ウブな子猫はゲイアプリで出会った理想の男性に愛されたくてたまらない!

波木真帆

文字の大きさ
25 / 25
番外編

大きなサプライズ

昨日の拓哉のほうのお話で面白い感想をいただいて、
「あー、そのほうが楽しかったかも!」と思ったので、ちょっと書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡

   *   *   *


「拓哉さん、おかえりなさい!」

いつものように拓哉さんを出迎える。
でも今日はなんだかいつも以上にハグが強い。

それはそれでとても嬉しいけれど、何かあったのかちょっと心配になる。
おかえりのキスをして、ジャケットを渡される。
この瞬間、拓哉さんと結婚しているような気になって嬉しい。

ジャケットにブラシを当てクローゼットにしまう間に、拓哉さんが手を洗って寝室にやってきた。

「ありがとう。ちょっと話をしてもいいかな?」

「は、はい」

拓哉さんから話があると言われると、いつもドキドキしてしまう。
だけど、そんな僕を気遣って優しく肩を抱いて声をかけてくれるから、悪い話ではないと安心できる。
一緒にベッドに腰を下ろす。

「実は、今日母親から連絡があったんだ」

「えっ、あのギリシャにいる?」

「そうそう。よく覚えていたね」

えらい、えらいと褒めるように、僕の頭を優しく撫でてくれる。
子猫か、子犬のような気持ちになるけれど、拓哉さんの愛情表現が嬉しい。

「いつもこの時期に長期休暇をとっていたから、それを使ってギリシャに来ないかって言われたんだけどね。今年はひかりとゆっくり過ごしたかったから断ったんだ」

「そう、なんですか……」

ご両親には紹介するのが僕ではちょっと恥ずかしいのかな、とほんの少し頭に浮かんでしまった。

「もう少し二人っきりの時間を過ごしてから、両親に紹介するためにギリシャに連れて行こうかと思っていたんだけどね」

そんな僕の気持ちを先回りするように、拓哉さんはそう言ってくれた。

「本当に……僕を紹介してくれるんですか?」

「当たり前だろう。ひかりは私の一生の伴侶なんだから」

そうはっきりと告げられて、胸の奥がじんわりと暖かくなる。

「拓哉さん……僕、嬉しいです」

「ああ、そんなに喜んでくれて私も嬉しいよ」

拓哉さんがちゅっと優しいキスをしてくれる。ああ、僕……本当に……幸せだ。

「ただ、困ったことになってね……」

「困ったこと、ですか?」

「ああ。ギリシャに行くのを断るために、かわいい恋人ができた話をしたんだ。そうしたら……」

拓哉さんの曇った表情にちょっと不安になる。
すると、予想外の言葉がきた。

「ひかりに会うために、週末帰ってくるって言い出したんだ。せっかく週末は二人でドライブに行こうと思ってたのに……」

えっ、僕に会うために?
週末って、もう数日後だよ?

あまりの行動力に驚きしかない。

「ほんと、悪い! うちの親、良くも悪くも行動力があって、会いたいと思ったらすぐに動いてしまうんだよ。ひかりには週末、窮屈な思いをさせてしまうかもしれないが、困ったことがあればなんでも言ってくれ」

拓哉さんのご両親に会えるのはもちろん緊張する。
でも、恋人として紹介してもらえる喜びのほうが大きい。

どんな人たちなんだろう。
拓哉さんのご両親だから、うちの両親とは全く違うだろうな。

なんだか、楽しみになってきた。

そうしてあっという間に、ご両親がやってくる日が明日に迫った。
土曜日のお昼前に到着するご両親を、拓哉さんと一緒に空港にお迎えに行く予定だ。

「じゃあ、行ってくるよ」

「はい。行ってらっしゃい」

病院に行く拓哉さんをキスとハグで見送る。
その後、いつものように掃除をしたり、洗濯をしたり……と家事をしながら、過ごしていると、突然玄関のチャイムが鳴った。

「拓哉さんが、忘れ物をしたのかも!」

連絡を入れてくれたのに、掃除してたから聞こえなかったのかも。
そう思いながら、急いで玄関の扉を開けた。

「拓哉さん、忘れも――」

そう尋ねようとした、僕の目の前にいたのは……

「こんにちは。ひかりちゃん」

優しい笑顔の女性と、拓哉さんによく似た少し年配の男性だった。

「会えて嬉しいわー!」

そう言ってさっと玄関に入ってきた女性が、嬉しそうに僕を優しく抱きしめる。
なぜか、その温もりにホッとする。

こうして愛情を感じるハグをされたのは、拓哉さん以外初めて。

親にもされたことがない。

あまりの突然のことで、頭がうまく回らないけれど、この人のハグはとても心地よかった。

「ほら、汐里しおり。感動の出会いはその辺にして、とりあえず中に入ろう。ひかりくんも、何がなんだかわからないだろう」

「あ、そうね。ひかりちゃん。行きましょう」

そういうと、女性は僕の手を優しく取って、一緒にリビングに入っていった。
その場所をまるで知っているように歩くその姿に、僕はハッとした。

「あの、もしかして……拓哉さんの、お母さんとお父さん、ですか?」

「せいかーい! 拓哉を驚かせようと思って、一日早く来たの。ひかりちゃんもびっくりした?」

子どものような無邪気な笑顔を向けられて、僕は思わず笑ってしまった。
感想 37

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(37件)

四葩(よひら)
2026.03.12 四葩(よひら)
ネタバレ含む
2026.03.18 波木真帆

四葩さま。コメントありがとうございます!
本当にね、何も知らないにゃんこちゃんたちのためにもこういう相談室は必要かもですね。
何も知らない子が多いので、何をしても不安になっちゃう。
閨のことなんかは基本的には旦那様から教えてもらうのが一番でしょうが、旦那さまに喜んでもらう術とかおすすめとかあったら嬉しいですよね。先輩たちの言葉は旦那さまたちも大喜びしそうです。

定期的に両親から連絡がきているだろう拓哉。
ぽろっと恋人ができたことを漏らしたら緊急で会いにきたりしそう(笑)
そして、当然の如く可愛いひかりが連れ回されますwww
家族に愛されたことのないひかりには嬉しいですね。
でも拓哉はヤキモキしちゃうかも(笑)

解除
いぬぞ~
2026.03.12 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.03.18 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭ですね。ひかりにとって唯一の理想の人が拓哉ですからね。
でもやっぱりずっと三番手でいた拓哉にはひかりがゆーちーに惹かれるんじゃないかって不安になりますよね。
お絵描きを見て、すぐに自分かと気づくくらいなんでかなりそっくり(笑)
もう本当に運命の相手ですよね。
ずっと自分の姿を思い続けてくれていた相手がドクズに奪われる前で本当に良かったですね。

自分の食べてみたかったものをレシピを見て作れちゃう。
続けていったらレシピを見ただけで、これはこの調味料入れた方が拓哉さんが気にいるかも……とかアレンジできるようになるかもですね。

自分のお気に入りの店には連れて行きたい旦那たち。
ミモザはにゃんこなら好きになる料理がいっぱいありますからね。
照さんも旦那たちがみんな食が細そうなにゃんこを連れてくるのでにゃんこランチ作ってるかも。
その中でも好きなものだけ少量ずつ入れた特別ランチも作れたりしちゃいます(笑)

解除
いぬぞ~
2026.01.11 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.01.16 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
最愛相手だと何度出しても濃くて量が多いからすごいですよね。
飲みたいと願っていたニャンコなので、嬉しくて仕方ないでしょうね。

ひかりは無自覚で煽ってくるタイプなんで(ニャンコはほぼそれですが笑)
旦那は落ち着く暇がないですねwww

いっくんとひかりは確かに似ているかも。
五百円のオムライス食べるために一日昼食抜いても……って頑張っちゃいそうだし。
二人を美味しい大人のお子様ランチの店に連れて行ってあげたいですね💕
また可愛いひかりが見れますね🥰

解除

あなたにおすすめの小説

愛を感じないのに絶対に別れたくないイケメン俳優VS釣り合わないので絶対に別れたい平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
 平凡顔・ヒモ・家事能力無しの黒は、恋人であるイケメン俳優の九条迅と別れたがっている。それは周りから釣り合ってないと言われたり、お前の事を愛してない人間なんて止めておけと忠告されたからだ。だが何度黒が別れようとしても、迅は首を縦に振らない。  迅の弟である疾風は、兄は黒の事を特別扱いしてると言うが――。黒は果たして迅と別れることが出来るのか!?

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。