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<無香性>の意味
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<Lube>
女性のように濡れない男同士のそれには欠かせない大事なもの。それがこんなにも大量に送られてくるなんて……。
今まで私には必要なかったから送らずにいたのだろうが、きっと早くから最愛と出会っていた成瀬や安慶名、それに氷室は常用しているものなのだろう。それらの経験を踏まえてのこの数なんだろうか?
一度の情事にどれほど使うのかはわからないが、倉橋くんの開発したものだ。
少量でもかなりの威力を発揮すると考えればこれはかなり持ちそうだが、これらを月に一度届けると書いてあった。
とすると、これらの量がひと月で使い果たすということになる。
そう考えると、これを使い切るほど愛し合うということなんだろうか?
確かに今はすぐに興奮してしまうし、昂りがおさまるのも時間がかかる。
きっと要さんと一つになってしまえば欲望を抑えられなくなる自信がある。
しかも足りなければ追加で送るとも書いてあった。それほどまでに最愛との情事は歯止めが効かないものなのかもしれない。
とりあえず寝室に運んでおくか。今はいつ必要になるかわからないからな。
箱の中から三本取り出し、寝室に向かおうとしてもう一度箱の中から二本取り出した。
念の為だ。
そう自分に言い聞かせて、ベッド脇に置いていた棚の中にその<Lube>のボトルを入れておいた。
ここなら手を伸ばせばいつでも取り出せる。
これを使うことを想像するだけで興奮するが、そろそろ要さんが出てくるかもしれない。
急いでリビングに戻り、倉橋くんから届いた箱を収納スペースに入れておいた。
ドキドキしながらソファーに座っていると脱衣所の扉が開く音が聞こえる。
きた!
そっと視線を向けると、タオルで髪を拭きながらこちらにやってくる要さんの姿が見える。
さっきのせいなのかそれともお風呂上がりだからかはわからないが昨夜より火照った顔をしていてドキドキする。
「あ、あのお風呂……いただきました」
昨夜と同じセリフだが今日は声に少し艶を感じた。きっと私を意識してくれている。
それがたまらなく嬉しかった。
「要さん、髪を乾かしましょう。こちらにどうぞ」
「は、はい」
素直にこちらにきてくれた要さんにラグに座ってもらい、髪に触れるとふわっと私と同じ匂いが漂ってくる。
同じシャンプーを使っているのだから当然なのだが、自分と同じ匂いを纏っていると思うと興奮する。
あれ? そういえば、要さん用のシャンプーとボディーソープには<無香性>と書かれていたな。
私が今まで倉橋くんから都合をつけてもらっていたそれらにはうっすらだったが花の香りがついていたはずだ。
敏感肌用にはその香りをつけることができなかったのか?
いや、倉橋くんが作るものだ。できないわけがない。
ならばどうしてわざわざ香りを外したんだろう?
同じ匂いを纏っているとこんなにも興奮するというのに。
不思議な違和感を感じつつ髪を乾かしていると、要さんが私の胸にもたれかかってきた。
ドライヤーのスイッチを切って顔を覗き込んでみると、うつらうつらしているのが見える。
「要さん、寝室に行きましょうか?」
「あ、すみません。冬貴さんに髪を触れられていると安心して眠くなってしまって……あの、まだ寝なくても大丈夫です。冬貴さんもお風呂に入ってきてください」
私に髪を触れられて安心して眠くなるなんて……そんなにまで心を開いてくれているのが嬉しい。
「それじゃあすぐに入ってきますね。あ、ちょっと待っててください」
私は急いでキッチンに向かい、テーブルに置いていたレモン水を持ってきた。
「これ、水分補給に飲んでいてください」
いつもより長風呂にさせてしまったからな。
要さんが嬉しそうにグラスに手を伸ばすのをみて、私は脱衣所に向かった。
浴室につながる扉を見ただけで一気にさっきの光景が甦り、昂ってきているのがわかる。
本当に自分の欲望が抑えられない。
あの量の<Lube>を使うのも無理もないのかもしれない。
急いで裸になり、浴室に入ると興奮をそそる匂いに包まれる。
この匂い……シャンプーじゃない。
それじゃあなんだ? この興奮する匂いは。
「――っ!!!」
もしかしたら……要さんの、匂いか?
その考えに至った瞬間、私の頭の中であの<無香性>の意味がわかった気がした。
そうか……そうだったんだ。
だから倉橋くんは<無香性>にわざと変えたんだ。
最愛の人の匂いを邪魔されないように。
同じ匂いを纏うよりも、最愛の人の匂いに包まれるように。
なるほどな……。それは大正解だ。
なんせ、私の昂りは要さんの匂いでとてつもなく興奮しているのだから。
私はシャワーの音でかき消すように昂りを扱き、欲望の蜜を弾けさせた。
一度ではおさまるはずもなく、結局三度も蜜を弾けさせた。
自分の身体を清めようとして、ふと思い立った。
私の身体を清めるのも要さんと同じ<無香性>のものを使ってみたら、私の匂いに要さんが興奮してくれるんじゃないか?
そんな考えがむくむくと湧き上がってきて、私は<無香性>のボディーソープを手に取った。
女性のように濡れない男同士のそれには欠かせない大事なもの。それがこんなにも大量に送られてくるなんて……。
今まで私には必要なかったから送らずにいたのだろうが、きっと早くから最愛と出会っていた成瀬や安慶名、それに氷室は常用しているものなのだろう。それらの経験を踏まえてのこの数なんだろうか?
一度の情事にどれほど使うのかはわからないが、倉橋くんの開発したものだ。
少量でもかなりの威力を発揮すると考えればこれはかなり持ちそうだが、これらを月に一度届けると書いてあった。
とすると、これらの量がひと月で使い果たすということになる。
そう考えると、これを使い切るほど愛し合うということなんだろうか?
確かに今はすぐに興奮してしまうし、昂りがおさまるのも時間がかかる。
きっと要さんと一つになってしまえば欲望を抑えられなくなる自信がある。
しかも足りなければ追加で送るとも書いてあった。それほどまでに最愛との情事は歯止めが効かないものなのかもしれない。
とりあえず寝室に運んでおくか。今はいつ必要になるかわからないからな。
箱の中から三本取り出し、寝室に向かおうとしてもう一度箱の中から二本取り出した。
念の為だ。
そう自分に言い聞かせて、ベッド脇に置いていた棚の中にその<Lube>のボトルを入れておいた。
ここなら手を伸ばせばいつでも取り出せる。
これを使うことを想像するだけで興奮するが、そろそろ要さんが出てくるかもしれない。
急いでリビングに戻り、倉橋くんから届いた箱を収納スペースに入れておいた。
ドキドキしながらソファーに座っていると脱衣所の扉が開く音が聞こえる。
きた!
そっと視線を向けると、タオルで髪を拭きながらこちらにやってくる要さんの姿が見える。
さっきのせいなのかそれともお風呂上がりだからかはわからないが昨夜より火照った顔をしていてドキドキする。
「あ、あのお風呂……いただきました」
昨夜と同じセリフだが今日は声に少し艶を感じた。きっと私を意識してくれている。
それがたまらなく嬉しかった。
「要さん、髪を乾かしましょう。こちらにどうぞ」
「は、はい」
素直にこちらにきてくれた要さんにラグに座ってもらい、髪に触れるとふわっと私と同じ匂いが漂ってくる。
同じシャンプーを使っているのだから当然なのだが、自分と同じ匂いを纏っていると思うと興奮する。
あれ? そういえば、要さん用のシャンプーとボディーソープには<無香性>と書かれていたな。
私が今まで倉橋くんから都合をつけてもらっていたそれらにはうっすらだったが花の香りがついていたはずだ。
敏感肌用にはその香りをつけることができなかったのか?
いや、倉橋くんが作るものだ。できないわけがない。
ならばどうしてわざわざ香りを外したんだろう?
同じ匂いを纏っているとこんなにも興奮するというのに。
不思議な違和感を感じつつ髪を乾かしていると、要さんが私の胸にもたれかかってきた。
ドライヤーのスイッチを切って顔を覗き込んでみると、うつらうつらしているのが見える。
「要さん、寝室に行きましょうか?」
「あ、すみません。冬貴さんに髪を触れられていると安心して眠くなってしまって……あの、まだ寝なくても大丈夫です。冬貴さんもお風呂に入ってきてください」
私に髪を触れられて安心して眠くなるなんて……そんなにまで心を開いてくれているのが嬉しい。
「それじゃあすぐに入ってきますね。あ、ちょっと待っててください」
私は急いでキッチンに向かい、テーブルに置いていたレモン水を持ってきた。
「これ、水分補給に飲んでいてください」
いつもより長風呂にさせてしまったからな。
要さんが嬉しそうにグラスに手を伸ばすのをみて、私は脱衣所に向かった。
浴室につながる扉を見ただけで一気にさっきの光景が甦り、昂ってきているのがわかる。
本当に自分の欲望が抑えられない。
あの量の<Lube>を使うのも無理もないのかもしれない。
急いで裸になり、浴室に入ると興奮をそそる匂いに包まれる。
この匂い……シャンプーじゃない。
それじゃあなんだ? この興奮する匂いは。
「――っ!!!」
もしかしたら……要さんの、匂いか?
その考えに至った瞬間、私の頭の中であの<無香性>の意味がわかった気がした。
そうか……そうだったんだ。
だから倉橋くんは<無香性>にわざと変えたんだ。
最愛の人の匂いを邪魔されないように。
同じ匂いを纏うよりも、最愛の人の匂いに包まれるように。
なるほどな……。それは大正解だ。
なんせ、私の昂りは要さんの匂いでとてつもなく興奮しているのだから。
私はシャワーの音でかき消すように昂りを扱き、欲望の蜜を弾けさせた。
一度ではおさまるはずもなく、結局三度も蜜を弾けさせた。
自分の身体を清めようとして、ふと思い立った。
私の身体を清めるのも要さんと同じ<無香性>のものを使ってみたら、私の匂いに要さんが興奮してくれるんじゃないか?
そんな考えがむくむくと湧き上がってきて、私は<無香性>のボディーソープを手に取った。
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