ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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緊張に震える

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<side直純>

緊張して眠れない……。

自分が一花さんにあって謝罪したいと言い出したのだけど、それでもやっぱり緊張してしまう。

一花さんを目の前にしてちゃんと謝れるかが心配だ。

「でも、やるしかないよね」

自分に言い聞かせるように小声で呟くと、

「大丈夫だよ」

と昇さんの声が聞こえた。

「あ、ごめんなさい……起こしちゃいましたか?」

「いや、まだ寝てなかったんだ。直くんが眠ったら俺も寝ようと思ってたから」

「ごめんなさい……」

「謝らなくていいって。直くんが不安になる気持ちも緊張して眠れない気持ちもよくわかるから」

「昇さん……」

「でも、本当に心配しないでいいよ。どんなことがあったって俺がついてるから。ねっ。安心して目を瞑って」

「はい……」

そっと目を閉じると、昇さんの腕の中に隙間なくピッタリと包まれて背中を優しくトントンされる。
その優しいリズムにスーッとさっきまでの不安が落ち着いていって、僕はいつの間にか眠りについていた。

そこからは一度も目覚めることなく熟睡できた気がする。

朝起きて身支度を整えてから昇さんとリビングに向かうと、すでに朝食が出来上がっていていい匂いが漂っていた。

炊き立てのご飯の匂いを嗅いでいるとお腹が空いてくる。

食事の最中も誰も午後からの話には触れなかった。
多分僕が緊張すると思って気を遣ってくれているんだろう。

でも、今日が祝日でよかった。
パパもあやちゃんも昇さんも一緒にいてくれるもん。

もちろん一花さんと会う時は二人っきりだけど、ついててくれると思うだけで安心できる。

穏やかな時を過ごしながら、とうとうその時間がやってきて、ポーンという音がリビングに響いた。
この音は駐車場に車が入ってきたというお知らせの音らしい。

前もって今日の一花さんたちの車を登録? していたから、そのまま駐車場に入ってこられるんだって。

僕にはよくわからないけれど、きっとすごいことなんだろう。

キャンピングカーというものがどういうものかは昇さんに画像付きで教えてもらった。

大きなバスみたいな車で中は部屋みたいになっているらしい。

写真ではその車の中で料理もしていてびっくりしてしまった。

そのキャンピングカーが駐車場に到着してしばらく経って、玄関のチャイムが鳴った。
その音につい、びくっとしてしまった。

「直くん、大丈夫だよ」

「はい、ちょっとびっくりしちゃっただけです」

「それならよかった」

僕の隣に座ってくれていた昇さんとそんな話をしている間に、パパが玄関に向かってくれた。

「征哉くん、今日はありがとう。よく来てくれたね」

「いえ。お時間をいただきありがとうございます。それで、彼は?」

その声が聞こえて、僕はすぐに立ち上がろうとしたけれど、

「大丈夫、ここで待ってたらいいよ」

とあやちゃんに手を握られて待っていると、貴船さんがパパに案内されて部屋の中に入ってきた。

入ってきた瞬間、貴船さんの鋭い目で見つめられて一気に緊張してしまったけれど、あの時ほど怖くは感じない。

僕はその場に立ち上がって頭を下げた。

「あの、僕……」

今日のお礼を言おうと思ったら、先に一花さんに会いに行こうと言われてしまった。
確かにずっと一人で車の中で待ってるなんて、怖いかもしれない。

急いでついて行こうとすると、昇さんが一緒について行ってもいいかと貴船さんに頼んでくれた。

ここから駐車場まで貴船さんと二人で向かうより、昇さんがいてくれた方がホッとするのは確かだ。
貴船さんはそれを許してくれて、貴船さんに案内されながら、昇さんと一緒に駐車場に下りて行った。

考えてみれば、この玄関を出たのはここに来て初めてだ。
久しぶりに外に出るという感覚に不思議な感情を抱きながら下りていくと広々とした駐車場に大きなキャンピングカーが止まっていた。
昇さんに見せてもらった写真のより大きな気がする。

「直純くん、この中で一花が待っているから、入ってくれ」

そう言われて、どきどきしながら扉の前に立った。
ゆっくりと扉を開けると中に数段の階段が見えて、そこに乗り込んだ。

「あ、あの……なお、ずみです……。しつれい、します……」

声をかけると奥の方から、

「どうぞ、入って」

と優しい声が聞こえてくる。

どきどきしながら僕の身体が完全に階段に乗った途端、開けていた扉がゆっくりと閉まった。
それに少し驚きながら階段を上ると

「こっちだよ」

と教えてくれる。

その声の下方に視線を向けると、大きなベッドに足を伸ばして座った、とても綺麗な人が僕を笑顔で見つめていた。
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