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IF
もし、あの時待ち合わせ場所で警察に保護されていたら…… 5
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好きなものを選んでいいと言われてケーキが並んだケースを見る。
どれも美味しそうで選ぶのが難しい。
でも次に来た人が僕が選ぶのを待っているから早く決めないと!
悩みに悩んで、美味しそうな苺が載った生クリームのショートケーキと、レモンのレアチーズケーキ。
そして、くるくると巻かれた薄いチョコレートが載っている濃厚そうなチョコレートケーキ。そして、モンブランの四種類までなんとか絞ったけれど、この中からどれを選ぼう……
それにあの瓶に入った美味しそうなプリンもちょっと気になっている。
「決まった?」
先生に尋ねられて僕はケーキを四つまで絞ったことを告げると、
「それじゃあ四つとも買おうか。あとはプリンも」
と言ってくれた。
プリンのことは言わなかったのに、僕が気になっていることに気付いていたみたいだ。
先生って……なんかすごいな。
綺麗に箱詰めしてもらって手提げ袋に入れてもらう。
こんな宝物みたいなケーキを運ぶのは初めてだ。
先生は後ろにケーキを置いてくれようとしたけれど、僕は自分で持つと言い張った。
だって買って帰るのも僕には楽しいイベントみたいだもん。
綺麗に箱詰めしてもらったケーキを崩さないように集中している間に、車がどこかの地下に入って行った。
驚いて顔を上げると「家に着いたよ」と教えてくれる。
車が入って行った地下には何台もの車が置かれていて、驚くほど広い。
えっ? 先生って一人暮らしだって言ってなかったっけ?
びっくりして尋ねると、
「そうだよ。両親は定年退職後に夫婦でギリシャに移住してね、私は実家で一人暮らしをしているんだ」
という想像もつかなかった答えが返ってきた。
定年後に海外に移住するという話を聞いたことがあるけど、まさか先生のご両親が……
しかもギリシャっていうのが凄すぎる。
僕が茫然としている間に先生は助手席の扉を開けて、ケーキの箱を持ってくれた。
そして、建物のほうに案内してくれる。
階段かと思ったら現れたのはエレベーター。
あまりにも自分がいる世界と違いすぎて夢を見ている感じがする。
エレベーターの扉が開き、そのまま洗面所に案内される。
先生が泡タイプのハンドソープで綺麗に指の先や爪まで洗っているのを見ると、やっぱりお医者さんなんだと思う。
僕も真似して綺麗に洗い終えると、リビングに連れて行ってくれた。
先生はゆっくりしてていいよと言ってくれたけれど、見るからに高そうなソファに一人で座っているのは落ち着かない。
それよりも先生を見ていたい。
「あの、先生が作るところを見ててもいいですか?」
ドキドキしながらお願いすると、「じゃあ、こっちにおいで」と広々としたテーブルに連れて行ってくれる。
この席からは台所の様子がよく見える。
先生は手慣れた様子でエプロンをつけて台所に入っていく。
そのエプロンがすごく似合っていて、まるで料理人みたい。
先生の手料理が食べられるなんて……
今でも夢じゃないかと思ってしまう。
夢見心地に先生を見つめていると、大きな冷凍庫から何かすごい塊を取り出した。
「これでハンバーグを作るよ」
見せられたのは先生の片手からはみ出している大きなお肉の塊。
「わっ、おっきい!」
思わず声が出てしまう。
先生は一瞬戸惑ったように見えたけれど、今はさっきまでと変わらない。
僕の見間違えだったのかな。
「ハンバーグってミンチを使うんですよね? これで作れるんですか?」
こんな大きなお肉の塊でハンバーグが作れるのかなと不思議に思ったけれど、先生はどこからか機械を取り出して作業台に置いた。
何に使うものかわからなくて素直に尋ねる。どうやらこれはお肉をミンチにする機械らしい。
こんなすごい機械が家にあるなんて凄すぎる。
しかも牛肉百パーセントのハンバーグを作ってくれるというのだから僕にはもう未知の世界。
びっくりしている間におっきなハンバーグのお肉ができていた。
ジュージューと焼ける匂いがもう美味しそう。
僕が身を乗り出すと、先生がフライパンの蓋を開けてくれた。
大きな小判形のふっくらとしたハンバーグがものすごく美味しそう。
「わぁー! こんなおっきなの初めてー!」
子どもっぽすぎると思いつつも、僕はあまりの感動にはしゃいでしまっていた。
僕の目の前に大きなハンバーグが載ったお皿と美味しそうなスープとパンが並べられる。
お店の料理みたいで輝いて見える。
「そういえば、ひかりくんは成人しているんだったね」
そう言われて二十歳になったと伝えた。
「それじゃあ食事をしながら少しお酒を飲もうか。飲める?」
先生に尋ねられたけれど、まだ一度も口にしていないから飲めるかどうかわからない。
それでも初めてのお酒を先生と一緒に飲めるのなら嬉しいと思って、少しなら多分飲めると答えた。
先生が用意してくれたお酒をグラスに注いでくれる。
「せっかくだから乾杯しようか」
先生と乾杯……っ。
僕……今日一日で一生分の幸運を使い果たしているのかもしれない。
「ひかりくんと出会えた夜に、乾杯」
「かん、ぱい……」
もうこれから先、ずっと不幸でもいい。
今が幸せだから……
そう思いながら、先生に注いでもらった、そして一緒に乾杯したお酒に口をつけた。
どれも美味しそうで選ぶのが難しい。
でも次に来た人が僕が選ぶのを待っているから早く決めないと!
悩みに悩んで、美味しそうな苺が載った生クリームのショートケーキと、レモンのレアチーズケーキ。
そして、くるくると巻かれた薄いチョコレートが載っている濃厚そうなチョコレートケーキ。そして、モンブランの四種類までなんとか絞ったけれど、この中からどれを選ぼう……
それにあの瓶に入った美味しそうなプリンもちょっと気になっている。
「決まった?」
先生に尋ねられて僕はケーキを四つまで絞ったことを告げると、
「それじゃあ四つとも買おうか。あとはプリンも」
と言ってくれた。
プリンのことは言わなかったのに、僕が気になっていることに気付いていたみたいだ。
先生って……なんかすごいな。
綺麗に箱詰めしてもらって手提げ袋に入れてもらう。
こんな宝物みたいなケーキを運ぶのは初めてだ。
先生は後ろにケーキを置いてくれようとしたけれど、僕は自分で持つと言い張った。
だって買って帰るのも僕には楽しいイベントみたいだもん。
綺麗に箱詰めしてもらったケーキを崩さないように集中している間に、車がどこかの地下に入って行った。
驚いて顔を上げると「家に着いたよ」と教えてくれる。
車が入って行った地下には何台もの車が置かれていて、驚くほど広い。
えっ? 先生って一人暮らしだって言ってなかったっけ?
びっくりして尋ねると、
「そうだよ。両親は定年退職後に夫婦でギリシャに移住してね、私は実家で一人暮らしをしているんだ」
という想像もつかなかった答えが返ってきた。
定年後に海外に移住するという話を聞いたことがあるけど、まさか先生のご両親が……
しかもギリシャっていうのが凄すぎる。
僕が茫然としている間に先生は助手席の扉を開けて、ケーキの箱を持ってくれた。
そして、建物のほうに案内してくれる。
階段かと思ったら現れたのはエレベーター。
あまりにも自分がいる世界と違いすぎて夢を見ている感じがする。
エレベーターの扉が開き、そのまま洗面所に案内される。
先生が泡タイプのハンドソープで綺麗に指の先や爪まで洗っているのを見ると、やっぱりお医者さんなんだと思う。
僕も真似して綺麗に洗い終えると、リビングに連れて行ってくれた。
先生はゆっくりしてていいよと言ってくれたけれど、見るからに高そうなソファに一人で座っているのは落ち着かない。
それよりも先生を見ていたい。
「あの、先生が作るところを見ててもいいですか?」
ドキドキしながらお願いすると、「じゃあ、こっちにおいで」と広々としたテーブルに連れて行ってくれる。
この席からは台所の様子がよく見える。
先生は手慣れた様子でエプロンをつけて台所に入っていく。
そのエプロンがすごく似合っていて、まるで料理人みたい。
先生の手料理が食べられるなんて……
今でも夢じゃないかと思ってしまう。
夢見心地に先生を見つめていると、大きな冷凍庫から何かすごい塊を取り出した。
「これでハンバーグを作るよ」
見せられたのは先生の片手からはみ出している大きなお肉の塊。
「わっ、おっきい!」
思わず声が出てしまう。
先生は一瞬戸惑ったように見えたけれど、今はさっきまでと変わらない。
僕の見間違えだったのかな。
「ハンバーグってミンチを使うんですよね? これで作れるんですか?」
こんな大きなお肉の塊でハンバーグが作れるのかなと不思議に思ったけれど、先生はどこからか機械を取り出して作業台に置いた。
何に使うものかわからなくて素直に尋ねる。どうやらこれはお肉をミンチにする機械らしい。
こんなすごい機械が家にあるなんて凄すぎる。
しかも牛肉百パーセントのハンバーグを作ってくれるというのだから僕にはもう未知の世界。
びっくりしている間におっきなハンバーグのお肉ができていた。
ジュージューと焼ける匂いがもう美味しそう。
僕が身を乗り出すと、先生がフライパンの蓋を開けてくれた。
大きな小判形のふっくらとしたハンバーグがものすごく美味しそう。
「わぁー! こんなおっきなの初めてー!」
子どもっぽすぎると思いつつも、僕はあまりの感動にはしゃいでしまっていた。
僕の目の前に大きなハンバーグが載ったお皿と美味しそうなスープとパンが並べられる。
お店の料理みたいで輝いて見える。
「そういえば、ひかりくんは成人しているんだったね」
そう言われて二十歳になったと伝えた。
「それじゃあ食事をしながら少しお酒を飲もうか。飲める?」
先生に尋ねられたけれど、まだ一度も口にしていないから飲めるかどうかわからない。
それでも初めてのお酒を先生と一緒に飲めるのなら嬉しいと思って、少しなら多分飲めると答えた。
先生が用意してくれたお酒をグラスに注いでくれる。
「せっかくだから乾杯しようか」
先生と乾杯……っ。
僕……今日一日で一生分の幸運を使い果たしているのかもしれない。
「ひかりくんと出会えた夜に、乾杯」
「かん、ぱい……」
もうこれから先、ずっと不幸でもいい。
今が幸せだから……
そう思いながら、先生に注いでもらった、そして一緒に乾杯したお酒に口をつけた。
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