ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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みんなが幸せに

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<side昇>

サンタクロースからなぜか俺までプレゼントをもらった。
じいちゃんに言われて、そのプレゼントを開けたら出てきたのは車の鍵。

俺に鍵をくれたということは、まさか……。

驚いて玄関にすっ飛んで行ったら、目の前に現れたのは俺が買いたいと思っていた高級車。

もちろん、免許取り立てで買うような代物じゃない。
二台目の車で買えたらななんて思っていたものだったから、目の前にあるのを見て驚いた。

これ、本当に俺がもらっていいんだろうか?
そもそもこれが本当にプレゼント?

ドキドキしながらサンタクロースからもらった鍵を押してみると、車のライトが光り、鍵が開いた音がする。
これは本物だ。

そっと近づくと、車に誰かが乗っていることに気づく。
あの庭の仕掛けもあって、玄関もいつもより暗かったから全然わからなかった。

誰が乗っているんだろう?

そう思ったと同時に後部座席の扉が開いた。
降りてきたのはスーツ姿の男。

父さんよりは年下かもしれない。
あれ? 直くんに似てる?

俺がそこに気づいた時、直くんの声が聞こえた。

「と、父さん……」

その震える声に、この人が直くんの本当のお父さんなんだとわかった。

まさかここで直くんのお父さんがやってくるなんて想像もしていなかった展開に動けずにいると、じいちゃんが直くんの背中を優しく押しているのが見えた。

ふらふらとしながら一歩ずつ前に進んで行っている直くんを見守りながら、じいちゃんの隣に立つ。
じいちゃんは俺には見向きもせずただ真っ直ぐに直くんを見つめていた。

「父さん、父さん……」

譫言のように直くんが呟くその姿に我慢できなくなったのか、直くんのお父さんが駆け寄って直くんを抱きしめる。
直くんが驚くほど大きな声で、子どものように泣きじゃくっている。

「よかった……直くん、ちゃんと泣けるようになってる」

絢斗さんが直くんを見て泣きながらそう呟く。
以前、お父さんから別れの手紙が届いた時も声を我慢して泣いていたと絢斗さんが話していた。

そうか、直くんは本当に変わったんだな。

お父さんは直くんに必死に謝っている。
これまでのことを本当に悪いと思っているんだろう。
そして、別れの手紙をおくったことも。

でも直くんはそれを望んでいるんだろうか?

そう思ったとき、直くんとお父さんに近づいて行った人がいた。
伯父さんだ。

「直くんはあなたからの謝罪を欲しいと思っていないよ。もっと、言わないといけない言葉があるんじゃないか?」

伯父さんの言葉にハッとしたように、直くんのお父さんは直くんを見つめた。

「直……ずっと、会いたかった……」

「っ、とう、さん……っ、ぼ、くも、あいたか、った……っ!」

その言葉にようやく直くんが救われたんだと思った。

みんなで直くんとお父さんが心を通わせたのを見守っていると、伯父さんが優しく声をかける。

家の中に入ろう。そう言って直くんに自分の上着をかけた。
直くんはそれを嬉しそうに羽織り、伯父さんは優しく直くんを抱きしめた。

その様子をお父さんはなぜかとても幸せそうな表情で見つめていたのが印象的だった。

そんなお父さんに、後部座席の反対側の扉から降りてきた人がそっと上着をかける。
その見つめ合う姿に、両親や伯父さんと絢斗さんのような距離感が感じられてもしかして……と思った。

直くんのお父さんからラシードと呼ばれたその男性は、彫りが深く、どう見ても外国人の容貌をしていた。

二人の様子をじっと見ていると、そのラシードさんが俺をじっと見つめてくる。
その眼力の強さに、なんだか成瀬さんを思い出してしまった。

もしかして俺……牽制されてる?

いやいや、確かにお父さんと直くんはよく似ているけれど。
俺には直くんだけだ。

慌てて、伯父さんの隣にいた直くんに駆け寄ってそっと肩を抱き寄せてみると、ラシードさんからの威圧が薄らいだ気がする。

「なんだ? どうしたんだ?」

伯父さんは突然直くんを奪われたように思ったのか、眉を顰めて俺を見ている。

「えっ、いや、なんでもない。直くん、早く中に入ろう」

なんとか誤魔化せたとは思うけれど、俺……なんでいろんな人に牽制されるんだろうな……。
俺は直くん一筋なんだけどな。

<side直>

家の中に入ると、あったかくてホッとする。
昇さんに手を引かれてソファーに座ると、後から入ってきた父さんが、リビングの入り口で立ち尽くしているのが見えた。

「父さん、こっち。座って」

僕の声にゆっくりと近づいてくる。
隣には、父さんに上着をかけた男の人も一緒だ。

「直……。磯山先生とご家族によくしてもらっているんだな。顔色がすごくいい」

「うん。いろいろ食べさせてもらってる」

「そうか……私は何も気づいてやれてなかったな」

「父さんはよくしてくれたよ。僕は今幸せだからいいんだ。それより、一緒にいる人のこと聞いてもいい?」

僕が尋ねると、父さんは少し顔を赤くして彼を見つめた。
二人で英語で話をしてから、僕をみる。

「彼は、ラシード。向こうに行ってからの私を支えてくれた人だ。直を驚かせるかもしれないが……父さんは、ラシードとこれからの人生を一緒に歩んで行きたいと思っている」

やっぱり。そういうことだったんだ。
だって、父さんがラシードさんをみる目も、ラシードさんが父さんを見る目もすごく優しいもん。
母さんといる時よりずっと幸せそうだってことはよくわかる。

「父さん。よかったね。父さんが幸せになってて本当によかった」

「直……っ、ありがとう。ありがとう……」

父さんは何度もお礼を言って、涙を流していた。
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