552 / 778
出発の前に
「たくさん食べられるからこの間と同じ四角のケーキを作ろう。ただ今回はクリスマスだからより豪華に二段重ねにするよ」
「わぁー! すごい!」
重ね合わせる時にかなりの神経を使うが、逆を言えばそれ以外は前回と同じ。
直くんと二人でやれば問題なくできるはずだ。
材料は全て計量が終わっている。
卵も常温に戻しておいたし、粉類も全て振るい終わっている。
バターも湯煎にかけて溶かし、牛乳も加えて温めているし準備は万端だ。
「それじゃあ、卵と砂糖を混ぜ合わせて行こうか」
「はい!」
もちろん混ぜ合わせるのはホイッパーではない。
二段重ねの大きなケーキを作るのに、ホイッパーでは直くんの腕がもたない。
ここは前回も使用した、祐悟くんが開発した軽くて威力が強いハンドミキサーを使用するのが楽でいい。
軽いから直くんにも使いやすいだろう。
早速ハンドミキサーの準備をして、私がボウルを支えて卵と砂糖を混ぜ合わせていく。
あっという間に生地が白くもったりと変化して直くんが目を輝かせた。
「わぁ、おじいちゃん。見てください! もうこんなに!」
「おお、いい感じにできてるな。よし、それじゃあ少しスピードを緩めよう」
高速から低速に切り替えてさらに生地が滑らかになるまで混ぜ合わせたら振るっておいた粉類を加える。
ハンドミキサーではなくゴムベラで大きく混ぜ合わせる。
準備しておいたバターと牛乳を混ぜ合わせればもう生地は完成だ。
大きなスクエア型とそれより一回り小さい型にそれぞれ生地を流し込む。
我が家の大きなオーブンは二つ一緒に焼けるからありがたい。
三十分ほど焼いている間、直くんはオーブンの中を時折覗き込んでは嬉しそうな表情をしていた。
そうしてあっという間に生地が焼き上がる時間になった。
危ないからと少し離れた場所に居させて、私がオーブンから焼き上がったスポンジを取り出した。
二つとも型から出し、粗熱をとる。
「すっごくいい匂い」
「ああ、焼き色もいいしすごく良くできているよ」
今の所、失敗はない。
粗熱をとっている間に生クリームをホイップしておく。
デコレーション用と絞り出し用の二種類。
ここでもあのハンドミキサーが大活躍だ。
飾り付け用の苺の準備も整って、後は飾り付け。
スポンジ生地を三枚にスライスして、大きなほうを私が、一回り小さいほうを直くんが飾り付けしていく。
セルクルのスクエア型に切り分けたきじを敷き、苺を並べてクリームを塗っていく。
そしてその上にまた生地をのせて、の繰り返し。
直くんは私の手元を見ながら、ケーキを飾り付けしていった。
一時間ほど冷蔵庫で冷やして、私が飾り付けたケーキを型から外し、その上に直くんのケーキを重ね合わせる。
ここがかなり神経を使ったが、意外と直くんが冷静に進めてくれて綺麗に中央に二段目のケーキを載せることができた。
「直くん、うまいぞ!」
「わぁ、やったー!」
嬉しそうにその場に飛び跳ねる直くんがこの上なく可愛い。
そして二人で最後の飾り付けをして二段の豪華なクリスマスケーキは完成した。
「これ、どうやって持っていきますか?」
「大丈夫。ちゃんと運べるよ」
今回も伊織くんに頼んで二段ケーキが入るサイズの保冷付きケーキケースを送ってもらっている。
これにお皿ごと入れたら冷えたまま運ぶことができる。
直くんは出来上がったケーキを持って向かう気満々だが、直くんとのケーキ作りが順調すぎて、想像より早く完成したから今から向かってはまだ早いかもしれない。
寛さんに連絡をとってから、向こうのじゅんびが整ったところで向かうとしよう。
連絡を入れるとやはりまだ少し早いようだ。
卓くんたちと毅くんたちも到着して、準備をしつつご馳走も作っているようだからもう少し待ったほうがいいだろう。
「直くん、パーティーでご馳走を食べるまでまだ少し時間があるから軽くご飯を食べてから行こうか」
「はい。あの、ちょっとだけピアノを弾いてきてもいいですか?」
「構わないよ。私も聞いていいのかな?」
直くんが昇と何やらこっそりとピアノを練習しているのは気づいていた。
多分寛さんのためだろうと思っていたから何も言わずにいたが、今は寛さんはいない。
「はい。聞いて感想を聞かせてくれたら嬉しいです」
直くんと一緒に演奏ルームに向かうと、直くんは嬉しそうにピアノの椅子に座り、そっと鍵盤に手を置いた。
どんな曲を聞かせてくれるのだろう。
少し緊張しながら、楽しみに聞いていると、不思議な曲が流れてきた。
「こ、れは……?」
直くんは確かにピアノを弾いているはずなのに、私の耳にはまるで琴を演奏しているような音が聞こえる。
一体どういうことなんだろう?
「わぁー! すごい!」
重ね合わせる時にかなりの神経を使うが、逆を言えばそれ以外は前回と同じ。
直くんと二人でやれば問題なくできるはずだ。
材料は全て計量が終わっている。
卵も常温に戻しておいたし、粉類も全て振るい終わっている。
バターも湯煎にかけて溶かし、牛乳も加えて温めているし準備は万端だ。
「それじゃあ、卵と砂糖を混ぜ合わせて行こうか」
「はい!」
もちろん混ぜ合わせるのはホイッパーではない。
二段重ねの大きなケーキを作るのに、ホイッパーでは直くんの腕がもたない。
ここは前回も使用した、祐悟くんが開発した軽くて威力が強いハンドミキサーを使用するのが楽でいい。
軽いから直くんにも使いやすいだろう。
早速ハンドミキサーの準備をして、私がボウルを支えて卵と砂糖を混ぜ合わせていく。
あっという間に生地が白くもったりと変化して直くんが目を輝かせた。
「わぁ、おじいちゃん。見てください! もうこんなに!」
「おお、いい感じにできてるな。よし、それじゃあ少しスピードを緩めよう」
高速から低速に切り替えてさらに生地が滑らかになるまで混ぜ合わせたら振るっておいた粉類を加える。
ハンドミキサーではなくゴムベラで大きく混ぜ合わせる。
準備しておいたバターと牛乳を混ぜ合わせればもう生地は完成だ。
大きなスクエア型とそれより一回り小さい型にそれぞれ生地を流し込む。
我が家の大きなオーブンは二つ一緒に焼けるからありがたい。
三十分ほど焼いている間、直くんはオーブンの中を時折覗き込んでは嬉しそうな表情をしていた。
そうしてあっという間に生地が焼き上がる時間になった。
危ないからと少し離れた場所に居させて、私がオーブンから焼き上がったスポンジを取り出した。
二つとも型から出し、粗熱をとる。
「すっごくいい匂い」
「ああ、焼き色もいいしすごく良くできているよ」
今の所、失敗はない。
粗熱をとっている間に生クリームをホイップしておく。
デコレーション用と絞り出し用の二種類。
ここでもあのハンドミキサーが大活躍だ。
飾り付け用の苺の準備も整って、後は飾り付け。
スポンジ生地を三枚にスライスして、大きなほうを私が、一回り小さいほうを直くんが飾り付けしていく。
セルクルのスクエア型に切り分けたきじを敷き、苺を並べてクリームを塗っていく。
そしてその上にまた生地をのせて、の繰り返し。
直くんは私の手元を見ながら、ケーキを飾り付けしていった。
一時間ほど冷蔵庫で冷やして、私が飾り付けたケーキを型から外し、その上に直くんのケーキを重ね合わせる。
ここがかなり神経を使ったが、意外と直くんが冷静に進めてくれて綺麗に中央に二段目のケーキを載せることができた。
「直くん、うまいぞ!」
「わぁ、やったー!」
嬉しそうにその場に飛び跳ねる直くんがこの上なく可愛い。
そして二人で最後の飾り付けをして二段の豪華なクリスマスケーキは完成した。
「これ、どうやって持っていきますか?」
「大丈夫。ちゃんと運べるよ」
今回も伊織くんに頼んで二段ケーキが入るサイズの保冷付きケーキケースを送ってもらっている。
これにお皿ごと入れたら冷えたまま運ぶことができる。
直くんは出来上がったケーキを持って向かう気満々だが、直くんとのケーキ作りが順調すぎて、想像より早く完成したから今から向かってはまだ早いかもしれない。
寛さんに連絡をとってから、向こうのじゅんびが整ったところで向かうとしよう。
連絡を入れるとやはりまだ少し早いようだ。
卓くんたちと毅くんたちも到着して、準備をしつつご馳走も作っているようだからもう少し待ったほうがいいだろう。
「直くん、パーティーでご馳走を食べるまでまだ少し時間があるから軽くご飯を食べてから行こうか」
「はい。あの、ちょっとだけピアノを弾いてきてもいいですか?」
「構わないよ。私も聞いていいのかな?」
直くんが昇と何やらこっそりとピアノを練習しているのは気づいていた。
多分寛さんのためだろうと思っていたから何も言わずにいたが、今は寛さんはいない。
「はい。聞いて感想を聞かせてくれたら嬉しいです」
直くんと一緒に演奏ルームに向かうと、直くんは嬉しそうにピアノの椅子に座り、そっと鍵盤に手を置いた。
どんな曲を聞かせてくれるのだろう。
少し緊張しながら、楽しみに聞いていると、不思議な曲が流れてきた。
「こ、れは……?」
直くんは確かにピアノを弾いているはずなのに、私の耳にはまるで琴を演奏しているような音が聞こえる。
一体どういうことなんだろう?
あなたにおすすめの小説
お忍び中の王子様、毎日路地裏の花屋に通い詰めては俺を口説くのをやめてください。~公務がお忙しいはずでは?~
メープル
BL
不愛想な店主・ネイトが営む小さな花屋の軒先には、雨音に混じって場違いな男が立ち尽くしていた。
不審者と決めつけたネイトが、迷わず足元の如雨露の冷水を浴びせると――フードの下から現れたのは、整った顔立ちの男、ヴァンスだった。
以来、ヴァンスは毎日のように店に現れるようになる。
作業台の隅に居座り、ネイトが淹れる安い茶を啜りながら、ハサミの鳴る音を黙って眺める日々。
自分を王子とも知らないネイトの不遜な態度に、ヴァンスはただ優しく目を細めていた。
転生天使は平穏に眠りたい〜社畜を辞めたら美形王子の腕の中でとろとろに甘やかされる日々が始まりました〜
メープル
BL
毎日深夜まで残業、食事はコンビニの冷たいパン。そんな社畜としての人生を使い果たし、過労死した俺が転生したのは――なんと、四枚の美しい羽を持つ本物の天使だった。
「今世こそは、働かずに一生寝て過ごしたい!」
平穏な隠居生活を夢見るシオンは、正体を隠して王国の第一王子・アリスターの元に居候することに。ところが、この王子、爽やかな笑顔の裏で俺への重すぎる執着を隠し持っていた!?
過疎配信者の俺の声だけが大人気配信者を眠らせてあげれるらしい
スノウマン(ユッキー)
BL
過疎配信者の白石 透(しらいし とおる)のリスナーには、透の声でないと寝れないというリスナー、太陽が居た。彼の為に毎日配信してあげたいが、病弱な透には週一程度が限度だった。
だが、それすら叶わなくなる。両親が金と手間のかかる透の事を追い出すことにしたのだ。そんな時に手を差し伸べてくれたのが太陽で、一緒に暮らすことになる。だが彼の正体は大人気配信者で!?
儚げ侯爵令息の怠惰な檻 ~前世が社畜だったので、公爵様の重すぎる溺愛が極上の福利厚生に見える~
千葉琴音
BL
前世で過労死した社畜男子が転生したのは、触れたら折れそうな超・美少年。 目指せ、究極の光合成ライフ! でも、隣にいるハイスペック公爵様の愛が、ちょっと(かなり)重すぎて……!?
『断罪予定の悪役令息ですが、冷酷第一王子にだけ求婚されています』
常陸之介寛浩📚️書籍・本能寺から始める
BL
あらすじ
侯爵家の嫡男ルシアンは、ある日、自分が前世で遊んでいたBLゲームの世界に転生していることに気づく。
しかも役どころは、ヒロインに嫉妬して破滅する“断罪予定の悪役令息”だった。
このまま物語通りに進めば、婚約者候補への嫌がらせや数々の悪行を理由に社交界から追放。家は没落し、自身も悲惨な末路を迎える。
そんな未来を回避するため、ルシアンは決意する。
目立たず、騒がず、誰とも深く関わらず、特に本来の攻略対象である第一王子には絶対に近づかない、と。
けれど、なぜか本来は誰にも心を許さず冷酷無慈悲と恐れられている第一王子アルベールが、ルシアンにだけ異様に執着してくる。
人前では冷ややかなまま。
なのに二人きりになると、まるで逃がすつもりなど最初からないと言わんばかりに距離を詰め、甘く、重く、求婚めいた言葉を囁いてくるのだ。
「君がどれほど逃げようとしても、私だけは君を離さない」
断罪を避けたいだけなのに、王子は人前で彼を庇い、社交界では“第一王子の寵愛を受ける悪役令息”という噂まで広がり始める。
さらに、ルシアンを陥れようとする貴族たち、王位争い、侯爵家に隠された事情まで絡み、物語はゲーム本来の筋書きから大きく外れていって――。
これは、破滅するはずだった悪役令息が、冷酷第一王子のただ一人の執着相手になってしまう、
甘くて重くて逃げられない、宮廷逆転溺愛BL。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!