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第二章 伝言
謎解き
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謎という言葉から、昔、彼とテーマパークで謎解きをしたことを想い出した。子供相手の簡単な遊びなのに、いっちゃんはいつも問題を深読みするから宝の場所をよく間違えた。間違えるとこれは問題が悪いよと言い訳し、僕ならこう出題するとむきになっていたのが、少し可愛く思えた。
そのときのテーマパークでの謎解きは、朝からスタートしてお昼には終わるはずの予定が夕方まで時間がかかった。事前に行きたいアトラクションには行けなかったけれど、彼と一緒に過ごす時間は本当に楽しかった。これからの彼との人生も、こんな風に目の前にある問題を一緒に解きながら過ごしていくんだろうなと思うと、幸せな気分になった。その日、閉園間際に駆け込んで貰った謎解きの達成記念のポストカードは、今も大事にとってある。
プロポーズのとき、彼は言ってくれた。
「君の見たことのない景色を、僕は一生見せることができるよ。」と。
私の見たことのない景色。どんな世界だったのだろう。彼が一生をかけて私に見せたかった景色が見てみたい。
便箋に書かれた文字を見つめて思った。きっと、これは彼が私に与えた謎解きだ。この貸金庫には、私が見たことのないものが隠されている気がした。ただ、彼がかけた謎は難しそうだから、時間がかかるのだろう。でも一生を賭けてでも彼が与えた謎解きを解いてみたい、詩はそう思った。
空っぽだった身体に何かが充電されてきた。正面にある漆黒のテレビ画面に反射する小さな二つのリングの組み合わせのネックレスが、朝の光に照らされてかすかに光った気がした。
キッチンのコンロに置いている赤いケトルでお湯を沸かす。ヨーロッパ風の可愛いデザインを気に入って買ったケトルだ。詩は、ティーサーバに紅茶のティーバッグを入れて、ヨーグルトを冷蔵庫から取り出した。花粉症に効くという話を聞いて以来、日課のように食べているヨーグルトだ。お気に入りの銀色のスプーンと一緒に、お湯を注いだティーサーバをリビングのテーブルに置く。謎解きを始める前に、少し落ち着いた時間が欲しかった。
いっちゃんは、大学時代に転入生として入ってきた。以前の大学で何をしていたのかという話しは詳しく聞いたことがなかったが、留学もしていたようで、彼は私よりも一つ年上だった。
その彼と同じ授業を受けたとき、初めて彼の声を聞いた。どこか落ち着く声だった。年上ということもあってか、他の同級生と比較しても明らかに頭の良い人だと感じた。グループ討論がある授業では、議論の取り纏め役として活躍し、同じグループに彼がいるととても頼もしかった。疑問に思う点も共通していて、二人の意見が一致することが多く、自然と私と彼は仲良くなっていった。
その大学の授業では、講義資料などを共有化するために、大学が指定するネット上のドライブにアクセスすることがよくあった。そのとき、大学側が自己の学生であることを認証するために、大学から貰ったメールアドレスをアカウントとして利用することが義務付けられていた。なので、大学時代、いっちゃんとグループワークを行う際には、その大学のメールアドレスをアカウントに使ってネット上でよくやりとりをした。
そのときの経験から、便箋に記載されていた長いurl.は、ネットのプロバイダーが提供しているドライブの場所を示すものではないかと思った。個人でもスマホで撮影した写真や動画などのデータが多くなったときに使用することがあり、仲の良い友達と写真を共有化することもできる。一般的にクラウドサービスと呼ばれるものだ。
そのときのテーマパークでの謎解きは、朝からスタートしてお昼には終わるはずの予定が夕方まで時間がかかった。事前に行きたいアトラクションには行けなかったけれど、彼と一緒に過ごす時間は本当に楽しかった。これからの彼との人生も、こんな風に目の前にある問題を一緒に解きながら過ごしていくんだろうなと思うと、幸せな気分になった。その日、閉園間際に駆け込んで貰った謎解きの達成記念のポストカードは、今も大事にとってある。
プロポーズのとき、彼は言ってくれた。
「君の見たことのない景色を、僕は一生見せることができるよ。」と。
私の見たことのない景色。どんな世界だったのだろう。彼が一生をかけて私に見せたかった景色が見てみたい。
便箋に書かれた文字を見つめて思った。きっと、これは彼が私に与えた謎解きだ。この貸金庫には、私が見たことのないものが隠されている気がした。ただ、彼がかけた謎は難しそうだから、時間がかかるのだろう。でも一生を賭けてでも彼が与えた謎解きを解いてみたい、詩はそう思った。
空っぽだった身体に何かが充電されてきた。正面にある漆黒のテレビ画面に反射する小さな二つのリングの組み合わせのネックレスが、朝の光に照らされてかすかに光った気がした。
キッチンのコンロに置いている赤いケトルでお湯を沸かす。ヨーロッパ風の可愛いデザインを気に入って買ったケトルだ。詩は、ティーサーバに紅茶のティーバッグを入れて、ヨーグルトを冷蔵庫から取り出した。花粉症に効くという話を聞いて以来、日課のように食べているヨーグルトだ。お気に入りの銀色のスプーンと一緒に、お湯を注いだティーサーバをリビングのテーブルに置く。謎解きを始める前に、少し落ち着いた時間が欲しかった。
いっちゃんは、大学時代に転入生として入ってきた。以前の大学で何をしていたのかという話しは詳しく聞いたことがなかったが、留学もしていたようで、彼は私よりも一つ年上だった。
その彼と同じ授業を受けたとき、初めて彼の声を聞いた。どこか落ち着く声だった。年上ということもあってか、他の同級生と比較しても明らかに頭の良い人だと感じた。グループ討論がある授業では、議論の取り纏め役として活躍し、同じグループに彼がいるととても頼もしかった。疑問に思う点も共通していて、二人の意見が一致することが多く、自然と私と彼は仲良くなっていった。
その大学の授業では、講義資料などを共有化するために、大学が指定するネット上のドライブにアクセスすることがよくあった。そのとき、大学側が自己の学生であることを認証するために、大学から貰ったメールアドレスをアカウントとして利用することが義務付けられていた。なので、大学時代、いっちゃんとグループワークを行う際には、その大学のメールアドレスをアカウントに使ってネット上でよくやりとりをした。
そのときの経験から、便箋に記載されていた長いurl.は、ネットのプロバイダーが提供しているドライブの場所を示すものではないかと思った。個人でもスマホで撮影した写真や動画などのデータが多くなったときに使用することがあり、仲の良い友達と写真を共有化することもできる。一般的にクラウドサービスと呼ばれるものだ。
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