ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

文字の大きさ
289 / 678

数ヶ月ぶりに

しおりを挟む
<side直純>

今日は昇さんたちも一緒に、カールと村山さんとお出かけ。
しかもおじいちゃまとおじいちゃんへのサプライズ付き。

なんだか楽しみでワクワクして早起きしてしまった。

「お揃いの、制服か……ふふっ、嬉しいなぁ」

想像するだけで楽しくて、つい声が漏れてしまった。

「それでこんなに早起きしたの?」

「わっ! えっ、あっごめんなさい。起こしちゃいましたか?」

「いや、気にしないでいいよ。俺も楽しみで目が覚めたんだ」

「昇さんも楽しみですか?」

「ああ。だって、直くんと制服デートができるんだよ。楽しみしかないよ」

布団の中でギュッと抱きしめてくれるのが嬉しい。

「ねぇ、直くん。せっかく早起きしたし、制服に着替えようか?」

「えっ、いいんですか?」

「ああ。その代わり、ご飯食べる時に汚さないようにな」

「はい!! じゃあ僕、顔を洗ってきます!!」

僕は嬉しくてベッドから急いで飛び降りた。

「気をつけて」

昇さんの言葉を背に「はーい」と返事をした僕は洗面所に向かった。

もうワクワクが止まらない。
ウキウキしながら顔を洗ってうがいをして出てくると、そこには制服が用意されていた。

実は昼間に時々羽織ったり鏡の前で当ててみたりしていた。
だけど着るのは昇さんがプレゼントしてくれた日以来だ。

「中は長袖のTシャツ用意しておいたからね」

昇さんはいつも中に白のワイシャツを着ているけれど、今日は学校じゃないしってことなんだろうな。
僕がその場でパジャマを脱ぐと、昇さんがじっとこっちをみているのがわかる。

「あれ? 昇さんは、着替えないんですか?」

「あ、ああ。着替えるよ。直くんの着替えるところが可愛いくてつい見惚れちゃったよ」

笑顔でそ言ってくれるのが嬉しい。
着替えるのが可愛いというのはあまりよくわからないけれど、でも確かに僕も昇さんの着替えならみたいと思ってしまうから同じかも。

僕が制服のズボンを履いている間に、昇さんはもう着替えを終わってしまっていた。
やっぱり毎日着ているから着替えるのも早いな。

「上着は手伝うよ。それとも後にする?」

「今、着たいです」

僕がいうと、すぐに上着をとって僕に着せてくれる。

「わぁー! やっぱりそっくり! 並んでみても同じですね」

「ああ、だから今日は四人でお揃い楽しもう!」

「はい!」

昇さんも村山さんも春には卒業しちゃうし、四人で制服着て出かけるなんて最初で最後だろうしな。

「じゃあ、二人で朝食の準備しようか」

昇さんに誘われて部屋を出ると、キッチンの方から音が聞こえる。

「あれ、もう伯父さんも起きてるみたいだな」

二人でリビングに入ると、

「おはよう。わぁ! いいね、お揃い!!」

とあやちゃんが笑顔で言ってくれた。

昇さんはそのままキッチンに行き、僕はあやちゃんとソファーに座った。

「今日はこれで出かけるの?」

「はい。カールとみんなで制服着てお出かけしてみたいって前に話をしていたのを昇さんが覚えててくれて……昨日、パパの制服見た時に提案してくれたんです」

「そうなんだ。いいね、楽しそう!! 制服で出かけるのって楽しいんだよね。私も、友達と学校帰りに制服で出かけたりしていたよ」

「お友達と二人で、ですか?」

「ううん。桜守はお迎えがないと帰れないから、ほとんどお父さんが迎えにきてくれてたんだ。だから出かける時も、お父さんも一緒に着いてきてくれたよ。だから直くんが桜守に行っても、卓さんとか昇くんとかおじいちゃんたちとか迎えにきてくれた人と一緒に出かけたらいいよ」

学校帰りに寄り道か……すごいな。今までそんなことしたことない。
それができるようになるんだ、楽しみだな。

「ねぇ、おじいちゃまも今日直くんたちが制服を着ること知ってるの?」

「実は内緒なんです。昇さんがサプライズにしようって」

「わぁー! それ絶対おもしろそう! 卓さんに頼んで動画とっておかなくちゃ! 後で二葉さんにも送っちゃおう」

僕以上に楽しそうなあやちゃんを見ていると、僕のワクワクもさらに増してくる。

美味しい朝食を食べて、とうとう家を出る時間。
僕は数ヶ月ぶりに制服を着て外に出た。
ようやく学生に戻れたような、でも今までのブレザーとは違うからなんとなく不思議な感情に包まれていた。

でも隣にお揃いの制服を着ている昇さんがいる。それだけで安心した。

「桜守の制服とはガラッとイメージが違うが、直くんが着ても似合うな。可愛いよ」

「パパ、嬉しいです」

優しいパパに褒められて、車で待ち合わせ場所の近くの駐車場に向かう。
もうおじいちゃんたちやカールたちも来ているのかな?

僕はワクワクしながら、昇さんやパパたちと一緒に待ち合わせ場所に歩き始めた。
しおりを挟む
感想 1,249

あなたにおすすめの小説

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

猫を追いかけて異世界に来たら、拾ってくれたのは優しい貴族様でした

水無瀬 蒼
BL
清石拓也はある日飼い猫の黒猫・ルナを追って古びた神社に紛れ込んだ。 そこで、御神木の根に足をひっかけて転んでしまう。 倒れる瞬間、大きな光に飲み込まれる。 そして目を覚ましたのは、遺跡の中だった。 体調の悪い拓也を助けてくれたのは貴族のレオニス・アーゼンハイツだった。 2026.1.5〜

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

処理中です...