エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!

波木真帆

文字の大きさ
32 / 94

まさかのメッセージ

しおりを挟む
今日は急いで仕事を済ませて、時間になると同時に警視庁を出た。
部下たちは私のその様子に驚いているようだったが、新海だけは私のあとを追うように警視庁を出てきた。

「急いでいるようだな」

「はい。彼が心配なので……」

「そうか。早く帰って安心させてやるといい」

「はい。お疲れさまでした」

私の言葉にホッとしたようにさっと自分の車に乗り込む新海の姿に、自分をみているようでつい笑ってしまう。
私もきっと成瀬たちといればこんなふうにみられているかもしれない。

新海が出ていくのを見送って私も車に乗り込んだ。
私も早く久代さんを安心させたい。

すぐに家に帰りたいが、途中で食材を買って帰ろうかと考えていると、スマホが振動を伝えた。
まさか事件で呼び出しではないだろうな? と思ったが、プライベート用のスマホのようだ。

もしかしたら成瀬かもしれないと思いつつ、スマホを見ると画面表示には周平さんの名前があった。

「えっ?」

思わず声が出たのは、いつもならこんな時間にメッセージなど送ってこないからだ。

慌ててメッセージを確認すると

<久代くんはうちで預かっている。仕事が終わったらうちに寄ってくれ。詳細は会ったときに>

とだけ書かれた簡潔な文章がそこにあった。

「はっ?」

久代さんが、周平さんの家に?
どうしてそんなことに?
そもそも周平さんが自宅に招き入れるなんてあり得ない。
一体どうなっているんだ?

頭の中で途轍もない数の疑問符が浮かぶが、何をどれだけ考えても答えは一向にわからない。
ここで考えていても時間の無駄だ。

<すぐに向かいます>

それだけメッセージを送り、食材を買うのも忘れて自宅マンションに直行した。

駐車場に車を止め、一旦正面に回りコンシェルジュに周平さんの部屋に行きたい旨を伝えるとすぐに取り次いでくれた。
そしてエレベーターを案内され周平さんの部屋に向かう。

その間もずっと頭の中は久代さんのことでいっぱいだ。
周平さんの部屋の前に着き、チャイムを鳴らすとすぐに扉が開いた。

「久代さん!」

「ははっ。落ち着け、冬貴」

声を上げると目の目に現れたのは笑顔の周平さんの姿。

「えっ、あ、すみません。周平さん、あの……久代さんは?」

普段見慣れない周平さんの様子に一気に興奮が冷めた私が尋ねると、周平さんはさっと私を玄関に招き入れた。

「今、敬介と料理を作っているよ」

「えっ? 浅香さんと料理? どうしてそんなことに?」

「私も敬介も今日は休みでね、自宅でゆっくりしてたんだがふと冬貴の話題になったんだ。ほら、この前崇史くんの件で話をしたときに、冬貴が彼を自宅に住まわせると話をしていただろう? だから、今も久代さんが部屋に一人でいるんじゃないかって敬介が言い出してね、家に誘いに行ったんだよ」

「浅香さんが……」

「ああ、最初は警戒して扉を開けようとしなかったんだが、私たちが冬貴の友人だと告げたから開けてくれてね。顔を見た瞬間から、敬介は久代くんを気に入っていたよ。流石に冬貴のいない部屋に上がれないから、我が家に連れてきたというわけだ。仕事中に心配をかけてはいけないと思って、仕事が終わったであろう時間に連絡したんだが急がせたか?」

「あ、いえ。ちょうど自宅に帰ろうとしていたところでした」

「それならよかった。久代くん、敬介とすっかり仲良くなっているよ。敬介も私そっちのけで楽しく過ごしていたよ」

「すみません」

「いや、同じマンション住まいで仲良くできる友人ができるのは嬉しいことだよ。今も二人でキッチンにいるから案内しよう」

普段よりも随分と柔らかな雰囲気の周平さんに案内されて部屋の中に入ると、久代さんと浅香さんの楽しげな声がキッチンの方から聞こえてきた。

「久代さん……」

「あ、真壁さん。お帰りなさい」

「――っ、た、ただいま帰りました」

エプロン姿の可愛い久代さんにお帰りなさいと声をかけられて、まるで新婚さんのようだと思って照れてしまった。

「あの、勝手に部屋から出てすみません……私……」

「いえ。いいんですよ、久代さんが一人で部屋にいるよりは周平さんと浅香さんと一緒ならずっと安心できます」

「あの、今敬介さんと一緒に夕食を作ってて……真壁さんにも食べてほしいなって……」

「――っ!!!」

――真壁さんに、食べてほしい……

ほんのりと頬を染めながらそんなことを言われて、他の想像が膨らんでしまう。
あまりにも可愛い姿に茫然と見つめていると、すぐ隣にいた周平さんに背中を小突かれた。

その衝撃にハッと我にかえり

「久代さんの手料理、ぜひ食べさせてください!」

と告げると久代さんはホッとしたように笑っていた。
しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

すべてはあなたを守るため

高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

王太子殿下のやりなおし

3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。 とある時代のとある異世界。 そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。 公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。 王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。 そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。 王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。 王太子は喜び、舞い上がっていた。 これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる! 僕はやっと幸せを手に入れられるんだ! 「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」 あの男が現れるまでは。

処理中です...