イメケンスパダリ弁護士はようやく見つけた最愛と激甘な夫夫生活始めます

波木真帆

文字の大きさ
33 / 55
番外編

理央のおでかけ  8

しおりを挟む
 楽しすぎて終わりそうにないので10話で終わりを目指します!
楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *

<side絢斗>

年に数回卒業生の秀吾くんに手伝いをお願いする。彼に仕事を休ませてまで手伝いに来てもらうのは申し訳ないのだけれど、自分ではどうにもできないことを秀吾くんがやってくれるからついつい頼んでしまう。

私は片付けや整理をする能力が著しく劣っているみたいだ。

秀吾くんの予定を潰さないためにも手伝いを頼む日は一ヶ月以上前から頼んでいるのだけど、数日前に突然同伴者を増やしたいと連絡が来た。私としては秀吾くんさえ来てくれたら誰を連れてきてくれても構わない。けれど、秀吾くんが周防くん以外を連れてくるなんて珍しい。というか、秀吾くんがここに連れてくるくらい仲がいい子がいるなんて知らなかった。

それで気になって誰を連れてくるのかを聞いてみたら、なんとあの観月くんの姫!!!

観月くんはいつも笑顔で紳士的だけど、裏を返せば感情を表に出さない。絶対に自分のプライベートな部分を見せることはせず、自分のテリトリーには誰も入れないという徹底ぶり。

そんな彼が出会ってすぐの相手を自宅に招き入れて、しかも半ば軟禁状態で溺愛しているというのだから、最初聞いた時は耳を疑った。

けれど、その情報は観月くんの事務所で働く秀吾くんの父である元春さんからのものだから確実に本当のことだ。

それから日を追うごとに観月くん情報がどんどん増えてくる。最近の情報源はもっぱら同じ大学教授で仲の良い鳴宮皐月だ。

時間が合うたびにお互いの部屋でお茶会をしているのだけど、皐月の話題はほとんどが息子や息子の恋人、それに愛する旦那さまの話題や教え子たちの話が多かった。けれど最近はここに観月くんの話題が加わった。

「観月くんの溺愛する姫に会ってみたいよね。二人でいる時ってどんな感じなんだろう……。想像つかないな」

「確かに。でも、ああいうタイプこそ、本当に好きな相手には何もかも曝け出すんじゃないかな」

「そうかも。うちの伊織もね――」

ああ、そういえば安慶名くんも観月くんと同じタイプかもしれない。誰に告白されても決して靡かなかった安慶名くんが自分からアタックしていったっていうんだから、やっぱりそういうものなのかもしれない。

「ねぇ、当日時間ができたら榊くんと姫に会いにきてもいい?」

「いいよ。っていうか、周防くんもきっと一緒だから周防くんも楽しみにしてあげて」

「ああっ、そうだった。榊くんがいるところ、周防くんありだからね」

「そうそう!」


なんて、話をしていたのだけど、当日観月くんの姫を見て驚いてしまった。

高校生、いや下手すれば中学生にも見えそうな童顔で華奢な可愛い子。だけど、芯の強そうな目をしていてものすごく好感が持てる子だった。

決して観月くんに頼り切って寄りかかっているわけじゃない。ものすごい力を秘めていそうな、そんな気がした。

その彼が学内で迷子になり、偶然にも保護したのは皐月だった。私の部屋に来ようとして、目の前を走り去っていく姫を見つけて追いかけてくれたらしい。本当に皐月様々だ。

みんなで合流してやっと学食で食事を取ろうとしていると、そこに観月くんが現れた。

額に汗をかき、心の底から心配して駆けつけたというのがありありと見えるその姿を見て、ああ、本物だと思った。

姫を愛おしそうに抱きしめ、ほっとしたようにラブラブな会話を楽しむ二人に誰が邪魔なんてできるだろうか。

可愛い姫をしっかりと腕に抱き、私と皐月の元に歩いてきた彼は

「緑川教授、それから鳴宮教授もお久しぶりです。相変わらず仲がよろしいのですね」

いつものそつのない表情を見せたけれど、皐月に揶揄われて途端に表情が崩れた。
ああ、本当に変わったんだ。いや、あの姫が変えたのか。改めて私はあの姫の偉大さを知った。

「絢斗」

「えっ? あっ、すぐるさん。どうしてここに?」

「観月くんの姫がここに来ていると聞いたから私もついてきたんだよ。今から食事か?」

「ええ。よかったら卓さんも一緒にどうですか? それとももう食べました?」

「いや、まだだ。よかったよ、絢斗と一緒に食べられるなら」

学食で一緒に食べられるなんて久しぶりだ。

「あーあ、いいなぁ。私も宗一郎さんに一緒に来て貰えばよかった」

皐月がそんなことを言っているけれど、皐月の目は観月くんの姫を見つめている。どうやら本当に観月くんの姫が気に入ったみたいだな。
しおりを挟む
感想 53

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。 王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。 レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。 3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。 将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ! 「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」 ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている? 婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています

水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。 「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」 王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。 そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。 絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。 「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」 冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。 連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。 俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。 彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。 これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。

処理中です...