ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

文字の大きさ
256 / 716

最高の目覚め

しおりを挟む
この二人のお話を入れようと思って忘れてました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *



<side二葉(昇の母)>

可愛い直くんや昇たちと別れて、私たちはフランスに降り立った。
急な出発で準備は大変だったけれど、身の周りの物以外は特に持っていく必要はないと言われていただけあって会社側が用意してくれたのは会社からほど近い場所にある、高級住宅が並んだ中にある広々としたアパルトマン。
元々ここは、毅さんの会社本社会長であるシュバリエ一族の持ち物だけあって、部屋の中は高い天井や美しい装飾が施され、綺麗な暖炉まである。バルコニーからはパリの街並みが見渡せて、夜にはライトアップされたエッフェル塔まで楽しめる。

家具も家電も全て揃っているだけでなく、アパルトマンの一階にはコンシェルジュが常駐していてセキュリティーも万全で安心してフランス生活を楽しむことができる。本当に最高の部屋だ。

「ねぇ、毅さん。ここならいつ昇と直くんを呼んでも安心して過ごせるわね」

「そうだな。想像以上のいい部屋だから私も二葉を残して安心して仕事に行けるよ」

「こんな部屋を用意してもらえたのも毅さんが期待されている証拠ね」

「ははっ。その期待に応えられるように頑張るよ」

「無理だけはしないようにね」

「ああ。大丈夫。だから、明日から頑張れるようにしっかりと充電させてくれ」

さっと抱きかかえられて寝室に連れて行かれる。
そうして甘い夜を過ごしながらパリでの二人っきりの夜はすぎていった。


翌日、毅さんが仕事に行ったあと、近くを散策がてら買い物に出かけようとするとコンシェルジュの一人が護衛としてついてきてくれる。それも会社から決められていることらしい。言葉には不自由はしないけれど、日本ほど治安がいいとはいえないパリ市内ではやっぱりいざという時に守ってくれる人がいるというのは助かる。

護衛の彼はかなり逞しくて強いオーラを放っているせいか、誰も近付いてくる気配もなくて安心できる。その上、歩きながら街の案内もしてくれるから楽しい。

美味しいケーキ屋さんと紅茶の店を教えてもらったおかげで楽しいお茶の時間ができそうだ。

あとはここで友人でもできたら私の生活はもっと楽しくなるだろう。
絢斗さんや瑠璃さんのようなお喋りするだけで楽しくなれる相手ができたら最高なんだけど。

まぁ、それは毅さんの歓迎会を兼ねたシュバリエ家のパーティーに参加するときの楽しみにとっておこう。
パーティー会場で何か素敵な出会いがあるんじゃないかと密かに期待している私がいる。

そしてフランスでの初めての週末。
目を覚まして、スマホの時間を確かめようとすると真夜中に絢斗さんと昇からメッセージと写真、それに動画まで送られてきている。

そうだ! 今日は結婚式に行ってるんだ!

送られた時間を見ると、あっちでは土曜のお昼頃。
ちょうど結婚式の頃だ。

もしかしたら結婚式の写真かしら?
直くんは初めて結婚式に参加するって言っていたから喜びの写真と動画を送ってくれているのかも!

隣を見ると毅さんはまだ眠っている。
起こさないように静かに見ようっと。

絢斗さんからのメッセージを見ると、

<結婚式に参加中の直くんの写真と動画を送るね。可愛いからびっくりしないように。絢斗>

そんな簡潔なメッセージにちょっと期待を膨らませながら写真から見てみると、

「ええっ?!」

想像をはるかに超えた可愛らしい写真に、思わず大声が出た。

「んっ? 二葉? どうしたんだ?」

「あ、起こしちゃってごめんなさい」

「それはいいが何かあったのか?」

「それが……これ、見て!」

「ん?」

優しい毅さんは怒ることもなく、私の差し出したスマホに目をやった。

「なっ、えっ? これ……」

「絢斗さんと直くんよ。結婚式に参列するのに、お着替えしたんですって」

直くんの事情は知っている。どこからか情報が漏れないために変装の意味も兼ねて女の子の格好になったんだろう。そして一人だけじゃ可哀想だから絢斗さんも付き合ったってことなんだろう。

でも……二人とも可愛すぎ!!!

お義兄さんと昇が大喜びしている姿が目に浮かぶわ。

「すごいな、可愛いのは知ってたけど本当に女の子にしか見えないぞ。絢斗さんも女性顔負けの美しさだな。もちろん、二葉は別格だけどな」

「毅さんったら。でも嬉しいわ。ありがとう。ねぇ、昇からも写真が送られてきてるのよ。一緒にみましょう」

二人でヘッドボードを背もたれに座って、昇から写真を見てみると

「まぁ、素敵!」

「これは昇しか映せない表情だろうな」

ピンクベージュの可愛らしいドレスを着た直くんの耳の上に綺麗な蝶々が髪飾りのように止まって、優しい笑顔を浮かべている直くんの写真。

「昇……本当に心から直くんを想っているのね」

「ああ、そして直くんもな。二人は幸せになるよ。私たちのようにな」

昇が相手に可愛い男の子を選んだ時、もちろん驚きはあった。
でも幸せに過ごしているお義兄さんと絢斗さんを知っているから反対はなかった。

それが正しかったのがよくわかる。

「昇は日本に置いてきて正解だったわね」

「そうだな。あとは有言実行で桜城大学に首席で入学してもらうだけだな」

あの子なら、絶対にやり抜くだろう。だって毅さんの息子だもの。
直くんとの将来のために頑張ってくれるはずだわ。

最高の目覚めを迎えて、私たちの初めての週末は始まった。
しおりを挟む
感想 1,342

あなたにおすすめの小説

【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~

千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。

美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。

竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。 男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。 家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。 前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。 前世の記憶チートで優秀なことも。 だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。 愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

冷遇夫がお探しの私は、隣にいます

終日ひもの干す紐
恋愛
愛人がいるなら、さっさと言ってくれればいいのに! 妻に駆け落ちされた、傷心の辺境伯ロシェのもとへ嫁いでほしい。 シャノンが王命を受け、嫁いでから一年……とんでもない場面に立ち会ってしまう。 「サフィール……またそんなふうに僕を見つめて、かわいいね」 シャノンには冷たいの夫の、甘ったるい囁き。 扉の向こうの、不貞行為。 これまでの我慢も苦労も全て無駄になり、沸々と湧き上がる怒りを、ロシェの愛猫『アンブル』に愚痴った。 まさかそれが、こんなことになるなんて! 目が覚めると『アンブル』になっていたシャノン。 猫の姿に向けられる夫からの愛情。 夫ロシェの“本当の姿”を垣間見たシャノンは……? * * * 他のサイトにも投稿しています。

奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます

タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。 領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。 奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。

処理中です...