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「さっきから落ち着きがないわね……あぁ、誰かと出掛けるんだったかしら?あのティアちゃんが…」
レティシアの母であるフローラは、手を目の端に宛て、おいおいと泣く真似をしている。
「大袈裟。今日は一緒に『ぷでぃんぐ』食べに行くの。ずっと楽しみにしてたんだから!」
「ははーん……、つまりデートね!」
フローラは片眉を釣りあげ、ニヤリと笑った。
「そんなんじゃないの!ニコラウスはともだち!」
「はいはい、分かったから。ほら窓の外見てご覧。お目当ての彼じゃない?」
これ以上否定し続けてもどうしようもないと判断し、レティシアは一刻も早くこの場を去ることを選択した。
レティシアは普段街に出る時、その亜麻色の髪を紺色のリボンで1つに括っているが、今日は久しぶりに友人と出かけるという事で、その髪を下ろしている。
「帰りは遅くなるから夕食は断っておいてください。では行ってきます!」
「気をつけてね。」
レティシアが家を出ると同時に、こちらに向かって来ていた馬車が丁度家の前に停車した。
「レティシア、久しぶり。」
「まだ1週間しか経ってないですよ。」
軽く挨拶を交わすと「ほら、乗って。」と、馬車の中から出てきて、その片手を差し出してた。
その手を掴み、車内へと入り腰を掛けるとあら不思議。何故か正面が空いているのに隣に座ってくるではありませんか。
「ま、前ではだめです……?」
「今日はそんな気分なんだよ。」
「ソ、ソウデスカ。」
なんだろう、物凄く、物凄く恥ずかしいっ………!
そして何故か今も尚、ニコラウスはこちらをじーっと見つめ、目線を逸らさないでいる。
「何か変……ですか?」
「いや、今日は髪を下ろしてるんだね。」
「は、はい……そうですね…?」
それがどうかしたのかと言いたげにエルナは首を傾げた。
「いや、可愛いなと思って。」
すると思いもよらない回答が返ってきたために、エルナ一瞬のフリーズを経て、顔を真っ赤に染め俯いた。
あれ、これもしかして私の知ってるニコラウスじゃないのかしら?基本的に表情が固くてクールってイメージだったけど……もしかして頭とかぶつけてたり……
「僕は正真正銘ニコラウスだし、至って正常だからね。」
「えぇっ!心読めるんですか!!!」
「そんな所だと思ったよ。」
そう言ってニコラウスは、クスクスと肩を揺らしながら笑っている。
「び、びっくりするのでそう言うのはダメです!」
軽く声を裏返らせながらながら、必死に顔の前で大きなバツをアピールした。
この後もしばらくの間、レティシアはニコラウスに弄ばれ続け、目的に到着する頃には随分とぐったりとした様子であった。
♢♢♢
普通に馬車に乗っていただけなのに、何かどっと疲れたわ。本当にこんなに疲れる移動は初めてよ……
まぁとりあえず目的の町には着いたことだし良しとしましょう。何より、今日の目的は『ぷでぃんぐ』を食べることなんだからね!そう考えたら急にワクワクしてきたわ………!
「そんなに嬉しかったの?」
レティシアの思考は思い切り顔に出ていたらしく、自然と口の端が上がっていたらしい。
「ずっと楽しみにしてたんだもの、仕方ないじゃない?」
そしてレティシアはスカートを翻し、ニコリと笑った。
実際にこの町に入ってみて、噂に聞いていたより遥かに綺麗な街並みや、船着き場に停まっている沢山の船を見ると、やはり好奇心を擽られる。
船着き場の船からは異国から来たんだろうと思われる人や物が沢山行き交っているようだ。
「ねぇニコラウス、私もう待ちきれないのだけど…案内してもらってもいいかしら!」
「うん、そう言うと思ったよ。この道を右に曲がったところにあるよ。では行こうか?」
そう言ってニコラウスはレティシアの前に手を差し出して来た。
しばらくレティシアはその手をとるのを躊躇していたが、ニコラウスには全く引く気がないようなので、仕方なくレティシアはその手をとることにした。
そしてレティシアはそのままニコラウスに手を引かれ、目的の店へと歩みを進めた。
レティシアの母であるフローラは、手を目の端に宛て、おいおいと泣く真似をしている。
「大袈裟。今日は一緒に『ぷでぃんぐ』食べに行くの。ずっと楽しみにしてたんだから!」
「ははーん……、つまりデートね!」
フローラは片眉を釣りあげ、ニヤリと笑った。
「そんなんじゃないの!ニコラウスはともだち!」
「はいはい、分かったから。ほら窓の外見てご覧。お目当ての彼じゃない?」
これ以上否定し続けてもどうしようもないと判断し、レティシアは一刻も早くこの場を去ることを選択した。
レティシアは普段街に出る時、その亜麻色の髪を紺色のリボンで1つに括っているが、今日は久しぶりに友人と出かけるという事で、その髪を下ろしている。
「帰りは遅くなるから夕食は断っておいてください。では行ってきます!」
「気をつけてね。」
レティシアが家を出ると同時に、こちらに向かって来ていた馬車が丁度家の前に停車した。
「レティシア、久しぶり。」
「まだ1週間しか経ってないですよ。」
軽く挨拶を交わすと「ほら、乗って。」と、馬車の中から出てきて、その片手を差し出してた。
その手を掴み、車内へと入り腰を掛けるとあら不思議。何故か正面が空いているのに隣に座ってくるではありませんか。
「ま、前ではだめです……?」
「今日はそんな気分なんだよ。」
「ソ、ソウデスカ。」
なんだろう、物凄く、物凄く恥ずかしいっ………!
そして何故か今も尚、ニコラウスはこちらをじーっと見つめ、目線を逸らさないでいる。
「何か変……ですか?」
「いや、今日は髪を下ろしてるんだね。」
「は、はい……そうですね…?」
それがどうかしたのかと言いたげにエルナは首を傾げた。
「いや、可愛いなと思って。」
すると思いもよらない回答が返ってきたために、エルナ一瞬のフリーズを経て、顔を真っ赤に染め俯いた。
あれ、これもしかして私の知ってるニコラウスじゃないのかしら?基本的に表情が固くてクールってイメージだったけど……もしかして頭とかぶつけてたり……
「僕は正真正銘ニコラウスだし、至って正常だからね。」
「えぇっ!心読めるんですか!!!」
「そんな所だと思ったよ。」
そう言ってニコラウスは、クスクスと肩を揺らしながら笑っている。
「び、びっくりするのでそう言うのはダメです!」
軽く声を裏返らせながらながら、必死に顔の前で大きなバツをアピールした。
この後もしばらくの間、レティシアはニコラウスに弄ばれ続け、目的に到着する頃には随分とぐったりとした様子であった。
♢♢♢
普通に馬車に乗っていただけなのに、何かどっと疲れたわ。本当にこんなに疲れる移動は初めてよ……
まぁとりあえず目的の町には着いたことだし良しとしましょう。何より、今日の目的は『ぷでぃんぐ』を食べることなんだからね!そう考えたら急にワクワクしてきたわ………!
「そんなに嬉しかったの?」
レティシアの思考は思い切り顔に出ていたらしく、自然と口の端が上がっていたらしい。
「ずっと楽しみにしてたんだもの、仕方ないじゃない?」
そしてレティシアはスカートを翻し、ニコリと笑った。
実際にこの町に入ってみて、噂に聞いていたより遥かに綺麗な街並みや、船着き場に停まっている沢山の船を見ると、やはり好奇心を擽られる。
船着き場の船からは異国から来たんだろうと思われる人や物が沢山行き交っているようだ。
「ねぇニコラウス、私もう待ちきれないのだけど…案内してもらってもいいかしら!」
「うん、そう言うと思ったよ。この道を右に曲がったところにあるよ。では行こうか?」
そう言ってニコラウスはレティシアの前に手を差し出して来た。
しばらくレティシアはその手をとるのを躊躇していたが、ニコラウスには全く引く気がないようなので、仕方なくレティシアはその手をとることにした。
そしてレティシアはそのままニコラウスに手を引かれ、目的の店へと歩みを進めた。
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