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宝の地図で借金返すって本気か!?

12話

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朝が来た。この町に来てからまだ三日目なのだが、色々なことがあったように思う。
そして、とうとう今日はダンジョンに入る日だ。

最初に地図を見せたときの酒場の受付嬢の反応がどうにも気になるが、この町の一般の方は特に知らないらしい。

「さぁて、じゃあ準備もできた事だしダンジョンに行くか!」
朝食を食べながら、リリーが高らかに宣言する。
「そうね、借金生活から抜け出さないといけないものね。これで私も大金持ちよ!」
完全な捕らぬ狸の皮算用になっているミシェル。

因みにガブはまだ寝ている。ほんと堕天使化が加速していくな。初めは朝御飯の用意をするとか頑張っていたのに。

「俺が起こしてくる。」
そういって、俺は宿の1階の食事処から2階に上がっていった。

部屋を覗くとガブはまだ寝ている。
「ほら、起きろガブ。宝探しに行くんだろ?」
「そうでしたね、それではあと5分だけ。」
今起きろよ。俺はガブの布団を剥がして枕を顔に投げつけてきた。
「ミツルさん、いつからそんな乱暴になったんですか…。」
誰のせいだと思っているんだ。俺はそんなガブを無視して下の階に戻ろうとする。

「ミツルさん。宝も大切ですけど、何もなくても皆が楽しければ私はそれで良いんです。なので、なにか気負ったりしないで下さいね。」
そんなことを背中に語りかけてくる。

そうか、宝が見つからなかったら俺がまた立ち直れなくなることを怖がってるのか。俺は宝じゃないと思っているから大丈夫なんだがな。

俺はありがとうと告げるとそのまま下の階に降りた。
「なぁ、ガブを起こしてきたんじゃないのか?」
リリーが聞く。俺が下に降りてから数分が経っていた。まさか。

俺が部屋を確認すると、ガブは布団に戻っていた。俺はガブの襟を掴んでそのまま引き摺って連れていくことにした。
「ミツルさん!すみません!起きます!自分であるきますから!階段はやめて!いたたたたたたた!」
天使の悲鳴が宿に響いた。


「酷すぎますよ。ミツルさん、私は物じゃないんですよ?」
「お前が悪い。」
「ミツルもガブには無茶苦茶やるのなぁ。」
「あら、リリーは嫉妬してるのかしら?今度ミツルに引き摺ってもらったらいかが?」
「やかましいな、行き遅れアラサーめ。調子に乗りやがって!」
「行き遅れてないわ!まだ適齢期よ、生意気ね!」
はい。朝からリリーとミシェルがぎゃあぎゃあやる。いつも通りだな。

俺たちは身支度を済ませると宝の地図と必要なものを持ってダンジョンへ向かった。町からそれほど離れたところにあるわけではないようなので移動は簡単だ。


宝の地図の示す辺りまで来た。来たのだが。
「何もなくないか?まぁ、うすうすここ最近の狩りで思ってたんだが。」
そう、ここら辺はここ二日狩りをしていた場所からそう遠くない。もしダンジョンがあるなら気づくはずなのだ。

「ま、まさか。嘘の地図だったのかしら。でもそしたらギルドの人が嘘をついていることになるわよ…?」
まぁ、嘘をついてはいるのだろうけど、支援金を出しておいて何もないというのはおかしいな。

俺たち3人が宝の地図を見ながらうろたえていると、ガブが至るところをうろうろしては地面を踏みつけ始めた。

あぁ、とうとう…。俺は呆れながら尋ねる。
「どうしたガブ。とうとう頭の悪さが行くところまで行ったのか?」
「失礼ですね!てか普通はこうしますよ!」
なるほど、とうとう普通もろくにわからなくなってしまった…ん?そうか。そういうことか。

「なるほど、考えずに行動にすぐ移す辺り、頭は悪いが間違ってないな。」
「なんで、一々馬鹿にしないと行動できないんですか?そろそろ本当に怒りますよ?地面に入り口が隠されているんじゃないかなぁって思っ…ん?あ!?」

ガブが話しながら地面を踏みつけているとそこだけ音がおかしい。金属音?のようなものがした。

俺たちは慌ててガブの踏みつけている辺りへ駆け寄って、よく観察する。何か、持ち上げられそうな蓋になっていた。

俺たちはその蓋をこじ開ける。すると、そこには地下へと続く階段があった。これだ、これに違いない
「褒めてください!私のお陰です!褒めてください
!」

はいはい。皆は適当に褒めると続々と地下へと潜っていった。なんか、皆ガブへの扱いが俺と同じ感じになってないか?
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