ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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第二部

新しい年のはじまり

予約時間間違えてました汗
あれ?っと思った方、すみません。


  *   *   *


<side昇>

「んー! このご飯、すごく美味しいです!」

じいちゃんと大おじさん特製のカニ飯を頬張る直くんの嬉しそうな声が響く。

「そうか、そうか。いっぱい食べなさい」

じいちゃんがこんなにも優しい声をかけるなんてな。

だが、このカニ飯のボリュームと美味しさは俺が知っているそれとは桁違い。
なんとも豪華だ。

それにこの大きなカニクリームコロッケも、カニの身がこれでもかっていうほど詰まっててめちゃくちゃ美味しい。

「これ美味しいけど、熱いから少し冷ましてあげるね」

直くんが割ったカニクリームコロッケをフーフーと冷まし、口に入れてあげる。
直くんはここでも目を輝かせて喜んでいた。

「んー! んー!」

言葉にもできない美味しさらしい。
その表情にじいちゃんも大おじさんも満足そうに見つめていた。

「これ、伯父さんと絢斗さんにも渡したんだよね。大おじさん、タッパー持ってってたから」

「それじゃあ今頃、パパとあやちゃんも食べてますね」

直くんはそう返していたけれど、じいちゃんと大おじさんは顔を見合わせて笑うだけだった。
その表情になんとなく察した俺はその話題に触れるのをやめておいた。

食事が終わって、大おじさんと一緒に片付けをしているとリビングでじいちゃんと直くんの会話が聞こえる。

「明日、日下部さんのところに年始の挨拶に行くが、お孫さんたちも集まっているようだよ」

「お孫さん?」

「ああ、日下部さんには三人のお孫さんがいるんだが、二人は仕事の都合でアメリカに住んでいてね。正月休みを利用して
帰ってきているらしい。伴侶も一緒に連れてきているから久しぶりに全員集まって大賑わいだな」

仕事でアメリカ在住か……すごいな。

「そんなところに僕たちが行ってもいいんですか? 邪魔にならないですか?」

「ははっ。みんな直くんと昇が来るのを楽しみにしているようだよ。直くんと同じ桜守出身の子も二人いるから話も盛り上がると思うよ」

「わぁ、そうなんですね」

直くんは一気にホッとした表情を見せる。
初めての人たちばかりの中だと不安になるかと思ったけれど、直くんと共通点があるのはいいな。

「昇にもいい刺激になると思うぞ。あの中には優秀な弁護士がいるからな」

大物を洗いながら大おじさんがそう教えてくれる。

「そうなの?」

「ああ、絢斗の教え子で卓くんの事務所でも働いていたことがあるくらいの優秀な弁護士だよ。今は自分で事務所を開いている」

伯父さんが事務所に入れるのはかなり優秀な人たちだけって聞いているから、それだけですごい人なんだってわかる。

「あと、会えばわかることだが、三人のお孫さんは全員お前と直くんと同じ、男同士のカップルだよ」

「えっ? 本当?」

「ああ。だから、日下部さんにしてみれば直くんはひ孫くらいの感じなんだろう。クリスマスの時もすっかり気に入っていらっしゃったよ」

そうか。
三人も孫がいても、ひ孫が生まれることはないのか。
だが、正月に孫たちが相手も一緒に集まっているってことは反対も何もしなかったってことだ。

クリスマスの時に会った感じだと多分じいちゃんと同じ年代だと思うけど、ベルンシュトルフホールディングスみたいな大企業の会長ともなると、やっぱり先進的な考えを持っているんだな。

「さぁ、洗い物も終わった。直くんと風呂に入ってくるといい。今日はあちこち出掛けて直くんも疲れているだろう」

「うん。ありがとう」

大おじさんにお礼を言ってリビングにいる直くんを誘いに行く。
風呂に入ろうというと、直くんは嬉しそうに立ち上がった。

「布団は用意しておくからゆっくり入ってきたらいい」

「はーい」

この家にもすっかり慣れた様子の直くんを連れて風呂場に向かう。
着替えもバスタオルもちゃんと準備されていてありがたい。

「直くん、好きな入浴剤入れていいよ」

直くんに選ばせている間に、さっと服を脱ぐ。
選び終わった直くんの服を脱がせて一緒に浴室に入った。

直くんが湯船にポトンと入浴剤を落とすと一気に花の香りが広がる。

「いい匂いを選んだね」

「これ、あやちゃんが前に好きだって言ってたんです」

「そうなんだ」

この家にいない伯父さんと絢斗さんのことを考えているんだろう。
二人が甘く楽しい夜を過ごすのと負けないくらい、俺も直くんと幸せな夜にしよう。
なんて言ったって今日は元日。
俺たちにとっても新しい年の始まりなんだから。
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