ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

文字の大きさ
256 / 678

最高の目覚め

しおりを挟む
この二人のお話を入れようと思って忘れてました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *



<side二葉(昇の母)>

可愛い直くんや昇たちと別れて、私たちはフランスに降り立った。
急な出発で準備は大変だったけれど、身の周りの物以外は特に持っていく必要はないと言われていただけあって会社側が用意してくれたのは会社からほど近い場所にある、高級住宅が並んだ中にある広々としたアパルトマン。
元々ここは、毅さんの会社本社会長であるシュバリエ一族の持ち物だけあって、部屋の中は高い天井や美しい装飾が施され、綺麗な暖炉まである。バルコニーからはパリの街並みが見渡せて、夜にはライトアップされたエッフェル塔まで楽しめる。

家具も家電も全て揃っているだけでなく、アパルトマンの一階にはコンシェルジュが常駐していてセキュリティーも万全で安心してフランス生活を楽しむことができる。本当に最高の部屋だ。

「ねぇ、毅さん。ここならいつ昇と直くんを呼んでも安心して過ごせるわね」

「そうだな。想像以上のいい部屋だから私も二葉を残して安心して仕事に行けるよ」

「こんな部屋を用意してもらえたのも毅さんが期待されている証拠ね」

「ははっ。その期待に応えられるように頑張るよ」

「無理だけはしないようにね」

「ああ。大丈夫。だから、明日から頑張れるようにしっかりと充電させてくれ」

さっと抱きかかえられて寝室に連れて行かれる。
そうして甘い夜を過ごしながらパリでの二人っきりの夜はすぎていった。


翌日、毅さんが仕事に行ったあと、近くを散策がてら買い物に出かけようとするとコンシェルジュの一人が護衛としてついてきてくれる。それも会社から決められていることらしい。言葉には不自由はしないけれど、日本ほど治安がいいとはいえないパリ市内ではやっぱりいざという時に守ってくれる人がいるというのは助かる。

護衛の彼はかなり逞しくて強いオーラを放っているせいか、誰も近付いてくる気配もなくて安心できる。その上、歩きながら街の案内もしてくれるから楽しい。

美味しいケーキ屋さんと紅茶の店を教えてもらったおかげで楽しいお茶の時間ができそうだ。

あとはここで友人でもできたら私の生活はもっと楽しくなるだろう。
絢斗さんや瑠璃さんのようなお喋りするだけで楽しくなれる相手ができたら最高なんだけど。

まぁ、それは毅さんの歓迎会を兼ねたシュバリエ家のパーティーに参加するときの楽しみにとっておこう。
パーティー会場で何か素敵な出会いがあるんじゃないかと密かに期待している私がいる。

そしてフランスでの初めての週末。
目を覚まして、スマホの時間を確かめようとすると真夜中に絢斗さんと昇からメッセージと写真、それに動画まで送られてきている。

そうだ! 今日は結婚式に行ってるんだ!

送られた時間を見ると、あっちでは土曜のお昼頃。
ちょうど結婚式の頃だ。

もしかしたら結婚式の写真かしら?
直くんは初めて結婚式に参加するって言っていたから喜びの写真と動画を送ってくれているのかも!

隣を見ると毅さんはまだ眠っている。
起こさないように静かに見ようっと。

絢斗さんからのメッセージを見ると、

<結婚式に参加中の直くんの写真と動画を送るね。可愛いからびっくりしないように。絢斗>

そんな簡潔なメッセージにちょっと期待を膨らませながら写真から見てみると、

「ええっ?!」

想像をはるかに超えた可愛らしい写真に、思わず大声が出た。

「んっ? 二葉? どうしたんだ?」

「あ、起こしちゃってごめんなさい」

「それはいいが何かあったのか?」

「それが……これ、見て!」

「ん?」

優しい毅さんは怒ることもなく、私の差し出したスマホに目をやった。

「なっ、えっ? これ……」

「絢斗さんと直くんよ。結婚式に参列するのに、お着替えしたんですって」

直くんの事情は知っている。どこからか情報が漏れないために変装の意味も兼ねて女の子の格好になったんだろう。そして一人だけじゃ可哀想だから絢斗さんも付き合ったってことなんだろう。

でも……二人とも可愛すぎ!!!

お義兄さんと昇が大喜びしている姿が目に浮かぶわ。

「すごいな、可愛いのは知ってたけど本当に女の子にしか見えないぞ。絢斗さんも女性顔負けの美しさだな。もちろん、二葉は別格だけどな」

「毅さんったら。でも嬉しいわ。ありがとう。ねぇ、昇からも写真が送られてきてるのよ。一緒にみましょう」

二人でヘッドボードを背もたれに座って、昇から写真を見てみると

「まぁ、素敵!」

「これは昇しか映せない表情だろうな」

ピンクベージュの可愛らしいドレスを着た直くんの耳の上に綺麗な蝶々が髪飾りのように止まって、優しい笑顔を浮かべている直くんの写真。

「昇……本当に心から直くんを想っているのね」

「ああ、そして直くんもな。二人は幸せになるよ。私たちのようにな」

昇が相手に可愛い男の子を選んだ時、もちろん驚きはあった。
でも幸せに過ごしているお義兄さんと絢斗さんを知っているから反対はなかった。

それが正しかったのがよくわかる。

「昇は日本に置いてきて正解だったわね」

「そうだな。あとは有言実行で桜城大学に首席で入学してもらうだけだな」

あの子なら、絶対にやり抜くだろう。だって毅さんの息子だもの。
直くんとの将来のために頑張ってくれるはずだわ。

最高の目覚めを迎えて、私たちの初めての週末は始まった。
しおりを挟む
感想 1,244

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。 なんの不自由もない。 5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が 全てやって居た。 そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。 「俺、再婚しようと思うんだけど……」 この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。 だが、好きになってしまったになら仕方がない。 反対する事なく母親になる人と会う事に……。 そこには兄になる青年がついていて…。 いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。 だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。 自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて いってしまうが……。 それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。 何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。

処理中です...