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第二部
楽しい新年
<side賢将>
今年の年越しはここ数年とは驚くほど違うものとなった。
可愛い息子家族と親戚を迎えるために準備をして、寛さんと二人で新年を迎えた。
「少なくともあと十年は元気で過ごしたいものだ」
寛さんは日本酒の入ったお猪口を傾け、そう話していたが十年と言わず、ずっと長生きをして直くんを喜ばせてあげてほしい。直くんにとって寛さんの存在は卓くんや昇と変わらないくらいに大事だろうから。
元日の朝。
私は日の出を迎えてすぐに目を覚ました。
早すぎたかと思ったが、身支度を整えて部屋をでると寛さんもちょうど部屋から出てきて、思わず二人で笑ってしまったものだ。
「この年になって恥ずかしいが、今日のことが楽しみすぎて浮かれているようだ」
「ええ。私もですよ。でもこうして笑顔で新年を迎えられて幸せですよ」
「そうだな。賢将さん、あけましておめでとう。今年もよろしく頼むよ」
「こちらこそ。あけましておめでとうございます。ゆっくり朝食でも食べて、絢斗たちを迎える準備でもしましょうか」
昨夜、寝る前に餅つき用の餅米を水につけた。
初詣を終えて、餅つきの準備を整えている間に餅米を蒸しておけば大丈夫だ。
卓くんや昇もいるし、男手が足りないことはないだろう。
「今日は車を運転することはないからお屠蘇を飲もうか」
「いいですね」
生薬が入ったお屠蘇は苦手な人も多いだろうが、我々の年齢になればそれも醍醐味というもので苦手意識はない。
絢斗たちに振る舞うおせちの重箱とは別に、同じものの二人用のものをイリゼホテルに注文していたからそれを味見がてら少しずつガラスの皿に盛り付け、雑煮と一緒に朝食にする。
盃の一番大きなものを渡されて一気に飲み干す。
新年の抱負はもちろん可愛い孫の直くんのこと。
桜守への送迎が始まるから、私たちも安全運転を心がけ、直くんとの楽しい時間を過ごすことにしよう。
「これ、美味しいですね」
「ああ。さすがイリゼホテルのものだな」
「ところで、賢将さん。お年玉は用意したかな?」
「ええ。もちろんです。可愛い孫たちに私たちがあげられるいい機会ですからね」
会うたびに小遣いをやりたかったが、今までの直くんにはあまり意味のないものだった。
だが、これからは直くんも友人とプレゼントをやり取りしたり、お茶をしたり……なんてことも
始まる。そのための資金として、直くんに使ってもらえたらいい。
「一応十万円にしておきましたが、どうでしょう?」
「ああ、奇遇だな。私もだよ。それくらいが妥当だろう」
「ですよね」
二月には修学旅行も控えている。
お土産を買ったりもするだろうからな。
食事を終え、それぞれの部屋に戻り着物に着替える。
絢斗たちもそろそろ家を出る頃だろう。
そう思った時、ちょうどスマホに絢斗からメッセージが入った。
<今から家を出るね。直くんに年賀状ありがとう。お礼を言いたくて直くんがお父さんたちに会えるのをすごく楽しみにしているよ>
そのメッセージを見て、思わず顔が綻んだ。
着替えを済ませてリビングに向かい、寛さんにさっきのメッセージを見せた。
すると一気に表情が祖父のそれになる。
多分私も同じだろうが、やはり直くんには私たちを幸せにしてくれる力があるようだな。
二人で話をしながら待っていても、やはりいつ到着するかをそわそわしながら待っている。
そうしてようやく卓くんの車が駐車場に入ってきた。
待ちきれずに二人で玄関に出向くとあちらも飛び出してきてくれたのか玄関チャイムがなった。
ガラッと引き戸を開けて出迎えると、絢斗とピンク色のほっぺたをした直くんが笑顔で立っている。
「おじいちゃま。おじいちゃん。明けましておめでとうございます」
可愛らしい挨拶をしてペコっと頭を下げる。
「おお、おお。あけましておめでとう。直くんも絢斗くんも早く中に入りなさい」
寛さんは絢斗と直くんにメロメロだ。
「おじいちゃまも、おじいちゃんも、着物すっごく似合ってます!」
「そうか、ありがとう。直くんに褒めてもらえると嬉しいよ。なぁ賢将さん」
「ええ。直くんの着物も早く見せてほしいね」
私の言葉に絢斗は笑顔で頷いた。
「じゃあ、直くん。すぐに着替えちゃおうか」
絢斗は直くんの手をとって家の中に入ってきた。
そのまま着替え部屋となっている部屋に連れて行く。
そこには音葉屋さんから届いた絢斗と直くんの着物をかけている。
「お父さん。じゃあ着替えたらリビングにいくね。卓さんに言っておいて」
「ああ、わかったよ」
そう言って私たちは着替え室に入った二人を見送った。
今年の年越しはここ数年とは驚くほど違うものとなった。
可愛い息子家族と親戚を迎えるために準備をして、寛さんと二人で新年を迎えた。
「少なくともあと十年は元気で過ごしたいものだ」
寛さんは日本酒の入ったお猪口を傾け、そう話していたが十年と言わず、ずっと長生きをして直くんを喜ばせてあげてほしい。直くんにとって寛さんの存在は卓くんや昇と変わらないくらいに大事だろうから。
元日の朝。
私は日の出を迎えてすぐに目を覚ました。
早すぎたかと思ったが、身支度を整えて部屋をでると寛さんもちょうど部屋から出てきて、思わず二人で笑ってしまったものだ。
「この年になって恥ずかしいが、今日のことが楽しみすぎて浮かれているようだ」
「ええ。私もですよ。でもこうして笑顔で新年を迎えられて幸せですよ」
「そうだな。賢将さん、あけましておめでとう。今年もよろしく頼むよ」
「こちらこそ。あけましておめでとうございます。ゆっくり朝食でも食べて、絢斗たちを迎える準備でもしましょうか」
昨夜、寝る前に餅つき用の餅米を水につけた。
初詣を終えて、餅つきの準備を整えている間に餅米を蒸しておけば大丈夫だ。
卓くんや昇もいるし、男手が足りないことはないだろう。
「今日は車を運転することはないからお屠蘇を飲もうか」
「いいですね」
生薬が入ったお屠蘇は苦手な人も多いだろうが、我々の年齢になればそれも醍醐味というもので苦手意識はない。
絢斗たちに振る舞うおせちの重箱とは別に、同じものの二人用のものをイリゼホテルに注文していたからそれを味見がてら少しずつガラスの皿に盛り付け、雑煮と一緒に朝食にする。
盃の一番大きなものを渡されて一気に飲み干す。
新年の抱負はもちろん可愛い孫の直くんのこと。
桜守への送迎が始まるから、私たちも安全運転を心がけ、直くんとの楽しい時間を過ごすことにしよう。
「これ、美味しいですね」
「ああ。さすがイリゼホテルのものだな」
「ところで、賢将さん。お年玉は用意したかな?」
「ええ。もちろんです。可愛い孫たちに私たちがあげられるいい機会ですからね」
会うたびに小遣いをやりたかったが、今までの直くんにはあまり意味のないものだった。
だが、これからは直くんも友人とプレゼントをやり取りしたり、お茶をしたり……なんてことも
始まる。そのための資金として、直くんに使ってもらえたらいい。
「一応十万円にしておきましたが、どうでしょう?」
「ああ、奇遇だな。私もだよ。それくらいが妥当だろう」
「ですよね」
二月には修学旅行も控えている。
お土産を買ったりもするだろうからな。
食事を終え、それぞれの部屋に戻り着物に着替える。
絢斗たちもそろそろ家を出る頃だろう。
そう思った時、ちょうどスマホに絢斗からメッセージが入った。
<今から家を出るね。直くんに年賀状ありがとう。お礼を言いたくて直くんがお父さんたちに会えるのをすごく楽しみにしているよ>
そのメッセージを見て、思わず顔が綻んだ。
着替えを済ませてリビングに向かい、寛さんにさっきのメッセージを見せた。
すると一気に表情が祖父のそれになる。
多分私も同じだろうが、やはり直くんには私たちを幸せにしてくれる力があるようだな。
二人で話をしながら待っていても、やはりいつ到着するかをそわそわしながら待っている。
そうしてようやく卓くんの車が駐車場に入ってきた。
待ちきれずに二人で玄関に出向くとあちらも飛び出してきてくれたのか玄関チャイムがなった。
ガラッと引き戸を開けて出迎えると、絢斗とピンク色のほっぺたをした直くんが笑顔で立っている。
「おじいちゃま。おじいちゃん。明けましておめでとうございます」
可愛らしい挨拶をしてペコっと頭を下げる。
「おお、おお。あけましておめでとう。直くんも絢斗くんも早く中に入りなさい」
寛さんは絢斗と直くんにメロメロだ。
「おじいちゃまも、おじいちゃんも、着物すっごく似合ってます!」
「そうか、ありがとう。直くんに褒めてもらえると嬉しいよ。なぁ賢将さん」
「ええ。直くんの着物も早く見せてほしいね」
私の言葉に絢斗は笑顔で頷いた。
「じゃあ、直くん。すぐに着替えちゃおうか」
絢斗は直くんの手をとって家の中に入ってきた。
そのまま着替え部屋となっている部屋に連れて行く。
そこには音葉屋さんから届いた絢斗と直くんの着物をかけている。
「お父さん。じゃあ着替えたらリビングにいくね。卓さんに言っておいて」
「ああ、わかったよ」
そう言って私たちは着替え室に入った二人を見送った。
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