161 / 176
第四章 真理
ルーブル美術館
その想いはルーブル美術館に到着したときに、より強くなった。美術館の入口がガラスのピラミッドのデザインになっていた。灰色の石の床材が敷かれた地上から格子上の骨組みが透けて見える。そう、見た目もお洒落なガラスのピラミッドのデザインだ。「MUSEE DU LOUVRE」の表示が、ここが美術館の入り口だということを示している。
やはり、フランスはエジプト文化の影響を強く受けていることがわかる。オベリスクの頂上のピラミディオンも文字通りそうだが、ピラミッドにも四つの面がある。茶室の図書館の本で、ピラミッドのそれぞれの面は正確に東西南北に向いていると知った。もしかして、ピラミッドの各面が真理の書に記載された四つの面なのではないだろうかと、詩は思った。
『僕はリゲル、君はベテルギウス…』
いっちゃんの言葉が頭に浮かんできた。茶室の中の図書館の蔵書で、有名なギザの三大ピラミッドはオリオン座の三ツ星のレイアウトで建設されていることを知った。エジプトでオリオン座は大事な星座だ。
そんなことを考えていると、パリの街が星空に思えてきた。今朝、エトワール凱旋門からルーブル美術館へ歩いてきた。星でいうと、ベテルギウスからオリオン座の三ツ星へ来たことになる。だとすると、次はリゲルに辿り着くしかない。
いっちゃんが私に遺したメッセージ、茶室の中の図書館の蔵書、そして真理の書の内容が、一直線にレイアウトされた歴史の軸のように、詩の心の中で繋がってきた。そんな星空を旅しているような感慨に浸っていると、菜美ちゃんが声をかけてきた。
「詩ちゃん、チケットは予約しているから中に入ろう!」
「うん、ありがとう。」
一階のガラスのピラミッドの入り口から、菜美ちゃんと生まれて初めてルーブル美術館の中に入った。チケットを持ってセキュリティゲートを抜けると、内部は物凄く広いことがわかった。館内にはとても一日では鑑賞できない量の収蔵品が展示されていた。
芸術鑑賞にぴったりなお嬢様風のブラウスが似合っている菜美ちゃんと、絵画のコーナに行った。ここは有名な絵でいっぱいで、菜美ちゃんはこれまで以上に大興奮だった。
「詩ちゃん、見て!モナリザよ!」
「詩ちゃん、民衆を導く自由の女神よ!」
菜美ちゃんが次々と著名な絵画を見つけて案内してくれる。おかげで、入り口で入手したフロアマップを使うことはあまりなかった。
確かに学校の教科書で見る画像よりも、実物はどれも迫力がある。精巧なレプリカも観たことがあるが、やはりオリジナルに勝るものはない。詩も名画を鑑賞し、存分に芸術に浸った。やはり、後世にずっと長く残るものは凄い。神話と同じだ。
絵画コーナを一回りした後、菜美ちゃんが私の観たい場所に案内してくれた。エジプト、ギリシャの展示物があるコーナだ。内部にはエジプトやギリシャの彫像がたくさん展示されていた。ミロのビーナスも有名だが、船の舳先の立っている勝利の女神ニケは印象的だった。エジプト神話を伝えてきた人たちの文化だ。
エジプトのコーナには、王の顔とライオンの身体を持つスフィンクスの彫像や動物の神様の彫像もあった。エジプトでは、人間を超えた能力を持つ生き物は神様として崇められていたそうだ。空を飛べる鳥、早く走れる動物、力強いライオンは神様だ。自分にない能力を持つものに憧れる人々の純粋な気持ちの表れだと思った。
特にエジプトでは、ネコが神様として神格化されていたようで、ネコの彫像もたくさんあった。古くはスフィンクスにあるようにメスのライオンが神様だったようだが、飼い猫が一般家庭にも定着化してきたことで、ネコが家庭の守り神として崇められてきたらしい。
そんなネコのことを考えていたら、葉音のことを想い出した。今度ネコを飼うと言い出している葉音に会ったら、ネコは守り神だって教えてあげよう。ただ、飼うのは彼氏の家だから、そのネコちゃんは新婚家庭の守り神になるのだろうと詩は思った。
やはり、フランスはエジプト文化の影響を強く受けていることがわかる。オベリスクの頂上のピラミディオンも文字通りそうだが、ピラミッドにも四つの面がある。茶室の図書館の本で、ピラミッドのそれぞれの面は正確に東西南北に向いていると知った。もしかして、ピラミッドの各面が真理の書に記載された四つの面なのではないだろうかと、詩は思った。
『僕はリゲル、君はベテルギウス…』
いっちゃんの言葉が頭に浮かんできた。茶室の中の図書館の蔵書で、有名なギザの三大ピラミッドはオリオン座の三ツ星のレイアウトで建設されていることを知った。エジプトでオリオン座は大事な星座だ。
そんなことを考えていると、パリの街が星空に思えてきた。今朝、エトワール凱旋門からルーブル美術館へ歩いてきた。星でいうと、ベテルギウスからオリオン座の三ツ星へ来たことになる。だとすると、次はリゲルに辿り着くしかない。
いっちゃんが私に遺したメッセージ、茶室の中の図書館の蔵書、そして真理の書の内容が、一直線にレイアウトされた歴史の軸のように、詩の心の中で繋がってきた。そんな星空を旅しているような感慨に浸っていると、菜美ちゃんが声をかけてきた。
「詩ちゃん、チケットは予約しているから中に入ろう!」
「うん、ありがとう。」
一階のガラスのピラミッドの入り口から、菜美ちゃんと生まれて初めてルーブル美術館の中に入った。チケットを持ってセキュリティゲートを抜けると、内部は物凄く広いことがわかった。館内にはとても一日では鑑賞できない量の収蔵品が展示されていた。
芸術鑑賞にぴったりなお嬢様風のブラウスが似合っている菜美ちゃんと、絵画のコーナに行った。ここは有名な絵でいっぱいで、菜美ちゃんはこれまで以上に大興奮だった。
「詩ちゃん、見て!モナリザよ!」
「詩ちゃん、民衆を導く自由の女神よ!」
菜美ちゃんが次々と著名な絵画を見つけて案内してくれる。おかげで、入り口で入手したフロアマップを使うことはあまりなかった。
確かに学校の教科書で見る画像よりも、実物はどれも迫力がある。精巧なレプリカも観たことがあるが、やはりオリジナルに勝るものはない。詩も名画を鑑賞し、存分に芸術に浸った。やはり、後世にずっと長く残るものは凄い。神話と同じだ。
絵画コーナを一回りした後、菜美ちゃんが私の観たい場所に案内してくれた。エジプト、ギリシャの展示物があるコーナだ。内部にはエジプトやギリシャの彫像がたくさん展示されていた。ミロのビーナスも有名だが、船の舳先の立っている勝利の女神ニケは印象的だった。エジプト神話を伝えてきた人たちの文化だ。
エジプトのコーナには、王の顔とライオンの身体を持つスフィンクスの彫像や動物の神様の彫像もあった。エジプトでは、人間を超えた能力を持つ生き物は神様として崇められていたそうだ。空を飛べる鳥、早く走れる動物、力強いライオンは神様だ。自分にない能力を持つものに憧れる人々の純粋な気持ちの表れだと思った。
特にエジプトでは、ネコが神様として神格化されていたようで、ネコの彫像もたくさんあった。古くはスフィンクスにあるようにメスのライオンが神様だったようだが、飼い猫が一般家庭にも定着化してきたことで、ネコが家庭の守り神として崇められてきたらしい。
そんなネコのことを考えていたら、葉音のことを想い出した。今度ネコを飼うと言い出している葉音に会ったら、ネコは守り神だって教えてあげよう。ただ、飼うのは彼氏の家だから、そのネコちゃんは新婚家庭の守り神になるのだろうと詩は思った。
あなたにおすすめの小説
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
思わせぶりには騙されない。
ぽぽ
恋愛
「もう好きなのやめる」
恋愛経験ゼロの地味な女、小森陸。
そんな陸と仲良くなったのは、社内でも圧倒的人気を誇る“思わせぶりな男”加藤隼人。
加藤に片思いをするが、自分には脈が一切ないことを知った陸は、恋心を手放す決意をする。
自分磨きを始め、新しい恋を探し始めたそのとき、自分に興味ないと思っていた後輩から距離を縮められ…
(第一章完結)ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
私と彼の八年間〜八年間付き合った大好きな人に別れを告げます〜
桜百合
恋愛
葵は高校の頃から八年間付き合っている俊の態度の変化に苦しんでいた。先の見えない俊との付き合いに疲れ果てた葵は、同棲していた家を出て彼と別れる決心をする。
長年付き合った彼女をおざなりにした結果、失って初めてその大切さに気づくお話。
※本編完結済、不定期に番外編投稿中
ムーンライトノベルズでも「私と彼の八年間」というタイトルで掲載中です。
(2023/10、日間総合ランキングで1位になりました)
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。