ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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いざ、空港へ!

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<side直純>

今日はとうとう外に出られる日。
それがふーちゃんと毅パパとのお別れの日なのは寂しいけれど、ちゃんと会ってお見送りできるのはとっても嬉しい。

それに今日はカールさんも日本に来る日だっていうし、ビデオチャットで何度かお話ししたことはあるけど、実際に会うのぼくも初めてだからちょっと楽しみ。

もちろん緊張の方が多いんだけど、昇さんが一緒だから安心かな。

ウキウキしすぎて、予定の時間より少し早く目を覚ますと、昇さんももう起きてた。
昇さんの場合はパパとママとのお別れだから、早く目覚めちゃったのかな。

昇さんの顔を見ると、寝不足っぽい顔をしている。

そうか……やっぱり昇さんも寂しいはずだよね。

眠れなかったのかなと思って聞いたけど、昇さんは

「今日はカールが来るから、ちょっと早く起きただけだよ」

と言ってすぐに洗面所に行ってしまったけれど、それが僕に心配かけないようにしたんだってことは僕にだってわかる。

昇さん、絶対寂しいよね。
それに、昇さんだけじゃなく、パパも弟さんが遠くにいっちゃうわけだし、あやちゃんもふーちゃんと仲良しだって言ってたし、きっとお別れは寂しいはず。

僕もあの日、お父さんが乗った車がどんどん小さくなっていくのを見たとき、すっごく寂しかったから、今日のパパやママ、それに昇さんの気持ちはよくわかる。

でも、我慢できない感情が込み上げたあの時、

「悲しい時は我慢しなくていいんだよ」

とパパにそう言われて、いっぱい泣いたんだ。

パパは泣いている僕の背中に大きな手を当ててくれた。
それがすごくあったかくてほっとしたんだ。

そしてその後、貴船さんや一花さんのお父さんの前で僕を引き取ってくれるって言ってくれた。
あの時、悲しいだけの心が一気に救われた気がした。

大人に対してあんな気持ちになったのは、初めてだったんだ。
だから僕は、ここに置いて欲しいと頼むことができた。

今は、もしあの時その言葉を言わなかったら……なんて考えることが怖いくらいに、毎日幸せすぎる。

本当にあの時の僕に出会えるのなら教えてあげたい。
自分を心から大切に愛してくれる、パパとママと好きな人ができるから安心してねって。

そんな大切な人が、ふーちゃんと毅パパとのお別れで悲しんでいたら、僕が慰めよう!
あの時のように、パパやママ、それに昇さんの悲しみを救うんだ!!

僕はベッドの中で気合を入れて起き上がった。

昇さんと入れ替わるように洗面所で身支度を整えて、リビングに行くとちょうど同じタイミングでパパとあやちゃんがお部屋から出てきた。

「直くん! おはよう」

元気いっぱいな様子だけど、きっとあやちゃんも寂しいんだろうな。
それを隠してこんなに元気な挨拶して……本当に偉いな。

「あのね、これから空港に行くでしょう?」

「――っ、は、はい」

この話題は僕からしないほうがいいかなと思っていたところにあやちゃんから言われてびっくりしてしまった。

「二葉さんから連絡が来てね、空港に美味しいドーナツ屋さんがあるんだって。そこでお茶しようってお誘いがあったんだよ。だから予定より少し早めにお出かけするからね。朝ごはん食べたら少し早めにお出かけの準備して待っててね」

「わかりました」

そうか……きっと、最後のお別れをたっぷりしたくて、早めに行くんだな。
パパとママと昇さんがふーちゃんと毅パパとお別れするのを邪魔しないようにしないとな。

そして、きっと最後まで涙を我慢するだろうから、ふーちゃんと毅パパの姿が見えなくなったら、泣き始めたみんなの頭をヨシヨシして、泣きたいときは我慢しなくていいんだよって、声をかけるんだ。

ああ、でも僕の身長だと頭ヨシヨシは難しいな……。
どこかに座ってもらうようにしようか。

そこはしっかりと考えておかないとね!!

朝食もあっという間に食べ終わって、とうとうお出かけの時間。
本当に久しぶりの外だ。

この前、一花さんたちを見送りに駐車場までは出かけたけど、そこより先は本当に久しぶり。

ドキドキしていると、お部屋にあやちゃんが来てくれた。

そして、お揃いの帽子を渡してくれたんだ。

それがすっごく可愛くて、しかもあやちゃんとのお揃いっていうのが嬉しい。

この帽子、大切にしようっと。

それをしっかりと被って、駐車場に向かうと運転席にはパパ。
そして、隣にはあやちゃん。

僕と昇さんは後ろの席に座った。

考えてみたら、母さんの車以外に乗るの初めてかも……。
母さんって、車の運転が荒かったから乗るの怖かったけど、なぜだろう。
パパなら怖そうとも思わない。

それどころか安心して車に乗れる気がする。

ゆっくりと車が走り出して、窓の景色が流れていくのが見える。

ああ、僕……本当に外に出られるんだ……。

無意識に思った言葉が、口から吐いて出てしまっていたことに全然気づいていなかった。
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