ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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思いがけない贈り物

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<side直純>

おじいちゃんのお家に行ける。それが決まってからワクワクが止まらない。
あまりにも嬉し過ぎて早起きしてしまった。

「学校が終わったら俺も大おじさんの家に向かうよ。絢斗さんが迎えにきてくれるからそれで一緒に帰ろう」

「はい。それまでおじいちゃんのお家で待ってますね」

昇さんを見送って、リビングでパパとあやちゃんと過ごしていると玄関のチャイムが鳴った。

こんな朝から誰がきたんだろう?
パパが急いで玄関に向かうと、

「あれ?」

と大きな声がしたかと思ったら、しばらくして大きな箱を運んできた。

「わっ! すごい! 何が届いたんですか?」

驚く僕の目の前にサイズの違う箱が三つも並んだ。
パパはサッと三つの箱の上部の閉じ目にカッターナイフを当て開けると一番大きな箱を開け、中に入っていたカードに目を通した。

「なるほど、そうだったか……。直くん、おいで。開けてごらん」

優しく呼びかけられて箱の前に立つ。ドキドキしながらパパが開けた箱に目を向けると柔らかくて白い紙のようなものが置かれていて中が見えない。それを取ると、見覚えのある黒いものが見えた。

「えっ? これ……」

てっぺんに触れるとモフッとした感触がして、すぐにわかった。

「ペンギンくん?」

びっくりしながら箱の中に腕を差し込んで持ち上げてみると、水族館で見たあのペンギンくんの少し大きいものが現れた。

「わぁー! この子、パパみたい!!」

「当たり! あのペンギンくんに家族がいたから一緒がいいかなって思ったんだよ」

あやちゃんが僕の隣でそう教えてくれる。

「僕もあの時家族みたい! って思ってたんです。じゃあ、こっちのはあやちゃんかな?」

ワクワクしながら少し小さい箱を開けると、パパペンギンくんより少し小さなペンギンさんが出てきた。

「わぁー、やっぱりあやちゃんに似てます!! あれ? じゃあこっちはなんだろう?」

「あれ? 卓さん、お願いしたのは二体だったよね?」

あやちゃんがパパに尋ねるとにっこりと笑って、

「こっちも開けてごらん」

と促された。

ドキドキしながら開けると、中には小さなペンギンちゃんがいた。

「可愛い! でも、あそこにはいなかったような……」

「このカードを見てごらん」

僕は小さなペンギンちゃんを抱っこしたまま、パパからカードを受け取った。

<この度は、ペンギンくんをお選びいただきありがとうございます。しかも家族一緒にお選びいただき大変光栄です。実はこのペンギンくんの家族にはもう一人小さな子がおり、メンテナンスのため一時的に私の工房に戻っておりました。このペンギンちゃんは少し寂しがりやさんでパパママとお兄ちゃんと離れて過ごすのは可哀想なのでこの子も一緒に可愛がっていただけると嬉しいです。ペンギンくん家族を末長くよろしくお願いします。ぬいぐるみ作家sara>

「この子はsaraさんから直くんへの贈り物だそうだよ」

「そんな……っ、嬉しいっ!!」

パパとママとお兄ちゃんとこの子。
まるでパパとあやちゃんと昇さんと僕、のように見える。

僕は可愛いペンギンさんたち家族に囲まれて幸せな気持ちでいっぱいになっていた。

部屋にいたペンギンくんをリビングに連れてきて、僕は四体のペンギンくんたちに囲まれた。
やっぱり見れば見るほどパパとあやちゃんと昇さんに似ている。
このちっちゃなペンギンちゃんはみんなから可愛がられているようで嬉しくなる。
僕もこのペンギンちゃんも幸せだな。

午前中の講義をしているあやちゃんの隣で、僕はペンギンちゃんたちと遊び、とうとう出発の時間になった。

僕にそっくりなペンギンちゃんだけを連れて、僕はあやちゃんと一緒におじいちゃんの家に向かった。

「おじいちゃんのお家ってどんなお家ですか?」

「うーん、まだ私も行ったことないんだけどマンションだって言ってたよ」

「マンション……」

僕の頭の中に実家の近くに立っていたマンションが浮かぶ。
そういえばそのマンションに小学校の時のクラスメイトがたくさん住んでいたな。

なんて思いながら、あやちゃんが運転する助手席に座っていると、

「あっ! あのマンションだよ」

と指をさして教えてくれた。

「えっ? あれが、おじいちゃんが住んでいるところ?」

あやちゃんが教えてくれたのはびっくりするほど高さのあるマンション。
しかも外観がものすごくかっこよくて豪華だ。

おじいちゃんってこんなすごいところに住んでいるの? 
えー、なんだかドキドキしてきちゃったな。
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