ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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第二部

父と息子

「雅也。買ってきたか?」

「ええ。バッチリです」

彼はそう言って両手に持っていた袋を掲げて見せる。
そのとき、じいちゃんたちが目に入ったのか、すぐにこちらにやってきた。

「これはこれは磯山先生。緑川先生。新年おめでとうございます。お元気そうで何よりですね」

「ああ。ありがとう。おかげさまで可愛い孫が増えたものでな。老け込んではいられないよ。なぁ、賢将さん」

「ええ。雅也くんも可愛い息子たちが増えたから可愛くて仕方がないだろう?」

賢将さんの言葉にその彼は一気に顔を綻ばせた。

「そうなんですよ。ようやく私にも紹介してもらえて最高に幸せな正月を過ごしています」

その笑顔のまま透也さんと祥也さんが座っているほうを見ると、二人は警戒するように自分の大切な人を腕に閉じ込めた。

「ねぇ、あの人って……もしかして、透也さんと祥也さんのお父さん?」

じいちゃんにこっそり尋ねると、今気づいたとでもいうように笑った。

「そうか、お前は会ったことがなかったな。お前が透也くんたちと会っていたときは、彼は海外支社にいたからな」

一人で納得して見せると言葉を続けた。

「そうだよ。彼は日下部さんの息子の雅也くん。透也くんと祥也くんの父親だよ。息子二人に可愛い伴侶ができたということでずっと会わせてくれと話をしていたみたいなんだが、ほら――」

笑って透也さんたちのほうを見ると、まだ腕に閉じ込めたままだ。

「ああやってなかなか見せなかったみたいでね、今回ようやく雅也くんも会わせてもらったようだよ」

俺も父さんにあんまり直くんと会わせたくないから、透也さんと祥也さんの気持ちはよくわかる。
これがじいちゃんや大おじさんだと特に気にならないから不思議なんだよな。

透也さんたちのお父さん・雅也さんはさっきの荷物をキッチンに運んで、しばらくして大きなトレイにお菓子をたくさん載せて戻ってきた。

「わぁー、お義父さん。ありがとうございます」

「すごく美味しそうですね。これ、食べたかったんです」

大夢さんと大智さんが嬉しそうに笑顔を向けると、雅也さんはこの上なく幸せそうに笑みを浮かべた。
その様子を見て、透也さんと祥也さんがすかさず二人を腕に抱きかかえて……

その繰り返しに思わず俺は笑ってしまっていた。

そのとき――

「お待たせー」

という声が聞こえて、みんなで一斉に振り返る。

そこには、豪華絢爛な振袖を纏った直くんが立っていた。

<side寛>

敦己くんが直くんを連れて行ったが、直くんが怖がらなければ心配する相手じゃない。
なんせ彼は日下部さんが本当の孫のように可愛がっている子だ。
透也くんたちとは再従兄弟の彼のことを、両親に代わって育ててきた日下部さんから見れば目に入れても痛くない相手。
そんな相手が、日下部さんがひ孫のように可愛がっている直くんを邪険に扱うわけがない。

直くんもそれを感じたから素直について行ったんだ。
心配する必要は全くない。
ただ、何をしているかは気になるところだ。それは完全に興味というだけだが。

そんな中、日下部さんの息子の雅也くんが荷物を両手に持って戻ってきた。
その袋には有名菓子店のロゴが載っているから、初売りでも買いに行ってきたんだろう。

得意げな様子を見ると、うまく手に入れられたのかもしれない。

そういえば昔、私も沙都の欲しがるものを求めて正月から並んで買いに行ったことがある。
喜んでくれる顔を見るだけで嬉しかったものだ。

彼がご機嫌なのは無事に手に入れられたからだけじゃない。
ようやく可愛い息子たちに会わせてもらえたからだろう。

その可愛い息子たちのためにこの初売りも買いに行ったんだろうからな。
それにしても透也くんと祥也くんの独占欲は強いな。
さすが兄弟。こういうところは似ているようだ。

雅也くんが買ってきたお菓子をトレイに載せて持ってくると、嬉しそうな声が上がる。
その声だけで雅也くんは満足そうに笑みを浮かべる。

直くんが私の用意したお菓子を食べて嬉しそうにするのを見るだけで、私も満足だから今の雅也くんの気持ちはよくわかる。早く雅也くんにも私の可愛い孫を見せてあげたいものだ。

そう思っていると、入り口から敦己くんの声が聞こえた。

みんなで一斉にそちらを向くとそこには豪華絢爛な振袖を纏った直くんがいた。

少し照れながら近づいてくる直くんを見て、昇はポカンと口を開けて茫然としている。
周りを見てもみんな昇と同じだ。

その中でいち早く反応したのは、大夢くんと大智くんだ。

「わぁー! 綺麗!」
「すごく似合ってる!」

声をかけながら駆け寄っていく姿に、ようやく昇も我に返ったようだ。

後を追いかけるように駆け寄ると

「直くん。すごく綺麗だよ」

と笑顔を見せる。

少し不安げだった直くんの表情が一気に綻ぶのを見て、私はホッと胸を撫で下ろした。
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