ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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第二部

ドキドキのお財布選び

<side直>

ラシードさんの案内で連れてきてもらったお店は、すごくかっこいいお店。
足元もふわふわの絨毯が敷かれていて、なんか緊張してしまう。

この間洋服を選びに行ったお店は外観も真っ白で、可愛いぬいぐるみたちも飾られていて明るくて可愛いお店だったけれど、ここはなんというか……
大人の男の人が行くお店って感じがする。
ラシードさんやパパ。それにおじいちゃまやおじいちゃんがすごくよく似合いそう。

こんなすごいお店で僕のお財布とか見つかるのかな……
ちょっと心配。

だけど、ラシードさんに呼ばれて昇さんと店員さんのところに行って話を聞くとどうやら僕のこの買い物のためにお店を開けてもらったみたい。考えてみたら今日はお正月。パパもあやちゃんもお仕事休みだし、お店だってお休みだったはず。

それをラシードさんが開けるように頼んでくれたんだ……

すぐに店員さんはお店の中にあるお財布を次々に出し始めた。

どうしよう……僕のために申し訳なくなってきちゃったな。

緊張がピークに達し始めた頃、あやちゃんに呼びかけられてホッとした。
なんだろう、あやちゃんがいてくれて安心する。

すぐにあやちゃんの元に向かう。
同じように父さんもあやちゃんに呼ばれて三人で集まる。

「これ、可愛いよ」

あやちゃんが指差していたのは、猫の顔の形をした可愛いケース。
色は鮮やかな黄色と桜のような淡いピンク、海のような深い青と淡いグリーン、そして大人な雰囲気の茶色がある。

「わぁ、本当だ!」

「こっちの色も絢斗さんに似合いそうですよ」

「わぁ、いいね! ねぇ、お揃いで買おうか」

あやちゃんが笑顔でそんな提案をしてくれる。

「えっ、お揃い?」

「うん。私が買って、プレゼントするよ。これ、コインケースだから使い勝手もいいよ」

「えっ、でも……」

父さんはあやちゃんからの思わぬ提案に戸惑っていたけれど、あやちゃんはすぐに店員さんをここに呼んだ。

「何かお取りいたしますか?」

「このコインケース見せてもらえる?」

あやちゃんが指さすと、すぐに店員さんはショーケースを開け、全ての色をトレイに載せてくれた。

「どうぞ。ご自由にご覧ください」

あやちゃんがお礼を言うのにならって僕と父さんもお礼を言う。

「ほら、結構広く開くから小銭もより出しやすいよ」

ファスナーを広げて見せてくれるけれど、僕は中の生地に目がいってしまった。

「わぁ、可愛い。天使さんがいっぱい」

綺麗な羽をつけた小さな天使さんがいて可愛い。

「ん? あ、本当だね。可愛い。これ、真琴くんの天使ちゃんみたい。正月早々縁起もいいし、これ買おうよ。保くん、何色が好き?」

「えっ、えっと……これ、かな」

父さんが指差したのは深いブルー。

「ああ、いいね。似合うよ! 直くんはどれがいい?」

「えっと、僕は……鮮やかな黄色にも惹かれるけど、やっぱり桜色かな」

「うん。だと思った。これ、すごくいいよ。私はやっぱり緑かな」

三人で手に取ると、なんだかそれだけで嬉しくなる。

「すぐるさーん! 買いたいもの見つけちゃったー!」

あやちゃんが嬉しそうに声をかけるとパパがこっちにやってくる。

「ねぇ、みて。これ、可愛いよ」

「ああ、本当だな」

「でしょ。だから私がプレゼントしてお揃いで使おうと思って。いい?」

「絢斗が? 私が買っても構わないが」

「だって、それじゃラシードさんが嫉妬しちゃうでしょう?」

あやちゃんの言葉にパパはすぐに納得の表情を見せた。

「そうか。じゃあそうしようか。絢斗、それを持っておいで。直くんはあっちに財布が揃っているよ。保さんと一緒にラシード殿下のところにいっておいで」

笑顔で言われて、僕は父さんと一緒にその場を離れた。
でも……なんでパパが買うと、ラシードさんが嫉妬するのかな?
それだけが考えても理由がわからなかった。

「ねぇ、父さん。さっきのあやちゃんの言葉の意味わかった? どうしてラシードさんが嫉妬するの?」

「えっ? あ、いや……その、どうしてかな……」

父さんは顔を赤くしながらも、理由はわからないみたいだった。

『ナオ。タモツ。ほら、みてごらん』

ラシードさんに声をかけられてみてみると、そこには色とりどりの財布が並んでいた。
細長くて大きなものから、小さなお財布まで、大人っぽいものも可愛いものもある。

『手にとってみていいから手にしっくりくるものを選ぶといい』

そう言われて、僕は目の前の小さなお財布を手にとった。

『わっ、手にピッタリ』

『これは小さいが、そこを開けて広げるとかなりの収納力がある』

『わぁー、本当だ。すごい!』

『直。こっちのも可愛いよ』

『わぁ、本当だ。これ、使いやすそう!』

結局並べられていたものを全て触らせてもらったけれど、一番気に入ったのは最初に手にとったあの小さな財布。
あやちゃんがプレゼントしてくれるコインケースと一緒にも使いやすそう。

『ナオはそれが気に入ったんだろう』

『はい。大きくなくて使いやすいです』

『それじゃあその直感を大切にしたらいい』

その言葉で購入を決めたけれど、そういえばこれっていくらくらいなんだろう?
値段聞いちゃダメかな?
ドキドキしていると、ラシードさんが店員さんに視線を向けた。
すぐに店員さんが僕に声をかけてくれた。

『こちらのお品物は税込一万円でございます』

『は、はい』

良かった。ちゃんと払える。
お年玉をくれたパパとあやちゃん、おじいちゃまとおじいちゃん。そしてラシードさんと父さんに感謝しなくちゃ!

僕は持ってきたお年玉袋から一万円札を取り出して、店員さんに渡した。

『ちょうどお預かりいたします。すぐに包んで参りますので少々お待ちください』

『は、はい』

緊張が止まらないけれど、初めての買い物がうまくいって嬉しい。
このお財布もあやちゃんのコインケースも大切にしよう。
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