Pomegranate I

Uta Katagi

文字の大きさ
121 / 151
第四章 真理

相対性理論

しおりを挟む
 相対性理論では、このことを科学で説明するために、光の速さに近い速度で移動するロケットの中の時間は、地上から見るとスローモーションのようになると説明していた。時間の進み方が遅れると考えると、ロケットは光の速さを超えず、全てが上手く説明できるというのだ。後日、この理論は飛行機に乗せた時計が遅れることで、実証されているらしい。

 やっぱりわかったようで、わからない。どういう頭をしていたら、こんなことを思いつくのだろう。だから天才なんだと感服する。最近、AIが発達して人間のすることはなくなると言うが、こんな理論を思いつく人間はやはり凄いなと詩は思った。インスピレーションとかひらめきとか、メロディが降りてくるとか人間の能力はどこか神秘的だ。

 ここまでレポートを読み解いたが、例えロケットに乗ったとしても未来には行けるが過去には戻れないということが分かった。相対性理論でもそういうことは出来ないらしい。とすると、やはり過去は変えることはできない。最先端の科学技術を知ったとしても、いっちゃんが亡くなった事実は変わることがない。確かにそんなことが出来るなら、歴史が変わるし、世の中は大騒ぎになるだろう。納得は出来るが、少し悲しくなった。どうしたら彼に会えるのだろう。

 レポートは、重力と空間の関係も説明していた。四行詩にあった時空の存在のことを説明しているのだろうか。重力とは、物が空間を歪ませるときに発生するらしい。柔らかいスポンジの上に重たい物を置くと、その物が置かれた部分のスポンジがへこむ。そうするとそのへこんだ部分に周囲の物がすべり落ちる。周囲の物にとっては、重たい物に引っ張られる力が働いたように見える。それが重力なのだという。

 ニュートンが、りんごが落ちるのを観察して発見した万有引力というのは、重たい地球が空間をへこませて発生している重力のことだという。こういうことも初めて知ったが、このテーブルや洗濯機も物なので重力を発生させているらしい。でも、とても小さい力なので日常生活では無視できるから考えなくてもよいらしい。その意味では、私も重力を発生させているのだと思うとなんだか不思議な気がした。世の中には、確かに知らないことがたくさんある。いっちゃんはこうして、この世界の全ての知識を探求してここに集めたのかなと思う。

 私が重力を発生させるのなら、今私が欲しいのはいっちゃんを引き寄せる重力だ。そのヒントを求めて、更にレポートを読み進んだ。続きは、やはり宇宙の話しだった。地球の周りを月が回っているのは、地球の重みでへこんだ空間に月が捕まっているからだという。太陽の周りを地球が回っているのも、太陽の重みでへこんだ空間に地球が捕まっているからだという。

 何故、月や地球が回っているのかというと、止まっていると地球や太陽の重みで出来た凹みに落ちてしまうからだという。だから、月は地球の周りを、地球は太陽の周りを落ちない速さで回っているのだという。その速さは星からの距離に依存していて、地球より太陽に近い水星は88日で太陽の周りを1周する速さになるので水星の1年は88日で、地球より太陽から遠い火星の1年は687日もかかるらしい。1年が365日という常識は地球だけで、他の惑星では通用しないとのことだった。

 実は太陽系が出来たとき、いろんな惑星の候補があったが、丁度良い速度に至らないものはみんな重力に負けて他の星の重さで出来た凹みに落ちてしまって、結果として今存在している惑星や衛星が残っているということだった。こんなことを考えると、自分が住んでいる地球って天文学的に低い確率で生まれた星であることを、あらためて認識させられた。このレポートを読んでいると、この星でこうして暮らしているって、それだけで奇跡なんだなと詩は思った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

替え玉の私に、その愛を注がないで…。~義姉の代わりに嫁いだ辺境伯へ、身を引くはずが……持ちかけられたのは溺愛契約。

翠月 瑠々奈
恋愛
ベルン皇国の辺境伯ソラティスが求めたのは、麗しき皇都の子爵令嬢レイアだった。 しかし、彼の元へ届けられたのは、身代わりに仕立て上げられた妹のラシーヌ。 容姿も性格も全く違う姉妹。 ​拒絶を覚悟したラシーヌだったが、ソラティスは緋色の瞳を向けて一つの「契約」を持ち掛けた。 その契約とは──? ソラティスの結婚の理由、街を守る加護の力。そして、芽生える一つの恋。それに怯える拙い拒み。 ※一部加筆修正済みです。

【完結】曖昧な距離で愛している

山田森湖
恋愛
結婚4年目のアラサー夫婦、拓海と美咲。仲は悪くないが、ときめきは薄れ、日常は「作業」になっていた。夫には可愛い後輩が現れ、妻は昔の恋人と再会する。揺れる心、すれ違う想い。「恋人に戻りたい」――そう願った二人が辿り着いた答えは、意外なものだった。曖昧で、程よい距離。それが、私たちの愛の形。

薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される

あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた…… けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。 目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。 「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」 茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。 執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。 一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。 「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」 正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。 平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。 最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。

「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました

唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」 不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。 どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。 私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。 「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。 身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。

白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは

紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。 真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。 婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。 白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

Blue Moon 〜小さな夜の奇跡〜

葉月 まい
恋愛
ーー私はあの夜、一生分の恋をしたーー あなたとの思い出さえあれば、この先も生きていける。 見ると幸せになれるという 珍しい月 ブルームーン。 月の光に照らされた、たったひと晩の それは奇跡みたいな恋だった。 ‧₊˚✧ 登場人物 ✩˚。⋆ 藤原 小夜(23歳) …楽器店勤務、夜はバーのピアニスト 来栖 想(26歳) …新進気鋭のシンガーソングライター 想のファンにケガをさせられた小夜は、 責任を感じた想にバーでのピアノ演奏の代役を頼む。 それは数年に一度の、ブルームーンの夜だった。 ひと晩だけの思い出のはずだったが……

処理中です...