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第二章 伝言
ベテルギウス
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翌日、休職中の連絡先に設定しているスマホに、会社の人事の人からメールが入った。今後のことを相談したいとの短いメッセージだった。きっと、休職を延長するのか、職場に復帰するのかだという話だと思った。会社を休んでからもう3か月以上になる。もしかすると、これ以上の休職は難しいのかも知れない。いずれにしろ、相談のための会合を持ちたいので、都合のつく日を教えてくださいとのことだった。
昨日から謎解きという彼の存在を意識する目的が出来たせいだろうか、まだ十分とはいえないが、心なしか今日は生活に張りがある。この調子なら会社に行けるかもしれない。今度、心療内科の先生に相談してみよう。会社の人事の人には、私を気遣って頂いていることへの御礼と、診療内科の受診日の後の日程をいくつか返信しておいた。
会社に行くことを考えると、世間のことが気になった。長らくリビングの飾りだけの存在になっていたテレビを点けてみた。壁側に置いてあるソファーに寝転がってリモコンボタンでチャンネルを適当に地上局に合わせてみた。平日の日中の時間帯は芸能ニュースが多く、私があまりよく知らない芸能人がスキャンダルを起こしたとか、どうでもよいニュースを流している。
チャンネルを変えていくと、あるニュース番組の画面の右上に表示された「今夜、水瓶座流星群が接近」というテロップが目に止まった。ニュースキャスターの人が天体の動きをあれこれ説明しているが、その声はあまり耳に入らなかった。
水瓶座はいっちゃんの星座だ。このとき、久しぶりに彼が教えてくれた水瓶座の神話を想い出した。天界の神ゼウスが、地上にいる美少年をゼウスが気に入って天に連れていってしまう話だ。
神話では、急に黒鷲が表れて、地上にいる美少年を天に連れ去ってしまう。当然ながら、両親は連れ去られた息子のことを嘆いて悲しみに暮れた。ゼウスはそのお詫びに美少年の姿を水瓶座にして両親を慰めたという話だ。連れ去られた家族の方からすると、何とも身勝手なお話しだ。
いっちゃんが言うには、黒鷲は地上世界の情報収集の役目を持っていたから、この神話はゼウスが世の中の知恵を集めていたというお話しらしい。つまりその美少年は知恵の象徴で、水瓶座はその知性を意味する星座なんだよと彼は話してくれた。
水瓶座のいっちゃんがその話をしたので、知的で賢い性格を自慢したかったのだろうなと思った。当時は、こういう星座の話しは、星占いによる性格診断程度にしか思わなかったが、今はいっちゃんを連れ去ったゼウスが大嫌いになった。神様は身勝手だ。美少年を連れ去られた両親の気持ちが痛いほどわかる。
そのときだった、ふと、オリオン座の話しを想い出した。埠頭に停めた車の中のサンルーフ越しに煌めくオリオン座を見上げて、彼が言った言葉を想い出した。
「僕はリゲル、君はベテルギウス…」
頭の中で、久しぶりに彼の懐かしい声が響いた。
そうだ、私はベテルギウスだった!どうして、今まで思いつかなかったのだろう!
昨日から謎解きという彼の存在を意識する目的が出来たせいだろうか、まだ十分とはいえないが、心なしか今日は生活に張りがある。この調子なら会社に行けるかもしれない。今度、心療内科の先生に相談してみよう。会社の人事の人には、私を気遣って頂いていることへの御礼と、診療内科の受診日の後の日程をいくつか返信しておいた。
会社に行くことを考えると、世間のことが気になった。長らくリビングの飾りだけの存在になっていたテレビを点けてみた。壁側に置いてあるソファーに寝転がってリモコンボタンでチャンネルを適当に地上局に合わせてみた。平日の日中の時間帯は芸能ニュースが多く、私があまりよく知らない芸能人がスキャンダルを起こしたとか、どうでもよいニュースを流している。
チャンネルを変えていくと、あるニュース番組の画面の右上に表示された「今夜、水瓶座流星群が接近」というテロップが目に止まった。ニュースキャスターの人が天体の動きをあれこれ説明しているが、その声はあまり耳に入らなかった。
水瓶座はいっちゃんの星座だ。このとき、久しぶりに彼が教えてくれた水瓶座の神話を想い出した。天界の神ゼウスが、地上にいる美少年をゼウスが気に入って天に連れていってしまう話だ。
神話では、急に黒鷲が表れて、地上にいる美少年を天に連れ去ってしまう。当然ながら、両親は連れ去られた息子のことを嘆いて悲しみに暮れた。ゼウスはそのお詫びに美少年の姿を水瓶座にして両親を慰めたという話だ。連れ去られた家族の方からすると、何とも身勝手なお話しだ。
いっちゃんが言うには、黒鷲は地上世界の情報収集の役目を持っていたから、この神話はゼウスが世の中の知恵を集めていたというお話しらしい。つまりその美少年は知恵の象徴で、水瓶座はその知性を意味する星座なんだよと彼は話してくれた。
水瓶座のいっちゃんがその話をしたので、知的で賢い性格を自慢したかったのだろうなと思った。当時は、こういう星座の話しは、星占いによる性格診断程度にしか思わなかったが、今はいっちゃんを連れ去ったゼウスが大嫌いになった。神様は身勝手だ。美少年を連れ去られた両親の気持ちが痛いほどわかる。
そのときだった、ふと、オリオン座の話しを想い出した。埠頭に停めた車の中のサンルーフ越しに煌めくオリオン座を見上げて、彼が言った言葉を想い出した。
「僕はリゲル、君はベテルギウス…」
頭の中で、久しぶりに彼の懐かしい声が響いた。
そうだ、私はベテルギウスだった!どうして、今まで思いつかなかったのだろう!
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