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二人だけの秘密
<sideジーノ(ユーリ)>
ジーノに、いや、ユーリに愛を囁いてくれた途端、ヴァルは突然意識を失い、ベッドに倒れ込んだ。
どうして?
やっとヴァルに愛してると言われたのに……。
神さまと約束したはずだったのに……。
ここでヴァルを失ってしまったらユーリになったジーノは一体どうしたらいいのだろう?
愛しい人を失ってしまう恐怖。絶望に震える。今になってあの時のヴァルの気持ちがよくわかる。
絶対にこの手を離さないって思っているのに、握り返してこない。
それがこんなにも辛いことだったなんて……。
ヴァル……っ、ヴァル……っ。
お願い! 目を開けて!!
どれだけ望んでももう二度とジーノの目にヴァルは映らなかったあの時と同じように、今度はヴァルの目にユーリが映らなくなるんだろうか……。
いや! そんなこと考えたくない!
ジーノは、座ったままベッドに倒れ込んだヴァルを必死にベッドの中央まで引きずり、ジーノの命が尽きた時のヴァルと同じように後ろからヴァルを抱きかかえて必死に声をかけ続けた。
「ヴァル! ヴァル! 目を開けて! 僕をおいていかないで!!」
どれほど声をかけ続けていただろう。
突然、ヴァルの指がぴくりと動いた。
「――っ、ヴァル?」
先ほどまで何も動きもなかった身体が動いた気がして、ジーノはさらに必死に声をかけ続けた。
「ヴァルっ! ヴァルっ! ねぇ、目を開けて! お願い!!」
ジーノの目に溜まっていた涙がポトリとヴァルの頬に落ちた瞬間、
「んっ……」
ヴァルの瞼がゆっくりと開いた。
「ヴァル!」
「ジー、ノ……」
「えっ?」
どうして、ヴァルがジーノと呼んだの?
今の姿はユーリなのに。
「あ、あの……」
「大丈夫。全て神さまから聞いた。ジーノ、私のためにありがとう」
「――っ!! ヴァルっ!!」
何もかも理解したヴァルのその表情に、ジーノは涙でぐしょ濡れになっていることも忘れてヴァルに抱きついた。
「ヴァルっ! よかった! もう、会えないかと思った」
「ジーノ! それは私もだよ。ありがとう、本当に嬉しいよ」
「ヴァル……っ!! んんっ……」
笑顔のヴァルに見つめられたと思ったら、ヴァルの唇が重なった。
チュッと重ねるだけの甘いキス。
懐かしい、ヴァルとのキスだ。
そっと唇が離れていくと、ヴァルが嬉しそうに頬を緩めた。
「初めてだよ。ジーノとのキスでしょっぱかったのは」
「えっ? あっ! ご、ごめんなさい」
涙でぐしょ濡れだったことを思い出して、慌てて服の袖で拭こうとしたのをさっと止められて、ヴァルが綺麗なハンカチで涙を拭ってくれる。
「心配かけてしまったのだな。こんなに目が腫れて……」
「そんなこと……っ、あの時、ヴァルを泣かせてしまったことに比べたら僕の涙なんて……」
「あの時? もしかしてあの時もずっとそばにいたのか?」
「はい。僕の亡骸を腕に抱いたまま涙を流しているヴァルをずっと見てました。何もできないのが辛くて申し訳なくて……」
「そうか……それなら、私の気持ちは全てジーノに伝わっていたわけだな」
「はい。ヴァルがどれだけ僕のことを思ってくれていたか全部……」
だからこそ、どうしてもヴァルを守りたいと思ったんだ。
「神さまと契約を交わしたと聞いた。どうしてそんな無茶な真似を?」
「それは……だから、ヴァルが僕をどれだけ思ってくれているのかわかったから、ヴァルに幸せになって欲しくて……でも、ヴァルは僕がいないと幸せにはなれないって、だから神さまが提案してくださったんだ。ユーリさまと入れ替わって、ユーリさまの寿命が尽きる前にヴァルが愛してくれるようになったら、って……」
「――っ、私の幸せのために無理な選択をさせてしまったのだな。でも、本当だよ、ジーノでなければ私は幸せにはなれない。私がユーリさまに愛を告げることができたのは、姿形が変わってもジーノだと本能が気づいていたからだろうな」
「ヴァル……でも、これは二人だけの秘密にしよう。お父さま……国王さまはユーリさまが元気になってとても喜んでくださっているから……」
「ああ、そうだな。全てを伝えることが最善ではないからな」
ヴァルはジーノの気持ちも国王さまの気持ちも理解してくれた。そうして、笑顔のままもう一度唇を重ね合った。
ジーノに、いや、ユーリに愛を囁いてくれた途端、ヴァルは突然意識を失い、ベッドに倒れ込んだ。
どうして?
やっとヴァルに愛してると言われたのに……。
神さまと約束したはずだったのに……。
ここでヴァルを失ってしまったらユーリになったジーノは一体どうしたらいいのだろう?
愛しい人を失ってしまう恐怖。絶望に震える。今になってあの時のヴァルの気持ちがよくわかる。
絶対にこの手を離さないって思っているのに、握り返してこない。
それがこんなにも辛いことだったなんて……。
ヴァル……っ、ヴァル……っ。
お願い! 目を開けて!!
どれだけ望んでももう二度とジーノの目にヴァルは映らなかったあの時と同じように、今度はヴァルの目にユーリが映らなくなるんだろうか……。
いや! そんなこと考えたくない!
ジーノは、座ったままベッドに倒れ込んだヴァルを必死にベッドの中央まで引きずり、ジーノの命が尽きた時のヴァルと同じように後ろからヴァルを抱きかかえて必死に声をかけ続けた。
「ヴァル! ヴァル! 目を開けて! 僕をおいていかないで!!」
どれほど声をかけ続けていただろう。
突然、ヴァルの指がぴくりと動いた。
「――っ、ヴァル?」
先ほどまで何も動きもなかった身体が動いた気がして、ジーノはさらに必死に声をかけ続けた。
「ヴァルっ! ヴァルっ! ねぇ、目を開けて! お願い!!」
ジーノの目に溜まっていた涙がポトリとヴァルの頬に落ちた瞬間、
「んっ……」
ヴァルの瞼がゆっくりと開いた。
「ヴァル!」
「ジー、ノ……」
「えっ?」
どうして、ヴァルがジーノと呼んだの?
今の姿はユーリなのに。
「あ、あの……」
「大丈夫。全て神さまから聞いた。ジーノ、私のためにありがとう」
「――っ!! ヴァルっ!!」
何もかも理解したヴァルのその表情に、ジーノは涙でぐしょ濡れになっていることも忘れてヴァルに抱きついた。
「ヴァルっ! よかった! もう、会えないかと思った」
「ジーノ! それは私もだよ。ありがとう、本当に嬉しいよ」
「ヴァル……っ!! んんっ……」
笑顔のヴァルに見つめられたと思ったら、ヴァルの唇が重なった。
チュッと重ねるだけの甘いキス。
懐かしい、ヴァルとのキスだ。
そっと唇が離れていくと、ヴァルが嬉しそうに頬を緩めた。
「初めてだよ。ジーノとのキスでしょっぱかったのは」
「えっ? あっ! ご、ごめんなさい」
涙でぐしょ濡れだったことを思い出して、慌てて服の袖で拭こうとしたのをさっと止められて、ヴァルが綺麗なハンカチで涙を拭ってくれる。
「心配かけてしまったのだな。こんなに目が腫れて……」
「そんなこと……っ、あの時、ヴァルを泣かせてしまったことに比べたら僕の涙なんて……」
「あの時? もしかしてあの時もずっとそばにいたのか?」
「はい。僕の亡骸を腕に抱いたまま涙を流しているヴァルをずっと見てました。何もできないのが辛くて申し訳なくて……」
「そうか……それなら、私の気持ちは全てジーノに伝わっていたわけだな」
「はい。ヴァルがどれだけ僕のことを思ってくれていたか全部……」
だからこそ、どうしてもヴァルを守りたいと思ったんだ。
「神さまと契約を交わしたと聞いた。どうしてそんな無茶な真似を?」
「それは……だから、ヴァルが僕をどれだけ思ってくれているのかわかったから、ヴァルに幸せになって欲しくて……でも、ヴァルは僕がいないと幸せにはなれないって、だから神さまが提案してくださったんだ。ユーリさまと入れ替わって、ユーリさまの寿命が尽きる前にヴァルが愛してくれるようになったら、って……」
「――っ、私の幸せのために無理な選択をさせてしまったのだな。でも、本当だよ、ジーノでなければ私は幸せにはなれない。私がユーリさまに愛を告げることができたのは、姿形が変わってもジーノだと本能が気づいていたからだろうな」
「ヴァル……でも、これは二人だけの秘密にしよう。お父さま……国王さまはユーリさまが元気になってとても喜んでくださっているから……」
「ああ、そうだな。全てを伝えることが最善ではないからな」
ヴァルはジーノの気持ちも国王さまの気持ちも理解してくれた。そうして、笑顔のままもう一度唇を重ね合った。
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