95 / 678
仲間でいられるために
しおりを挟む
「よかった! じゃあ、行ってもいいんですか?」
さすが伯父さん!
やっぱり直くんのためなら、許してくれるんだ!
そう思ったのに、俺に向けて笑顔のままに
「まぁ、とりあえずそこは置いておいて、もし許可を出したとして、お前はどうやって直くんを空港まで連れて行く気だ?」
と尋ねられた。
「えっ? 電車……は、流石にだめだから、タクシー、とか?」
「タクシー、か……まぁ、この前の口ぶりだと金の心配はないだろうが、タクシーはどこのを使う予定だ?」
「どこのって……普通に、その辺のを……」
伯父さんの質問の意図をまだ掴めずにいた俺は、とりあえず思いつくままに返したけれど、伯父さんは
「なるほどな。中谷くん、どう思う?」
と中谷さんに回答を求めた。
「そうですね。まぁ、まだ高校生ですから」
「何? どういうこと? 伯父さんの質問の意味がわからないんだけど」
伯父さんの言いたいことを中谷さんだけが理解できていることに焦って尋ねると、伯父さんは
「昇、これから直くんを守っていきたいというのなら、私のいうことをしっかり聞きなさい」
と真剣な表情で俺を見つめた。
その気迫に押されるように俺は頷くことしかできなかった。
「電車を選択しなかったことはまぁ、当然のことだな。これで合格はもちろんやれない。次にタクシーだが、昇は今、どうして直くんが外に出られないかわかっているだろう?」
「それはもちろん! 直くんが事件のことで追われたりすることがないようにするためですよね」
「そうだ。流しのタクシーの運転手がもし、そういう奴らと手を組んで直くんが出てくるのを待っていたらどうする?」
「えっ……そ、れは……」
「私の持ちうるすべての人脈を使って、直くんに手を出させないようにしているが、悪い奴らはそういうのを掻い潜っても情報を掴もうとするものだ。たとえほんの少しの可能性であっても、何かしらの情報を手に入れることができたら奴らが手にする利益は大きい。それを狙って手を出してこないとは限らないだろう?」
「――っ!! 」
確かに伯父さんの言う通りだ。
被害者があの櫻葉グループの御曹司だったことで、かなり大きな事件に発展したのだから。
「じゃあ、やっぱり直くんを連れて行くのは諦めた方がいいってこと?」
「そうだな、お前と二人で行くのは諦めた方がいいな」
「えっ? それって……」
「忘れたのか? お前の両親は私の弟夫婦でもあるんだぞ。元々、見送りに行く気だったよ」
「あっ、そうか……」
「ふふっ。だから、お前としっかり打ち合わせをしておこうと思っていたんだ」
「打ち合わせ?」
「ああ、絢斗と直くんを連れて行くんだ。普通にしていたら完全に目立つぞ」
そういえば、前に伊織さんと悠真さんと出かけた時にピリピリしたオーラ出しまくってたっけ。
父さんも母さんと出かける時は、かなり気を遣ってたな。
あれってそういうことだったのか……。
「それに、村山家からも話をもらってたんだぞ」
「えっ? 村山の両親からってこと?」
「ああ、友人夫婦が海外に栄転するんだ。お祝いがてら見送りに行くのも不思議はないだろう? その日にカールくんがくるなら尚のことだ」
「でも村山も一人で出迎えに行く気満々だったよ」
「まぁ、あの子も両親の話を聞いていないのかもしれないな」
確かに村山もカールに夢中だったからな。
出迎えに行くことで頭がいっぱいになっていたのかもしれない。
「その日は私が車で連れて行くから心配しないでいい。せっかくだから外食もして帰ろう。村山家とカールくんも一緒に行くかどうかは話をしてみてからになるがな」
「あ、でもお店は? さっきの話を考えるなら、お店もちゃんと調べておかないといけないんじゃ……」
「ははっ。ちゃんと学習したようだな。だが、こういう時のために、安心して連れて行ける店の情報を志良堂や榊くんたちと共有しているんだ。だから、お前にもその情報を共有できるように彼らに話を通しておこう」
「それって、すごい人たちの集まりなんですか?」
「そうだな、あの倉橋くんを筆頭に錚々たるメンバーが揃っているぞ」
「えっ……いいんですか? 俺なんかが入っても……」
「まぁ、まだ入れるかはわからんが、これからの期待値込みで入れてもらえるだろう。その分、お前はしっかりと勉強しないといけないぞ」
その錚々たるメンバーに名を連ねていられるかは自分の頑張り次第ってことか……。
「伯父さん、俺……頑張るよ!」
「ああ、頼むぞ」
いつまでも直くんの笑顔を守る。
自分に言い聞かせるように心に誓った。
さすが伯父さん!
やっぱり直くんのためなら、許してくれるんだ!
そう思ったのに、俺に向けて笑顔のままに
「まぁ、とりあえずそこは置いておいて、もし許可を出したとして、お前はどうやって直くんを空港まで連れて行く気だ?」
と尋ねられた。
「えっ? 電車……は、流石にだめだから、タクシー、とか?」
「タクシー、か……まぁ、この前の口ぶりだと金の心配はないだろうが、タクシーはどこのを使う予定だ?」
「どこのって……普通に、その辺のを……」
伯父さんの質問の意図をまだ掴めずにいた俺は、とりあえず思いつくままに返したけれど、伯父さんは
「なるほどな。中谷くん、どう思う?」
と中谷さんに回答を求めた。
「そうですね。まぁ、まだ高校生ですから」
「何? どういうこと? 伯父さんの質問の意味がわからないんだけど」
伯父さんの言いたいことを中谷さんだけが理解できていることに焦って尋ねると、伯父さんは
「昇、これから直くんを守っていきたいというのなら、私のいうことをしっかり聞きなさい」
と真剣な表情で俺を見つめた。
その気迫に押されるように俺は頷くことしかできなかった。
「電車を選択しなかったことはまぁ、当然のことだな。これで合格はもちろんやれない。次にタクシーだが、昇は今、どうして直くんが外に出られないかわかっているだろう?」
「それはもちろん! 直くんが事件のことで追われたりすることがないようにするためですよね」
「そうだ。流しのタクシーの運転手がもし、そういう奴らと手を組んで直くんが出てくるのを待っていたらどうする?」
「えっ……そ、れは……」
「私の持ちうるすべての人脈を使って、直くんに手を出させないようにしているが、悪い奴らはそういうのを掻い潜っても情報を掴もうとするものだ。たとえほんの少しの可能性であっても、何かしらの情報を手に入れることができたら奴らが手にする利益は大きい。それを狙って手を出してこないとは限らないだろう?」
「――っ!! 」
確かに伯父さんの言う通りだ。
被害者があの櫻葉グループの御曹司だったことで、かなり大きな事件に発展したのだから。
「じゃあ、やっぱり直くんを連れて行くのは諦めた方がいいってこと?」
「そうだな、お前と二人で行くのは諦めた方がいいな」
「えっ? それって……」
「忘れたのか? お前の両親は私の弟夫婦でもあるんだぞ。元々、見送りに行く気だったよ」
「あっ、そうか……」
「ふふっ。だから、お前としっかり打ち合わせをしておこうと思っていたんだ」
「打ち合わせ?」
「ああ、絢斗と直くんを連れて行くんだ。普通にしていたら完全に目立つぞ」
そういえば、前に伊織さんと悠真さんと出かけた時にピリピリしたオーラ出しまくってたっけ。
父さんも母さんと出かける時は、かなり気を遣ってたな。
あれってそういうことだったのか……。
「それに、村山家からも話をもらってたんだぞ」
「えっ? 村山の両親からってこと?」
「ああ、友人夫婦が海外に栄転するんだ。お祝いがてら見送りに行くのも不思議はないだろう? その日にカールくんがくるなら尚のことだ」
「でも村山も一人で出迎えに行く気満々だったよ」
「まぁ、あの子も両親の話を聞いていないのかもしれないな」
確かに村山もカールに夢中だったからな。
出迎えに行くことで頭がいっぱいになっていたのかもしれない。
「その日は私が車で連れて行くから心配しないでいい。せっかくだから外食もして帰ろう。村山家とカールくんも一緒に行くかどうかは話をしてみてからになるがな」
「あ、でもお店は? さっきの話を考えるなら、お店もちゃんと調べておかないといけないんじゃ……」
「ははっ。ちゃんと学習したようだな。だが、こういう時のために、安心して連れて行ける店の情報を志良堂や榊くんたちと共有しているんだ。だから、お前にもその情報を共有できるように彼らに話を通しておこう」
「それって、すごい人たちの集まりなんですか?」
「そうだな、あの倉橋くんを筆頭に錚々たるメンバーが揃っているぞ」
「えっ……いいんですか? 俺なんかが入っても……」
「まぁ、まだ入れるかはわからんが、これからの期待値込みで入れてもらえるだろう。その分、お前はしっかりと勉強しないといけないぞ」
その錚々たるメンバーに名を連ねていられるかは自分の頑張り次第ってことか……。
「伯父さん、俺……頑張るよ!」
「ああ、頼むぞ」
いつまでも直くんの笑顔を守る。
自分に言い聞かせるように心に誓った。
1,871
あなたにおすすめの小説
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
猫を追いかけて異世界に来たら、拾ってくれたのは優しい貴族様でした
水無瀬 蒼
BL
清石拓也はある日飼い猫の黒猫・ルナを追って古びた神社に紛れ込んだ。
そこで、御神木の根に足をひっかけて転んでしまう。
倒れる瞬間、大きな光に飲み込まれる。
そして目を覚ましたのは、遺跡の中だった。
体調の悪い拓也を助けてくれたのは貴族のレオニス・アーゼンハイツだった。
2026.1.5〜
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる