ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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準備は整った

このお話の前に直くん視点でのサンタさんとの対面のお話があったんですが、
ちょっとトラブルで全部消えてしまって(汗)
なので先に裏側からになっちゃいますがアップします。
明日にはなんとか修復して直くん視点のお話を載せたいと思います。

   *   *   *


<side寛>

賢将さんと直くんが作ってくれたケーキに、卓たちはもちろん、毅たち、そして昇も驚いていた。
サプライズの成功に直くんが嬉しそうに笑っていたのが私も賢将さんも嬉しかった。

昇は直くんが作ったという二段目をおかわりまでしていたが、まだケーキは残っている。
これは後から来てくれることになっているサンタクロースにも食べてもらうとしよう。

残りをケーキケースにしまい、冷蔵庫に片付ける。

これからサンタクロースが来ることを知っている絢斗くんが直くんと二葉さんの注意を引き付けてくれている間に、私たちはそれぞれの役割を果たしにいく。
祐悟くんから渡されたイヤホンを耳につけ、賢将さんと卓にも渡した。

「卓、毅を頼む」

毅にはまだこれからのことを話してはいない。
だから一緒にサプライズを楽しんでもらうのは構わないが、私たちがこのサプライズに向けて内緒で動いているのを言葉に出されては困る。直くんたちには決してバレないようにしなければいけない。

卓にその辺りのことは任せて、裏口に向かう。
時計を見ながらそっと扉を開けると、ちょうど彼が車から降りてこちらに向かってきているところだった。
あと十分ほどで到着するとメッセージが届いていたが、時間にぴったりだな。

「待たせたかな?」

薄暗い灯りの中、近づいてきた彼にハッと驚く。

「日下部さん、ですか?」

「ああ。あちらで着替えを済ませてきたから完璧だろう?」

完璧なんてものじゃない。
絵本に出てくるサンタクロースそのものだ。

「体型も白髭も衣装も、それに白い袋まで本物そっくりですよ」

「ははっ。君の可愛い孫を喜ばせるために雅也まさや透也とうやが協力してくれたからな」

「さすがですね。これなら直くんも大喜びですよ。それじゃ待機場所に案内します」

裏口から程近い場所にある、小さな部屋に案内する。
ここにもしっかりと空調設備が整っているから寒いということはない。

「今、卓が庭に出て最終準備を整えています。あ、今連絡が来ました。これから五分後に庭に雪を降らせるそうです。雪が降ったらそのタイミングで直くんを窓際に誘導します。日下部さんはその間に建物の端に隠れておいてください。そして庭中をスモークで覆っている間に木の下に移動してください。このメガネをかけたら暗闇でも自由に歩けます木の下に橇とトナカイロボットを配置させていますので、橇に座ったらロボットのスイッチを入れてください。スモークが晴れた後は、日下部さんにお任せします」

「わかった。任せておいてくれ」

日下部さんにも祐悟くんのイヤホンを渡した、
この部屋からも外に出られるようになっている。そこから庭に回ってもらった。
私はそれを確認してからこっそりとリビングに戻った。
その後を追うように卓もリビングに戻ってきた。

これで雪が降ったらメインイベントの始まりだ。

「昇、最初が一番肝心だぞ」

「わかってる」

イヤホン越しに少し緊張した昇の声が聞こえてくる。

そして予定時刻。
庭に雪がちらつき始めた。

「直くん、見て! 雪が降り出したよ」

「えっ! 雪?」

嬉しそうに和室から飛び出してきた直くんは昇に誘導されて、ベストポイントにやってきた。

「わぁー! 本当、雪だー! すごい、これってホワイトクリスマスっていうんですよね!」

直くんの嬉しそうな声が部屋に響いた瞬間、かすかにシャンシャンと鈴の音が聞こえ始めた。

「まさかクリスマスに雪が見られるなんてね」

昇はわざと鈴の音には気づかないように話を振っているが、耳のいい直くんには聞こえているようだ。

「えっ、この音……どこから?」

窓の外を覗き込み、キョロキョロと辺りを見回している。

「直くん、どうしたの?」

「昇さん、聞こえないですか? どこかからか鈴の音が……」

直くんが昇に話しかけた瞬間、真っ白なスモークが庭中を覆い尽くした。

「わぁっ! 何、これ?」

直くんが怖がって昇に抱きつく。
昇は外の様子が見えないように直くんを抱きしめた。

「よし、準備オッケーだ」

日下部さんの声がイヤホンから聞こえ、昇はそっと直くんを離した。

「もう大丈夫みたいだよ」

昇の声に直くんがゆっくりと顔を上げると、スモークがサーっと晴れていく。

「ほんとだ……えっ? あ、あれ……」

顔をあげた直くんが庭を見てホッとした瞬間、一気に驚きの表情に変わった。

「サ、サンタ、さん?」

震える声で直くんは庭を見続けていた。
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