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気になって仕方がない
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<side昇>
授業が始まってからもスマホに何の通知も入らないことが気になって仕方がなかった。
もちろん音が鳴るようにはしていない。
俺だけがわかるように微かな振動を伝えるように設定しているが、その反応すら感じなかった。
「なぁ、何かカールから連絡きたか?」
「いや、講義中なんだろう」
隣の席の村山に聞いてみるがあっちも連絡はないらしい。だがカールは理由がわかっているからそれほど心配はいらないだろう。心配なのは直くんだけだ。
じいちゃんも大おじさんもついててくれているから大丈夫だとは思うけれど、直くんが反応を返せないならじいちゃんたちから何か送られてきてもおかしくない。それなのに何もないのがかえって気になる。
どうしたんだろうな……。
「この問題を、誰にしようか……ちょっと難しいからな、磯山に解いてもらおうか。磯山ー!」
直くん、大丈夫かな……。
「おい、磯山! 当てられてるぞ!」
「えっ、あっ、はい!」
直くんのことで頭がいっぱいだったから、何も聞いてなかったな。
慌てて立ち上がると数学教師は黒板をチョークでトントンと叩いてみせた。
「受験ももう間近だぞ。ちゃんと聞いておけよ。ここ、解いて!」
「はい」
さっと立ち上がって黒板の前に立つ。
応用にちょっと引っ掛けを入れた意地悪問題だな。
だが、こんなのわからないはずがない。
なんて言ったって俺は桜城大学の首席を狙っているんだから。
問題を見ただけでチョークを走らせる。その手が一度も止まることなく解答まで導き出した。
その間、俺のチョークの音だけが響いていた。
「できました」
「あ、ああ。正解」
教室におおーっと声が響くが、そこまで驚かれることでもない。
そもそもこの教室にいる人間なら解けて当たり前だ。
「磯山、問題を解けたのは偉かったが、授業はちゃんと聞いておけよ」
「わかりました」
席についてとりあえず授業は聞き始めたが、その間もずっと何の反応のないスマホだけが気になっていた。
「磯山! 学食行こうぜ!」
「ああ、そうだな」
授業が終わってすぐにスマホを確認したが、やっぱり直くんからの反応はない。それどころか、既読にすらなっていない。一体どうしたんだろう?
「なんだよ、まだ気にしてるのか? 直くんってスマホに依存してないから数時間くらい見なくてもおかしくないだろう? それ以上に集中して何かやってるんじゃないのか?」
「あっ!」
そう言われてもしかしたら、父さんのマフラーでも編んでいるのかもしれないと思った。
早く送りたいって言ってたから今日中に終わらせようと躍起になって編んでいるのかもしれないな。
一人で編んでいたら心配だけど、じいちゃんたちがいるから見守ってくれているのなら安心だ。
「思い当たることがあるなら良かったよ。早くいこうぜ」
村山の言葉にホッとして学食に向かう。
カツサンドを食べたからそこまで空腹ではないけれど、午後の授業も受けることを考えれば食べない選択肢はない。
親子丼と味噌汁のセットを選んで村山と二人席に向かう。
広い席に座ると相席を持ちかけられてウザいから少々狭くてもこれが楽でいい。
「さっきの数学の問題、マジ引っ掛けがすぎるよな」
「でも引っ掛けってわかってるんだから簡単だったろう?」
「磯山にはそうかもしれないけど、あれは引っかかるやつも多いと思うぞ」
そんな話をしなから親子丼をかきこんでいると、待ち侘びていた微かな振動が伝わってくるのを感じた。
慌てて丼をテーブルに置き、上着の内ポケットからスマホを取り出してみると画面表示には直くんの名前と写真が出ていた。
「きた……っ」
思わず言葉が溢れると、村山は笑って俺を見た。
「お前にその顔させられるのは、直くんだけなんだろうな」
「その顔ってなんだよ」
「好きで好きでたまらないって顔だよ。お前自覚ないだろ?」
ニヤニヤとした顔で俺を見ていた村山だったが、村山にもスマホに通知が来たのか嬉しそうにスマホを取り出している。そのにやけた顔を見れば相手がカールだとすぐにわかる。
「お前も同じだろ」
「俺は自覚あるからいいんだよ」
お互いに箸を止めて、スマホをチェックする。
<昇さんが美味しく食べてくれて嬉しいです!!>
そんな可愛いメッセージと共に、ソファーに座る笑顔の直くんの自撮り写真が送られてきた。
「――っ、可愛い!」
ああ、もう最高だ。
でも今まで何をしていたのか気になってメッセージを返してみた。
<午前中何をやって過ごしてた?>
マフラーに集中しすぎて眠っていたとか、そんな答えが来るかもしれないな。
なんて思っているとすぐに返信が来た。
<あやちゃんが誘ってくれてカールと一緒に大学の講義を受けてました。すっごく楽しかったです>
「えっ??」
直くんが、大学の講義?
しかも楽しいって……。
法学部の講義だよな?
中学生の直くんが、楽しい?
これは後でしっかりと聞かないとな。
授業が始まってからもスマホに何の通知も入らないことが気になって仕方がなかった。
もちろん音が鳴るようにはしていない。
俺だけがわかるように微かな振動を伝えるように設定しているが、その反応すら感じなかった。
「なぁ、何かカールから連絡きたか?」
「いや、講義中なんだろう」
隣の席の村山に聞いてみるがあっちも連絡はないらしい。だがカールは理由がわかっているからそれほど心配はいらないだろう。心配なのは直くんだけだ。
じいちゃんも大おじさんもついててくれているから大丈夫だとは思うけれど、直くんが反応を返せないならじいちゃんたちから何か送られてきてもおかしくない。それなのに何もないのがかえって気になる。
どうしたんだろうな……。
「この問題を、誰にしようか……ちょっと難しいからな、磯山に解いてもらおうか。磯山ー!」
直くん、大丈夫かな……。
「おい、磯山! 当てられてるぞ!」
「えっ、あっ、はい!」
直くんのことで頭がいっぱいだったから、何も聞いてなかったな。
慌てて立ち上がると数学教師は黒板をチョークでトントンと叩いてみせた。
「受験ももう間近だぞ。ちゃんと聞いておけよ。ここ、解いて!」
「はい」
さっと立ち上がって黒板の前に立つ。
応用にちょっと引っ掛けを入れた意地悪問題だな。
だが、こんなのわからないはずがない。
なんて言ったって俺は桜城大学の首席を狙っているんだから。
問題を見ただけでチョークを走らせる。その手が一度も止まることなく解答まで導き出した。
その間、俺のチョークの音だけが響いていた。
「できました」
「あ、ああ。正解」
教室におおーっと声が響くが、そこまで驚かれることでもない。
そもそもこの教室にいる人間なら解けて当たり前だ。
「磯山、問題を解けたのは偉かったが、授業はちゃんと聞いておけよ」
「わかりました」
席についてとりあえず授業は聞き始めたが、その間もずっと何の反応のないスマホだけが気になっていた。
「磯山! 学食行こうぜ!」
「ああ、そうだな」
授業が終わってすぐにスマホを確認したが、やっぱり直くんからの反応はない。それどころか、既読にすらなっていない。一体どうしたんだろう?
「なんだよ、まだ気にしてるのか? 直くんってスマホに依存してないから数時間くらい見なくてもおかしくないだろう? それ以上に集中して何かやってるんじゃないのか?」
「あっ!」
そう言われてもしかしたら、父さんのマフラーでも編んでいるのかもしれないと思った。
早く送りたいって言ってたから今日中に終わらせようと躍起になって編んでいるのかもしれないな。
一人で編んでいたら心配だけど、じいちゃんたちがいるから見守ってくれているのなら安心だ。
「思い当たることがあるなら良かったよ。早くいこうぜ」
村山の言葉にホッとして学食に向かう。
カツサンドを食べたからそこまで空腹ではないけれど、午後の授業も受けることを考えれば食べない選択肢はない。
親子丼と味噌汁のセットを選んで村山と二人席に向かう。
広い席に座ると相席を持ちかけられてウザいから少々狭くてもこれが楽でいい。
「さっきの数学の問題、マジ引っ掛けがすぎるよな」
「でも引っ掛けってわかってるんだから簡単だったろう?」
「磯山にはそうかもしれないけど、あれは引っかかるやつも多いと思うぞ」
そんな話をしなから親子丼をかきこんでいると、待ち侘びていた微かな振動が伝わってくるのを感じた。
慌てて丼をテーブルに置き、上着の内ポケットからスマホを取り出してみると画面表示には直くんの名前と写真が出ていた。
「きた……っ」
思わず言葉が溢れると、村山は笑って俺を見た。
「お前にその顔させられるのは、直くんだけなんだろうな」
「その顔ってなんだよ」
「好きで好きでたまらないって顔だよ。お前自覚ないだろ?」
ニヤニヤとした顔で俺を見ていた村山だったが、村山にもスマホに通知が来たのか嬉しそうにスマホを取り出している。そのにやけた顔を見れば相手がカールだとすぐにわかる。
「お前も同じだろ」
「俺は自覚あるからいいんだよ」
お互いに箸を止めて、スマホをチェックする。
<昇さんが美味しく食べてくれて嬉しいです!!>
そんな可愛いメッセージと共に、ソファーに座る笑顔の直くんの自撮り写真が送られてきた。
「――っ、可愛い!」
ああ、もう最高だ。
でも今まで何をしていたのか気になってメッセージを返してみた。
<午前中何をやって過ごしてた?>
マフラーに集中しすぎて眠っていたとか、そんな答えが来るかもしれないな。
なんて思っているとすぐに返信が来た。
<あやちゃんが誘ってくれてカールと一緒に大学の講義を受けてました。すっごく楽しかったです>
「えっ??」
直くんが、大学の講義?
しかも楽しいって……。
法学部の講義だよな?
中学生の直くんが、楽しい?
これは後でしっかりと聞かないとな。
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