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第二部
次の約束
『直くん、いいもの見つかった?』
『はい。今、お金を払って……』
そう話をしていると、さっきの店員さんがしっかりとした厚みのある小さな紙袋を持って僕のところにやってきた。
『お品物でございます』
『あ、ありがとうございます』
大人っぽい色の紙袋に金色のリボンがかけられていてなんとも豪華な感じがする。
『直くん。これ、さっきの猫ちゃんのコインケース』
『わぁ、ありがとうございます』
あやちゃんからも同じくらいの大きさの紙袋を渡されて、なんだか嬉しくなる。
『これは保くんね』
『ありがとうございます。本当にいただいていいんですか?』
『もちろん。使ってくれたら嬉しいよ』
父さんは嬉しそうに受け取って、ラシードさんにことの成り行きを説明していた。
すると、ラシードさんは嬉しそうに笑顔であやちゃんにお礼を言っていた。
これがパパだったら嫉妬してた?
そんなふうに見えないけどな……なんでなんだろう?
気になったけれど、結局聞けないまま僕たちは店員さんに見送られながらお店を出た。
『父さんとラシードさんはこのままホテルに行くの?』
『ああ。少しのんびりしようと思ってね。まだあと数日はいるからナオともまた会いたい。なぁ、タモツ』
『そうだね。直と磯山先生方の予定がなければ。今、泊まっているホテルのスイーツビュッフェにでも行かないか?』
『わぁ! 行きたい!』
僕が飛び跳ねて喜ぶと、あやちゃんもすぐに声をかけてくれた。
『私も誘おうと思ってたんだよ。苺だよね、直くん好きだから行きたかったんだよー!』
『じゃあ決まりだね! ラシード、いつでもいいよね?』
『ああ、構わない。ナオとアヤト殿とタモツが仲良く過ごせるのを見るのは私も楽しい』
ラシードさんがそう言ってくれて僕たちは顔を見合わせて喜んだ。
『じゃあ、連絡するね』
『はい。待ってます』
すっかり仲良しになっているあやちゃんと父さんを見るとつい笑ってしまう。
父さんたちが泊まっているホテルはここのすぐそばだからと二人で歩いて帰っていくのを見送り、僕たちは車に戻った。
<side寛>
みんなを見送り、すぐに夕食の支度に取り掛かる。
「それにしても卓は、賢将さんが二人を泊まらせると言った時、嬉しそうな表情を隠せてなかったな。本当にあいつは絢斗くんに関しては我慢ができないな」
あの時の卓の表情を思い出すだけで、ため息が出る。
「ははっ。まぁずっと我慢していたでしょうから仕方ないですよ。それに私たちも直くんと昇と過ごせるのは楽しいですからね。いい機会ですよ」
「まぁ、そうだな」
いつもなら大晦日から新年にかけてたっぷりと二人で愛し合っていただろうが、今年は初詣や餅つきの予定が入っていたからセーブしただろうからな。明日はゆっくりと夕方にでも二人を送り届けるとしようか。
私たちから卓と絢斗くんへのお年玉だ。
「今夜の夕食は何にします?」
「そうだな。カニを出そうか。カニめしとカニクリームコロッケでも作ってやろう」
「ああ、それはいいですね」
カニ鍋もいいが、身を取り出すのに沈黙が増えると直くんが寂しがりそうだからな。
大きなカニを冷凍庫から取り出し、大きな鍋でボイルして身をほぐす。
それだけでもかなりの重労働だが、直くんの喜ぶ顔を想像するだけで楽しい作業に変わる。
あっという間に大量のほぐし身ができ、浸しておいた米と一緒に炊いていく。
カニクリームコロッケもたくさんできた。
「これをいくつか卓にも持たせよう。絢斗くんと食べるだろう」
「いいですね。絢斗はカニもえびも好きですから喜びますよ」
そうして、準備も整った頃、卓たちの車が駐車場に入ってきた。
チャイムが鳴るのも待ち遠しくて、二人で玄関に出迎えにいく。
玄関を開いて待っていると、後部座席から昇と直くんが降りて来た。
「おじいちゃま、おじいちゃん!」
私たちを見つけて手を振る直くんが持っている紙袋を見て、私と賢将さんは顔を見合わせた。
「賢将さん、あれ……」
「ええ。さすがラシード殿下。まさかあの店とは……」
驚くほどの高級店の紙袋に、私たちは驚きを隠せなかった。
『はい。今、お金を払って……』
そう話をしていると、さっきの店員さんがしっかりとした厚みのある小さな紙袋を持って僕のところにやってきた。
『お品物でございます』
『あ、ありがとうございます』
大人っぽい色の紙袋に金色のリボンがかけられていてなんとも豪華な感じがする。
『直くん。これ、さっきの猫ちゃんのコインケース』
『わぁ、ありがとうございます』
あやちゃんからも同じくらいの大きさの紙袋を渡されて、なんだか嬉しくなる。
『これは保くんね』
『ありがとうございます。本当にいただいていいんですか?』
『もちろん。使ってくれたら嬉しいよ』
父さんは嬉しそうに受け取って、ラシードさんにことの成り行きを説明していた。
すると、ラシードさんは嬉しそうに笑顔であやちゃんにお礼を言っていた。
これがパパだったら嫉妬してた?
そんなふうに見えないけどな……なんでなんだろう?
気になったけれど、結局聞けないまま僕たちは店員さんに見送られながらお店を出た。
『父さんとラシードさんはこのままホテルに行くの?』
『ああ。少しのんびりしようと思ってね。まだあと数日はいるからナオともまた会いたい。なぁ、タモツ』
『そうだね。直と磯山先生方の予定がなければ。今、泊まっているホテルのスイーツビュッフェにでも行かないか?』
『わぁ! 行きたい!』
僕が飛び跳ねて喜ぶと、あやちゃんもすぐに声をかけてくれた。
『私も誘おうと思ってたんだよ。苺だよね、直くん好きだから行きたかったんだよー!』
『じゃあ決まりだね! ラシード、いつでもいいよね?』
『ああ、構わない。ナオとアヤト殿とタモツが仲良く過ごせるのを見るのは私も楽しい』
ラシードさんがそう言ってくれて僕たちは顔を見合わせて喜んだ。
『じゃあ、連絡するね』
『はい。待ってます』
すっかり仲良しになっているあやちゃんと父さんを見るとつい笑ってしまう。
父さんたちが泊まっているホテルはここのすぐそばだからと二人で歩いて帰っていくのを見送り、僕たちは車に戻った。
<side寛>
みんなを見送り、すぐに夕食の支度に取り掛かる。
「それにしても卓は、賢将さんが二人を泊まらせると言った時、嬉しそうな表情を隠せてなかったな。本当にあいつは絢斗くんに関しては我慢ができないな」
あの時の卓の表情を思い出すだけで、ため息が出る。
「ははっ。まぁずっと我慢していたでしょうから仕方ないですよ。それに私たちも直くんと昇と過ごせるのは楽しいですからね。いい機会ですよ」
「まぁ、そうだな」
いつもなら大晦日から新年にかけてたっぷりと二人で愛し合っていただろうが、今年は初詣や餅つきの予定が入っていたからセーブしただろうからな。明日はゆっくりと夕方にでも二人を送り届けるとしようか。
私たちから卓と絢斗くんへのお年玉だ。
「今夜の夕食は何にします?」
「そうだな。カニを出そうか。カニめしとカニクリームコロッケでも作ってやろう」
「ああ、それはいいですね」
カニ鍋もいいが、身を取り出すのに沈黙が増えると直くんが寂しがりそうだからな。
大きなカニを冷凍庫から取り出し、大きな鍋でボイルして身をほぐす。
それだけでもかなりの重労働だが、直くんの喜ぶ顔を想像するだけで楽しい作業に変わる。
あっという間に大量のほぐし身ができ、浸しておいた米と一緒に炊いていく。
カニクリームコロッケもたくさんできた。
「これをいくつか卓にも持たせよう。絢斗くんと食べるだろう」
「いいですね。絢斗はカニもえびも好きですから喜びますよ」
そうして、準備も整った頃、卓たちの車が駐車場に入ってきた。
チャイムが鳴るのも待ち遠しくて、二人で玄関に出迎えにいく。
玄関を開いて待っていると、後部座席から昇と直くんが降りて来た。
「おじいちゃま、おじいちゃん!」
私たちを見つけて手を振る直くんが持っている紙袋を見て、私と賢将さんは顔を見合わせた。
「賢将さん、あれ……」
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驚くほどの高級店の紙袋に、私たちは驚きを隠せなかった。
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