がいれば安心して仕事ができると言わしめるほどの実力を持っていた。
今日は一花の初めての遠足ということで父は私には休暇を、志摩くんには日帰り出張ということで手当を弾んでくれたようだ。もちろんカメラマンとして付き添ってもらう謝礼は私のポケットマネーから支払うつもりだ。
彼とは動物園で待ち合わせすることにしているから、志摩くんのことだから約束の十分前には到着しているだろう。
「せいくん。準備できたよー! ちゃんとせいくんのお弁当も作ってもらったからね」
「それは楽しみだな。麻友子さん、ありがとうございます」
「あのね、せいくんのおにぎりは一花が握ったんだよ」
「えっ? そうなのか?」
「うん。でもちょっと崩れちゃった。せいくん、食べてくれる?」
「もちろんだよ。一花の手作りおにぎりか。お昼が今から楽しみだな」
一花が私のために作ってくれたんだ。崩れていようが、塩と砂糖を間違えていようがなんだって美味しく感じられるに決まっている。
初めての遠足というだけでも楽しみなのに、一花の手料理まで食べられるとは……幸せすぎるな。
「ねぇ、せいくん。弓弦くんたちがお迎えに来てくれるんだよね?」
「ああ。そうだ。ここに来て、次に理央くんのお家、そして、空良くんのお家、そして最後に真守くんの家に寄ってから動物園に向かうんだ」
「みんなのお家に行けるなんて楽しみだなー」
「そうだな」
そんな話をしていると玄関チャイムが鳴り、二階堂さんが弓弦くんとエヴァン、そして執事のジュールさんの来訪を伝えにきた。
「弓弦くんがきたー!!」
一花が嬉しそうに玄関に飛んでいくのを私は慌てて後ろからついていった。
1,082
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった
近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。
それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。
初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる