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ドキドキが止まらない
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そうだ、スイーツを食べに行くよりも先に服をなんとかしなきゃ!!
『あの、もしよかったら僕の上着どうぞ。これ、羽織り用にいつもより大きなサイズにしたので、あなたにも着られるかも』
そう言って、上着を脱ごうとすると
『だ、だめだっ! こんなところで無防備に肌を晒すなんて!』
と慌てて止められてしまった。
『大丈夫ですよ、中にちゃんと半袖のTシャツ着ているので寒くないですよ』
『そんな問題じゃないんだ。とにかく私の服は気にしないでいい』
『でも……その服じゃ……』
『じゃあ、あそこに行きつけの店があるからそこで服を買うよ』
『あの、じゃあ僕が弁償します』
『いや、それは……』
『僕の責任ですから! お願いします!』
『……わかった。じゃあ、頼むよ』
彼もようやく納得してくれて、彼の行きつけだという店に来たはいいけれど、どうみても超高級店。
値札すらついていない。
僕が持ってるお金で払えるかなぁ……。
急に心配になってきた。
バイトしてきたお金を持ってきているとはいえ、心許ない。
でも、弁償するって言っちゃったしな……。
なんとかお財布のお金で足りますように……。
ドキドキしながら、彼の着替えを待っていると
『どうかな?』
彼が試着室から出てきた。
『わっ! すごく良く似合ってます!!!』
『なら、これにしよう』
そういうと、彼は英語ではない言葉で店員さんと話し始めた。
多分これはロサラン語だ。
先生に少し習っていたからか、ほんの少しの単語を読み書きすることはできるようになったけれど彼のあまりの流暢な発音にリスニングは全くと言っていいほどわからない。
時々彼と店員さんが僕を見るから、きっと僕が支払うとは話してくれているんだと思うけど、一体いくらなんだろう……。
にこやかな笑顔を浮かべながら店員さんが近づいてくる。
その手には電卓を持っていて、僕にスッとその表示を見せてくれた。
$40.20
えっ?
はっ?
40ドル……って、今だと……えっと、5000円くらい?
うそーっ! こんなにリーズナブルなの?
でも、これなら僕でも払える! よかった。
僕は急いで自分の財布からお金を取り出し、トレイに乗せると店員さんはにっこりと微笑んでレジへと歩いて行った。
入れ替わるように着替えと片付けを済ませて試着室から彼が戻ってきた。
『本当に買ってもらって良かったのかい?』
『いいんです。僕が弁償すると言ったので。それにすごくお似合いでしたよ』
『――っ、ありがとう。あの、私はジェリーだ。君の名前を聞いても?』
『あっ、はい。僕、透です』
『トールか。いい名前だ』
『ありがとうございます。あの、ジェリーさんもとってもいい名前です』
彼は僕の言葉に優しい笑みを溢した。
店を出て、僕たちはジェリーさんの行ってみたかったという店へ向かった。
『ここだよ、トール』
『わぁっ!! 可愛いっ! それにいい匂いがしますね』
『ここは美味しいアップルパイを出す店なんだよ。焼きたてのアップルパイに冷たいバニラアイスを乗せて食べるんだ。それを一度でいいから食べてみたくてね』
『わぁ! 聞いているだけで涎が出ちゃいそうです。早く中に入りましょう!!』
僕は甘い匂いに誘われるように、ジェリーさんの腕を取って店へと入った。
店員さんは僕たちをみて、ものすごく驚いた表情をしていた。
多分、男2人でこの店に入るのが珍しいんだろう。
だって、お店にいるお客さん達も圧倒的に女性ばっかりだ。
ちらほら見える男性はきっと女性に連れてこられたんだろう。
でも僕は観光客。
どんなに恥ずかしい思いをしても、ここにいる人たちとまたどこかで会う可能性なんてほとんどない。
それなら、ジェリーさんが楽しめるように僕も精一杯楽しまなくちゃ!!
店員さんだけじゃなくお客さんからも視線を感じるけれど、僕はあえて何も気にしないように努め、
『アップルパイ楽しみですね!』
とひたすら笑顔を向け続けた。
そうして、待ち続けること十数分。
あっつあつのアップルパイの上に美味しそうなバニラアイスが乗せられたものが運ばれてきた。
アップルパイの熱で少しアイスが溶けているのが食欲をそそる。
思わずゴクリと唾を飲み込むと、ジェリーさんもまた同じようにしていて2人で顔を見合わせて笑ってしまった。
『せっかくだから熱いうちに食べようか』
『はい。いただきます!』
サックサクで熱々のアップルパイと冷たくて甘いバニラアイスを合わせて口に運ぶ。
『う~ん、おいひぃでふ』
『ふふっ。本当に美味しいな。あっ、アイスが付いているよ』
『んっ……?』
ジェリーさんの長い手が僕の唇を拭ったかと思ったら、それを口に含んで
『本当に甘くて美味しいな』
と笑顔を見せる。
『――っ!』
ジェリーさんの蕩けるような笑顔に胸の奥がキュンとときめいた気がした。
なんだろう……この感覚。
確かにすっごくかっこいい人だけど、男の人を見てときめくって……。
僕……もしかして、ゲイ……なのかな?
今まで誰も好きになったことがないから女性が好きだとか男性が好きだとかそんなことわからなかったけど、でも……こんな感覚初めてだ。
もしかして、ジェリーさんのこと好きになったのかも……なんて思っただけで、ドキドキが止まらなくなってきた。
『あの、もしよかったら僕の上着どうぞ。これ、羽織り用にいつもより大きなサイズにしたので、あなたにも着られるかも』
そう言って、上着を脱ごうとすると
『だ、だめだっ! こんなところで無防備に肌を晒すなんて!』
と慌てて止められてしまった。
『大丈夫ですよ、中にちゃんと半袖のTシャツ着ているので寒くないですよ』
『そんな問題じゃないんだ。とにかく私の服は気にしないでいい』
『でも……その服じゃ……』
『じゃあ、あそこに行きつけの店があるからそこで服を買うよ』
『あの、じゃあ僕が弁償します』
『いや、それは……』
『僕の責任ですから! お願いします!』
『……わかった。じゃあ、頼むよ』
彼もようやく納得してくれて、彼の行きつけだという店に来たはいいけれど、どうみても超高級店。
値札すらついていない。
僕が持ってるお金で払えるかなぁ……。
急に心配になってきた。
バイトしてきたお金を持ってきているとはいえ、心許ない。
でも、弁償するって言っちゃったしな……。
なんとかお財布のお金で足りますように……。
ドキドキしながら、彼の着替えを待っていると
『どうかな?』
彼が試着室から出てきた。
『わっ! すごく良く似合ってます!!!』
『なら、これにしよう』
そういうと、彼は英語ではない言葉で店員さんと話し始めた。
多分これはロサラン語だ。
先生に少し習っていたからか、ほんの少しの単語を読み書きすることはできるようになったけれど彼のあまりの流暢な発音にリスニングは全くと言っていいほどわからない。
時々彼と店員さんが僕を見るから、きっと僕が支払うとは話してくれているんだと思うけど、一体いくらなんだろう……。
にこやかな笑顔を浮かべながら店員さんが近づいてくる。
その手には電卓を持っていて、僕にスッとその表示を見せてくれた。
$40.20
えっ?
はっ?
40ドル……って、今だと……えっと、5000円くらい?
うそーっ! こんなにリーズナブルなの?
でも、これなら僕でも払える! よかった。
僕は急いで自分の財布からお金を取り出し、トレイに乗せると店員さんはにっこりと微笑んでレジへと歩いて行った。
入れ替わるように着替えと片付けを済ませて試着室から彼が戻ってきた。
『本当に買ってもらって良かったのかい?』
『いいんです。僕が弁償すると言ったので。それにすごくお似合いでしたよ』
『――っ、ありがとう。あの、私はジェリーだ。君の名前を聞いても?』
『あっ、はい。僕、透です』
『トールか。いい名前だ』
『ありがとうございます。あの、ジェリーさんもとってもいい名前です』
彼は僕の言葉に優しい笑みを溢した。
店を出て、僕たちはジェリーさんの行ってみたかったという店へ向かった。
『ここだよ、トール』
『わぁっ!! 可愛いっ! それにいい匂いがしますね』
『ここは美味しいアップルパイを出す店なんだよ。焼きたてのアップルパイに冷たいバニラアイスを乗せて食べるんだ。それを一度でいいから食べてみたくてね』
『わぁ! 聞いているだけで涎が出ちゃいそうです。早く中に入りましょう!!』
僕は甘い匂いに誘われるように、ジェリーさんの腕を取って店へと入った。
店員さんは僕たちをみて、ものすごく驚いた表情をしていた。
多分、男2人でこの店に入るのが珍しいんだろう。
だって、お店にいるお客さん達も圧倒的に女性ばっかりだ。
ちらほら見える男性はきっと女性に連れてこられたんだろう。
でも僕は観光客。
どんなに恥ずかしい思いをしても、ここにいる人たちとまたどこかで会う可能性なんてほとんどない。
それなら、ジェリーさんが楽しめるように僕も精一杯楽しまなくちゃ!!
店員さんだけじゃなくお客さんからも視線を感じるけれど、僕はあえて何も気にしないように努め、
『アップルパイ楽しみですね!』
とひたすら笑顔を向け続けた。
そうして、待ち続けること十数分。
あっつあつのアップルパイの上に美味しそうなバニラアイスが乗せられたものが運ばれてきた。
アップルパイの熱で少しアイスが溶けているのが食欲をそそる。
思わずゴクリと唾を飲み込むと、ジェリーさんもまた同じようにしていて2人で顔を見合わせて笑ってしまった。
『せっかくだから熱いうちに食べようか』
『はい。いただきます!』
サックサクで熱々のアップルパイと冷たくて甘いバニラアイスを合わせて口に運ぶ。
『う~ん、おいひぃでふ』
『ふふっ。本当に美味しいな。あっ、アイスが付いているよ』
『んっ……?』
ジェリーさんの長い手が僕の唇を拭ったかと思ったら、それを口に含んで
『本当に甘くて美味しいな』
と笑顔を見せる。
『――っ!』
ジェリーさんの蕩けるような笑顔に胸の奥がキュンとときめいた気がした。
なんだろう……この感覚。
確かにすっごくかっこいい人だけど、男の人を見てときめくって……。
僕……もしかして、ゲイ……なのかな?
今まで誰も好きになったことがないから女性が好きだとか男性が好きだとかそんなことわからなかったけど、でも……こんな感覚初めてだ。
もしかして、ジェリーさんのこと好きになったのかも……なんて思っただけで、ドキドキが止まらなくなってきた。
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