ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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孫たちのサプライズ計画

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「じゃあ、私は昼ごはんを作ってくるから、しばらくここで二人で遊んでいなさい」

じいちゃんはすっかり蔵が気に入った様子の直くんに笑顔を見せながら蔵を出て行った。

「パパ、どこかなー? あっ! いました!」

その場に座りこんでアルバムを見ていた直くんが、嬉しそうにアルバムを指さして、俺に教えてくれる。

俺がこのアルバムを見たのは、小学生の時だったか。
伯父さんのかっこいい学ラン姿を見たのがあの学校に憧れるきっかけだった気がする。
父さんも同じ高校だと知って余計に行きたいって思ったんだよな。
じいちゃんも今とは名前が違うけど、今の高校の前身の学校の出身だったから磯山家の男として絶対に行きたいっていう気持ちになったのかもしれない。

昔も見て思ったけど、本当に伯父さんってかっこいいんだよな。
イケメンって言葉じゃ薄っぺらく思うくらいの美形だ。
今、同級生だったら確実に学校中でモテまくってるだろう。

宗一郎さんから、大学時代の伯父さんの話を聞いたことがあるけれど、桜城大学だけでなく他の学校にもファンクラブなるものが存在していたらしい。しかも毎日のように学校の正門に伯父さんに会うために人が押し寄せていたようだから、その人気は相当のものだったに違いない。だって、SNSもない時代に口コミだけで人が押し寄せるんだからそれはすごいよな。

その伯父さんが絢斗さんと出会い、絢斗さんを一生のパートナーに選んだ時、じいちゃんは自分の相手をしっかりと守れと言ったらしい。伯父さんはその言葉をしっかりと守り、絢斗さんを全ての嫌がらせや中傷から守ったと父さんと宗一郎さんから聞いたことだある。
それが出来たのも伯父さんが強いというだけではなく、弁護士という仕事も後押ししていたに違いない。
中学生になって絢斗さんの講義を見学させてもらって本格的に弁護士になりたいという気持ちが固まったけれど、そもそも俺が弁護士ってかっこいいなって思うようになったのはかっこいい伯父さんの話を聞いたのが始まりだろうと思っている。

直くんもあの伯父さんの写真を見て憧れてないか、ちょっと心配になる。
それくらい本当に伯父さんはかっこいいんだ。

じっくりとアルバムを見つめる直くんの隣にそっと腰を下ろした。

「直くん、楽しい?」

「はい。昇さんと同じ制服を着ているパパを見られて楽しいです」

「えっ?」

それって、伯父さんを通して俺を見ているってこと?

「この前あやちゃんのアルバムを見せてもらった時は僕も早く同じ制服着られたらいいなって思ってたんですけど、パパの写真を見たら昇さんと同じ制服着て写真に映っているからちょっとパパが羨ましくなっちゃいました。昇さんとお揃いでアルバムに映るのっていいですね」

「――っ!」

やばいっ、俺……めちゃくちゃ直くんに愛されてる……。
それがめちゃくちゃ実感できた。

「ねぇ、直くん。前にもちょっと提案したけどさ、明日……カール達と出かける時、制服で出かけないか?」

「えっ? 制服って、前に昇さんがプレゼントしてくれたあの学ランですか?」

「ああ、あの時はまだ直くんが外に出られるかわからない時期だったけど、今はもう大丈夫だろう? カールも制服着て直くんと出かけられたら楽しいと思うし、みんなで制服で出かけようよ」

「――っ!! はい!! 嬉しいです!!」

「じゃあ、俺……村山に明日の待ち合わせに制服でくるように連絡しとくよ」

俺はすぐにポケットからスマホを取り出し、メッセージを送っておいた。
すると、瞬く間に返信が来た。

<いいな、それ! カールも喜んでるよ! じゃあ、明日は制服デート楽しもうぜ!>

「よし!」

「昇さん、どうでした?」

「ああ、村山もカールもノリノリで賛成してくれたよ。明日は制服デートで決まりだな」

「わぁー! 嬉しい!!」

あの時は実現したらいいななんて思っていたけど、あれから随分と直くんを取り巻く環境も変わった。
今なら誰の目も気にせずにみんなで楽しめる。

じいちゃんたちもいてくれるし、可愛い直くんの制服姿が見られたら、それはそれでいいじいちゃんたち孝行になりそうだ。

「直くん、明日制服で出かけるのはじいちゃんと大おじさんには内緒な。明日見せて驚かそう! サプライズだよ」

「わぁ、サプライズ! はい、内緒にします!」

一花さんの結婚式で素敵なサプライズを受けてから、みんなが喜ぶサプライズが好きになった直くん。
明日はきっといい日になりそうだ。


――そろそろご飯だからおいで。

「わっ、おじいちゃまの声だ!」

突然蔵にじいちゃんの声が聞こえて驚いたけれど、そういえばリノベーションした時に向こうから呼び出せるようにしたんだった。すっかり忘れてたな。

「今の話、聞こえちゃったかな?」

「大丈夫、確か、こっちの声は聞こえていないはずだよ」

「そうなんですね、よかった」

サプライズの心配をしたんだろう。可愛いな。

「直くん、行こうか」

俺たちはサッとアルバムを片付けて蔵を出た。
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